「サイバーセキュリティの資格って、どれを選べばいい?自分に合った資格は?」とお悩みの方もいるでしょう。サイバーセキュリティ分野は未経験からでも学び始められ、資格を活かしてキャリアアップできる分野として注目されています。
この記事では、主なサイバーセキュリティ資格を国家資格・国際資格・民間資格に分け、それぞれの難易度や特徴を徹底解説します。キャリアの選択肢を広げたい方は、ぜひご一読ください。
サイバーセキュリティとは、インターネットやネットワーク上での情報資産を守るための仕組みや技術のことです。
サイバー攻撃の手法は年々巧妙化しており、個人情報の漏洩や業務の停止など、企業にとって重大なリスクとなっています。こうしたリスクに対応するため、システムの脆弱性を補強したり、不正アクセスを防いだりするセキュリティ対策が不可欠です。
また、セキュリティ対策は技術面だけでなく、組織内の教育やルールづくりといった「人」と「仕組み」の両面から整える必要があります。サイバーセキュリティは、IT業界に限らず、すべての業種で求められる重要なスキル領域といえるでしょう。
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サイバーセキュリティとは?今求められる理由をわかりやすく解説
サイバーセキュリティ資格は、国家資格、国際資格、民間資格の3つに大別されます。それぞれの資格には特徴や難易度があり、目的や経験に応じて選択することが重要です。
資格名 | 種類 | 難易度 | 特徴 |
---|---|---|---|
情報セキュリティマネジメント試験(SG) | 国家資格 | 初級 | 未経験者向けの基礎的なセキュリティ知識を問う試験。 |
情報処理安全確保支援士試験(SC) | 国家資格 | 中級 | 高度な知識や実務能力を問う。合格率は15〜19%前後。 |
CompTIA Security+ | 国際資格 | 初級 | セキュリティの基礎から実務的な知識まで幅広く学べる。 |
Certified Ethical Hacker(CEH) | 国際資格 | 中級 | 攻撃者視点でのセキュリティ知識や技術を問う。 |
CISSP | 国際資格 | 上級 | 広範なセキュリティ知識と実務経験が求められる上級資格。 |
シスコ技術者認定(CCST CCNA など) | 民間資格 | 初級~中級 | ネットワークセキュリティやクラウドセキュリティに対応。 |
AWS認定セキュリティ | 民間資格 | 中級 | AWSクラウド環境におけるセキュリティ知識や運用スキルを問う。 |
資格取得を目指す際は、自身の経験やキャリア目標に合わせて、適切な資格を選択することが重要です。また、各資格の公式サイトや参考書を活用し、計画的に学習を進めることをおすすめします。
初心者向けの資格は、専門的な知識がなくても学びやすく、ITの基本からセキュリティの概念までを無理なく習得できます。ここでは、未経験者でも合格が目指せる実績ある3つの資格をご紹介します。
情報セキュリティマネジメント試験 | CompTIA Security+ | 基本情報技術者試験 | |
---|---|---|---|
難易度 | 初級 | 初級 | 初級 |
受験料 | 7,500円 | 52,192円 | 7,500円 |
有効期限 | なし | 3年 | なし |
公式サイト |
以下でそれぞれの資格について詳しく紹介します。
情報セキュリティマネジメント試験(SG)は、サイバーセキュリティ系の国家資格の中でも初心者向けの資格です。ITに関する高度な専門知識がなくても受験でき、企業における情報管理やセキュリティルールの基礎を問う内容が中心となっています。
試験は随時実施され、合格率は60〜70%前後と比較的高めです。IT未経験の社会人や、非エンジニアの方が情報セキュリティへの理解を深める第一歩として最適でしょう。とくに、企業内で情報管理を担う立場を目指す方にとって、有用な知識が体系的に学べます。
CompTIA Security+は、グローバルに通用するエントリーレベルの国際資格で、実務で求められるセキュリティ知識をバランスよくカバーしています。主な出題範囲は、ネットワークセキュリティ、脅威と脆弱性、アクセス管理、暗号化などで、実務を想定した設問が特徴です。
試験は日本語にも対応しており、英語力に不安がある方でも安心です。受験資格はなく、未経験者でも学習次第で十分合格できるでしょう。国際資格を取得しておくと、外資系企業やグローバル展開する企業への転職でもアピールポイントになります。
