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経理処理の基本と企業会計処理の原則|月次および年次業務の理解

2023/12/05 更新

経理や会計に関するイメージや疑問の中に「お金の管理をしている人」というイメージや、「経理と会計には違いがあるの?」といった曖昧さがあります。

この記事では、経理の業務内容が具体的にどんなものかイメージできない方にも、経理の基本的な用語や業務内容、そして経理と会計の違いを解説しました。

経理処理について

経理処理は、会社や組織の財務管理や会計業務を指す言葉です

経理という言葉からは、お金に関わる仕事というイメージが広まっていますが、実際には「経営管理」を意味しています。したがって、会社の経営に関わるお金の流れを把握するなど、お金に関する業務全般を行います。

具体的には、以下のような業務内容があります。

  • 帳簿への記帳
  • 請求書の発行
  • 税金の申告
  • 決算書の作成
  • 給与の計算
  • 伝票の作成
  • 社会保険手続き
  • 財務データの収集・分析・処理・報告
  • 仕訳入力
  • 伝票処理
  • 仕訳帳への転記
  • 月次決算
  • 税務申告
  • 内部、外部監査対応

経理処理は、会社の財務状況を正確に把握し、経営判断や予算策定に基づいた意思決定をサポートするために非常に重要です。経理担当者は、これらの業務を適切に実施し、会社の財務情報を提供することで、経営に関する重要な情報を提供します。

経理処理と会計処理の違いについて

経理処理と会計処理の違いについて、よく混同されることがあります。

まず、経理処理と会計処理の違いについて説明します。会計処理は会社の取引を仕訳する業務を行い、経理処理は仕訳業務に加えてお金の管理全般に関わるものです。つまり、経理処理という大きなくくりの中に、会計処理が含まれているということになります。

具体的な会計処理の業務内容としては、財務諸表の作成・税務申告・監査などが挙げられます。経理処理の中でも、会計処理はこれらの業務に特化しています。

経理処理には主に次の3つの業務内容について

日常業務では、請求書や領収証の発行・日々の売上や仕入の管理・未払金や立替金の処理などが含まれます。

月次業務では、代金の請求・未払金の回収・給与計算・取引先への支払い・月次決算書・請求業務などを行います。

年次業務では、年次決算の取りまとめ・貸借対照表の作成・損益計算書の作成・納税額の決定などが主な業務です。

以上の内容から、経理処理の日常業務・月次業務・年次業務に該当する以下の3つの業務内容についても説明します。

  1. 会計処理
  2. 給与計算と人事管理
  3. 資金管理と支払い管理

1.会計処理

会計処理は、仕訳をすることです。簡潔に言えば、会計処理は貸借対照表などに分類し、会社のお金の出入りを記録する作業をいいます。会計処理には、大きく管理会計と財務会計の2つの分野があるので認識しておきましょう。

管理会計は、会社内で会計を管理するために使われます。自社の経営状態を判断するために役立ち、社長や役員などが利用するのがほとんどです。社内向けなので、特定のルールや法律を必ずしも守る必要はありません。

一方、財務会計は会社の外部に業績などを報告することを目的としています。報告対象は株主や融資を受ける銀行などです。社外への報告のため、財務諸表として、経営成績や財務状況を示す書類を提出する必要があります。財務会計は法律に基づいており、全ての企業に報告義務が課せられている重要な業務です。

2.給与計算と人事管理

給与計算と人事管理は、社員の給料と雇用に関連した業務を管理する役割です。

給与計算は、従業員の給与を計算して支払う業務で、総支給額や控除額を考慮します。以下に、給与計算の業務の大まかな流れを示します。

  • 従業員の出勤・退勤情報を集計
  • 合計の労働時間から総支給額を計算
  • 保険料や税金の計算
  • 総支給額から保険料や税金の控除を行う
  • 給料の振り込みと保険料・税金の納付

給与計算には、労働基準法・住民税・所得税・社会保険の知識が必要です。資格は必須ではありませんが、「給与計算実務能力検定」などの資格があります。これらを取得することで自信をつけることができます。

