「経理にチャレンジしてみたい」「未経験でも挑戦できる?」という声は少なくありません。経理への転職にはタイミングやアピール方法のコツがあり、ポイントを押さえることで未経験でも内定を得られるチャンスがあります。
この記事では、未経験から経理への転職を目指すポイントについて解説します。
経理への転職を考えるにあたり、転職市場の動向について理解する必要があります。経理への転職が初めての人は、需要と供給のバランスや転職の難易度を知るところから始めましょう。
以下に、令和6年3月の有効求人倍率(※1)を求人全体と会計事務従事者に分けて示しました。
求人全体 | 会計事務従事者 |
---|---|
1.28倍(前年+0.02) | 0.71倍(前年+0.01) |
求人全体の有効求人倍率が1.28倍ということは、1人に対して1.28件の求人があり求職者に有利な状況であることを示します。
一方で、会計事務従事者の有効求人倍率は0.71倍で、1人に対しての求人が1件未満です。経理の求人は、ほかの職種と比べるとやや転職しにくいことを意味します。
(※1)参考:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和6年3月分及び令和5年度分)について 参考統計表」
以下に、未経験者から経理へチャレンジする場合の難易度を、求人の種類ごとに星5つで示しました。
一般の経理求人への応募 | 未経験者歓迎の求人への応募 |
---|---|
★★★★☆ | ★★☆☆☆ |
経理にはルールに基づいた会計処理が必要であり、専門知識とスキルが求められます。一般の求人には経理経験者が多く集まるため、未経験者はどうしても不利になりがちです。
しかし、経理アシスタントや経理事務など、未経験者歓迎の求人なら難易度は下がります。未経験者でも、熱意と基礎知識を示せば転職のチャンスを掴むことが可能です。
経理職はどの企業においても必要な職種であり、スキルのポータブル性が高いことから転職市場で注目されています。経理として求められる業務は企業間で大きく変わらず、一度スキルを身につけてしまえばキャリアチェンジの際に有利です。
また、経理は会社の数字を扱う職種であり、経営判断における重要なデータを提供する役割も担います。いつの時代もニーズが一定で、経済の変化に左右されにくい安定性も経理の魅力の一つです。
経理への転職を考える理由は、人によってさまざまです。ここでは、よくある転職のお悩みや解決方法について、実践的な例を交えて紹介します。
現在の職種の待遇に満足がいかず、経理への転職を考えている人は珍しくありません。
政府統計(※2)によると、45歳で勤続年数10年の場合、経理の平均月給は約27万円、年間賞与額は約56万円という結果が出ています。
以下に、政府統計を基にした年収のシミュレーションを示しました。
月給 | 約27万円 |
---|---|
ボーナス | 約56万円 |
年収 | 約380万円 |
この数字は、ほかのデスクワーク職と比べると高水準です。デスクワーク職かつ高水準な給与にこだわりたい人は、経理として同じ会社で働き続けると待遇アップを期待できます。
経理スキルの向上を図りたいものの、何をすればいいかわからないという人も多いと考えられます。
経理の転職においては、日商簿記からチャレンジし2級まで取得するのが得策です。詳しくは当記事の「簿記の知識とその重要性」で解説します。
働くモチベーションを上げるべく、転職を考える人もいます。
モチベーションが高まる企業に転職するには、自分に合った職場環境を見つけることが重要です。たとえば、企業のウェブサイトや社員のブログなどを読むことで、会社がどのような雰囲気なのかを掴めます。
自分のスキルを活かせる部署や、新しいことにチャレンジできる環境があるかを確認しましょう。
職場の人間関係に不満があり、転職を考える人もいます。
職場の人間関係に不満を感じている場合、まずは自分の行動を振り返ってみましょう。コミュニケーションの取り方やあいさつなどの基本を見直すことで、関係が改善される例もあります。
改善が見られない場合は、転職を視野に入れることも検討すべきです。雰囲気がクリーンな職場は、仕事のパフォーマンスにもポジティブな影響を与えます。
経理への転職を決心した人は、今日から具体的にキャリアチェンジへの準備に取り掛かれます。ここでは、経理転職のための具体的なステップについて解説するので、一つひとつの段階を着実に踏んでいきましょう。
今までの社会人生活を振り返り、自分が得意とする分野や克服すべき点を明確にしましょう。
以下に、自己分析すべき要素と方法についてまとめました。
自己分析の要素 | 分析方法 |
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自分の強み |
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自分の弱み |
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価値観 |
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スキル |
|
経験 | 過去の職務経験やプロジェクトを振り返り、学んだことをまとめる。 |
また、キャリアパスの設定には、経理への転職をゴールとし、半年〜1年の間で身につけられるスキルや経験を洗い出すことが有効です。経理として有効なスキルを身につける計画を立て、数ヶ月単位で進捗状況を見直すことで、着実に能力を磨けます。
未経験者が経理への転職を目指す場合、応募書類に書きたい内容は以下の2つです。
