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経理
2024/08/15 更新

総務と経理の違いとは?兼任が多い理由と適性を解説

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総務と経理はどちらもバックオフィスの業務で、企業運営に欠かせない役割を担っています。総務は物品や従業員、組織全体の管理を、経理は会社のお金の流れを記録・管理する仕事です。仕事内容は異なりますが、総務と経理を兼任している企業も多く存在します。

この記事では、総務と経理の違いや、それぞれの適性について詳しく説明します。総務や経理の仕事を目指している方は参考にしてください。

総務と経理の基本

総務・経理はどちらも企業のサポート役に当たる職種ですが、仕事内容は全く異なります。この章では、それぞれの基本的な仕事内容と役割についてご紹介します。

総務の役割と仕事内容

総務は、企業内の従業員が快適に働ける環境を整える役割を担います。具体的には以下のような仕事を行います。

  • 企業に必要な備品や施設の管理や調達
  • 福利厚生の整備
  • 入社式や忘年会など社内イベントの企画
  • 物品や従業員に関する書類作成と管理
  • メール・電話・来客の対応
  • 慶弔事の対応
  • ホームページやSNSの管理

総務の業務範囲は広く、作成する書類の種類も多岐にわたります。また、社内外の広報や秘書業務を兼任することもあります。総務の詳細について知りたい方は、関連する記事も参考にしてください。

WARCエージェント「人事・総務の業務内容と必要なスキルとは?転職時に有利な資格も合わせて紹介」

経理の役割と仕事内容

経理は、企業の経済活動によるお金の流れを管理します。経理の仕事は、日次業務、月次業務、年次業務の3つに分けられます。

業務の種類

仕事内容

日次業務

  • 現金出納帳の監督
  • 経費精算の処理
  • 伝票の整理
  • 売掛金・買掛金の管理
  • 小切手・手形の管理

月次業務

  • 給与の計算と支払い
  • 月次財務報告書の作成
  • 予算の監督
  • 源泉所得税・法人税・法人住民税・消費税の計算と納付

年次行事

  • 所得税の確定申告
  • 税金の申告
  • 年末調整
  • 年次財務報告書の作成
  • 社会保険の管理
  • 実地棚卸


経理が扱う書類は主に伝票と帳簿で、業務の多くはPCでの入力作業です。経理の詳細について知りたい方は、関連する記事も参考にしてください。

WARCエージェント「経理の業務内容とは?適性や求められる資格・スキルについて解説」

総務と経理の違いを理解するポイント

総務と経理の違いを理解するには、以下のポイントを押さえましょう。

  • 総務:従業員が働きやすい環境を整える
  • 経理:お金の流れを管理する

総務は従業員をサポートする仕事、経理は企業の経営を支える仕事です。求められるスキルも異なり、総務には臨機応変な対応力が、経理には正確さが求められます。

総務と経理を兼任する理由

中小企業では、効率よく業務を回すために総務と経理を兼任させることがあります。総務と経理を兼任するメリットには以下の点があります。

  • 物品購入や会社行事の費用管理が容易
  • 業務の連携がスムーズになり作業効率が向上
  • 人員コストの削減

しかし、デメリットも存在し、とくに少人数の企業では担当者の負担が大きくなり、ミスや不正のリスクが増します。

バックオフィス業務としての連携

総務と経理はどちらもバックオフィス業務です。兼任させると、備品・消耗品の購入や設備のメンテナンスにかかった経費の管理、集計、帳簿への記録、支払いまでを一貫して同じ部署で行うことができます。これにより、業務の連携がスムーズになり、作業効率が向上するというメリットがあります。

しかし、バックオフィス業務の兼任にはデメリットもあります。特に、少人数の企業では、1人にかかる負担が重くなり、担当者不在時に業務が停滞しやすく、ミスや不正が起こりやすくなるリスクがあります。

小規模企業での兼任の現実

中小企業では、人員や人件費が限られているため、総務と経理を兼任させることが多いです。とくに、社員10人以下の小規模企業では、バックオフィス業務をすべて1人が担当する「1人経理」の状態が一般的です。

「1人経理」には、自分の業務に集中しやすく、業務の順番や時間を自分で決められるといったメリットもあります。しかし、担当者が1人では相談相手がいないため、高いスキルが求められます。さらに、休みにくさ、責任の重さ、仕事の負担が大きいといったデメリットも多くあります。

兼任によるスキル向上の可能性

総務と経理を兼任することで、総務の幅広い業務処理能力と、経理の専門的な知識・スキルを同時に身に付けることができます。これにより転職市場で、「T字型人材」として有利になる可能性があります。

「T字型人材」とは、特定分野に深い知識を持ちながら、他の分野と連携・応用する能力がある人材を指します。グローバル化と高度化が進む現代社会では、多くの企業が求める人材です。総務と経理の兼任を経験することで、転職市場でも優位に立つことが期待できます。