次に、人事管理についてです。人事管理では、以下のような業務が行われます。

  • 雇用契約の遵守
  • 労働基準法の遵守
  • 社会保険手続き
  • 福利厚生の管理
  • 従業員のデータ管理

従業員のデータ管理や雇用契約の遵守などの業務は、給与計算とも密接な関係があります。小さなミスも見逃さず、労働基準法や雇用契約の遵守は従業員にとって重要です。

3.資金管理と支払処理

資金管理と支払い処理も、経理処理の一環です。資金管理は企業の経営状態に大きな影響を与える重要な業務といえるでしょう。経理と財務では、資金管理の内容に違いがあります。

経理が担当する資金管理では、主に収支の管理が中心です。一般的には、会社が事業活動に必要な資金の流れを把握し、記録します。具体的な業務は、預金の管理、経費の精算、帳簿の記帳、税金申告などです。

一方、財務部門では、資金の使用計画を策定し、資金の調達や管理を行います。具体的な業務としては、決算書の作成、資金の運用や調達、予算管理などがあります。株式発行や融資を通じて資金を調達することが一般的です。

経理と財務の間で、資金管理の業務内容が異なることがありますが、財務部門が必須であるわけではありません。財務部門が存在しない場合、経理部門がその業務を引き受けるケースも多いです。

会計処理の主な3つの業務内容について

通常、会計処理では日常業務・月次業務・年次業務として、以下の3つの業務が行われることが多いです。

  1. 仕訳と帳簿管理
  2. 財務諸表の作成と報告
  3. 税務管理と申告処理

経理処理の主な業務内容に続いて、ここからは会計処理の主な3つの業務内容について詳しく説明していきます。

1.仕訳と帳簿管理

仕訳と帳簿管理は、企業の取引を記録して財務情報を正確に反映させるための業務です。

帳簿には大まかに2つのタイプがあります。主要帳簿には仕訳帳と総勘定元帳が含まれ、会社の取引時には必ず記入が必要です。補助簿には、現金出納帳や買掛帳、売掛帳、預金出納帳、固定資産台帳などが含まれます。

これらの帳簿には、借方と貸方で分類し、勘定科目と金額を記入することが主な業務です。他にも、帳簿の管理や仕訳内容の検証・修正、月次や年次の決算業務などがあります。記録をすることで企業の経済活動が明確になり、正確な財務諸表が作成できます。

また、帳簿の保管期間は、7年から10年間が義務付けられているのが特徴です。種類によって保管期間が異なるので、しっかりと保管して管理するようにしましょう。

2.財務諸表の作成と報告

財務諸表は、企業が決算した時点での財政状況や1年間の経営成績をまとめた文書です。この財務諸表には、損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書、利益金処分計算書、附属明細表などが含まれます。特に貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書の3つは財務三表として重要視されているものです。

貸借対照表は企業の資産や負債の分析に、損益計算書は売上や費用に関する経営成績に、キャッシュフロー計算書は資金の流れについて示します。これらの財務諸表は会計処理によって作成され、内外の利害関係者に提出されることで企業の健全性や信頼性を示す役割を果たすのです。

3.税務管理と申告処理

税務管理と申告処理は、企業が税法の要件を守り、正確な税金を納付するための業務を指します。具体的な業務には、税務会計、申告書の作成、税金控除と減価償却の管理、税務監査対応、税務法規の順守、法規変更の監視などが含まれます。その中で税務会計が主要な業務です。

税務会計は税金を計算する会計処理で、法人税、消費税、所得税の計算を担当します。企業は課税額を減らしたいと考えますが、税務署は課税額を増やしたいという立場で、両者の意見が対立することもあります。税務会計は広範な知識が求められ、非常に複雑な業務です。毎年の税制改正にも対応し、改正内容を理解する必要があります。

企業会計処理における原則とルールについて

企業会計処理における原則とルールは、以下の7つが定められており、これに従って会計処理を行うことが求められます。

  • 真実性の原則
  • 正規の簿記の原則
  • 資本取引・損益取引区分の原則
  • 明瞭性の原則
  • 継続性の原則
  • 保守主義の原則
  • 単一性の原則