中でも、ポテンシャルとして自分の強みやチャレンジ精神のアピールは重要です。たとえば、数字を扱う業務やデータ分析の経験などは、経理職につながるスキルとしてアピールできます。
未経験だからこそ経理に関する学習意欲をアピールし、自社に必要な人材だと感じてもらえる工夫をしましょう。
転職面接で周囲との差がつくポイントとして「逆質問」を用意しておくのがおすすめです。逆質問とは、面接の最後の「何か質問はありますか」との問いかけに答えることです。逆質問を期待している企業も多く、会社への興味や熱意を示すことができます。
以下は、面接官の印象に残る逆質問の例です。
経理への転職活動準備にあたり、具体的に何をすべきか気になる人も多いはずです。ここでは、経歴のアピール方法や資格取得など、今からできる準備について解説します。
経理未経験者であっても、これまでの経歴からポテンシャルをアピールすることは可能です。以下の2点を志望理由に盛り込むと、自身の強みを効果的にアピールできます。
志望理由例①
「前職では、事務職として金銭管理や在庫管理を担当し、正確さと効率性の2つを心がけながら業務を行ってきました。また、現在、簿記2級の受験を控えています。入社後は、簿記2級の知識を基にエクセルを用いたデータ分析のスキルを活かしたいと考えています。」
志望理由例②
「前職では販売職として在庫管理や売上データの分析を担当し、データの正確性と効率的な管理に力を入れてきました。また、経理の実務について知っておく必要があると考え、簿記2級を取得しました。注意力や数字の管理スキルを活かし、御社の経理業務に貢献したいと考えています。」
スキルをアップさせつつ、最短で経理への転職を目指したいなら、日商簿記検定にチャレンジしましょう。日商簿記検定とは、経営活動の記録や整理のためのルールについて問われる試験です。
級 | 内容 | 就職可能性がある職種 |
---|---|---|
3級 | 基本的な会計知識、仕訳、試算表 | 基礎的な事務職 |
2級 | 商業簿記、工業簿記、財務諸表分析 | 経理職や一般企業の経理部門 |
中でも2級は、会社の数字をまとめたデータである「財務諸表」について問われます。取得すると、会社の数字を分析するスキルがあるとの証明につながるため、経理への就職に有利です。
簿記に初めてチャレンジする人は3級からスタートし、2級が取得できた段階で経理に応募すると内定の可能性が高まります。
経理職において、英語能力やほかの会計系資格はキャリアアップに役立つ可能性があります。以下に、経理系資格の難易度やキャリアップへの有用性について示しました。
資格名と難易度 | 概要 | キャリアアップへの役立ち方 |
---|---|---|
全経簿記検定 ★★☆☆☆ | 全国経理教育協会が主催する簿記の資格 | 中小企業で有利。 |
税理士 ★★★★☆ | 税務のプロフェッショナル | 独立もしくは企業内税務部門で有利。 |
公認会計士 ★★★★★ | 会計のプロフェッショナル | 監査法人や大企業の経理・財務部門で有利。 |
USCPA ★★★★★ | 米国公認会計士資格 | 国際企業でのキャリアアップや海外拠点での業務に有利。 |
TOEICやTOEFL ★★★☆☆ | 英語能力を測定するテスト | 英語力を証明し、国際企業での業務や海外拠点で有利。 |
国内の士業系資格を取得すると、専門職としてのキャリアアップが見込めます。海外基準の資格を取得すれば、外資系企業や海外拠点での勤務にも有利です。
さらに、TOEICやTOEFLは、グローバルにキャリア展開する企業でのアピールポイントとなります。
経理への転職には、ベストなタイミングと企業選びのコツがあります。同じ会社で長く経験を積めるよう、転職活動の段階から気をつけられるポイントを理解しましょう。
経理への転職活動は、最もベストなシーズンである1月〜2月に集中的に取り組みましょう。1月〜2月は5月末の税務申告に向けて、企業が経理の人手を求めるシーズンだからです。また、6〜7月も半期決算を控えている時期であるため、求人が多く出る傾向にあります。
求人の多いシーズン | 理由 |
---|---|
1〜2月 | 5月の税務申告に向けた準備のため |
6〜7月 | 半期決算の準備のため |
求人情報が豊富に出ている時期なら、エントリーできる数も増えて内定の確率がアップします。上記シーズンの1〜2か月前から準備し、情報が出始めてからすぐに応募できるようにしておきましょう。
未経験から経理への転職を考える場合、20代がベストであると考えられます。20代は新しい学びをすぐに吸収する、将来性のある人材だと捉える企業が多いからです。
20代での経理職への転職では、以下のようなキャリアパスが考えられます。
若手のうちから着実に経験を積むことで、経理や財務部門でのキャリアアップが見込めます。
優良企業を選ぶには、以下の3つの項目をチェックしましょう。
業務範囲 | 業務内容が明確に示されている |
---|---|
残業時間 | 25時間未満/月 |
離職率 | 3年後離職率30%未満 |
まずは、経理業務をどこからどこまで担当するのかをチェックしましょう。中には「バックオフィスに関わる業務全般」と、仕事内容をアバウトに表現する求人もあります。このような表現の企業は、実際に入社すると経理に関係ない仕事を任される可能性もあるため、面接で職務内容を確認すべきです。
なお、残業時間や離職率は上記のラインをクリアしていれば、優良企業である可能性が高まります。求人に示されていない場合は、会社HPや企業説明会でチェックしましょう。
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