経理事務は、実際に経験がない方にとってはわかりづらい業務内容です。経理事務は、会社の財務を管理し、資金の流れを管理する重要な業務です。そのため、専門知識が必要であり、ハードルが高いと感じられるかもしれません。
この記事では、経理事務を経験したことがない方でも業務内容を理解しやすく説明します。また、経理事務への転職を考える際に役立つ情報やノウハウについても紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
会社は、取引先や消費者からの売上金と、設備投資や人件費、税金の支払いなどの経費とのバランスが重要です。経理職はこのバランスを調整し、お金の流れを適切に管理する責任があります。経理事務の仕事は、やりがいを感じられるものです。
以下は、経理事務の具体的な業務内容の例です。
現在、多くの会社では経理業務に会計ソフトウェアを使用しています。そのため、データ入力やパソコン業務も業務の一部となっています。また、外部の会計士や税理士を雇っている場合もあり、専門知識が必要な仕事と言えます。
経理業務では、日常業務に加えて、月ごとや年ごとに特定のタイミングで行うべき仕事があります。期限のある業務では、遅れや見落としを防ぐために準備をしっかりしましょう。
以下に、経理事務の業務手順の一例を紹介します。
時間 | 業務内容 |
---|---|
9:00 | 出社 |
10:00 | メール確認・返信 |
11:00 | 入出金状況の確認(通帳記帳) |
12:00 | 昼食 |
13:00 | 取引先の伝票確認 |
14:00 | 書類整理 |
15:00 | 他部署の経費チェック |
16:00 | 一日の仕訳を入力 |
17:00 | 翌日の予定を作成 |
18:00 | 退勤 |
日付 | 業務内容 |
---|---|
1日 | 月予定の作成 |
5日 | 取引先への請求書作成 |
10日 | 税・社会保険料の納付 |
20日 | 取引先への代金支払い |
25日 | 給与精算 |
末日 | 月次の決算作成 |
月 | 業務内容 |
---|---|
4月 | 決算書作成 |
5月 | 確定申告・納付 |
6月 | 株主総会の準備 |
7月 | 源泉所得税の納付 |
11月 | 中間決算 |
12月 | 年末調整 |
1月 | 源泉所得税の納付 |
3月 | 在庫の棚卸 |
通常、「事務職」という言葉で表される仕事には、経理事務以外にもいろいろなタイプがあります。それぞれの事務の具体的な業務内容や、一般的な年収の範囲について紹介します。
事務職の種類 | 仕事内容 | 年収 |
---|---|---|
一般事務 | 書類作成、データ入力など | 約320万〜400万円 |
経理事務 | 企業のお金の管理 | 約380万〜500万円 |
営業事務 | 営業のサポート | 約320万〜430万円 |
総務事務 | 企業全体の庶務・雑務 | 約360万〜430万円 |
貿易事務 | 海外輸出入に関わる事務 | 約350万〜450万円 |
人事事務 | 入社・退職や人材配置に関わる事務 | 約360万〜650万円 |
法務事務 | 企業法務に関わる事務 | 約420万〜500万円 |
医療事務 | 医療法人での事務 | 約260万〜350万円 |
経理事務で働くというメリットは以下のようなものがあります。
経理事務は給与水準や転職・キャリアアップの面で有利な分野であり、将来性のある仕事と言えます。
経理事務には、他の職種と同様に、適性が存在します。
経理事務は、さまざまなデータや書類を扱う仕事です。そのデータや書類はお金に関係するものであり、小さなミスも許されません。
1円単位での正確な管理が求められます。正確さと丁寧さを持って作業を進めることが非常に重要であり、真面目さも必要です。
経理業務では、毎月定められた日までに給与の計算や振込処理を完了させたり、決算報告の準備を指定された期限までに整えたりすることが必要です。
このような業務の性質上、経理職には「予定通りに物事を進める」という能力が求められます。
経理職は会社の経営に直接関わる仕事であり、小さなミスでも大きな影響を及ぼす可能性があります。経理職は、社会的にも高い地位を持ち、転職市場でも高く評価されているのは、このような重い責任を果たし、実質的に経営の一部を担っているからです。
この重要な役割を果たすためには、強い責任感を持つことが必要です。
経理職未経験でも実現する可能性があります。特に、一般事務という同じ事務職の中で、経理事務への移行は比較的スムーズなルートです。
一般事務から経理事務へ進む方法としては、以下のようなものがあります。
経理の経験がない場合、他社の経理職に転職する前に、まずは、同じ会社内で経理担当の部署に異動する手段があります。これは転職活動よりもハードルが低く、かつ経理の実務経験を積むことができる方法です。
部署異動を成功させるためには、人事担当者に対して「なぜ経理職に興味を持ったのか」という理由を説明できるよう、時間をかけて準備することが大切です。ただし、自身のキャリアアップだけでなく、「経理を志望することで会社にどのような貢献ができるか」という視点も忘れずに盛り込むことがポイントです。
また、経理関連の資格取得も部署異動のきっかけとして有効です。資格取得は経理への意欲を示すだけでなく、自身のスキルアップにもつながります。
経理の求人には未経験者も応募できる案件が多く存在します。ただし、資格を持っていると働きやすくなるため、資格取得も検討しておくことがいいでしょう。
以下に、経理事務未経験者が取得しやすい資格を紹介します。
この資格はExcelやWord、PowerPointなど、Microsoftのオフィスソフトを使った業務スキルを証明するもの。経理部署は事務用のソフトを頻繁に使用することが多く、オフィス業務に関わるスキルの持ち主は重宝される。合格率は約80%と予測されており、合格のハードルは高くない。経理職以外の事務系業務全般でも役立つスキルを学ぶことができる
簿記は、会計スキルの基礎となる資格。公認会計士資格や税理士資格など、難しい資格を目指す人たちも、その前のステップとして簿記検定を受験しています。1級は難しいとされていますが、3級は比較的難易度が低く、未学習者でも2〜3ヶ月の学習で合格できる可能性がある
簿記検定と同じで、会計分野の資格。簿記検定では、主に仕訳に関する試験内容が重視されているのに対し、ビジネス会計検定では、主に決算書や財務諸表の理解と分析が重視されている。1級から3級までのレベルがあり、3級の合格率は60〜70%、2級の合格率は30〜50%と、試験ごとに合格率にばらつきがある。試験は年2回実施され、半年ごとに受験することができる
大企業の経理部では、正社員以外にも派遣スタッフが活躍しています。経理事務の中には、専門知識を必要としない単純な作業もあり、そのような仕事は派遣スタッフに任されることもあります。
派遣スタッフの給与水準は正社員よりもやや低いですが、一般的なアルバイトと比べると給与水準は高く、フルタイムで働く場合には社会保険などの恩恵も受けることができます。また、経理事務の実務経験を積むことができるというメリットもあります。
派遣スタッフとして経理事務の経験を積むことで、一部の企業では正社員になる機会が与えられることもあります。また、実務経験をアピールして他の企業で正社員として働ける可能性があるでしょう。
経理事務は企業のお金の流れに関わり、管理責任が求められるポジションです。そのため、一般事務と比べて市場価値が高く、給与水準も高い傾向にあります。もし一般事務から経理事務に転職を考えているなら、部署異動や資格取得を活用した転職活動、または派遣会社に登録して経理部門の派遣スタッフとして働くという方法があります。
経理事務への転職を検討する際に役立つ資格としては、マイクロソフトオフィススペシャリスト、簿記検定、ビジネス会計検定などがあります。経理事務への転職を考える場合は、これらの資格取得も検討してみるといいでしょう。