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キャッシュフロー計算書(C/F)の基本を解説|意味や読み方を理解しよう

2024/02/02 更新

キャッシュフロー計算書は、企業が所有する現金の動きを示す財務諸表の一部です。本記事では、キャッシュフロー計算書の概要や読み方、他の財務諸表との関係などについて説明しています。

キャッシュフロー計算書は経理担当者だけでなく、中小企業の経営者や個人事業主の方も理解しておくべき情報ですので、ぜひ参考にしてください。

キャッシュフロー計算書(C/F)について

キャッシュフロー計算書は、企業が具体的に資金をどのように動かしているか、つまり現金の流れを理解するための財務報告書です。英語では「Cash Flow Statement」と呼ばれ、頭文字を取って「C/S」とも呼ばれます。企業の活動は主に「営業活動」「投資活動」「財務活動」の3つに大別されます。

キャッシュフロー計算書で把握する「現金」は、主に現金やほぼ現金として扱われる資産を指します。たとえば、普通預金や当座預金、流動性が高く3カ月以内に満期が到来する定期預金、3カ月以内に償還日がくる公社債投資信託などがこれに該当します。

キャッシュフロー計算書は、上場企業以外は法的に必要ない場合もありますが、現金が不足しているか、多額の融資を受けている場合に資金の状況が明確です。

「黒字倒産」のように、利益はあるが手元に現金がなく、仕入代金などの支払いができなくなり倒産に至ることがあります。

例えば、顧客がクレジットカードで支払った場合、売上と利益は支払いのタイミングで計上されますが、現金は後から入金されます。この状況で仕入代金の支払いが必要な場合、現金が手元にないと支払いができず、支払い不能の状態に陥る可能性も多いです。

こうした問題を避けるためには、常に現金預金の動きを把握しておくことが不可欠といえるでしょう。

キャッシュフロー計算書と損益計算書の関係について

キャッシュフロー計算書と損益計算書は、企業の財務情報を異なる視点から提供し、お互いに保管する重要な財務諸表です。

損益計算書は一定期間内の収益と費用を示し、企業の純利益を計算します。一方でキャッシュフロー計算書は現金の動きを記録し、現金の調達と支出を示す必要があります。損益計算書の税引前当期純利益が、キャッシュフロー計算書の期首残高の基準となります。

損益計算書で営業利益が出ている一方で、営業活動によるキャッシュフローが赤字の場合、これは売掛金の回収が遅れたり在庫が蓄積していたりする可能性も多いです。

そのため、損益計算書の営業利益がある一方で、営業活動によるキャッシュフローがマイナスの場合、その原因を早急に調査する必要があります。

このように、キャッシュフロー計算書は損益計算書を補完し、企業の利益を示すだけでなく、現金の状態も明示しています。損益計算書が企業の利益を表すのに対し、キャッシュフロー計算書は現金を稼ぐ力を示しているのです。

キャッシュフロー計算書と貸借対照表の関係について

キャッシュフロー計算書と貸借対照表は深く関係しており、貸借対照表では決算日時点での企業の資金の状態が示されています。それに対してキャッシュフロー計算書は、現金の変動の原因とその金額を示すものです。

前期の貸借対照表の現金の増減は、キャッシュフロー計算書の期首残高の現金の増減に対応します。一方で当期の貸借対照表の現金の増減は、キャッシュフロー計算書の期末残高の現金の増減です。

このように、キャッシュフロー計算書と貸借対照表は連動しており、貸借対照表の変化がキャッシュフロー計算書に影響を与えます。これらを組み合わせて分析することで、企業の資金繰りと財務の健全性を詳細に理解することが可能です。

