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経理
2024/10/14 更新

経理の転職理由を正直に伝えるメリットとは?|伝え方のコツを紹介!

経理として働いてきた人の転職理由はいろいろあります。

「転職を検討しているけれど、転職の動機を正直に伝えても良いのか」「転職の理由を適切に伝える方法はどうすればいいのか」といった悩みを抱える人もいるでしょう。転職理由を伝える際には、どんなにネガティブな理由であっても、ポジティブに伝えることがポイントです。

この記事では、経理職からの転職を成功させるためのポイントやネガティブをポジティブに言い換えるコツについて紹介します。転職を考えている人は、ぜひ参考にしてみてください。

経理の転職理由はどのようなものが多い?

企業で働いている人が転職を考える理由はさまざまです。

転職理由として「新しい業務にチャレンジしたい」「これまでの実績を活かして専門性を高めたい」といったものから、「人間関係に悩んでいる」という、ネガティブなものまで含まれます。

それでは、経理の職からの転職理由はどのようなものが多いのでしょうか。面接時に転職理由について尋ねられた際に、自分の転職意向や理由を伝えられるようにしておくことが大切です。

人間関係

最初に挙げられるのは、人間関係です。人間関係で転職しているケースが多く、厚生労働省が行った「令和2年 雇用動向調査」によれば、男性の8.8%、女性の13.3%が人間関係を理由に転職していると報告されています。

経理の仕事は責任が重く、お金に関わる部分も多いため、ストレスを感じることが多いでしょう。そのうえ、人間関係が上手く築けない場合、さらにストレスが重なり、仕事が苦痛となることもあります。経理の仕事はチームで行うことが多いため、気の合わない人との仕事も難しさを増すことでしょう。

仕事していく上で人間関係の問題はつきものです。こうした環境で働き続けることは心身の健康に悪影響を及ぼしかねません。仕事に割く時間は生涯のうちで3分の1を占めます。その多くの時間を良好な人間関係が築ける職場で働きたいと、誰もが思うことでしょう。

(※1)参考:厚生労働省「令和2年雇用動向調査結果の概要」

残業時間の多さ

次に考慮すべき点は、残業時間の多さです。企業によって残業時間は異なりますが、特にベンチャー企業や中小企業では人員が少なく、労務などを兼任するなど、バックオフィス全般を請け負っている場合は多くなるでしょう。

経理の仕事は月次や年次に忙しさが集中する時期があり、特に月末や決算期には残業時間が増える傾向です。日々の業務に加えて月末や決算期に経理の仕事が重なると、さらに忙しくなるでしょう。

人手不足や業務の効率化が進まないことが原因で、業務負担が増してしまうこともあります。その結果、残業時間の割にキャリアの向上につながらないと感じることがあるでしょう。

経理以外の仕事でキャリアアップをしたい

経理からの転職理由としては、他の仕事でのキャリアアップを考える人もいます。例えば、経理の経験やスキルを活かして財務関連の仕事に転身するといったケースです。

財務の仕事は、会社の経済的な状況を把握し、将来の財務戦略を策定し、必要に応じて資金調達を行います。会社の成長に欠かせない業務であり、経営方針にも大きな影響を及ぼします。

経理の業務範囲は会社の規模によって異なりますが、中には自分のスキルをより広く活かしたいと感じる方もいます。そうした理由から、中小企業での経験を元に大手企業への転職を考える人も少なくありません。

会社の評価に不満がある

最後に、会社からの評価に不満を感じて転職を検討するケースがあります。給与や人事の面で不満を抱え、これによって転職を決断する人もいるでしょう。

経理の仕事はルーティーンワークが多く、人事評価基準が難しい職種と考えられています。そのため、努力に対する適切な評価が得られないと感じ、不満が生じることがあります。

経理職は専門的なスキルが要求されるため、その専門性が理解されず、報酬や評価が適切でないと感じることもあります。このような理由から、経理の仕事に対する評価を見直すために転職を考える人も少なくありません。

経理の転職理由を正直に伝えても大丈夫?