総務・経理に向いている人の特性

総務や経理に向いている人には、それぞれ異なる特性があります。次に、それぞれの仕事に向いている方が持っている特性について解説します。

総務に向いている人の特徴

総務に向いているのは、以下のような特徴を持つ方です。

  • コミュニケーション能力が高い
  • 社交的で社内でも交流がある人が多い
  • 実務遂行能力が高い
  • 人から仕事を頼まれるのを好む
  • 整理整頓が得意
  • 細かい気配りができる
  • 協調性がある
  • 社内規則などのルール作りが得意
  • マルチタスクに対応できる
  • リスクマネジメントが得意

総務の仕事で最も求められるのは、コミュニケーション能力です。総務の担当者は社内の社員だけでなく、社外の顧客、取引先、官公庁の職員など、さまざまな立場の人と関わる必要があります。また、総務は社内問題の相談窓口でもあるため、折衝力や問題解決能力が高いと重宝されます。

経理に向いている人の特徴

経理に向いている方は、以下のような特徴を持つ方です。

  • 数値や数字に対する抵抗感がない
  • 丁寧で正確に作業ができる
  • 自分で計画を立て、遂行する能力がある
  • 1人でコツコツと仕事をするのが好き
  • 締切を遵守する
  • 責任感が強い
  • コミュニケーション能力が高い

経理はお金に関わる仕事なので、数字や計算が好きな方に向いています。決算報告書や給与計算など、締切のある業務が多く、期限内に仕事を仕上げる能力も必須です。基本的に1人でコツコツと行う仕事が多いですが、同僚や社内の他の部署とのコミュニケーションも必要です。そのため、経理を目指す方は、良好な人間関係を築ける程度のコミュニケーション能力も重要です。

総務・経理の平均年収とキャリアパス

総務と経理は仕事内容が異なるため、平均年収やキャリアパスも異なります。それぞれの年収や昇進のタイミングについて詳しく解説します。

総務の平均年収と昇給の目安

厚生労働省の令和5年(2023年)賃金構造基本統計調査*1によると、総務の平均年収は493.4万円です。20代から50代までの年齢別年収データを参考に、昇進のタイミングを解説します。

*1 厚生労働省「Jobtag」総務事務

年齢別の平均年収データ

令和5年(2023年)賃金構造基本統計調査によると、総務の年齢別平均年収は以下のようになっています。

年齢

平均年収

20歳~24歳

322.88万円

25歳~29歳

416.22万円

30歳~34歳

432.63万円

35歳~39歳

481.78万円

40歳~44歳

514.7万円

45歳~49歳

531.54万円

50歳~54歳

575.14万円

55歳~59歳

596.53万円

総務の仕事は、30代になるときに年収が大幅にアップします。20代前半の年収が低いのは、実務経験を積んで仕事を身に付ける時期だからです。また、総務は年齢による年収の伸びがよく、年齢が5歳上がるごとに年収が20万円~90万円の範囲で上昇する傾向が見られます。

昇進・昇給のタイミング

総務の年収は役職によっても異なります。40代以上になると平均年収が多くなるのは、部長や課長などのリーダー職を務める方が増えるからです。平均年収は年齢だけでなく、昇進したタイミングでも上がると考えましょう。

総務の役職別年収は企業によって異なりますが、管理職候補で400万円~600万円程度・係長で500万円程度・課長で700万円程度の企業が多いです。また、総務部長や経理などと兼任している方の場合は、平均年収800万円にもなるケースもあります。

経理の平均年収と昇給の目安

厚生労働省の令和5年(2023年)賃金構造基本統計調査*2によると、経理の平均年収は484.6万円です。

経理の年齢別年収データと昇進のタイミングについても詳しく説明します。

*2 厚生労働省「Jobtag」経理事務

年齢別の平均年収データ

令和5年(2023年)賃金構造基本統計調査によると、経理の年齢別平均年収は以下のようになっています。

年齢

平均年収

20歳~24歳

315.03万円

25歳~29歳

397.21万円

30歳~34歳

465.84万円

35歳~39歳

502.24万円

40歳~44歳

542.24万円

45歳~49歳

550.49万円

50歳~54歳

542.46万円

55歳~59歳

532.65万円

経理の平均年収は、20代後半から40代後半にかけて大きく伸びます。30代から40代に年収が高いのは、経理の専門知識が身に付き担当できる業務が増えることや、役職に就く人が増えることが主な理由です。50代からは年収が緩やかに減少しますが、これは役職定年を迎えることや、アルバイトやパートで働く人が増えることが背景にあります。

昇進・昇給のタイミング

経理での昇進・昇給のタイミングは、一般的には30歳前後から始まります。大企業ではこの時期にリーダーシップのポジションやマネージャーとしての昇進が期待されます。40代に入ると、室長や部長などの管理職に昇進する機会が増え、それに伴い年収も大幅に上昇する傾向にあります。