キャッシュフロー計算書(C/F)の意味と目的

キャッシュフロー計算書を作成する主な目的は、企業内での資金の出入りを管理することです。企業が保有する現金の残高は以下の計算式で算出できます。

  •  期末のキャッシュ残高 = 期首のキャッシュ残高 ± 期中のキャッシュ増減額

企業が現金の流れを計画し、適切に管理することをキャッシュフロー管理と呼びます。キャッシュフロー管理には以下のメリットがあります。

  1. 資金繰りの管理:収入と支出の調整により、資金不足を未然に防ぐことが可能
  2. 現金増加:緊急の資金調達が不要な状況を作り出し、突発的なニーズに対応可能
  3. 債権者との信頼構築:円滑な資金調達を促進し、信頼関係を築く

財務諸表の作成は、企業の経営状態を利害関係者に報告するためのものであり、その中でキャッシュフロー計算書は特に重要です。

損益計算書には利益が見られるかもしれませんが、実際の現金が増加しているわけではありません。たとえば、損益計算書上で1億円の利益があったとしても、その1億円の収入が1年後に予定されている場合、資金調達のタイミングによっては企業が倒産する可能性があるからです。

キャッシュフロー計算書は、貸借対照表や損益計算書だけでは把握できない資金の流れを明示的に示します。

総じて、キャッシュフロー計算書は企業の財務健全性、資金繰り、戦略的な意思決定、税務管理などにおいて不可欠な要素となっています。

キャッシュフロー計算書(C/F)の読み方について

キャッシュフロー計算書は企業の現金の出入りを示す財務諸表のひとつです。通常、「営業活動」「投資活動」「財務活動」の3つの区分から成り立ちます。ここでは、各部門について解説します。

①営業キャッシュフロー

営業キャッシュフローとは、企業の営業活動によって出入りした現金の動きが記載されています。たとえば、商品を販売して手に入れた現金や、材料を仕入れるために支払った現金、広告宣伝費などの販管費の支払いの際に支払った現金がこれにあたります。

プラスの場合

マイナスの場合

本業での業績が良く、しっかりと現預金が回っている状態。 キャッシュが潤沢であることを表している。

在庫が過大であったり、売掛金に不良債権があったり、何らかの問題があることを示している。 資金的に不安定な状態であることを表している。

営業キャッシュフローは、会社がビジネス運営にどれだけの現金を生み出しているかを示し、資金繰りの健全性を評価するために役立ちます。

直接法について

キャッシュ・フロー計算書には、直接法と間接法の2つの表示方法があります。まず直接法とは、営業収入、原材料または商品の仕入による支出など、主要な取引ごとにキャッシュフローの総額を表す方法です。

営業キャッシュフローを直接法で表すと以下のとおりになります。

直接法

営業収入

商品の仕入等支出

人件費支出

その他の営業支出

営業活動によるキャッシュフロー

間接法について

間接法は、損益計算書をもとに営業キャッシュフローを計算する方法です。損益計算書における「税引前当期純利益」から調整項目を加減して計算します。営業キャッシュフローを間接法で表すと以下のとおりになります。

間接法

税引前当期純利益

減価償却費

売上債権の増加

仕入債権の増減

法人税等の支払

営業活動によるキャッシュフロー

キャッシュフロー計算書の間接法は、企業のキャッシュの流れを理解し、資金調達や運用に役立ちます。

②投資キャッシュフロー

投資キャッシュフローとは、企業の投資活動によって現金などがどのように出入りしたかを示しています。具体的には、新しい設備や不動産の購入、ほかの企業の株式や債権の取得、また資産の売却などの取引です。

投資や成長企業が先行投資をして現金を支払ったのであればマイナスになり、設備や株を売却して現金を得たのであればプラスになります。

会社が成長するには設備投資は必須であるため、一概にマイナスだから悪いというわけではありません。むしろ、積極的に投資を行っているといえます。投資キャッシュフローで見るべきポイントは、営業活動や財務活動によって流入した現金を投資して、事業拡大の動きが取れているかどうかになります。投資キャッシュフローが大幅にプラスである会社は、事業を縮小しようとしていると捉えることができる場合もあります。

投資キャッシュフローは、会社の長期的な戦略と財務の健全性を評価する指標になります。

③財務キャッシュフロー

財務キャッシュフローとは、会社が資金調達と借入金の返済で現金がどのように出入りしたかを示しています。具体的には、禁輸機関からの借入または返済、株主への配当、債務の発行または返済、株式の発行または買戻しなどが含まれます。

