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経理職への転職者向け自己PRのポイント|注意点と具体的な例文も紹介

2023/10/22 更新

経理職への転職を考えている人々は、「自分の志望動機をどのように書けば伝わるのか」「自分の経験をどう強調すればよいのか」など、悩んでいる方が多いかもしれません。経理は専門性が求められ、自己の特徴を際立たせるのが難しい分野とも言えます。ただ単に経験や技能を列挙するのではなく、珍しいプロジェクトでの体験や、具体的な成果を提示することで、説得力を持つようになるでしょう。

この記事では、採用者が心を引かれるような自己PRの作り方を解説していきます。

経理職を希望する転職者が自己PRを書くときの5つの要点

自己PRは、あなたの職務経験や志望動機と共にあなたの魅力を示す大切な要素です。採用担当者はたくさんの応募者を見ていますが、スキルや経験は似たようなものに見えてしまうことがあります。

採用を勝ち取るためには、自分の特長、強み、熱意をしっかりと伝えることが必要で、それが自己PRのキーポイントとなります。そこで、経理の転職者が自己PRを書く際の5つのポイントをご紹介します。

①自分の特長を示す

経理は、どの会社も似たような業務内容であり、高い専門性が求められるため、経験やスキルによる差別化が困難です。採用担当者は、「この人だ」と選べる人材を探していますので、他の応募者と比較して魅力的な「特長」を持った人を望んでいます。「誰にも負けない」という特長を強く伝えましょう。

自分の特長をはっきりと伝えるためには、自分自身の分析が重要です。業務の効率化への貢献、大きなプロジェクトの経験、チームリーダーとしての成功などのテーマを見つけ出し、自分の貢献と達成した成果を数値化しましょう。

例えば、業務の効率化については、どのような手法で何パーセントの時間を削減したかなど、具体的に書くことで理解しやすくなります。もちろん、粘り強さや仕事の速さ(他の人と比較して何パーセント早い)、正確さ(ミスの少なさ)なども、具体的な数値で明確に表現すれば、「特長」のアピールとなります。

②経理業務の経験を強調する

経理では、日常業務、月次業務、年次業務など一定の仕事が主となり、経験による差別化は難しいです。しかし、どの段階の業務を担当していたのかを明らかにすることで、採用側に自身の能力を正確に伝えることができます。

年齢やキャリアによりますが、財務諸表や決算書の作成に大きな役割を果たした経験などは特に評価されるでしょう。各種の報告書の作成、連結決算の経験、税務報告などの経験も有利に作用します。

また、大規模プロジェクトの経験は、採用担当者に強い印象を与えることができます。「コアシステムの改革プロジェクトに参加した」「IPOの準備を行った」「新たな会計ソフト導入のリーダーを務めた」「リモートワーク対応のための報告システムを構築した」などです。

自分の業務経験を洗い出し、特に特徴的なものを自己PRに取り入れることで、採用側が「欲しい」と思う人材へと近づけるでしょう。

③これまで扱った具体的な数値やデータを明らかにする

経理にとって重要なのは、数学的な精確さであり、企業リソースである「人」「物」「金」の中の「金」の管理がその核心的任務です。

日々正確に記録された「金」の収支は、月次の「金」の状況を示し、それが決算に直接結びつきます。「どのような数値やデータを取り扱ってきたか」は、経理としての経験を客観的に示すものです。「総売上利益率」「労働生産性」などの経営指標は、「営業利益」や「総売上利益」などの数値から導き出されます。これらの数値は、経理が日々、月々、年々と取り扱う収入と支出の数値に基づいています。

あなたがどのような数値を扱ってきたのかは、経理としてのスキルと取り組んできた仕事の重要度を示すので、しっかりとPRしましょう。経営側に対して経費削減や生産性向上の提案をした経験も高く評価されます。

④コミュニケーション能力をアピール

経理は、組織内の全ての部門の人々と関わる職務です。社員の立替経費の清算、請求書や領収書の発行、経費の内容の確認など、社員に質問したり確認する場面が頻繁にあります。

業務部門の営業や企画の社員の中には、自分たちの忙しい仕事が会社の利益に繋がっているという自尊心と誇りを持っている人がいて、管理部門からの質問に時間を取られることを嫌う人もいます。経理職は、彼らの感情を理解しつつ、必要なコミュニケーションを短時間で行う能力が求められます。経営者への問題点や改善策の報告、監査法人や金融機関への説明や交渉が必要な場合もあります。