経理職において、高度なスキルを身に付けることで部長以上のポジションに就き、年収が1,000万円に達するケースもあります。このためには長期間の実務経験の積み重ねと共に、公認会計士や税理士といった難関資格の取得も有効です。

キャリアパスの例

総務と経理は仕事内容が異なりますが、キャリアパスの描き方には似た部分があります。具体的なキャリアパスの例は、以下の通りです。

職種

具体的なキャリアパス

総務

  • 現在勤めている企業で総務のプロを目指す
  • ほかのバックオフィス系部門に異動し、幅広い知識とスキルを身に付ける
  • 転職してさらにスキルを磨く
  • 労務にキャリアチェンジする
  • 最高総務責任者(CAO)を目指す

経理

  • 現在勤めている企業で管理職を目指す
  • 大企業に転職する
  • 外資系企業に転職する
  • 独立開業する

総務と経理のキャリアパスで決定的に違うのは、経理には独立開業の道があるところです。独立開業を目指す場合は、経理の実務経験だけでなく、営業力を磨いたり公認会計士や税理士の資格を取得したりしましょう。総務で最高総務責任者(CAO)を目指すなら、企業の全管理部門について経験と知識を磨く必要があります。

総務・経理の仕事をスムーズにするための資格

総務や経理の仕事は、特別な資格がなくても就くことができます。

しかし、以下のような利点があるため、関連資格の取得をおすすめします。

  • 仕事がよりスムーズになる
  • 自分の市場価値が上がる

それでは、職種別に役立つ資格を見ていきましょう。

総務に役立つ資格

総務は従業員の快適な労働環境を作り、管理する仕事です。経済・法律・IT・メンタルヘルスなどに関連する資格を取ると実務で役立ちます。中でも、おすすめの資格は以下の2つです。

社会保険労務士

社会保険労務士は、人事・労務管理・社会保険のプロです。取得している総務の従業員がいると、労働相談に応じたり、職場環境を常に法律に沿った状態に整備したりしやすくなります。また、健康保険・雇用保険・厚生年金などの手続きと、労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成は社会保険労務士の独占業務です。企業側からは、これらの手続きや書類作成ができる人材として重宝されます。

しかし、社会保険労務士資格の合格率は約5~7%です。難しい資格なので、合格には1,000時間以上の勉強が必要といわれています。

ビジネスキャリア検定

総務の仕事には、ビジネスキャリア検定もおすすめです。ビジネスキャリア検定に合格すると、総務・人事・経理・ロジスティクス・営業・経営戦略など、事務系職種の幅広い分野に必要な実務能力があることを証明できます。

総務の実務では、「企業法務・総務」分野の知識が特に役立つでしょう。総務の資格についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。

WARCエージェント「総務・人事・労務・経理の違いについて解説|事務職の仕事内容やおすすめの12つの資格も紹介」

経理に役立つ資格

経理の仕事では、以下の知識やスキルを証明できる資格が役立ちます。

  • お金に関する幅広い知識
  • 会計や税金に関する知識
  • 簿記の知識
  • PCスキル

特におすすめの資格は、以下でご紹介します。

日商簿記(2級以上)

経理の仕事に役立つ資格として、とくにおすすめなのが日商簿記(2級以上)です。この資格は実務で活用できる知識を提供し、2級では商業簿記と工業簿記、1級ではより高度な会計・財務知識や経営管理能力を証明できます。ただし、資格取得だけでは不十分です。試験合格後も日々の業務で経験を積み重ねることが重要です。資格で得た知識と実務経験を組み合わせることで、経理のプロフェッショナルとして成長できます。計画的に資格取得を目指しながら、日々の仕事にも真摯に取り組むことで、着実にキャリアアップを図れます。

ファイナンシャルプランナー(2級以上)

ファイナンシャルプランナー資格は税金・保険・年金・ローンなど、お金について幅広い知識があることを証明できる資格です。経理に特化した資格ではありませんが、取得すると企業内での評価が高くなります。財務関係など、思わぬ仕事のオファーが来るかもしれません。

ファイナンシャルプランナー資格を実務で役立てるなら、2級以上を目指しましょう。

資格取得のメリットと実践的な活用法

総務・経理など業種に関係なく、バックオフィスで働く方が事務系の資格を取得すると、以下のようなメリットがあります。

  • ビジネスマナーやPCスキルが身に付く
  • 資格手当をもらえる可能性がある
  • 自分の市場価値が高まり、就職や転職で有利になる

事務系の資格を実務で活用するには、事前によく調べて、実務に関連するスキルや知識を証明できる資格を選ぶのが最も大切です。同じバックオフィスの仕事でも、職種によっては取得した資格を生かせないケースがあります。

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WARCエージェントマガジン編集部

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