現代のビジネス環境において、情報システム(情シス)部門の業務効率化は、企業の競争力を保つために不可欠です。
技術の進化と共に、情シス部門が抱える課題も複雑化しており、これに対応するための強力なツールが必要とされています。しかし、市場には多種多様なツールが溢れており、どれを選べばよいか迷ってしまうことも少なくありません。
そこで、この記事では情シスの業務を効率化し、よりスムーズな運用を支援するおすすめのツールを10選紹介します。「データ管理」「セキュリティ強化」「業務自動化」など、さまざまなニーズに応えるものを厳選したので、ぜひ参考にしてみてください。
情報システム(情シス)部門は、企業におけるデジタル資産の管理と運用を担当しており、その役割は今日のビジネス環境において極めて重要です。
業務の効率化は、「応答速度の向上」「コスト削減」「リスクの最小化」に直結し、これら全てが企業の全体的なパフォーマンスに影響を与えます。しかし、技術の急速な進化により、システムの維持と更新が日々複雑化しており、適切な効率化戦略が必要。
この章では、情シスの業務効率化が求められる背景について、深掘りしていきましょう。
情シス部門の業務は多岐にわたりますが、特定のスキルや知識を持つ個人に依存することが一般的です。
この属人化は、その人がいない時に業務が滞る原因となります。また、知識の共有が不足していると、業務の継続性が損なわれ、システム全体の脆弱性が高まるリスクも…。
効率化を推進するためには、業務プロセスを標準化し、属人化を解消する必要があります。
企業内でデジタルトランスフォーメーションが進むにつれ、情シス部門の人員は増加していますが、それに伴うスキルマッチの問題も浮上しています。
新しい技術の導入が進む一方で、必要なスキルを身につけた人材が不足しており、業務の質が低下することも…。
教育と訓練の強化、または業務プロセスの自動化を進めることが解決策として考えられます。
効率的な情シス業務を実現するためには、適切なツールの選定が鍵を握ります。ツール選びでは、自社のニーズを満たすものを選ぶことはもちろん、コストパフォーマンスや将来的な拡張性も重要な要因です。
この章では、情シスの業務効率化に役立つツールの選定ポイントを3つご紹介。
以下で、それぞれのポイントについて詳しく解説するので、ぜひ参考にしてみてください
まずは、企業ごとに異なる情シスの課題を把握し、それを解決できる機能を持つツールを選定することが重要です。
ツールが提供する機能が現在の業務フローにどのようにマッチするかを詳細に分析し、最大の効果を発揮できるものを選ぶのがポイント。
効率化を目指すツール選定においては、そのツールが業務プロセスのどの段階で役立つのか、またどのようにして業務を改善できるのかを具体的に理解することがマストです。
例えば、「データ入力の自動化」「報告書作成の効率化」「コミュニケーションツールの統合」など、具体的なニーズに対応できるツールを選ぶようにしましょう。
さらに、ツールの選定では、将来の拡張性や互換性も大きなポイント。技術は日々進化しており、今後も継続的なアップデートが可能なツールを選ぶことで、長期的に見てコスト効率良く利用することが可能になります。
また、ツールが他の既存システムやアプリケーションとどのように連携できるかにも注目しましょう。ただ単に問題を解決するだけでなく、組織全体の生産性向上に寄与し、企業はより迅速かつ効率的に運営を進めることができるようになります。
ツールの導入は、初期コストの他に維持管理に関わるコストも考慮する必要があります。
ツールが現在のシステムに容易に統合できるか、運用がシンプルかどうかも評価の重要なポイント。運用の複雑さが増すと、結果として運用コストが増加し、効率化の目的に反することがあります。
したがって、導入するツールは、総所有コスト(Total Cost of Ownership, TCO)を考慮して選定することが重要です。
TCOには、購入コストだけでなく、設定・維持・必要なトレーニングコストも含まれます。これらの要素を総合的に評価し、長期的に企業にとってコスト効果の高い投資となるかを検討しましょう。
さらに、新しいツールが既存の業務フローにどの程度フィットするかも見極めるのも大切。シームレスな統合が可能であれば、従業員のトレーニング期間やコストを削減し、業務の中断を最小限に抑えることができます。
一方で、柔軟性が低く適応が難しいツールは、結果的に時間と資源の浪費につながりかねません。そのため、ツールを導入する際は、実際の導入前に十分なテストを行い、企業の具体的な要件に適合するかどうかをしっかりと確認しましょう。
ツールを選定する際は、将来的なビジネスの成長や変化に対応できるかどうかを確認することも重要です。
システムの拡張性や柔軟性が高いと、新しい要求や変化する環境に迅速に対応することが可能になります。そのため、ツールが長期的なビジネスニーズに対応できる設計かどうかを評価し、選定するのがおすすめ。
これにより、企業は将来にわたって技術的な進歩や市場の動向に柔軟に適応できるようになり、持続可能な成長を実現することができます。
また、選定するツールは、他のシステムやアプリケーションとの連携がスムーズに行えることも大切です。API(アプリケーションプログラミングインターフェース)の利用や、クラウドベースの技術との統合可能性は、業務の自動化と効率化を大幅に進めるために役立ちます。
最終的なツール選定の際には、企業の既存のインフラストラクチャやツールセットとシームレスに連携できるかどうかを検討しましょう。
ここからは、情シスにおすすめの業務効率化ツール10選をご紹介します。
ツール名 | 特徴 |
---|---|
IT資産管理ツール:Lansweeper |
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ヘルプデスク管理システム:Zendesk |
