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情報システム
2025/05/27 更新

情報セキュリティの3要素(CIA)とは?機密性・完全性・可用性の意味と具体例まとめ

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「サイバーセキュリティは、何から学べばいい?」専門用語が多くて不安に感じる方もいるでしょう。最初の一歩として知っておきたいのが「情報セキュリティの3要素(CIA)」です。

この3要素とは、機密性・完全性・可用性のこと。情報を守るための基本原則であり、すべてのセキュリティ対策の土台といえます。

この記事では、情報セキュリティの3要素について、実際の事例や技術も交えて分かりやすく解説します。セキュリティの基本を押さえて、次のステップにつなげましょう。

情報セキュリティの3要素(CIA)とは

情報セキュリティの基本原則として、必ず押さえておきたいのが「CIA」と呼ばれる3つの要素です。ここでは、CIAの全体像について解説します。

CIAの概要と歴史

CIAとは「機密性(Confidentiality)」「完全性(Integrity)」「可用性(Availability)」の3つの要素を指し、情報セキュリティの中核をなす考え方です。

情報セキュリティの起源は、企業が事業運営上の機密として扱う営業秘密(トレードシークレット)を守る取り組みにあります。こうした営業秘密の保護を目的とした法律は、1960年代のアメリカにおいて、産業スパイへの対抗策として制定されました。

その後、インターネットの発展や民間企業のIT導入が進むにつれて、CIAは一般的な情報セキュリティ対策の基本モデルとして広まりました。現在では、国家資格や民間認証試験でも基礎知識として必ず取り上げられるほど、普遍的なフレームワークとなっています。

なぜ3要素が重要なのか

情報セキュリティ上のトラブルは、ほぼ全てがこの3要素のいずれかを損なうことで発生します。だからこそ、CIAの視点を持つことが事故防止の第一歩になるのです。

たとえば、顧客情報が流出する事件は「機密性の欠如」、データの改ざんは「完全性の欠如」、システム障害によるサービス停止は「可用性の欠如」にあたります。これらのトラブルは企業にとって信用失墜や経済的損失を招くだけでなく、法的責任を問われるケースも少なくありません。

3要素の喪失がもたらす代表的な被害は以下のとおりです。

  • 機密性:個人情報漏えいによる損害賠償や風評リスク

  • 完全性:改ざんされた会計データによる経営判断ミス

  • 可用性:基幹システム停止による業務の全面停止

つまり、この3要素をバランスよく守ることが、あらゆるセキュリティ対策の目的であり、出発点ともいえます。

機密性(Confidentiality)とは

「機密性」とは、情報を許可された人だけが見たり使ったりできる状態を保つことです。企業の顧客データや個人のパスワードなど、外部に漏れてはいけない情報を守るための基本原則となります。

ここからは、機密性について理解を深めていきましょう。

機密性を守るための主な対策

機密性を守るためには「誰が、どの情報に、どのようにアクセスできるか」を厳しく管理する必要があります。そのために使われる主な技術は次のとおりです。

  • アクセス制御

ユーザーごとに閲覧・操作できる情報を制限する仕組み。

  • 認証

本人確認の方法。IDとパスワードのほか、指紋や顔認証、ワンタイムパスワードなども使われる。

  • 暗号化

情報を第三者が読めないよう、特定の鍵がなければ解読できない形に変換する技術。

これらを組み合わせることで、万が一不正にアクセスされても、情報が簡単には漏れない環境を作ることが可能です。

とくにクラウドサービスの普及に伴い、社内外からのアクセスが増える今、これらの技術を適切に導入・運用することは非常に重要になっています。

機密性が損なわれた事例とリスク

2020年に発生した某大手教育企業の情報漏えいでは、数百万人分の会員情報(名前、住所、メールアドレスなど)が外部に流出しました。原因は、十分なアクセス制御がされていなかったサーバーに対し、第三者が侵入したことです。

このような事故が発生すると、

  • 利用者への謝罪や補償対応

  • 信用の低下による顧客離れ

  • 管轄官庁からの指導や処分

といった深刻な影響が生じます。さらに、情報漏えいが発覚した企業は、転職市場や採用活動にもマイナスの影響を与えるため、長期的な経営リスクにもなるでしょう。

だからこそ、単なるセキュリティ対策ではなく、「情報資産をどう守るか」という視点が求められるのです。

完全性(Integrity)とは

完全性とは、情報が正しく維持されており、意図しない改ざんや破損がない状態を指します。データの一文字の誤りが業務に大きな損害を与えることもあるため、機密性と並び極めて重要な要素です。

ここからは、情報の正確性を保つ仕組みを理解し、実践につなげましょう。

完全性を維持する主な方法

完全性を保つには「記録された情報が、記録時から現在まで一切改ざんされていない」と保証できる仕組みが必要です。

そのために、企業や組織では以下のような対策を行っています。

  • ハッシュ関数

データから固定長の値(ハッシュ値)を生成し、改ざんの有無を検出します。元データが変われば、ハッシュ値も大きく変わるため、改ざんが即座に判明します。

  • 電子署名

送信者の身元と内容の正当性を証明するデジタル印鑑のような技術です。おもにメールや契約書などで使われます。

  • ログ管理

誰がいつどのデータにアクセスし、変更したかを記録することで、不正操作を抑止し、問題発生時には原因追跡が可能になります。

これらの対策は、単独ではなく組み合わせて使用されることが多く、システム全体の信頼性を支える基盤となっています。

完全性が損なわれた場合の具体例

完全性が失われると、業務の混乱や大きな経済損失につながるリスクがあります。

たとえば、製造業で製品の設計データが知らないうちに書き換えられ、異なる仕様の部品が大量に生産されてしまう事例が考えられます。その結果、納品の遅れと信用失墜、再生産によるコスト増加が発生するでしょう。

