記事FV
経理
2023/12/05 更新

経理の業務内容とは?適性や求められる資格・スキルについて解説

近年、営業や企画から管理部門への転職を模索する人が増加しています。その中でも、経理職は特に注目を集めている職種です。その背後には、高い専門性と多岐にわたる転職の機会があることが挙げられます。

この記事では、経理への転職を検討している方々のために、経理業務の内容、求められるプロフィール、必要な資格やスキルについて詳しく解説していきます。

経理の主な業務内容について

経理は「経営管理」の略語であり、お金の出入りを正確に記録し、結果を分析して企業の資金を管理することが主な職務です。経理の業務は日々のお金の流れを記録することから始まり、年次の決算まで広がります。ここでは、経理の日常業務、月次業務、年次業務に焦点を当て、それぞれの内容について整理します。

1日の業務:日次業務

経理において最も基本的かつ重要な業務は、日々のお金の出入りを管理することです。これは企業が活動している限り毎日行われます。日次業務には、以下のような作業が含まれます。

日々の数字の正確な記録は、月ごとの決算を経て四半期や年次の決算に影響を与えるので、入力の正確性を保つためには高い集中力とミスを見逃さない注意力が必要です。これらは経理職にとって最も期待される資質でしょう。

経理の1日の業務例

  • 出納管理(預金の入出金の確認など)
  • 伝票整理(取引伝票など)
  • 帳簿への記帳
  • 仕訳と会計ソフトへの入力
  • 社員の立替経費の精算
  • 備品の購入
  • 預金と現金の残高の確認と照合

月ごとの業務:月次業務

月次業務では、給与計算と月次決算が主な作業となります。給与計算は、従業員の暮らしや健康を支え、仕事へのやりがいを維持する上で重要な給与ですので、正確性が求められます。月次決算では、日次業務で蓄積した出入金を帳簿に記録し、決算書類をまとめます。

企業によっては、月次決算を省略することもありますが、実施することで月々の決算を通じて資金上の課題や問題点をリアルタイムに洗い出すことができます。これにより、経営陣は迅速な経営判断や資金調達ができるようになるというメリットがあります。

月次決算においては「請求書が届かなくて仕入れ処理ができない」や「証憑書類の承認が遅れる」といった問題への対処も必要です。これには各部署との連携が不可欠であり、また従業員の労働状況を把握するためには各部署とのヒアリングも欠かせません。円滑な月次業務のためには、各部署との緊密なコミュニケーションが重要です。

経理の月ごとの業務例

  • 売上代金の請求
  • 売掛金の入金確認と消し込み
  • 買掛金・仕入金の支払い
  • 月次決算(現金・預金の残高確認、月次棚卸、仮勘定等)
  • 月次決算書(試算表)の作成
  • 月次決算の報告
  • 給与計算、給与振込、社会保険料等の計算と納付

年単位の業務:年次業務

経理にとって、最も多忙となるのは決算期です。事業年度は各企業で異なりますが、その最終日である決算日から2か月以内に税務申告を行う必要があります。ただし、上場企業の場合は特例として、株主総会後に決算書を確定してから申告することも可能です。

経理は、年度末を迎える前から準備をし、決算整理を行って決算報告書を作成します。その過程で、必要な財務諸表の作成も経理の職務です。これらの情報は会計、財務、経営企画と共有され、経営陣に報告・説明され、株主総会の準備もサポートします。

また、年次業務で重要なのは、賞与の計算と振込、年末調整など従業員に関する業務です。これらの作業は人事との連携が必要で、素早く正確な対応が求められます。

経理の年次業務

  • 年次決算の準備
  • 年次決算(決算書、財務諸表の作成と報告)
  • 有価証券報告書などのディスクロージャー資料の作成
  • 株主総会資料の作成と開催サポート
  • 税務申告
  • 賞与の計算と振込、支払調書の作成、社会保険の算定と支払い、各種保険の年次更新
  • 年末調整

経理と会計・財務それぞれ違いとは

企業の規模によって異なりますが、経理に加えて会計と財務という、お金に関連する部門が存在します。会計も経理の範疇に入ることがありますが、それぞれが対象や役割を持ち異なります。以下では経理と会計の違い、経理と財務の違いについて説明します。