経理が求められるコミュニケーションは、企業のリソースである「金」の動きを客観的に可視化するためのものです。したがって、他者の立場や時間を最優先にしつつ、正確な情報を引き出す高度なスキルが必要とされます。システムや制度の変革時に、「各部署の現場担当者に納得のいく説明を行った」といった経験は、高く評価されるでしょう。

⑤スキルのアップデートと常に学ぶ姿勢を示す

経理業務は常に変化し、法規制の変更や新しい会計基準の導入など、常にアップデートが求められます。そのため、自分がどのようにスキルを更新し続け、学び続けているのかを明示することも自己PRの重要なポイントです。

例えば、「最近は会計ソフトの最新バージョンについて学んでいる」「新たな税制の改正に関してセミナーに参加した」など、自己啓発の具体的なエピソードを紹介することで、採用者に対する信頼性とモチベーションを示すことができます。

また、日々の業務で解決した問題や改善したプロセスなど、具体的な事例を通じて自己成長を示すことも有効です。これらの詳細を自己PRに盛り込むことで、あなたが経理としての専門性と情熱を持つ人材であることを伝えることができます。

⑤自身の進化を明示する

経理の職業は専門性が高いものであり、中長期的な視野を持つと同時に、自身の知識の深化や新たな分野への挑戦という自己成長が求められます。財務知識を身につけることで、数字の重要性をより深く理解し、微細な数字の変化からも経営に対する有益な提案を可能にします。

現在、自分が経理専門家としての価値を高めるために「どのような学習に勤しんでいるのか」を具体的に示しましょう。経理で要求される日商簿記2級以上の知識、つまり財務や決算に関連する知識を身につけることは、1級簿記の取得を目指す価値があります。また、税理士試験の11科目、特に財務諸表論、法人税法、国税徴収法、消費税法、事業税などの科目の勉強は、自己成長への積極的な姿勢を示す手段です。

さらに、財務・経理分野や関連法令、ビジネス、市場についての情報収集を常に怠らないことも重要です。学習への情熱と日々の成長を追求する姿勢、そしてその行動の詳細は、自己PRの大きなプラスポイントとなりますので、これらの取り組みをはっきりと伝えることが重要です。

経理自己PRの3つの有利な要素

経理経験をアピールすることで、採用側からの評価を得られ、自分に有利に働くポイントが存在します。「すぐに貢献できそうだ」、「経験をしっかり積んでいる」という印象を与えて、自分が採用したい候補者であると思わせるための主要な要素を以下に紹介します。

①ソフトウェアやシステムへの熟達度

Excel、Word、PowerPointなどの基本的なソフトウェア、会計ソフトウェア、データベースソフトウェアのスキルは、各ソフトウェアで何が可能なのか具体的に示すことで評価が高まります。

ただソフトウェアをリストアップするだけでなく、それぞれのソフトウェアにおける経験の年数と「使いこなせる機能」や「どのような成果を生み出すことができるか」を明確に表示し、それを強みにすることが重要です。例えば、SAPを利用できる、各種フォームやテンプレートを作成できる、ExcelでIF関数を操作できる、データ分析が得意である、マクロを作成できる、Accessでデータベースを作り、データの抽出と分析が可能であるといった具体的なスキルを明確に表現しましょう。

会計ソフトウェアや業務クラウドは会社により異なるため、基本的な仕組みへの理解と、ソフトウェアが変わったときでも柔軟に対応できる能力の証明も重要です。

②IPO(初公開株式公募)の経験

ベンチャーや中小企業の経理の経験を持つ方にとって、IPOなどの大規模なプロジェクトでの経験は高く評価されます。IPOの準備は申請する数年前から開始され、それは大変な仕事です。

IPOには、取引所の公認会計士による監査が必要です。監査は、経理が作成した決算書を基に行われ、その正確性と適切性が求められます。経理として、正確な決算書の作成に加え、財務諸表の作成と開示、監査法人への対応、主幹事証券会社の審査への対応など、幅広いタスクが課せられます。これは通常の業務よりも細心の注意を要し、上場後もその精神が続きます。

つまり、IPOの経験は、あなたをより高度な経理プロフェッショナルへと昇格させるものです。したがって、IPO準備に関与した経験は、経理プロフェッショナルとしての希少価値を持つと評価されます。同じ理由で、大手上場企業における決算書の作成、連結決算、M&A、会社の分割や統合など、厳格な財務審査や評価が必要な状況での経験もあなたの強みとなります。