また、会計ソフト上の取引データが誤って削除・変更されると、財務諸表の数値が変わり、税務申告や監査で重大な問題となる可能性があります。

このような被害は、内部不正や操作ミス、あるいはマルウェア感染によるものなど原因はさまざまです。だからこそ、技術的な対策と合わせて運用ルールや監視体制の整備が欠かせません。

可用性(Availability)とは

可用性とは、必要なときに必要な情報やシステムにアクセスできる状態を保つことを意味します。災害やサイバー攻撃が発生しても業務を止めずに済むように、常に備えておく必要があるでしょう。ここからは可用性について詳しくご紹介します。

可用性を確保するための対策

可用性の確保は「ダウンタイム(停止時間)を最小限に抑えること」が最大の目的です。そのために以下のような対策が行われます。

  • バックアップ

定期的にデータを保存しておくことで、システム障害時もすぐに復元が可能。

  • 冗長化(じょうちょうか)

サーバーや通信回線などの機器を二重化し、1つが故障してももう1つで継続できる構成にする。

  • 障害対応手順(BCP/DRP)

自然災害やサイバー攻撃に備えた業務継続計画(BCP)や、データ復旧計画(DRP)を整備し、定期的な訓練を実施する。

これらをあらかじめ準備しておくことで、トラブルが発生しても迅速に対応でき、サービスの信頼性が保たれます。

可用性が損なわれた場合の影響

可用性が失われると、ビジネスは即座に停止し、甚大な被害が発生します。

たとえば、国内大手ECサイトがサーバー障害により数日間停止した際には、数千万円の売上損失が発生しました。
また、病院の電子カルテシステムがダウンしたことで、診療がストップし、患者への影響が出た事例もあります。

これらの事故は企業の信頼にも大きな影響を及ぼします。とくに金融・医療・交通インフラなど、可用性が命綱となる業界では、障害を「起こさない」「止めない」設計が求められるでしょう。

したがって、可用性は単なる運用上の問題ではなく、経営戦略や社会的責任にも関わる重要課題なのです。

情報セキュリティの3要素を守るための対策とポイント

CIAの3要素(機密性・完全性・可用性)を効果的に守るためには、技術だけでなく、人や組織体制も含めた多面的な対策が必要です。

以下では、実践的なセキュリティ対策を紹介します。

技術的対策の具体例

情報セキュリティ対策はシステム任せでは不十分なものの、技術面の整備はセキュリティの第一歩として非常に重要です。

技術的な対策の代表例は以下のとおりです。


  • ファイアウォール

不正アクセスをブロックするネットの門番のような役割。

  • ウイルス対策ソフト

マルウェアの侵入を防ぎ、PCやサーバーを守る。

  • 多要素認証(MFA)

IDとパスワードに加え、スマートフォン認証などを組み合わせ、本人確認を強化。

  • 脆弱性診断

システムのセキュリティホールを定期的にチェックし、攻撃の隙を減らす。

これらの技術を組み合わせて運用することで、CIAそれぞれの要素に対して効果的な防御が可能となります。

人的・物理的対策の重要性

多くの情報漏えいは人のミスや管理の甘さから発生しています。だからこそ、技術だけに頼らず、人的・物理的な対策も欠かせません。具体的には以下のような方法があります。

  • セキュリティ教育の実施

従業員にパスワード管理、フィッシングメールの見分け方などを教える。

  • 入退室管理

オフィスやサーバールームへの出入りをIDカードや生体認証で制限する。

  • PCの画面ロックとデバイス管理

離席時の無人端末や、USBの持ち出し制限など。

セキュリティは一人ひとりの意識と行動にも左右されるため、組織としての継続的な教育とルール徹底が重要です。

最新の脅威と3要素への影響

サイバー攻撃は日々進化しており、従来の対策だけでは防ぎきれないケースも増えています。とくに、以下のような最新脅威には警戒が必要です。


  • ランサムウェア

PCやサーバーを人質に取り、復旧と引き換えに金銭を要求。可用性が損なわれる。

  • DDoS攻撃

膨大なアクセスを送り付け、サービスをダウンさせる攻撃。可用性の低下。

  • サプライチェーン攻撃

セキュリティ対策に弱点がある関連企業や取引先経由で侵入し、情報を盗む。機密性・完全性へのリスク。

  • ゼロデイ攻撃

発見された脆弱性に対して開発元が修正プログラムを公開する前に脆弱性を悪用して行われるサイバー攻撃。全要素に影響の可能性。

これらに対しては、EDR(エンドポイント検知・対応)やSIEM(セキュリティ情報管理)といったセキュリティソリューションを導入し、常に監視と対策を行うことが求められます。

情報セキュリティの3要素を理解し安全な環境を築こう

情報セキュリティ対策の出発点は「CIA」の3要素を正しく理解し、継続的に意識し続けることにあります。機密性・完全性・可用性は、どれか一つでも欠けると、個人情報の流出やシステム停止といった重大なリスクが生じるため、3要素のバランスを保つことが極めて重要です。セキュリティの「守り方」を体系的に学び、安全で信頼されるIT環境づくりへの第一歩を踏み出してみてください。

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