在宅勤務を導入する企業が増える中、自社にも取り入れたいと考える情シス担当者は少なくないでしょう。テレワークにできる業務や在宅勤務化の課題がわかると、自社での導入方法が見えてくるでしょう。
この記事では、情シスの在宅勤務が可能な業務を踏まえたうえで、メリットや問題点を解説します。
情シスは在宅勤務が可能な部門の一つですが、中には対応が難しい業務もあります。在宅勤務ができる業務と、できない仕事の理由を理解しましょう。
以下のような業務は、パソコンと社内の管理システムがあればテレワーク化が可能です。
とくに、システムをクラウド化している場合はテレワーク化しやすいでしょう。万が一トラブルが発生しても、管理システムへアクセスすればわざわざ出社する必要はありません。
一方で、物理的な対応が必要な業務では出勤が求められます。在宅勤務化できない情シスの業務は、以下の通りです。
上記のような業務は、テレワーク化がスタートしても別途で出社が必要となります。情シスの業務は幅広く、すべての仕事の完全なテレワーク化は難しいのが現状です。
2019年12月から発生した新型コロナウイルスの影響から、テレワークを認める企業は増え続けています。内閣府(※1)によると、2019年12月時点のテレワークの実施率が10.3%だったところ、2021年9月には32.2%まで上昇しました。
中でも情報・通信業でのテレワーク実施率は最も高く、2019年12月時点では30%未満だったにもかかわらず、2021年9月には78.1%まで上昇しています(※2)。
IT業界においてのテレワーク実施率は急上昇しており、情シスでも導入の余地があるといえるでしょう。
(※1)参考:内閣府 「第4回新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査 P4」
(※2)参考:内閣府 「第4回新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査 P5」
情シスは在宅勤務を導入することにより、さまざまなメリットを受けられます。情シスの在宅勤務導入により、業務がより効率的に行われ、企業の運営がより質の高いものとなります。
情シスをテレワーク化すると、トラブルが発生しても自宅から対処が可能です。システム関係のトラブルは、勤務時間内に限らず夜間や休日にも発生します。情シスが在宅勤務を導入すると、トラブルが起きたときでも自宅から対応でき、わざわざ会社に出向く必要がありません。
情シスがテレワーク化を行うと、生産性の向上が期待できます。前述の通り、これまでの情シスはトラブル発生時に急な出社が求められていました。テレワークを導入することで、トラブル対応にかかるコストを最小限に抑えつつ、生産性向上を実現できます。トラブル対応だけでなく、会議時間の短縮や連絡対応の円滑化など、さまざまな業務の効率化が可能です。
情シスがテレワークを導入すると、企業全体に優秀な人材が集まる可能性があります。就活や転職において、企業に魅力を感じても勤務地が遠くて応募に踏み切れないという人は少なくありません。テレワークは、通勤のハードルを下げる手段でもあります。今まで入社を諦めていた企業にも挑戦できるようになるため、優秀な人材の確保につながる可能性があるでしょう。
情シスのテレワーク化は、事故や災害などのトラブルにも耐える「IT-BCP」の一環として注目されています。IT-BCPは、予測できない出来事が起こってもシステムを動かし続ける戦略です。新型コロナウイルスの緊急事態宣言の際には、テレワークがIT-BCPとして機能しました。テレワーク化を進めておけば、将来の予測不可能なトラブルにも柔軟に対応できるようになります。
情シスによるテレワーク導入は、企業の運営においてコスト削減につながります。以下は、テレワークによりコスト削減できる費用です。
出社の必要がなくなるため、デスクのスペースや水道光熱費を最小限に抑えられます。社員の出社回数が減るため、通勤手当やガソリン代などの削減が可能です。また、社員は自宅で食事をとることができるため、従業員個人の昼食代の支出も減るでしょう。
情シスに在宅勤務を導入するにあたり、よい部分だけでなく問題点にも目を向けることが必要です。テレワーク導入前後において、情シス部門や他部署の社員に一時的に負担がかかる点を理解しましょう。