③リーダーシップと管理経験

30代後半や40代での職務転向時、チームリーダーやマネージャーとしての経験はよく求められます。企業が中堅人材を募るとき、彼らがただ即戦力としてではなく、部下を監督する管理者として活躍することを期待しているからです。

あなたがチームリーダーや管理職の経験を持っている場合、具体的にどのような業務を担当し、何人のメンバーを管理したのかを示すことが重要です。また、「業務の効率を向上させた」や「目標達成に向けてメンバーのモチベーションを成功裏に管理した」などの実績も伝えてください。メンバーの出勤管理、評価、そしてメンタリングの経験なども評価の要素となります。

さらに、チームや組織を指導する際に重視した点、業務の進行管理、PDCAサイクルを回す際の工夫なども強調しましょう。管理職の経験者は、経営陣との協力や部署の業務改善に向けた取り組みの経験もアピールポイントとなります。

経理職に初挑戦する人の自己PRで強調すべき4つのポイント

経理への未経験からの転職は、年齢によるが、難易度は高くなります。顧客ビジネスの営業職や企画職とは異なり、経理は会社経営の一部を担当する部署であることを理解し、自分の経験、スキル、長所がどのようにその業務に活かせるかを示すことが求められます。

一方で、採用企業側は経理という専門分野に、新たな視点やアイデアを持った人材を求めていることもあります。その際、他の職種で育ててきた経験とスキルが注目されます。ここでは、経理職を目指す未経験者が強調すべき4つのポイントをご紹介します。

①精度と集中力

経理部門は、会社の重要な数値を取り扱う部門であり、誤りや不注意、計算ミスなどは許されません。経理の数字が間違っていると、経営指標や業績評価に誤りが生じ、これは経営戦略や部門の業務改善指標の設定に直結します。

さらに、立替金の精算や給与計算での間違いは、経理部門への疑念を招く可能性があります。以前の仕事で、数字に対して厳格に取り組み、精度を重視してきたことを強調すると良いでしょう。例えば、営業職で、売上や粗利だけでなく細部の経費にまで注意を払い、これを最小限に抑える管理を行ってきた経験などは高く評価されます。

経理は書類や報告書の作成も多く、その中でも数字を扱うため、現職での書類作成スキルや、ミスを排除するための手法、細部にまで注意を払う能力もアピールポイントになります。

②コミュニケーションスキル

他の部門での経験から引き出せるスキルの一つが、コミュニケーション能力です。営業、企画、開発、製造などの各部署で、チームメンバーや顧客との調整や提案を通じて、コミュニケーションスキルは磨かれているはずです。

しかし、経理で必要なコミュニケーションは、自身の意見やアイデアを提案するものとは異なります。従業員や経営陣、外部の監査法人との調整や説明が重要であり、リスニング力と納得させるための忍耐力が求められます。

コミュニケーションスキルの中でも、情報を伝えるよりも受け取る能力が重視されます。相手の伝えたい情報を理解し、適切に反応し記録するリスニングスキルは非常に重要です。「顧客からの信頼を得られた相談相手であった」などのリスニングスキルを示すエピソードは高評価を得る可能性が高いです。

③数理能力と論理的思考

経理は数値やデータを扱う職種であるため、数理能力と論理的思考力が求められます。具体的には、数字に強い、計算が得意、予算計画や財務分析などの論理的な計画作りが可能などのスキルをアピールできます。

また、以前の職種で統計データを用いて分析した経験や、複雑な問題を解決するための論理的なアプローチを用いた経験も有効です。エンジニアやデータアナリストなど、数値やデータを扱う職種での経験は、経理職で活かせる能力として評価されます。

④プロジェクト管理スキル

経理部門は多くのプロジェクトを同時に進行させる必要があり、そのためのプロジェクト管理スキルが必要です。デッドラインを守り、優先順位を正確に判断し、タスクを適切に割り当て、チームのパフォーマンスを最大限に引き出す能力は、どの職種から転職する場合でも重要なスキルとなります。

具体的には、以前の職種でのプロジェクト管理の経験や、成功したプロジェクトの例、困難を乗り越えたエピソードなどをアピールすると良いでしょう。プロジェクトがスムーズに進行し、期限内に成功した事例を挙げることで、経理部門での管理能力を示すことができます。

経理職への転職時に自己PRを作成する際の注意点

自己PRは、あなたを全く知らない他人に、あなたの価値や魅力を明確に伝えるツールです。ただし、自分の視点だけで書かれた表現では、あなたの経験やスキルは適切に伝わりません。だからこそ、相手が理解しやすい表現方法を心がけるべきです。