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リモートアクセスツール:TeamViewer |
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ネットワーク監視ツール:Zabbix |
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バックアップ・復旧ツール:Veeam Backup & Replication |
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セキュリティ管理ツール:Kaspersky Endpoint Security |
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プロジェクト管理ツール:Backlog |
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ナレッジ共有ツール:Notion |
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タスク自動化ツール:Zapier |
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クラウド管理プラットフォーム:Microsoft Intune |
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今回は、上記のツールをご紹介。以下で、それぞれのツールの特長や導入するメリットなどを詳しく解説していきます。
IT資産管理ツール「Lansweeper」は、「ネットワーク上のコンピューター」「サーバー」「プリンター」などの詳細情報を自動で収集し、一元的に管理する機能を提供しています。
このツールは「ソフトウェアライセンスの管理」「リモートデスクトップ接続」「パッチ管理」など、多様な機能も備えているのが特長。
1000万台規模のWindows端末を対象にした結果、Windows 11の普及率がWindows 7やWindows XPを下回っており、企業が使用するPCの約43%がWindows 11の最小ハードウェア要件を満たしていないことが明らかになりました。
しかし、Windows 11の要件を満たすデバイスの割合は年々増加しており、今後の普及に期待が持たれています。
▼ツールURL
Zendeskは、メール・チャット・電話・ソーシャルメディアなど複数のチャネルからの問い合わせを一元的に管理するチケット管理システムを提供しているツールです。
このシステムは、自動化機能やAIを利用して問い合わせの優先順位付けや自動返答を行うことが可能で、効率的な顧客対応をサポート。
また、社内FAQサイトの作成やナレッジベース機能を通じて、情報共有やセルフサービスを促進します。
問い合わせの対応履歴は記録され、過去の対応内容を確認することも可能。ShopifyやSlackなど他のアプリやサービスとの連携も可能で、顧客サービスだけでなく、人事部門やIT部門など企業内のさまざまな部門で活用できるツールです。
▼ツールURL
https://www.zendesk.co.jp/lp/brand/?demoStep=personal
TeamViewerは、リモートデスクトップ接続を通じて、どこからでもコンピューターやモバイルデバイスにフルアクセスが可能になるツールです。
VPNは不要で、ITサポート担当者が遠隔地からエンドユーザーのデバイスを操作し、トラブルシューティングを行えます。
さらに、企業のIT資産(コンピューター、サーバー、プリンターなど)を自動で収集し、一元的に管理する資産管理機能を搭載。ネットワーク上のデバイスを検出し、ハードウェアやソフトウェアの詳細なインベントリ情報を取得することも可能です。
また、リモートからのソフトウェア更新やパッチ適用、セキュリティリスク管理も行えます。TeamViewerユーザーやパートナー企業の管理や接続ログの記録も可能になるので、情シスの業務効率化のためには積極的に導入したいツールです。
▼ツールURL
https://www.teamviewer.com/ja/
Zabbixは、「ネットワーク機器」「サーバー」「仮想化環境」「クラウド」など、さまざまな対象に対応している監視ツールです。
エージェントベースとエージェントレスの両方の監視方式をサポートするのが特長。ネットワーク帯域幅の監視・アプリケーションのパフォーマンス監視・ログファイルの分析などが可能で、障害発生時にはトリガーとアクションの設定により自動通知や対応が行われます。
ユーザーは、グラフィカルなWebインターフェースを通じて、監視状況をリアルタイムで確認することが可能。オープンソースで提供されているため、無料で利用可能なのも魅力です。
さらに詳細なサポートが必要な場合は、有償のサポートサービスも提供されているので、用途に応じて使い分けましょう。
▼ツールURL
https://openstandia.jp/services/
このバックアップソリューションは、「VMware vSphere」「Nutanix AHV」「Microsoft Hyper-V」などの、ハイパーバイザー上の仮想マシン・物理サーバー・クラウドワークロードのバックアップと復元をサポートしています。
「増分バックアップ」「完全バックアップ」「合成完全バックアップ」などのさまざまなバックアップ方式を提供し、バックアップデータの整合性検証や仮想マシンの即時起動による検証が可能。
データはオンプレミス・クラウド・テープデバイスなどさまざまな場所に保存でき、AWS・Azure・Google Cloudといった、主要クラウドプロバイダーとの連携も実現しています。
