多くの女性が経理職に興味を持っており、その中には「給与は高いのか?」「どうやったら収入を増やせるのか?」という疑問を抱いている人が少なくありません。この記事では、女性が経理職で働く際の平均年収や収入アップのためのポイントについて紹介します。
経理の平均年収を知る上で、男女間での差が気になる人も多いです。経理職は収入の幅が広いため、年収の平均を知るためにはさまざまな要素を考慮する必要があるでしょう。以下に、経理の平均年収を男性と女性、年齢、役職別に紹介します。
経理の男女別の平均年収は、以下のとおりです。
性別 | 平均年収 |
---|---|
男性 | 470万円 |
女性 | 430万円 |
女性の平均年収は430万円で、男性よりも約40万円低い結果でした(※1)。男性と比べて女性の収入が低い理由としては、正規雇用よりも非正規雇用の割合が高いことが影響していると考えられます。
経理の年収は会社の規模によって異なり、これが男女差の要因の1つとなっています。大企業では給与水準が高い一方で、転勤や海外出張が多くなるため、男性の比率が高くなる傾向があります。女性は中小企業に多く集まる傾向があり、そのため大企業と比べて年収は低くなることがあるでしょう。そのため、女性の平均年収は男性よりも低くなると考えられます。
(※1)参考:経理に従事する女性の年収の目安
経理職の年齢別の平均年収は、以下のとおりです(※2)。
年代 | 平均年収 | 役職等 |
---|---|---|
20代 | 300万円台 | 役職のない人が多い |
30代 | 400万円台 | リーダー候補 |
40代 | 500万円台 | 部長、課長、リーダー等 |
50代 | 600万円台 | 管理職等 |
20代では、新入社員で役職のない人が多く、給与に反映されにくいことは事実です。30代になるとリーダー候補として選ばれる人が増え、年収の伸び率も高くなる傾向があります。
40代になると部長や課長、リーダーなど責任のあるポジションに就く人が増えるため、収入もさらに増えるようです。50代では管理職として経営陣に近い立場で活躍する人が増え、また財務職と兼任することで年収が700万円〜800万円まで上がる人もいます。
(※2)参考:経理に従事する女性の年収の目安
経理の平均年収がわかったところで、一般的な女性の平均収入と比較して高いかどうかも気になるかもしれません。
国税庁のデータ(※3)によると、令和3年の女性全体の平均年収は302万円でした。一方、経理の女性の平均年収は430万円であり、一般の平均年収よりも100万円以上高いことがわかります。
ただし、これは平均値であり、企業の規模や地域によって若干の差があるかもしれません。しかし、経理の女性は一般の女性よりも高い年収を得る傾向があるようです。
(※3)参考:令和3年分 民間給与実態統計調査 -調査結果報告-「民間給与実態統計調査について」
経理職の女性の平均年収が高い理由を、仕事内容や必要なスキルの観点から読み解くと、収入の根拠が見えてくるでしょう。以下に、経理の女性の平均年収が高い理由を2つ紹介します。
経理は、企業の経営に大きな影響を与える重要なポジションです。企業の運営には使用したお金を正確に記録し、把握しておく必要があります。お金の管理には正確性と素早さが求められるため、高い給与が設定されることが一般的です。
経理の仕事は小さなミスでも会社に損失をもたらす可能性があるため、責任重大な職種といえます。営業職や技術職のように目に見える成果が明確ではありませんが、経理は企業の健全な経営には欠かせない存在です。
正確かつスケジュール通りに会社のお金を管理するには、高い専門スキルが必要となります。業務上でのWordやExcelなどの操作能力はもちろん、経理で使用される専門用語や税法の知識を理解していることが前提です。
多くの情報をまとめて、締め切りまでに処理するには豊富な経験も必要でしょう。責任のあるポジションとして企業に貢献できる高いスキルが求められることも、経理の年収が高い理由の1つです。
経理職の業務はお金の管理というイメージがありますが、具体的な業務内容は理解しづらいかもしれません。経理の業務が会社全体をどのように支えているのかを知ることで、仕事に対する理解も深まります。以下では、経理職の主な業務内容について5つ紹介します。
会計処理とはお金の流れを帳簿に記録し、仕訳をする作業のことです。この作業は「管理会計」と「財務会計」の2つに大別され、管理会計は、収益の向上やコスト削減など、社内の管理のために情報を活用します。財務会計は、株主や金融機関などの外部へ報告するための情報を管理します。
仕訳作業は、日々の取引を記録していき、最終的には月や年ごとに収入と支出をまとめます。一度にまとめて処理しようとすると、ミスが生じる可能性があるため、記録を遅らせずにその都度処理するのが基本です。
税務関連の業務は、会社が支払う税金を計算する作業です。
この業務では、一般的な財務会計のルールに基づいて税金を計算し、法人税法で指定された項目の調整も行う必要があります。
予実管理は、会社の予算と実績を管理する業務です。予算を組んでも、計画通りに進むとは限りません。そのため、予算と実績の差を調整し、その原因を調べる役割を担っています。予算申請時に金額のチェックを行い、予定の金額との差が生まれないように努めることも業務の1つです。作成された資料は、社内での事業計画や経営方針の分析など、会社の運営に活用されます。