では、実際に転職をする際、転職理由を正直に伝えても問題はないのでしょうか。面接において、転職理由を尋ねられることは一般的です。人事担当者がこれを尋ねるのは、応募者が「自社の会社に合っているか」「叶えたいことが自社で実現できるかどうか」を見極めたいと考えているためです。

良い印象を与えるためには、答え方を工夫しましょう。そこで、転職理由を伝える際のコツを紹介します。

ネガティブな理由ばかりなら、ポジティブに言い換える

転職理由は必ずしも前向きなものばかりではありません。退職の理由としては、「職場の人間関係がうまくいかなかった」「給与面が不満だった」「残業が多かった」といったネガティブな理由が含まれることもあるでしょう。こうした場合、伝え方を工夫することが求められます。

無理に建て前を作る必要はありませんが、人事担当者に良い印象を与えるためには、前向きな理由も同時に伝えるようにしましょう

ネガティブな言葉はポジティブな言葉に置き換える

ネガティブな言葉をポジティブな言葉に置き換えてみましょう。そのまま転職先に伝えると、マイナスの印象を与えてしまう可能性があるためです。

【言い換えの例】

  • 職場の人間関係がうまくいかなかった → チームワークが整った職場で、メンバーとのコミュニケーションを取りながら働きたい
  • 会社の方針が自分の考えに合わなかった → 自分の考えやスキルを活かせる環境で、目標を持って働きたい
  • 残業が多かった →効率よく働いて、自分のパフォーマンスを最大限に発揮したい

転職理由は、人事担当者に「同じ理由で退職してしまうのでは」と誤解されないように、ネガティブな言葉をポジティブな言葉に置き換えて話してみてください。

成長・キャリアアップへの意欲を前面に出す

成長・キャリアアップへの積極的な姿勢をアピールすることは、人事担当者に好印象を与えます。

たとえば、前職でのキャリアアップ・スキルアップの機会が限られていたことが転職理由であった場合、前職では実現できなかったことを具体的に伝えることが大切です。ただし、前職の不満を述べるのではなく、前向きなポイントを強調しましょう。

ポジティブな転職理由を伝える際のポイントは、ネガティブな理由から、ポジティブな理由の順番で話すことです。

例えば、「前職ではルーティーンワークが多く、スキルの幅を広げる機会が限られていました。今後はこれまでの実績を活かし、会社経営に関わる財務業務にチャレンジしたいと思い転職を決意しました」などです。人事担当者から「前向きな理由で転職したいんだな」と思われるように、ネガティブ→ポジティブの順に話すといいでしょう。

経理の転職理由を人事担当者にポジティブに捉えてもらうコツ

経理の転職理由を人事担当者にポジティブに捉えてもらうにはコツがあります。

転職先の会社を研究をする

転職理由をポジティブに伝えるために大切なことは、転職先の会社を研究することです。転職先の会社について研究することで、自分の貢献できる要素を考える上でも重要なステップとなります。

転職先の会社を研究し、多くの情報を集めることで自分の転職理由をより明確にし、面接でその知識を活かすことができます。転職先の会社について何も知らないと「なぜ当社に入社したいのかわからない」という判断をされてしまうかもしれません。

転職先に対する理解の深さが伝われば、好印象を与えることにもつながります。最低限、事業内容や企業文化、将来性、経営方針などを調査しておきましょう。

転職先が求める人材を分析するために、できる限り研究することが大切です。

本音を正直に言わないが嘘も言わないようにする

誤った転職理由を述べた場合はマイナスの評価になることはもちろん、本当の理由を隠して入社しても、同じ問題でまた退職するかもしれません。大切なのは、転職理由をしっかりと分析し、伝え方の工夫です。

たとえば、人事評価に不満を抱えて転職を決意した場合、会社批判をせずに伝えることが重要です。「自分の能力を適切に評価してくれる環境で、さらにステップアップしていきたい」というように伝えれば、面接官に好印象を与えることができます。

一度嘘をついてしまうと、その後も嘘をつき続けなければいけなくなり、嘘が発覚してしまった場合のリスクもあります。ネガティブなことも、伝え方を工夫することでポジティブな印象に変えることができるので、しっかりと転職理由を考え、前向きな言葉で伝えるよう心がけましょう。

経験をどのように活かすかを伝える

面接の際には、具体的な経験をどのように活かすかを話し、自分のスキルや経験をどのように会社に貢献できるかを伝えることが大切です。培った経験をどのように活かすかを話すことで、人事担当者は入社後の働き方のイメージができるからです。

これまでの経理職の経験には、月次決算や年次決算の経験、財務諸表の作成、使用した会計ソフト、チームをまとめてきたマネジメント経験などが含まれます。

経理のスキルは企業間で共通して求められるため、転職先との相性が良いといえます。自分の経験を最大限に活かしてどのように貢献できるかを話すことで、面接官に「ぜひうちに来て欲しい」という印象を与えることができるでしょう。

転職理由別の転職理由の伝え方を紹介

転職理由別の転職理由の伝え方を例文と一緒に紹介します。

転職理由が「人間関係」の場合

人間関係が退職理由である場合、正直にそれを伝えることは面接ではあまり好ましくありません。なぜなら、人事担当者は「また人間関係を理由に辞めてしまうのではないか」「うちの会社でも人間関係でトラブルが起こる可能性があるのではないか」と不安に感じてしまうかもしれないからです。
「周囲の人とコミュニケーションを密に取りながら働きたい」という前向きな意向を表現するといいでしょう。

