経理職は、単なる数値管理にとどまりません。時には経営戦略にも関わることが求められ、企業の財務状況を支える重要な役割を担ってます。
そんな中で経理職としてのキャリアをさらに向上させるためには、スキルアップが欠かせません。
この記事では、経理職に必要な能力と資格について詳しく解説。どのようにしてキャリアをステップアップさせるかをご紹介します。
経理職におけるスキルアップは、個人の成長と企業の発展の両面で非常に重要です。
経理の知識や技術は日々進化しており、最新の情報を取り入れることで業務効率を向上させ、より正確な財務報告を行うことが可能になります。
また、スキルアップを図ることで将来的なキャリアパスも広がり、管理職や専門職としての道が開けます。
まずは、経理としてスキルアップする重要性とそのメリットについて詳しく見ていきましょう。
経理職のスキルアップは、単なる知識の拡充にとどまりません。新たなスキルを習得することで、日々の業務の効率化が図れ、ミスを減らせます。
また、経理の専門知識を深めることで、より戦略的な財務分析が可能になり、経営陣への有益な提案ができるようになります。
経理のスキルアップは、キャリアの幅を広げる重要な手段です。専門的な資格取得や新しい会計ソフトの習得は、より高度なポジションに就くための強みとなります。
例えば、管理会計や財務分析のスキルを身につけることで、経理部門だけでなく経営企画部門やコンサルティング分野への転身も可能です。さらに、経理のプロフェッショナルとしての地位を確立し、高い評価を得ることで、昇進や昇給のチャンスも増加します。
経理職の基本業務は多岐にわたります。
日常業務 |
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月次業務 |
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年次業務 |
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これらの業務を的確に行うためには、幅広いスキルと知識が必要です
経理の業務は、日々の資金の動向を管理し、経営判断に必要な財務報告書を作成することです。
主な仕事内容は、以下の通りです。
経理の仕事は日々、月々、年々とサイクルがあります。それぞれ「日次業務」「月次業務」「年次業務」と呼ばれるケースがほとんどです。
企業の経理部門は会社経営に不可欠な重要な役割を果たしています。
経理で日々発生する業務は以下の通りです。これらの業務は1日の間に発生次第順次行います。
業務内容 | 説明 |
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現金の出納管理 | 現金の残高確認 |
立替経費の精算 |
※企業によっては月次で対応 |
受注・出荷・売上を集計 | 受注額・出荷額・売上額を会計システムにてデータ化 |
棚卸資産の管理 | 棚卸資産(販売目的で一時保有している製品や原材料など)の受け入れ処理や在庫確認 |
取引先の登録 |
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経理が毎月行う業務は以下の通りです。
時期 | 業務内容 |
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上旬 |
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中旬 | 源泉所得税納付(10日) |
下旬 |
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経理の年間スケジュールは以下の通りです。(3月決算の株式会社を想定)
月 | 業務内容 |
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4月 |
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5月 |
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6月 |
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7月 |
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8月 | 消費税の中間申告および納付(大規模事業者が対象) |
11月 | 法人税・法人住民税・法人事業税・消費税の中間申告 |
12月 |
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1月 |
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2月 |
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3月 | 販売目的資産(棚卸資産)の実地棚卸現物点検と残高確認 |
経理のキャリアアップを目指すためには、特定のスキルと能力が必要です。
この章では、経理のキャリアアップを目指す上で特に重要な3つのスキルをご紹介。経理職としての評価を高め、キャリアの幅を広げるための参考にしてください。
基本的な会計知識は、経理職の基盤です。貸借対照表や損益計算書などの基礎的な会計処理を正確に理解し、実務に適用する能力が求められます。
数値の正確性は経理の信頼性に直結するため、非常に重要。細部にわたる正確な数値理解と処理能力は、日々の業務を確実に遂行するために不可欠です。
この基本をしっかり押さえることで、上位の業務にも対応できる基礎が築かれます。
財務分析能力と予算管理スキルは、経理のキャリアアップに欠かせません。財務諸表を分析して企業の財務状況を把握し、将来の経営戦略に役立つ情報を提供する能力が求められます。
また、企業の予算編成・実績管理・差異分析までを行い経営陣の意思決定をサポートするためには、予算管理スキルも重要です。
これらのスキルを高めることで、経理職としての専門性を発揮し、戦略的な役割を担えます。
経理職には、法的知識と税務に関する知識が必要です。企業活動は常に法律に基づいて行われるため、会社法や労働法などの基本的な法的知識を持つことが求められます。
また、税務に関する知識も必要。法人税や消費税、所得税などの各種税務処理を正確に行う能力が求められます。
これにより、法令遵守を確保し、企業のリスクを最小限に抑えることが可能に。法的知識と税務知識を持つ経理担当者は、企業にとって非常に価値のある存在となります。
経理のキャリアアップには、スキルの向上が重要です。経理に必要なスキルと求められる人物像を示すチェックリストを活用し、現在の位置を正確に把握してみましょう。
実務年数 | 実務レベル | 必要なスキル | 求められる人物像 |
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入社3年未満 |
