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経理
2023/12/05 更新

税金対策の要点と損金経理の実践方法|損金経理が不可欠な事例と条件を解説

経理の仕事において避けては通れない業務の一つが損金経理です。損金経理を適切に行うことで税金対策にもなりますが、注意が必要でしょう。損金経理を正確に行わないと、税務調査などで思わぬ追徴課税が発生する可能性があります。そのため、損金経理の概念についてよく理解しておきましょう。

この記事では、損金経理の意味や必要性に加えて、具体的な場面や損金経理ができない項目についても説明します。

損金経理とは

損金経理は税法上(法人税)で使用される言葉で、法人が確定した決算で費用または損失として記録することを指します。これは法人税法で定義が一般的です。

法人税は企業が得た利益(益金)に対してかかる税金ですが、その利益を上げるために必要な費用を損金として引き算できます。この処理を損金経理と呼びます。

損金経理を行うことで、課税対象となる利益(益金)を減らすことができ、結果として税金が軽減できます。正確に納税するためには損金を考慮する必要があり、逆に言えば、損金経理を怠ると、法人税の申告時に損金として認められず、結果的に税金が増額されてしまいます。

法人税を抑えるためにも、適切に損金経理を行うことが必要です。

損金の意味について

損金とはそのままの意味で、企業が損失を被り、失った資金のことを指します。会社が事業を遂行する上で発生する支出を指す意味では、費用や経費としばしば混同されますが、費用・経費とは異なる概念です。

損金は税法で使用される言葉であり、対照的に費用は主に会計上で利用され、これらは明確に区別されます。具体的には、会計上では「費用」として経費を計上できても、税法上は必ずしも「損金」として計上できないケースがあります。言い換えれば、費用と損金では、企業の経費として扱われるかどうかの点で違うのです。

たとえば、会計上では役員への給与を費用として計上できますが、税法上では一定の条件を満たす必要がある役員給与でなければ損金として計上できません。

また、税法上の利益は益金と呼ばれ、会計上では収益として区別されています。これらの違いを知っておくことは重要です。

企業会計と法人税務の違いを理解する

損金と費用は似たような意味を持ちながらも、異なる分野で使用されるため、その意味の違いを正確に理解する必要があります。

先に述べたように、会計上・税法上での言葉の意味の違いを考察しましたが、企業会計と法人税務の目的の違いについても理解してみましょう。これらは以下のような違いがあります。

  • 企業会計の目的:経営成績を利害関係者に報告すること
  • 法人税務の目的:適切な税額を計算すること

目的が異なるため、利益の理念や計算方法にも違いが生じるのです。

経理・会計上の利益について

経理・会計上の利益は、次のように算出可能です。

【経理・会計上の利益】

  • 会計上の利益 = 収益 – 費用

会計上の費用は、簿記の規則に従っていれば、全額が費用として扱われます。

法人税法上の利益について

法人税法上の利益に関しては、以下のように計算できます。

【法人税法上の利益】

  • 課税所得 = 益金 – 損金

法人税法上の損金は、項目ごとに要件が規定されており、一部または全額が認められないことがあります。

このため、会計上で利益が0円であるからといって、法人税が生じないと誤解されケースも多いです。税金の計算段階では、損金として認められなかった項目に対して課税が行われ、法人税が発生することになります。

損金経理が必要になるのはどんな時か?

損金経理には特定の条件があり、一定の取引においてこれらの条件に基づいて損金経理を行わなければ、損金として計上することができません。以下に挙げるような項目が損金経理が必要とされる例です。

【損金経理が必要な項目の例】

  • 減価償却資産の償却費
  • 役員退職金

減価償却資産の償却費について

減価償却は、資産が長期にわたって使用され、その価値が年々減少するという考え方です。 減価償却費として経費を計上する場合、年ごとに分割して計上することが求められます。