経理と会計の違いについて

簡潔に言うと、経理は日々の資金の動きを記録し管理する業務であり、一方で会計は企業全体の資金の流れを管理する業務です。経理が主に行う日々の業務には、会計業務に属することが多い決算書の作成も含まれます。

会計には「財務会計」と「管理会計」の2つがあり、前者は主に株主や市場などの利害関係者への説明を目的とし、後者は経営状況の把握のために経営企画や経営陣が利用します。会計は、経理が仕訳し帳簿に記載した金額をもとに、仕入、購入、売上などの数値に注目し、体系的に分析を行うのです。

会計と経理の業務が一部重複することがありますが、経理は日々の金額の記録と仕訳が主な目的であるのに対し、会計は最終的に明確で適切な決算を達成することが目的になります。もちろん、企業によっては会計の全体または一部を経理が担当するケースもあります。そのため、経理担当者は会計業務に関する知識とスキルが必要不可欠です。

経理と財務の違いについて

経理は「過去」の資金の流れを管理するのに対し、財務は「未来」の資金の流れを管理します。経理や会計の業務を基にして、資金調達や運用など、企業の将来の成長と資金の安全性を支えるための業務です。

具体的には、経理・会計が作成した「財務会計」「管理会計」の文書や決算書を使用して、財務分析(収益性分析、安全性分析、生産性分析、成長性分析など)を行い、企業の中長期の資金計画を策定します。経営方針や各事業部の要望に従い、資金調達、資金運用、投資、買収などの実施もする場合があります。

財務には金融機関との交渉や、安全なポートフォリオの策定などに秀でた人材が必要です。そのため、財務部門では、投資銀行やコンサルティングファームでの経験を持つ人材を中途採用することもあります。財務の仕事には、数値分析の能力に加え、ファイナンスに関する知識とスキル、資金調達の能力、自社の会計を理解し適切な予測を立てる能力が求められます。

経理業務の魅力

経理は、日々の着実な作業が非常に重要な役割を果たします。数字を正確に扱い、ミスなく記録することで、会社の経営状況や業績、資金管理の理解が得られるでしょう。経理がいないと、資金の状況を把握することが難しくなり、会社全体にとって経理業務は極めて重要です。

経営陣との緊密なポジションで業務ができる

経理の魅力の一つは、経営陣との緊密なポジションで仕事ができることです。経理の業務は、経営判断にとって極めて重要になります。経理が行う日々の帳簿への記入や仕訳は、税務申告のためだけでなく、会社の資金状況を正確に把握するためのものです。

そのため、経営陣との対話や相談の機会が多くなります。例えば、定例の経営会議では、試算表の結果から抽出したデータに基づいて、各事業の課題や問題点を指摘し、今後の必要な対策や改善案を提案する機会も多いです。

会社の資金の流れを理解できる

経理の特長の一つは、会社の資金の流れを理解できることです。事業部門では、所属する部署の予算や売上、利益を把握できるかもしれませんが、経理では、会社全体がどれだけ収益を上げているのか、利益率はどの程度かなど、従業員1人あたりの生産性までをも把握することができます。

経理は業務を通じて、会社の経営状況だけでなく、各部署の収益性や利益率までを理解可能です。この情報をもとに、各部署に対して根拠のある提案ができるため、経理の仕事には、会社の運営に貢献する実感を得ることができる魅力があります。

達成感を感じられる

経理の仕事で、帳簿入力と実際の金額を照合する際、数字がぴったりと一致した瞬間は、非常に気持ちの良い瞬間です。例えば、大量の伝票が発生し、合わなかった数値が何度も慎重に見直され、ミスに気づいて修正できた場合など、そうした瞬間には大きな達成感があります。

経理において最も重要なスキルの一つが、数値の正確な取り扱いです。毎日の膨大な数値の入力や仕訳業務でミスをしないことが、経理の責務でしょう。経理は、正確性を確保するスキルと知識を持つことをプロフェッショナルとしての誇りを感じています。

年度末には、日々の業務の集大成である決算があり、決算時に数値を正確に合わせることができると、より大きな達成感を味わうことができます。

感謝される

経理は、特に経営陣や営業から感謝される仕事です。経理担当者がいなければ、日々のお金の記録ができません。それはつまり、経営状態がわからなくなることを意味します。経営陣にとっては、経理の働きは非常に頼りになります。