財務分析は、会社の経営状況を把握するために、決算書を利用して行われる業務です。収益性、安全性、生産性、成長性など、さまざまな観点から会社の現状を分析します。改善点や問題点を特定し、経営危機を回避したり、企業の将来性を予測することが可能です。業界内や競合他社との比較も行えるため、会社にとってベストな選択をする手助けにもなります。
内部統制とは、企業が経営目標を達成するために必要なルールを作り、それを守るための業務です。どの企業においても、目標を実現するためには健全でわかりやすい運営方法が必要となります。ルールを整備し、適切に運用することでで、企業の健全な成長を促すプロセスを確立します。
具体的には「業務の有効性と効率性」「財務報告の信頼性」「事業活動に関わる法令等の遵守」「資産の保護」という4つの観点から実施されます。これらの視点を通じて、企業内の環境を整え、経営目標の達成に貢献していくのです。
経理職として働く場合の、年収アップ方法について具体的に気になるところです。日々の業務の正確さを向上させながら、仕事の幅を広げるための行動が必要になります。
以下では、女性経理の年収アップ方法のポイントを紹介します。
自分が担当している業務の質を向上させながら、新しい仕事にもチャレンジする姿勢は、経理としての経験値を高めることにつながります。幅広いスキルを持つ人材となるために、現場での経験を積み重ねて自分の能力を向上させましょう。
必要であれば資格取得を目指すことで、レベルアップが見込め、評価にもつながる可能性があります。
日々スキルアップに取り組んでいると、昇進のチャンスが訪れる可能性があります。経理の仕事に慣れると、会計や財務など、より専門性の高い業務に携われる可能性もあるでしょう。経営や資金運用に関わる業務は、給与が高い傾向があるので、現在の会社で高いポジションを目指すことは年収アップにつながるかもしれません。
ただし、具体的に年収がどの程度上がるかは会社によって異なりますし、給与水準が公開されていない場合もあります。気になる場合は、上司の生活様式や雰囲気から大まかな収入を予測できるかもしれません。
現在の職場では年収が上がる見込みがない場合は、転職を考えることも選択肢の1つです。仕事の幅が広がる可能性がなく、管理職のポジションも埋まってしまっている場合、自分で問題を解決するのは難しいかもしれません。
転職することで新たな業務を担当する機会が増えたり、昇進のチャンスに恵まれる可能性もあります。現在の職場よりも年収アップの見込みがある場合は、転職を検討してみるといいでしょう。
実際に経理職として年収アップのために、具体的なスキルについて知りたい人は多いでしょう。経理職で求められる能力は幅広く、知識はもちろん、柔軟な対応力も備わっていると会社から重宝されます。以下では、経理職が年収アップのために必要なスキルについて紹介します。
経理に関連する資格を取得し、実際の業務に活かすことは、年収アップにつながるでしょう。以下は、経理の代表的な資格です。
資格を取得することで、書類の処理能力や財務諸表の知識を身につけることができます。簿記のような資格は、レベルによって級が設けられており、難易度が上がるほど企業からの需要も高まります。
また、簿記1級の取得は税理士試験の受験資格を得られるというように、学習内容が関連している分野も多いです。知識の幅が広がり、仕事をよりスムーズに進めることができるだけでなく、スキルアップのモチベーションも高まるかもしれません。
ファイナンスは、経営や事業戦略をお金の観点からサポートするために必要な知識です。経理が企業を支えるためには、会計のスキルだけでなく、資金調達や予算管理など、お金の運用能力も求められます。
ファイナンスの知識を身につけることで、経理としての評価が高まる可能性がありますので、学習しておくことがおすすめです。
データ分析のスキルがあると、会社の経営に貢献できる可能性が高まります。経理がデータ分析を行うことで、経営の意思決定や業務の効率化を図ることが可能です。
過去と現在のデータを分析し、将来の予測を行うことで会社の成長を促すことができます。データに基づいた経営判断ができるようになれば、会社にとって欠かせない人材となるでしょう。
経理の業務をスムーズに進めるためには、コミュニケーション能力が求められます。経理と聞くと、データ処理に集中するというイメージを持つ人が多いです。
実際には会社全体の資金の流れに関与する職種のため、さまざまな部署と連携しながら仕事を進める必要があります。業務をスムーズに行うために、職場の人々との良好な関係を築けるコミュニケーション能力が必要です。
企業が海外進出する場合、経理業務を英語で行う必要があります。外資系企業への転職を考える場合に重要なスキルです。
英語で会計を行える能力は、将来的に会社から評価される可能性が高いでしょう。
女性経理の年収アップは可能ですが、それにはスキルアップが求められることが多いです。オールマイティに活躍できる人材は、どの会社でも経理としての年収アップが期待できます。自分の収入を上げるためには、必要なスキルを高める努力を始めてみましょう。