例えば製造業で1000万円の設備を導入した場合、減価償却という概念がなく一括で計上すると、その年の利益が1000万円減少し、経営が傾いていると判断される可能性があり、銀行などからの融資が停止されることも考えられます。こうした事態を防ぐために減価償却という概念が存在しているのです。

減価償却費には税法上の上限が定められており、それを超えて計上することはできません。損金経理をせずに申告し、上限を超えた部分は損金として認められず、その分が課税されることになります。

例えば、事業用の車を新車で240万円で購入した場合、耐用年数は6年なので、1年に計上できる減価償却費用は40万円です。税金を安くしたいからといって60万円を損金として計上しても、上限を超えた20万円分は損金として認められず、この分の課税額が増加することになります。

役員退職金について

役員退職給与に関しても損金経理が必要です。役員退職給与を損金に算入するためには、以下の要件を満たす必要があります。

【役員退職金を損金算入するための要件】

  • 損金算入する時期
  • 役員退職金の支払い方法

損金算入のタイミングについて

役員の退職金を損金に算入するためには、以下の時期で損金算入が必要です。

  1. 株主総会で役員退職金の支給を承認した事業年度
  2. 役員退職金の支払いを行った事業年度

株主総会で退職金を決定した年と役員が退職金を受け取る事業年度が一致しない場合があります。そのため、都合の良い方を選択することができます。

役員退職金の支払い方法について

原則として、役員退職金を損金に算入する際には一括で支給されている必要があります。

ただし、株主総会が合理的な理由に基づいて分割払いを認めた場合は、その分割払いも損金として認められる場合も多いです。ただし、過度な分割払いは退職年金と見なされ、事業年度ごとの算入となり、税金対策としては有効ではなくなる可能性があるため、注意が必要でしょう。

また、税金対策のために過大な役員退職金を支給すると、損金とは認められなくなる可能性があるため、妥当な金額を設定するよう心掛けてください。

損金算入が難しい可能性のある経費

損金として計上する際に留意すべき項目についてご紹介いたします。

【損金算入が難しい可能性のある項目】

  • 役員報酬
  • 接待交際費用
  • 寄付金
  • 税金

役員報酬

役員報酬を損金として計上するためには、以下の条件を満たす必要があるので、注意してください。

  • 毎月の支給額が一定であること
  • 金額の変更は年に1回まで
  • 金額の変更は決算後3ヶ月以内

これらの条件を満たさない場合、役員報酬は損金として計上することができません。

接待交際費用

基本的に接待交際費は損金として計上が難しいです。ただし、以下の場合は例外的に算入が許可されます。

  • 一人あたりの会議費用が5,000円以内の場合
  • 資本金が1億円以下の企業:社外での飲食接待費が800万円まで
  • 資本金が1億円以上の企業:社外での飲食接待費が半額まで

寄付金

寄付金は損金として計上可能ですが、以下の上限額に留意しつつ、損金経理を行う必要があります。

  • 寄付金の損金計上上限:資本金の額÷400 + 所得の金額÷40

税金

税金には損金として計上できるものとできないものがあります。

損金計上できない税金

  • 法人税・地方法人税
  • 延滞税
  • 罰金
  • 所得税・復興特別税

損金計上できる税金

  • 酒税
  • 事業税
  • 事業所税
  • 不動産取得税
  • 固定資産税

企業の損金経理の重要性と適切な損金処理のポイントを理解しよう

損金経理は企業の経理業務において重要な役割を果たす業務です。 減価償却費や役員退職金など、損金経理が必要な項目については、正確な損金経理が行われなければ、計画通りの税金対策が難しくなります。会計上と税法上では経費と見なされる項目の取り扱いに違いがあるため、両者の違いを理解して、損金処理をしっかり行いましょう。

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WARCエージェントマガジン編集部

「人材紹介の『負』の解消を目指す、新しい転職エージェント」をビジョンに、ハイクラス人材紹介事業を展開しているWARC AGENT。WARCエージェントマガジン編集部は、このビジョンを支えるために、転職者に役立つ情報を執筆し、個々のキャリア形成をサポートしていきます。