営業や開発、企画にとっても、経理が支えてくれるからこそ、数値入力や請求、入金確認、未収の売上金や売掛金の回収などの業務から解放され、コアの業務に集中できます。

事業部門からはもちろん、経営陣からも感謝され、経理のやりがいにつながるでしょう。

経理に向いている人とは

経理は、高度な専門性が要求される部門です。経験とスキルが広く通用するため、経験者が転職する際には有利な条件となります。しかし、他職種からの転職者でも、「経理としての資質や技能に長けた人」は十分に採用の可能性があります。

①経営的な視点を持つ人物

自身が会社に収益をもたらすプレイヤーとして活躍したいのか、それとも会社全体の経営を支えたいのか。この二つの視点には大きな違いがあります。経理は「経営管理」の略であり、会社を経営的な視点から理解することが求められます。

営業の場合、個人やチームの実績が評価されやすく、他の部署との競争が結束を強化することがあります。しかし、経理には自己の功績に執着しない柔軟性が求めらるのです。全体の状況を把握し、会社の発展に寄与することに興味を持てる資質が重要でしょう。

②簿記や会計業務に精通している

経理には高度な専門知識と手順への理解、高いスキルが必要です。特に簿記の知識とそれに関連するスキルは、経理の基盤を築く上で不可欠でしょう。

たとえば、日商簿記検定では2級以上の知識が要求されます。また、会計処理においては、会計基準に基づいた財務諸表の作成が求められるでしょう。国際的な展開をしている企業なら、米国の会計基準や各国の税制にも精通している必要があります。

未経験から経理に転職する場合は、資格取得や会計ソフトの操作経験、会計基準や税制についての学習など、努力が必要です。

③単純作業に専念できる

経理は、継続的な単純作業に集中できる人に向いています。経理業務の中で、仕訳や記帳といったタスクが日常業務の数時間を占めます。

営業のように人と接する業務や、企画のように情報収集やアウトプットが好きな人は、経理の単純作業が向いていない可能性もあります。また、数値の扱いは正確性と適切な処置が要求されるため、経理には真摯な態度で注意深く業務に臨む姿勢が求められます。作業に専念できる能力は、お金を扱う業務に不可欠です。

経理に関するよくある質問を紹介

経理への転職を考えている方々は、経理職での実際の業務について知りたいと思うでしょう。以下では、経理転職を希望する方々がよく寄せる質問に答えていきます。

経理の仕事は大変か?

経理の仕事は、業務内容が明確に定まっているため、作業の繰り返しに苦手意識を持つ人には厳しいかもしれません。日々の業務では処理すべきデータや伝票が次々に増え、処理が追いつかなくなることもあります。

月末や年度末には、通常業務に追加される締めの業務が加わり、多忙になります。処理の速さがついてくると、仕事は同じことの繰り返しに過ぎません。また、リーダーや管理職に昇進すると、日々の入力業務などは部下に任せることがあります。

経理は専門知識が必要な仕事です。絶えず自己研鑽が求められ、上位の資格取得やスキル向上が期待されます。勤勉さと向上心があれば、克服できるでしょう。

経理の残業時間はどれくらいか?

経理部門は、日々の作業量が予測しやすいため、勤務時間は比較的安定しています。伝票処理や仕訳に集中すれば、通常は定時で帰宅することができるでしょう。ただし、給与計算や月次決算の準備など、作業が多くなる場面もあり、年度末の決算時には作業量が大幅に増えます。

大企業と中小企業では分業の方法や扱う会計基準が異なるため、一概には言えません。ただし、月次の給与や保険業務、月次の決済、年次のボーナス支払い業務と年次の決済時には、残業が増える傾向があります。IPO準備やM&Aがある場合は、監査対応などで残業が増加することもあります。

経理の年収はどのくらいか?