例文

現職では、チーム全体での仕事の進め方に違和感を感じています。メンバーそれぞれの役割に真摯に取り組んでいるものの、自分以外の業務に対する関心が薄く、コミュニケーションが充実していないように感じます。

しかし、仕事は1人ではおこうことはできません。チームの一員として協力し合うことで、新たなパフォーマンスを発揮できることもあります。今後はこれまでの経験を活かし、チームとの連携を重視しながら成長していきたいと考えております。

転職理由が「残業時間」の場合

残業時間が転職の動機である場合、ただ単に「残業が嫌だから転職したい」と伝えるだけでは、意欲が足りないと受け取られることがあります。

そのため「業務の効率化を図って成果に集中したい」「ムダな業務を減らし、より効率的に働きたい」など、ポジティブな印象を与える伝え方にしましょう。

例文

現職では、経験豊富な先輩方が多く、20年以上のキャリアを積んでいる方も多い環境です。経理の知識や経験が長く、その方たちから学べることもたくさんありました。しかし、昔からのやり方に慣れ親しんでいる傾向があり、新しいアイデアや業務の仕事のやり方を変えようする雰囲気が少ないように感じました。そのため、残業をすることが恒常的になり、それが当たり前になっているように感じます。

仕事内容は好きであり、時に必要な残業も問題ありません。しかし、もっと効率的に成果を挙げることに集中したいという思いが強くなりました。今後は仕事にメリハリをつけ、さらにスキルアップできる環境に身を置きたいと思い転職を決意いたしました。

転職理由が「キャリアアップ」の場合

キャリアアップを目指す転職理由は前向きであり、自信を持って今後のビジョンを伝えて問題ありません。ただ「キャリアアップがしたい」と伝えただけでは具体性が欠けており「転職理由がしっかりと考えられていない」という印象を持たれてしまいます。

自分のキャリアビジョンを明確にし、具体的な方向性を伝えるよう心掛けましょう

例文

現職では、担当範囲が狭く、同じ業務を繰り返すことが多い状況です。経験を積み、もっと幅広いスキルを身につけていくことが今後の課題だと感じておりました。現職の経理業務に満足している一方で、もっと多岐にわたるスキルを磨きたいと考えています。

そこで、将来的には経理のプロとしてのキャリアを築くため、新しい環境で成長していきたいと思い、転職を決意いたしました。また、FASS検定の資格を受検し、簿記だけにとどまらず、より経理や財務の実務レベルの向上を目指していきます。

転職理由が「人事評価」の場合

成果が数字で評価される営業職やサービス業などとは異なり、経理は数値化するのが難しい職種です。そのため、現在の会社での評価に不満を感じることもあるかもしれません。

ただし、面接で直接的に不満を述べるのは避けるべきです。代わりに、客観的で明確な評価基準の下で、自分の仕事を正当に評価される環境を求めているという意向を示すといいでしょう。

例文

現職では、評価基準に明確な決まりがなく曖昧でした。長年にわたり経験を積んできましたが、努力や成果が適切に評価されないつらさもありました。

自分の業績を正当に評価してくれる環境で、成長を図りたいと考え、転職を決意しました。特定の成果や貢献が明確に評価される仕組みのもとで、さらなる成長を追求してまいりたいと思います。

経理の転職理由はできるだけポジティブに伝えることが大切

経理の転職理由はポジティブに伝えることが大切です。転職のきっかけがネガティブな理由だったとしても、そこの奥には自分を成長させたい、より良い環境で働きたいといったポジティブな思いが潜んでいることでしょう。

ネガティブとポジティブは表裏一体の関係性です。ネガティブなことの裏にはかならずポジティブな要素があるはずです。面接では、その伝え方次第で好印象を与えることができます。また、ネガティブな要素を話す際のビジネスコミュニケーションを身につけているかといったことを見ている場合もあります。しっかりと転職理由を明確に把握し、自分の目標や企業への貢献意欲をしっかりと組み込んで伝えてみましょう。

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株式会社WARC

WARCエージェントマガジン編集部

「人材紹介の『負』の解消を目指す、新しい転職エージェント」をビジョンに、ハイクラス人材紹介事業を展開しているWARC AGENT。WARCエージェントマガジン編集部は、このビジョンを支えるために、転職者に役立つ情報を執筆し、個々のキャリア形成をサポートしていきます。

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