さらに、Microsoft 365・Oracle・SAP HANAなどの主要アプリケーション向けのバックアップ機能も搭載。レプリケーション機能によるデータの複製と同期を通じて、効果的なディザスタリカバリ対策を提供します。
▼ツールURL
https://www.veeam.com/jp/disaster-recovery-orchestrator.html
Kaspersky Endpoint Securityは、「マルウェア対策」「脆弱性対策」「デバイス制御」「暗号化」といった、多層防御による包括的なセキュリティを提供しているツールです。
機械学習を活用したビヘイビア分析やクラウドベースの脅威分析により、「ランサムウェア」「フィルレス攻撃」「ゼロデイ攻撃」などの最新の脅威を効果的に検知。
また、エンドポイントの脆弱性を検出し、タイムリーにパッチを適用して攻撃の侵入経路を遮断します。
さらに、「アプリケーション制御」「Webフィルタリング」「デバイス制御」を通じて、エンドポイントの攻撃対象領域を最小化。サーバー向けには、「アプリケーションサーバーやターミナルサーバーの保護」「メール監視」「データ漏洩防止」などの機能も提供します。
オンプレミスまたはクラウドベースの管理コンソールから、ポリシーの設定やセキュリティ状況の一元管理も可能です。
▼ツールURL
https://www.kaspersky.co.jp/small-to-medium-business-security/endpoint-windows
Backlogは、プロジェクトの進捗をガントチャートで可視化するプロジェクト管理ツールです。Backlogを利用することで、作業の遅延に早期に気づけるのがメリット。
課題の登録・割り当て・期限設定が可能で、優先順位付けやコメント機能を通じてチーム内コミュニケーションを効率化します。
また、ソフトウェア開発プロジェクトでは、Subversion(SVN)やGitリポジトリを利用したソースコードの共有とバージョン管理が可能。Wikiを用いたナレッジ共有・絵文字の利用・メール通知機能も備わっています。
Backlogは、開発・デザイン・マーケティング・営業など、さまざまな職種のプロジェクトで利用でき、クラウドサービスとして無料プランから始められるので人気があります。有料プランでは、さらに高度な機能も利用できます。
▼ツールURL
Notionは、ユーザーが簡単にドキュメントを作成し、ページ間をリンクで自由に関連付けられるナレッジ共有ツールです。
画像・動画・ファイル・コードスニペットなどの、マルチメディアコンテンツを埋め込むことが可能。ページの編集履歴を確認し、過去のバージョンに簡単に戻ることもできます。
また、複数人での同時編集機能により、リアルタイムでの変更が共有できるため、チーム協力が促進されるのが特長。ページにはタグ付けしてカテゴリ分けが可能で、全文検索も行えます。
権限設定により、ナレッジベースへのアクセスを制御でき、モバイルアプリを使えば、どこからでも情報へアクセスが可能です。これにより、情報共有と協働が格段に向上します。
▼ツールURL
https://biz-notion.northsand.co.jp/
Zapierは、5,000以上のウェブアプリやサービスと連携できるタスク自動化ツール。さまざまなウェブアプリやサービスを組み合わせた、自動化ワークフローを構築できるのが特長です。
ワークフローは「トリガー」と「アクション」から成り立ち、あるアプリのイベントがトリガーとなり、別のアプリで特定のアクションが実行されます。
例えば、新しいGoogleスプレッドシートの行が追加された際に、その内容をSlackに自動投稿するなどの連携が可能。「ソーシャルメディア」「プロジェクト管理」「メモ」「メール」「会議」などのオンラインワークフローを自動化し、効率化を図れます。
無料プランでは、月間100タスクまでの5つの単一ステップワークフローを利用可能。有料プランでは、より高度な機能を使用できます。
また、Bufferとの連携を利用すれば、WordPressの新規投稿をBufferに自動送信する事も可能。このように、ソーシャルメディアマーケティングの自動化にも活用できます。
▼ツールURL
Microsoft Intuneは、「Windows」「iOS」「Android」など、多様なデバイスプラットフォームに対応したクラウド管理プラットフォームです。
Microsoft Intuneを導入することで、企業所有のデバイスと従業員私有のデバイスの両方を一元的に管理することが可能に。モバイルアプリの配布・アプリの構成設定・アプリの使用制限などのアプリ管理機能も備えています。
また、デバイスの設定プロファイルを作成し、Wi-Fi設定・VPNの構成・メールアカウントの設定などを一括で行うことも可能。デバイスの位置情報追跡・リモートロック・リモートデータ消去などのデバイス保護機能も搭載しています。
さらに、Microsoft Endpoint Managerと連携し、PCやサーバーなどのエンドポイントデバイスを一元管理できるのも特長。Microsoft 365やAzureなどのMicrosoftクラウドサービスとも密接に統合されています。
Microsoft Intuneを導入すると、デバイスのセキュリティと効率的な管理を強化することが可能になります。
▼ツールURL
https://www.microsoft.com/ja-jp/security/business/microsoft-intune
情報システム部門におけるツールの導入は、企業の生産性向上に不可欠です。
現代のビジネス環境では、自動化ツールや管理ソフトウェアが日々の業務を支援し、重要なリソースをより戦略的な活動へと再配分するサポートをしてくれます。
まずは、今回ご紹介した10個のツールから導入してみてください。
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