これらは原則として示されていますが、法的には拘束力はありません。ただし、これらの原則に従うことが望ましいとされています。

①真実性の原則

真実性の原則は、財務諸表を正確に作成し、虚偽の情報を避け、不正行為や利益操作を行わずに、真実に基づいて情報を記録するという原則です。

財務諸表は企業の経営状況を示すものであり、外部へ報告する際には情報を正確に提示しなければなりません。企業は投資家には収益を大きく見せ、税務署には少なく見せたいと考えることもあるでしょう。しかし、虚偽の情報や誤解を招くような記載は許されません。

真実性の原則は、情報の改ざんや虚偽の情報を防ぐための原則です。

②正規の簿記の原則

正規の簿記の原則として、「所得税法施行規則 第五十七条」に以下のような記載があります(※1)。

資産、負債、および資本に影響を与える全ての取引を、整理され、明瞭に記録し、貸借対照表や損益計算書を作成するための正規の簿記の原則に従って記録しなければなりません。

正規の簿記の原則を満たす条件として、網羅性、秩序性、立証性の3つがあります。

網羅性は、企業の全ての経済活動を漏れなく記録することを意味し、秩序性は一貫性のある記録を、立証性はエビデンスを含む証拠を持って行うことを指します。これらの要件を満たすことが求められています。

たとえば、取引内容を不規則なメモ用紙やノートに記入することは秩序性に反します。立証性の例としては、普通預金の記録には普通預金通帳が証拠です。正規の簿記の原則を守ることは、真実性の原則を満たすことにもつながります。

(※1)参考:e-Gov法令検索「所得税法施行規則 第五十七条」

③資本取引・損益取引区分の原則

資本取引・損益取引区分の原則は、資本取引と損益取引を明確に分ける必要があるというルールです。資本取引は株式の増減や社債の発行などで資本量が変動し、損益取引は資本を基にして費用や収益が生じる取引ともいえます。

会社が株式の発行で3億円を得て営業で3,000万円得たとします。この場合、3億3,000万円を全て利益として計上すると誤解を招きます。資本取引と損益取引を区別して会計することで、意味のある情報になるのです。

④明瞭性の原則

明瞭性の原則では、ステークホルダーに対して決算書をわかりやすく明示することを求めています。貸借対照表・損益計算書を見ただけで得られる情報に限らず、これらを見てもわからないような情報を明示することが必要です。

具体的な内容として、区分表示であれば、損益計算書の営業損益・経常損益に分類することがあります。科目に関しては、1年ごとに科目を分類することであったり、お金の流れが大きい順に並べるであったりと、誰に対してもわかりやすい決算書にすることが大切です。

ステークホルダーからの誤解を招かないためにも、曖昧な表現や決算報告書の勘定科目・配列をわかりやすくしましょう。

⑤継続性の原則

継続性の原則は、採用した会計方針を安易に変更せず、一貫して適用することを求める原則です。例えば、減価償却や売上計上基準などで選択できる複数の会計方針がある場合、一度決めた方針を変更することは慎重に行うべきでしょう。方針の変更は財務諸表の経年比較を困難にし、ステークホルダーの判断を妨げます。

⑥保守主義の原則


保守主義の原則は、企業が財政に損害をもたらす可能性のある事柄について、適切な会計処理を行うべきだという考え方です。この原則は、企業がステークホルダーに対して予想される損失を示すために重要でしょう。

例えば、回収不能な売掛金は、確定前に貸倒引当金として負債を計上します。早い段階で費用として処理することで、企業の健全性が保つことが可能です。

ただし、全ての場合にこの原則に従うべきというわけではありません。過度な損失の見積もりは利益の操作になり、真実性の原則に反する可能性があるため、注意が必要です。

⑦単一性の原則

単一性の原則は、複数の帳簿を使用することを禁止し、企業が作成した財務諸表の信頼性に関わる原則です。

企業は、財務諸表の受け手によって異なる形式で作成することがありますが、それによって利益を操作したり、不正を働いたりすることは禁止されています。

複数の財務諸表を作成する際には、元となる帳簿は1つに限定され、不正な財務諸表を作成しないようにするための原則です。

会計処理効率化のメリット

会計処理を効率化することには多くのメリットがあります。例えば、コスト削減、正確性の向上、そして従業員の満足度向上など、3つの重要な利点が挙げられます。

コスト削減


会計処理は、多くの場合、ルーチンな作業を行うことが一般的です。これらの業務を効率的に遂行することで、作業時間を短縮し、結果的に残業代などの人件費を削減することが期待されます。