基本情報技術者試験(FE)は、IT全般の基礎知識を問う国家資格で、セキュリティ分野に限らず、広い範囲の技術理解を身につけたい方に適しています。
アルゴリズムやネットワーク、データベースに加え、セキュリティに関する問題も含まれており、ITエンジニアとしての総合的な力を養えるのが特長です。合格率は30〜40%台でやや難易度は上がりますが、IT分野の入門書としての価値は非常に高いでしょう。セキュリティエンジニアを目指す前段階として、土台作りに最適な資格といえます。
基礎知識を習得した後、さらなるスキルアップや専門性の強化を目指すなら、中級者向けの資格に挑戦してみましょう。ここで紹介する資格は、実務レベルの知識と分析力が求められるため、現場経験を積んできた方や、既に基本的な資格を取得済みの方におすすめです。
情報処理安全確保支援士試験 | CompTIA CySA+ | Certified Ethical Hacker | |
---|---|---|---|
難易度 | 中級 | 中級 | 中級 |
受験料 | 7,500円 | 52,192円 | トレーニング受講費も合わせて 602,800円 |
有効期限 | 情報処理安全確保支援士として登録後は3年ごとに更新が必要 | 3年 | 3年 |
公式サイト |
以下でそれぞれの資格について詳しく紹介します。
SC試験は日本国内における中級〜上級レベルの国家資格として非常に信頼性が高い資格です。高度なサイバー攻撃手法やシステム設計の安全性評価、インシデント対応など、実務に直結した専門知識が問われます。合格率は15〜19%とやや難関で、計画的な学習が不可欠です。
また、合格後は「登録セキスペ」として企業に登録される制度もあり、情報セキュリティ分野の責任者や顧客対応業務において高く評価されます。専門職としてのキャリアを構築したい方におすすめの資格です。
CompTIA CySA+は、セキュリティ分析に特化した国際資格で、サイバー脅威の検知・対応を重視する企業において需要があります。出題内容は、ログ分析、脅威インテリジェンス、インシデントレスポンスなど、SOC(セキュリティオペレーションセンター)業務に関連する内容が中心です。
Security+より実践的なスキルを証明できるため、分析や対応力を高めたい中堅層に最適です。試験は英語がベースですが、日本語訳も提供されているため安心して受験可能です。実務寄りの国際資格を目指す方には有力な選択肢となるでしょう。
CEHは、攻撃者と同じ視点に立ち、システムへの侵入手法や脆弱性を検出するスキルを証明する資格です。「エシカルハッカー(倫理的ハッカー)」という言葉のとおり、正当な目的でハッキング技術を学ぶことが前提となっており、ペネトレーションテストやセキュリティ監査を行う職種に適しています。
試験範囲は広く、ツールや実践的な知識が求められますが、その分市場価値は非常に高いでしょう。攻撃者の視点を知りたい方や、攻防両面に強くなりたいエンジニアにおすすめです。
高度な専門性と豊富な実務経験を武器に、セキュリティの最前線で活躍したい方には、上級者向けの資格取得がキャリアの後押しになります。技術力だけでなく、マネジメントや設計・運用レベルの能力も問われるこれらの資格は、プロフェッショナルとしての信頼性を飛躍的に高めてくれるでしょう。
CISSP | CompTIA CASP+ | CCIE Security | |
---|---|---|---|
難易度 | 上級 | 上級 | 上級 |
受験料 | 749米ドル | 65,754円 | 筆記試験 49,280円 ラボ試験(実技) 1,600ドル |
有効期限 | 3年 | 3年 | 3年 |
公式サイト |
以下でそれぞれの資格について詳しく紹介します。
CISSPは、情報セキュリティ分野で最も国際的な信頼性を持つ資格のひとつです。対象となる範囲は広く、リスク管理・アクセス管理・暗号化・セキュリティアーキテクチャなど8つのドメインにまたがります。CISO(最高情報セキュリティ責任者)などのマネジメント職や、大手企業のセキュリティ部門での昇進にも直結する資格です。
CASP+は、CompTIAが提供する上級レベルの資格で、設計・運用・トラブル対応まで含めた現場リーダー向けの内容が特徴です。対象者は10年以上のIT経験を持ち、うち5年以上がセキュリティ実務という想定で設計されています。主な試験範囲には、エンタープライズレベルのセキュリティ設計やポリシー策定、リスク分析、ガバナンスなどが含まれ、技術と戦略の両面が求められます。マネジメント志向の技術者や、技術力と意思決定力の両立を目指す方にふさわしい資格です。