相手の視点で書く

相手の視点で書くとは、自己中心的な主張に終始するのではなく、相手が知りたいと考える内容に焦点を当てることを意味します。あなたが採用者であった場合、求職者に何を知りたいと思うかをイメージしてみてください。

会社の文化に適応できるか、チームでどのように活躍できるか、リーダーシップを発揮できるかなど、採用者の視点での基準は理解できるはずです。「私はこんな人なので役立つ」ではなく、「私のこの経験があなた方の役に立つと思います」という、ニーズを満たすための控えめで謙虚な表現を意識しましょう。

さらに、相手を納得させる表現も重要です。単にスキルや経験を一覧表示するだけでは、あなたのパーソナリティは伝わりません。あなたの仕事への姿勢や態度といった人間性も示すように書くことが必要です。

具体的な成果や体験を示す

自己PRを作成する際、スキルや経験を強調するときには、具体的な成果や体験を提示することが大切です。自分が果たした役割や取り組んだ内容を、決算作業やIPOの準備、試算表の作成などにおける詳細と共にしっかりと記述しましょう。

職務歴も、何年間どの業務を担当し、次に何年間どの業務を担当したのかを具体的に記述し、一目で自分の経験が理解できるように整理することが求められます。

経理は専門分野であり、勤務年数や経験年数に基づき、より重要な業務が任される傾向があります。担当した期間や取り組んだ業務内容は、直接的に経理職としてのあなたの能力と価値を表現します。そのため、正確かつ具体的に伝えることが重要です。

必ず根拠を示す

採用者を納得させるためにも、あなたの成果や経験、スキルを明記する際には、その根拠を示す必要があります。たとえば、コミュニケーション能力が高い、リーダーシップがあると述べるだけでは、その理由を理解することはできません。その主張を伝えるためには、その根拠となる経験やエピソードが必要となります。

例えば、「給与計算のチームを指導していた時、メンバーの負荷分散を最優先に考え、作業時間の割り当てや業務分散、チェック体制の強化を行い、作業時間を30%削減することができました」のような根拠があれば、リーダーシップの能力を理解してもらえます。具体的なエピソードを示すことにより、自己PRの説得力は大幅に増します。

経理職向け自己PRの参考例

これまでに述べたポイントや注意点を考慮に入れて、経理職向けの自己PRのサンプルをご紹介します。経理の職歴がある方、他の職種からの転職者、そしてマネジメント経験者を対象とした例を提示します。これらは一例であり、ご自身の職務経歴や担当した業務を基に自己PRを作成してみてください。

  • 経理経験者の場合:
    「前職では3年間、経理チームで決算業務を担当し、その中で自分自身が担当した業務の精度と効率を向上させるための改善案を数多く提案し実行しました。この結果、決算作業の時間を20%短縮することができました。」
  • 別職種からの転職者の場合:
    「営業部で働いていた経験から、経理職のための優れたコミュニケーション能力と、精密なデータ分析スキルを養いました。特に、クライアントの要望を正確に理解し、それに基づいた提案を作成する能力は、経理職にも活かせると自負しております。」
  • マネジメント経験者の場合:
    「過去のマネジメント経験から、チームのリーダーシップとメンバーの能力開発に自信があります。給与計算チームを率いていた際、業務分散と効率化に成功し、全体の作業時間を30%削減しました。この経験から、経理部門でもチームの効率と生産性を向上させることができると考えています。」

経理職へ転職を狙うなら自己PRで差をつける

印象深い自己PRを作り上げて、経理職への転職に取り組みましょう。経理での職務経験は、基本的な能力や経験だけでは他との差別化が難しいため、独自の強みを効果的に伝達することが求められます。自分の達成した結果やその根拠を具体的に示すことで、経験の価値を高めることができます。

例えば、上場企業における会計業務の経験は、数値処理の正確性と適切な対応力を証明することができます。また、異なる部門をまたいだプロジェクトや他部署との交渉・調整の経験を活用して、コミュニケーション能力を強調するのも一つの手法です。応募先が何を知りたいかを推測し、それに対応できる経験やスキル、知識をアピールして、好意的な評価を得て転職を実現しましょう。

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株式会社WARC

WARCエージェントマガジン編集部

「人材紹介の『負』の解消を目指す、新しい転職エージェント」をビジョンに、ハイクラス人材紹介事業を展開しているWARC AGENT。WARCエージェントマガジン編集部は、このビジョンを支えるために、転職者に役立つ情報を執筆し、個々のキャリア形成をサポートしていきます。