チャットやビデオ会議など、新しいコミュニケーション方法に慣れるまでには時間がかかります。リモートワーク導入にともない、コミュニケーションツールとしてチャットアプリやビデオ会議システムを導入する企業も多いでしょう。
全員がツールに慣れるまでは、音声途切れや通信不良などの不具合でコミュニケーションがうまくいかない可能性があります。リモートワークが始まってから3か月ほどは、新しいコミュニケーション方法に慣れる期間と割り切る必要があるでしょう。
一般的に、テレワーク化は特定の部門だけでなく企業全体で行われるため、サポート対応が増加します。以下は、在宅勤務導入に際し情シスが担当する事項です。
情シスはこれらの流れを企業全体に適用しなければならず、運用が安定するまでは負担となるでしょう。計画通りに進まない場合もあるため、余裕を持ったスケジュール設定が必要です。
在宅勤務を導入するにあたり、一時的な金銭コストの増加は避けられません。テレワークにおける環境設定やシステム導入などの準備には、まとまったお金が必要です。在宅勤務は長期的に見れば金銭コストの削減が期待できますが、初期の段階では支出が大きくなるため、計画を周到に立てておきましょう。
情シスがテレワークを導入する場合、セキュリティ対策の強化が必要です。テレワークでは外部からでもアクセスできる環境を構築するため、必然的に不正アクセスへの対策が必要となります。セキュリティ対策の強化として、暗号化システムの導入や社員へ公共Wi-Fiの使用を禁止する教育などが必要です。外部アクセスの便益とリスクのバランスには、慎重な検討が求められるでしょう。
情シスが少ない企業では、在宅勤務化により部門の業務が停滞する可能性があります。近頃は、情シス部門を一人だけで担当する「一人情シス体制」をとる企業は少なくありません。もともと人数の少ない情シスに在宅勤務化を任せると、本来の業務がとどこおり運営に影響が出る恐れがあります。生産性が落ちるため、情シス部員の増員やアウトソーシング化を検討する企業も珍しくありません。
なお、以下の記事では、一人情シス問題について詳しく解説しています。
情シスがテレワーク化するにあたり、なるべくトラブルを回避しながら進めたいところです。ここでは、在宅勤務への負担の少ない切り替え方を解説します。
情シスが在宅勤務を導入するなら、一部の業務のアウトソーシング化が有効です。テレワーク化の準備から運用が安定するまでの間は、重要度の低い業務を外部に委託すると負担軽減につながります。テレワークに慣れない社員からの問い合わせ対応やパソコン設定など、一時的にニーズが増える部分をアウトソーシングするのがおすすめです。
管理システムやコミュニケーション手段をクラウドツールで揃えると、スムーズな在宅勤務化につながります。クラウドツールは、IT機器やリソースを自社で管理するオンプレミス型とは異なり、インターネットさえ完備できればどこにいても作業が可能です。情シスのテレワーク化におすすめなクラウドツールには、以下のサービスが挙げられます。
既存システムをクラウドツールに切り替えられる場合もあるため、使い慣れたソフトの継続利用も可能です。
テレワークの土台がある程度整ったら、部分的に導入を進めていくのも方法の一つです。社内全体で一気にテレワークを開始すると、トラブルがあった際の対処が複雑になります。最初のうちは在宅勤務に「一部の部門のみ」「月に4回」など条件を決めると、業務やコミュニケーション方法を検証しながら進めることが可能です。在宅勤務化はスモールスタートで進めると、各部門や情シスの負担を最小限にとどめられるでしょう。
情シスは、企業の中でも工夫次第で在宅勤務化を実現できる部門です。ただし、テレワーク導入にあたり、情シスに負担が押し寄せないような対策を取る必要があります。情シスでトラブルが起きやすい部分を理解し、自社に必要な対策を行いながら在宅勤務化を進めましょう。
リモートワーク導入をはじめ、日々の業務や問い合わせで忙殺されている情シスは多いでしょう。しかし、情シスの抱える悩みには一人ひとりに合った解決策が必ずあります。
以下の記事では、情シスのお悩みや解決方法について詳しく解説しています。お悩みを解決し自分に合った働き方を考えたい人は、ぜひご覧ください。
「WARCエージェント」なら情シス・コーポレートIT専門のチームがあり、大手上場企業からIPO準備企業のベンチャー求人まで幅広く対応しています。
業界トップクラスの転職実績もあり、業界に精通しているエージェントも多数在籍していますので、ぜひ気軽にご相談ください!