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入社3年以上5年未満 |
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入社5年以上10年未満 |
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経理職としてキャリアを積むためには、スキルアップが不可欠です。
この章では、スキルアップを実現するための具体的な方法を3つご紹介します。
経理スキルを磨く上で非常に重要なのが、「実務経験」。日常業務を通じて、会計処理や財務分析の実践的なスキルを習得することが可能です。
また、問題解決能力や迅速な対応力を身につけるためには、さまざまな経理業務に積極的に携わりましょう。具体的には、月次決算や年次決算の経験を積むことで、決算書の作成や財務報告のスキルが向上します。
さらに、業務の流れを理解し効率的に仕事を進められるようになるためにも、実務経験の積み重ねが大切です。
資格取得は、経理スキルを証明する手段として非常に有効です。例えば、日商簿記検定や公認会計士資格などの取得を目指すことで、専門知識を体系的に学べます。
資格取得の過程で得られる知識は実務に直結。経理業務をより深く理解するための強みとなります。
また、資格取得後も継続的に学ぶ姿勢が重要です。最新の会計基準や税法の変更に対応するため、定期的なセミナーや研修に参加し、知識をアップデートしていきましょう。
経験豊かな先輩や上司からの助言は、スキルアップにおいて貴重です。日常業務での疑問点や課題を共有しアドバイスを受けることで、自身の業務に役立つ実践的な知識を得られます。
また、メンター制度や社内研修を活用したり、業界のネットワーキングイベントや勉強会に参加したりするのも効果的。他の経理プロフェッショナルと交流を通じて異なる視点や最新の業界トレンドを知り、自身の知識とスキルを広げられます。
経理のスキルアップには、資格取得が非常に効果的です。
以下で、経理のスキルアップに有益な5つの資格とその活用法をご紹介します。
日商簿記は、日本商工会議所と各地の商工会議所が主催する簿記検定で、国内で最も知名度が高い試験です。経理業務に必要な基礎知識やスキルを身につけられます。
1級・2級・3級・初級の4つの階級で試験が行われ、「会計処理」「財務諸表の作成方法」「仕訳記入」などが問われます。
合格することで、基本的な簿記の理解を証明できるだけでなく、経理職の信頼性を高められるのがメリット。経理職のスキルアップやキャリア発展に貢献する資格の一つとされている資格です。
全経簿記は、全国経理教育協会が主催する簿記検定で、経理事務を目指す人向けの試験です。上級・1級・2級・3級・基礎簿記会計の5つのランクで試験が行われ、難易度は比較的低いとされています。
経理職や日商簿記検定の練習をしたい人やビジネスパーソンが受験するケースが多いです。上級合格者は税理士試験の受験資格を得られるため、税理士志望者も受験するケースがあります。
FASS検定は、経済産業省の委託を受けた日本CFO協会が開発し、経理や財務部門で求められるスキルを問う比較的新しい検定試験です。
資産・決算・税務・資金の4分野から出題され、合否ではなくA~Eの5段階評価なのが特徴。近年は企業から高い信頼を得る検定として注目され、経営幹部を目指す人に自己評価を促す試験として活用されています。
給与計算実務能力検定は、内閣府認可の一般財団法人職業技能振興会が認定する民間資格です。2級と1級の試験区分があり、給与計算の実務スキルが評価されます。
他にも、給与計算業務に関する基礎知識や法律、労働法令などの理解が必要。合格することで、年末調整を含む給与計算業務のみならず、社会保険や税務などの関連手続きも遂行できるようになります。
給与計算実務能力検定試験は、人事部門だけでなく、経理担当者にも実務的なスキルの向上やキャリアの発展に寄与する有益な資格として認知されています。
公認会計士と税理士は、会計・財務領域における専門的な知識と技能を有する資格です。
公認会計士は企業の財務諸表や監査業務を専門的に行い、会計の専門知識と法律に基づく監査能力が求められます。税理士は、税務申告や税務相談を行う資格であり、税法や経済に関する幅広い知識が必要です。
公認会計士や税理士の試験に合格すると、専門家としての信頼性を高め、企業や個人に対して財務や税務に関するアドバイスができるようになります。取得には長期間の学習と準備が必要ですが、公正で信頼性のある会計・税務の専門家としての地位を築ける有力な資格です。
最後に、経理のスキルアップ後に目指すべき具体的なキャリアパスについてご紹介します。
自分の強みや興味に応じて最適なキャリアパスを選択し、さらに成長を目指しましょう。
経理のスキルを磨くことで、経理主任や経営企画などのジェネラリストとしてのキャリアを目指せます。
経理主任 | チームのリーダーシップを発揮し、部門全体の業務効率化を図る |
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経営企画 | 財務データをもとに経営戦略を立案し、企業の成長に貢献する |
経理主任や経営企画には、経理の基本知識に加え、幅広いビジネス知識や戦略的思考が必要。そのため、MBA取得やビジネス関連のセミナー参加がキャリアアップに有効です。
経理のスペシャリストとしてのキャリアを追求する道もあります。例えば、税務専門家・内部監査人・財務アナリストなど、特定の分野に特化することで専門性を高めることが可能です。
税務専門家 | 複雑な税務処理や税務戦略の立案 |
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内部監査人 | 企業内の監査を通じて内部統制の強化を図る |
財務アナリスト | 企業の財務状況を分析し、投資判断や経営戦略の策定に貢献 |
これらのスペシャリストは高度な専門知識と経験が求められるため、継続的な学習と資格取得が重要です。
経理のスキルを活かして異業種への転職を目指すことも可能です。
例えば、IT業界やコンサルティング業界など、経理の専門知識が求められる分野は多岐にわたります。異業種への転職を成功させるためには、自分の経理スキルがどのように新しい業界で役立つかを明確にすることが重要です。
また、異業種で必要とされる追加のスキルや知識を身につけるために、関連するセミナーやオンラインコースに参加することも有効。ネットワーキングイベントや転職エージェントを活用して、新しい業界でのチャンスを探りましょう。
経理としてスキルを積みキャリアアップを目指すには、常に学習意欲を持ち業務の範囲を広げていくことが重要。そのために、経理知識や会計基準の習得・数値理解能力・ITスキル・コミュニケーションスキルの向上が必要です。
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