さらに、最近ではIT技術が進化しており、会計処理に関連する多くのITツールが利用可能です。これらのツールを使用することで、データのオンライン保管が可能になり、ペーパーレス化が促進されます。紙の場合は保管スペースが必要ですが、オンラインであれば場所を取らず、スペースを効果的に利用できるでしょう。

正確性向上

ITツールの利用により、かつて手作業だった入力を廃止することで、ミスを減らすことができます。手作業では、入力ミスや確認漏れなどのヒューマンエラーが発生しやすいものです。繰り返し行われるような定型業務は、機械に任せることで正確性が向上します。

ITツールの導入によりミスが減少することで、チェック時間を削減し、従業員の負担を軽減することも可能です。

従業員満足度向上

経理担当の業務は、細かくて多岐にわたる作業が主です。このような日々の繰り返し作業は、非常に困難でしょう。

ただし、ITツールの導入により、従業員の手間が減少し、業務時間を短縮することが可能です。これにより従業員は余裕を持つ時間を得られ、その結果、満足度が向上するでしょう。この満足度向上により、離職率の減少など、多くの利点が生まれます。

会計ソフトで効率化を

会計ソフトウェアは、経理の多くの作業を自動化することで業務を効率化できる選択肢です。以下では、会計ソフトの利点について紹介します。

①簿記・会計の知識がいらない

簿記や会計の専門知識が不要です。手書きやExcelを使用した帳簿管理では、一定の簿記知識も求められます。しかし、会計ソフトでは簿記や会計の知識は必要ありません。

多くの会計ソフトは、使いやすく設計されており、簿記の知識がない人でも理解しやすく、帳簿管理が容易です。仕訳の補助やデータの読み込みだけで自動的に入力してくれるため、誰でも利用可能でしょう。使いやすい機能やデザインにより、経理初心者でも教育を受ける必要がなく、コスト削減にもつながります。

取引データの自動化

取引データの自動化も可能です。クレジットカードや銀行明細、レシート、領収書などの取引データを手作業で入力するのは手間がかかります。しかし、会計ソフトでは、情報の取り込みが簡単です。例えば、レシートや領収書をスキャンしたり、スマホアプリで撮影したデータを取り込む機能があります。取り込んだデータは自動的に仕訳され、管理されるため、手作業の負担が大幅に軽減できます。さらに、自動入力されたデータを基に集計し、グラフやレポートを作成できるため、経営判断にも役立ちます。

③安心のカスタマーサポート

カスタマーサポートがデフォルトで提供される場合もありますが、企業によっては別途プランとして提供されることもあります。そのため、利用前に確認することが大切です。

電話やメールを通じたサポートや対面サポートが行われるサービスもあるので、調べてみましょう。

経理業務を効率化して、業務の生産性を上げよう

経理業務は広範囲で多岐にわたり、繁雑で細かい作業が多いです。また、会計処理には複数の原則や厳格なルールが存在し、これらに従う必要があります。

こうした煩雑な経理業務を効率化するために、会計ソフトの導入が推奨されます。これにより、従業員の満足度が向上し、コスト削減にもつながるでしょう。経理業務の効率化を通じて企業の生産性を高めてください。

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株式会社WARC

WARCエージェントマガジン編集部

「人材紹介の『負』の解消を目指す、新しい転職エージェント」をビジョンに、ハイクラス人材紹介事業を展開しているWARC AGENT。WARCエージェントマガジン編集部は、このビジョンを支えるために、転職者に役立つ情報を執筆し、個々のキャリア形成をサポートしていきます。