CCIE Securityは、Ciscoが認定する最上位レベルのネットワークセキュリティ資格で、世界的にも取得者が限られる超難関資格です。筆記試験と実技ラボ試験の2段階構成で、最新のセキュリティ技術に加え、Cisco製品を駆使した高度な構成力・対応力が求められます。
取得には長期の学習期間と継続的な技術研鑽が必要ですが、その分、エンタープライズ環境やセキュリティアーキテクトとしての評価は極めて高くなります。ネットワークセキュリティ領域でトップを目指す技術者には挑戦する価値がある資格です。
国内での転職やキャリアアップを目指す場合、日本企業での評価が高い国産資格を取得しておくことが有利に働きます。ここでは、実務や企業評価で活用されやすい2つの国内資格についてみていきましょう。
情報処理安全確保支援士 | 情報セキュリティマネジメント | |
---|---|---|
難易度 | 中級 | 初級 |
受験料 | 7,500円 | 7,500円 |
有効期限 | 情報処理安全確保支援士として登録後は3年ごとに更新が必要 | なし |
公式サイト |
情報処理安全確保支援士試験に合格すると、所定の手続きを経て「登録セキスペ」として正式にIPAへ登録することが可能です。この登録制度により、国家資格としての専門性を明確に証明でき、社内外での信頼性が高まります。
登録後は継続的な研修が義務付けられており、セキュリティ技術の最新動向にも対応できる点が特徴です。企業のセキュリティ責任者やCSIRT(セキュリティ対応チーム)担当としての評価も高く、国内の転職市場でも非常に有利に働く資格といえます。
情報セキュリティマネジメント試験は、企業内での情報管理体制の構築や、セキュリティリスクの把握・対策といった業務を担う人材に向けた国家資格です。情報系の技術職に限らず、総務・人事・経営企画など、非IT部門でも取得が推奨されるケースが多く、組織全体のセキュリティ意識向上に貢献します。
出題内容は実務寄りで、業務の中で起こりうるセキュリティ課題を想定した設問構成が特徴です。合格率も比較的高いため、最初の一歩として挑戦しやすいでしょう。
国家資格ほどの知名度や難易度はないものの、公的機関や公益法人が実施する資格も、セキュリティ知識の証明手段として有効です。ここでは、基礎から応用まで段階的に学べる3つの公的資格をご紹介します。
SPREAD情報セキュリティサポーター能力検定は、情報セキュリティの基本的な知識や考え方を身につけることを目的とした公的資格です。ITスキルの有無にかかわらず誰でも受験でき、家庭・学校・職場など日常生活で役立つセキュリティ意識を高められます。
フィッシング詐欺やパスワード管理、情報漏えい防止など、具体的なリスクへの理解を深められる構成が特徴です。企業内研修や教育プログラムとして導入されることも多く、初心者の第一歩として非常に有用でしょう。
マイスター検定は、サポーター検定の上位資格にあたり、より高度で実務的なセキュリティ知識を問う内容となっています。対象者は、企業や団体で情報セキュリティ対策を主導する立場にある方や、教育・指導を担当する管理者層です。
試験では、リスクマネジメント、情報倫理、事故対応など、組織運営全体に関わる観点からの理解が求められます。資格取得により、社内のセキュリティリーダーとしての信頼性が向上し、外部評価にもつながるでしょう。
情報セキュリティ管理士認定試験は、全日本情報学習振興協会が実施する民間寄りの公的資格です。情報管理の基本から、組織としての運用ルール、リスク評価や対策まで、広い範囲の知識をバランスよく問われます。
とくに、学校や公共施設など非営利組織での活用が多く、職員向けの教育や指導役としてのスキル証明に適しています。難易度は中程度で、実務経験の浅い方でもしっかり対策すれば十分に合格可能です。
民間企業が提供する資格も、サイバーセキュリティ分野では実務での評価やスキル証明に大いに役立ちます。とくに、特定の製品やクラウドサービス、ネットワーク技術に特化した内容は、現場で即戦力として活かせる知識が詰まっている点が強みです。ここでは、とくに人気が高く、実務での活用頻度が高い2つの民間資格をご紹介します。