プラスであれば、会社が自己資本を増やすことや債務を返済する余裕があることを示し、マイナスであれば、新たな資金調達が必要であることを示す可能性があります。

財務キャッシュフローは、会社が財務政策やリスク管理戦略を評価するのに役立つ指標となっています。

④フリーキャッシュフロー

フリーキャッシュフローとは、事業活動や設備投資に必要なお金を除いた、会社が自由に使うことができる現金の額を示します。キャッシュフローの計算式は複数通りありますが、代表的な計算式は以下のとおりです。

フリーキャッシュフロー = 営業キャッシュフロー - 投資キャッシュフロー

フリーキャッシュフローは、経営を安定させるために欠かせない資金です。プラスであれば、会社は現金を生成し、新たな投資や債務の返済に利用できます。一方、マイナスであれば、資金調達が必要であることを示す可能性があります。

フリーキャッシュフローは、会社の成長機会、借入金返済、配当支払いの持続可能性を評価するために重要な指標です。

キャッシュフロー計算書(C/F)のチェックするポイント

キャッシュフロー計算書を見るときには、「営業活動」「投資活動」「財務活動」の3つのキャッシュフローを総合的に判断することが重要です。ここでは、キャッシュフロー計算書の具体的な見方について解説します。

キャッシュフロー計算書のパターン分けについて

キャッシュフロー計算書には、3種類があり、それぞれプラスとマイナスにわかれています。8つのタイプによる分類がされますが、代表的な6つのパターンを紹介します。

名称

営業C/F

投資C/F

財務C/F

内容

健全型

+

-

-

企業のあるべき姿のひとつ。本業で得た資金を、投資や借入金の返済にあてている状態。

積極型

+

-

+

事業拡大中の企業に多い。本業で得た資金を投資に回す一方、金融機関からの借入れで積極的に設備投資をおこなっている会社と考えられる。

改善型

+

+

-

事業を縮小しようとしている企業に多い。本業と資産売却で得た資金を返済に充てている。投資活動が行われていない状態で、事業が縮小されていると考えられる。

勝負型

-

-

+

資金繰りが厳しい企業に多い。本業での資金が流出している中、借入金等の資金調達で得た資金を投資に充てている状態。ベンチャー企業に多い。

衰退型

-

+

-

本業で資金が流出しており、固定資産等の売却で得た資金等で、借入金の返済を行っている状態。 リストラフェーズの会社である可能性がある。

救済型

-

+

+

かなり厳しい企業に多い。本業で資金我流しぅつしており、固定資産等の売却を行っても資金が足りず、追加で借入をしている状態。深刻な状態の会社とみられる。

キャッシュフロー計算書(C/F)を用いて、現金の流れを理解しよう

キャッシュフロー計算書は、会社の財務諸表のひとつで、現金の出入りを記録し、会社の経済的健全性を評価するための重要な書類です。キャッシュフロー計算書は3つの主要な部門から成り立っています。

  • 営6+-1業活動キャッシュフロー
  • 投資活2動+キャッシュフロー
  • 財務活動キャッシュフロー

キャッシュフローの理解と読み方は、企業の持続可能性や財務の健全性を評価するために不可欠です。現金収支を把握し、フリーキャッシュフローを計算することは、投資家や債権者にとって会社の評価に大きな影響を与えます。

また、貸借対照表や損益計算書からは読み取れない現金の流れを見ることができるため、貸借対照表や損益計算書とあわせて活用してみてください。

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株式会社WARC

WARCエージェントマガジン編集部

「人材紹介の『負』の解消を目指す、新しい転職エージェント」をビジョンに、ハイクラス人材紹介事業を展開しているWARC AGENT。WARCエージェントマガジン編集部は、このビジョンを支えるために、転職者に役立つ情報を執筆し、個々のキャリア形成をサポートしていきます。