経理の年収は、厚生労働省が2023年3月17日に発表した「賃金構造基本統計調査」によると、従業員10名以上の企業平均で「会計事務従事者」の給与は以下の通りです。

  • 月給: 364,800円(※1)
  • 賞与: 1,135,900円
  • 年収: 5,525,500円
  • 平均年齢: 43.5歳
  • 勤続年数: 13.7年

この統計では管理職は含まれていませんので、経験豊富なマネージャークラスならば、年収や賞与はさらに高いでしょう。

同じ統計によると、「企画事務員」の月給は460,000円、「その他一般事務従事者」は383,100円ですので、経理の給与は比較的低い傾向があります。なお、「営業・販売従事者」の月給は382,200円です。

これは統計の一例であり、地域や企業の規模によって年収に違いがあります。業務内容やマネジメントの有無によっても、給与は変動するため、具体的な求人の条件を確認することが重要です。

(※1)参考:政府統計の総合窓口(e-Stat)「令和4年度 賃金構造基本統計調査(厚生労働省)」

未経験者でも経理の仕事に就くことは可能か?

未経験から経理に転職するのは難しいでしょう。なぜなら、ほとんどの経理の求人が経験者で実績のある人を対象にしているからです。経理は帳簿や決算書を扱う専門的な分野であり、経験と実績が要求されます。

しかし、未経験からの転職が不可能であるとは言えません。たとえば、営業職で経費計算に厳格に対応していた方や、数値にこだわり正確性と適切な対応を求められていた方は、未経験者でも挑戦できるでしょう。同時に、「貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュフロー計算書」の財務三表の意味を理解し、読み解くことができる知識も有利です。

未経験者でも、適切な知識とスキルが求められます。そのため、日商簿記2級などの資格を取得するなどの努力が評価されるケースが多いです。また、前職でチームビルディングやマネジメントの点で特筆すべき実績があれば、それも有利なポイントとなります。

経理には資格が必要か?

経理になるためには特定の資格は必要ありませんが、求められるスキルは明確です。これらのスキルを証明する資格は、選考の際に有利になります。以下に、経理で評価される資格をいくつか紹介します。

① 日商簿記検定 2級(3級)

経理の知識を測る検定で、3級は簿記の基本を理解していることを示し、2級は高度な商業簿記や工業簿記(原価計算を含む)を習得し、財務諸表の数字から経営内容を把握できることが求められます。未経験者でも2級を持っていれば実務に役立つと評価され、有利に働きます。

②経理・財務スキル検定(FASS検定)

経理・財務の基本的なスキルを測る検定で、資産・決算・税務・資金の4分野で検定が行われます。 - 未経験からの転職の場合、有利に働くでしょう。

これらの資格は、経理未経験者でも挑戦しやすく、取得することで経理への転職において有益なスキルを身につけることができます。

あると便利な資格やスキルは何か?

経理は会社の資金を管理する重要な仕事ですので、PCスキルが不可欠です。Excelにおいては、ピボットテーブルの使用やIF関数、VLOOKUP関数などの操作ができることが高く評価されます。

また、会計ソフトや勘定系システム、ERPの使用経験や基本的な知識があると有利です。オフィスのスキルをアピールするには、「マイクロソフト・オフィス・スペシャリスト(MOS)検定」が役立ちます。この検定はOfficeの各ソフトのスキル到達度を示すことができ、知名度が高いため相手にスキルが伝わりやすいです。

経理の業務内容を理解し、経理職を目指そう

経理は、会計や財務とは異なり、日々の企業の資金のやり取りを仕訳し、帳簿に記録することが主な仕事です。このため、経理の仕事には経営判断に寄与する要素があり、事業部門の各部署から感謝されるなどやりがいを感じることができる職種でしょう。

未経験の方でも、適切なスキルがある場合や日商簿記2級などの実務に役立つ資格を持っている場合は、経理の職に挑戦することができます。

管理部門への転職を考える際には、様々な企業の求人情報を確認し、求められるスキルや条件を把握して準備するのが良いでしょう。そのために、管理部門に特化した転職サイトが役立ちます。スタートアップから大企業まで、優れた条件の求人が多く揃っています。求人条件を注意深く検討し、経理職への転職を成功に導きましょう。

著者画像

株式会社WARC

WARCエージェントマガジン編集部

「人材紹介の『負』の解消を目指す、新しい転職エージェント」をビジョンに、ハイクラス人材紹介事業を展開しているWARC AGENT。WARCエージェントマガジン編集部は、このビジョンを支えるために、転職者に役立つ情報を執筆し、個々のキャリア形成をサポートしていきます。