Cisco Systems社が提供する認定資格は、ネットワークセキュリティ分野のスタンダードとして広く認知されています。「CCNA Security」や「CyberOps Associate」は、セキュリティ基盤の構築やインシデント対応、ログ解析など、実務で求められるスキルを体系的に学べる内容が特徴です。
特定の製品知識だけでなく、ネットワーク全体の構成やリスク分析についても深く掘り下げられます。大手SIerやネットワークインテグレーター、クラウドベンダー系の企業ではとくに評価が高く、現場での信頼につながる資格です。
AWS認定セキュリティは、クラウドセキュリティ分野での専門性を証明する資格で、AWS環境を導入している企業から高く評価されています。出題範囲は、セキュリティやアクセス管理、データ保護、インシデント対応など多岐にわたり、実務でのセキュリティ運用を重視した構成です。
AWSを扱う業務に関わるITエンジニアやセキュリティ担当者はもちろん、今後クラウド分野へのキャリア拡大を狙う人にも最適です。ベンダー資格のなかでも、クラウドスキルとセキュリティ知識を同時に証明できる強力な武器となります。
サイバーセキュリティ資格は内容が専門的なため、計画的かつ効率的な学習が不可欠です。以下で、学習方法を詳しく紹介します。
初級〜中級レベルの資格であれば、独学でも十分合格を狙えます。まずは公式テキストや過去問題集で出題傾向を把握し、理解を深めていくのが基本です。暗記だけでなく理解を伴った知識習得を意識することが重要で、セキュリティ用語や攻撃手法のメカニズムなどは図解も活用するとよいでしょう。
通勤時間やスキマ時間を活用した動画学習やアプリ学習もおすすめです。ただし、上級資格や実務寄りの国際資格を目指す場合は、補助教材や模試の活用を併用するのが現実的といえるでしょう。
体系的に学びたい方や独学に不安がある方には、スクールやオンライン講座の活用が有効です。中級〜上級レベルの資格は出題範囲が広いため、専門講師による要点整理や演習指導を受けることで、理解と定着のスピードが大きく変わります。また、講座によっては最新の試験傾向や業界情報も得られるため、実務との橋渡しにもなるでしょう。
近年は通学不要のオンライン形式も増えており、働きながらでも無理なく学べる環境が整っています。費用対効果を考慮しながら、自分に最適な学び方を選びましょう。
サイバーセキュリティ分野は近年、深刻な人材不足に直面しており、実務経験だけでなく資格によるスキルの可視化が強く求められる傾向にあります。ここでは、資格がどのような職種・企業で評価されるか、そして未経験者が資格を活かして転職を成功させる方法をみていきましょう。
サイバーセキュリティ資格はセキュリティエンジニア、SOCアナリスト、セキュリティコンサルタント、リスク管理担当者などで高く評価されます。
とくに情報処理安全確保支援士(SC)やCISSPなどの高度資格は、採用時の選考基準に含まれることもあり、年収アップやマネジメント職への登用にも影響します。また、評価される企業は大手SIer、クラウドサービス企業、金融機関、官公庁、製造業の情報システム部門など多岐にわたるでしょう。近年は中小企業でもセキュリティ強化が進んでおり、資格保有者のニーズは広がっています。
未経験者がサイバーセキュリティ業界に転職するには、まずは基本的な資格を取得して、知識とやる気を証明することが第一歩です。情報セキュリティマネジメント試験(SG)やCompTIA Security+などは入門資格としておすすめで、履歴書にも書けるアピール材料になります。
そのうえで、ITサポートや運用保守、ヘルプデスクなどの業務を入り口にし、段階的にセキュリティ関連の業務に携わっていくルートが一般的です。加えて、実務未経験でもITスクールや転職エージェントのサポートを受けながら、求人の傾向や企業ニーズを把握することが成功への近道といえるでしょう。
サイバーセキュリティ資格は、未経験者の第一歩から専門職としてのキャリアアップまでを強力に後押ししてくれます。資格取得を通じて実務に通じるスキルも磨けるため、転職市場での信頼性も高まるでしょう。効率的な学習と適切な資格選びで、理想のキャリアを実現してください。
転職を本気で考えるなら、サイバーセキュリティ分野に精通したWARCエージェントの活用もおすすめです。あなたに合ったキャリアの道筋を、プロの視点でしっかりサポートします。お気軽にご相談ください。
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