経理は、管理部門の中でも専門的な知識とスキルが求められる重要な職種です。とくに20代の未経験者にとって、経理職への転職は将来のキャリア形成において重要な選択肢となります。
この記事では、未経験から経理としてのキャリアを築きたい20代の方々を対象に、転職の際のアピールポイントや必要なスキルなどについて解説します。
2024年における経理・財務の転職市場は、求人倍率が1倍を超える売り手市場です。それに伴い、経理の未経験者に対する間口も広がっています。まずは、経理の転職市場を詳しく見ていきましょう。
20代未経験者でも経理職への転職は可能です。
現在、経理の未経験者向けの求人が増加しており、企業側も積極的に20代の若手を採用しています。とくに簿記などの基礎知識と強い意欲さえあれば、経験がなくてもチャレンジできる環境が整っています。30代以降と比べても、20代の方が新しい学びに対する柔軟性があり、未経験からのスタートが容易です。
経理の業務は今後も増加する傾向にあり、人材不足が続いています。そのため、転職希望であれば20代から30代前半までの間に考えるのが良いでしょう。
20代前半と20代後半の未経験者を比較すると、20代前半の方が転職しやすい傾向にあります。
とくに経理職では、簿記2級以上の資格を保有していることが書類選考での必須条件となります。ただし、20代後半でもこの資格を持っていれば、書類選考の通過率を高めることができます。
20代の経理職採用基準について、ポテンシャル採用が注目されています。
大企業やグループ企業では将来の成長性を重視し、即戦力ではなく将来性のある人材を積極的に採用します。とくに経理の組織がシステム化された環境では、専門性を持った未経験者でもポテンシャルが評価される傾向があります。
一方で中小企業やベンチャー企業では、カルチャーフィットを重視した採用が行われ、経験よりも企業の価値観に合う人材を求めることがあります。このため、20代の若手は自身のポテンシャルを示し、経験を積むチャンスと捉え、積極的に転職活動を始めましょう。
ここでは、経理職の基本業務について解説します。
経理職は、具体的にはどのような業務を行っているのでしょうか。基本的な業務の一例を確認していきましょう。
業務項目 | 説明 |
---|---|
伝票の起票・整理 | 取引の発生や金額を明細に記録する処理 |
仕訳入力 | 取引の記録を簿記帳簿に反映する処理 |
請求書処理 | 請求書の発行、売掛金の管理・回収を行う業務 |
経費清算 | 従業員の経費精算処理を行い、承認・支払いをする業務 |
月次・年次決算 | 月末や年末に財務諸表を作成するための処理 |
これらの業務は、企業の経営を支える重要な役割を果たしており、正確で効率的な処理が求められます。経理担当者は、これらの業務を通じて企業の財務状況を管理し、経営陣に重要な情報を提供しています。
20代の未経験者が経理職に就く場合、最初の数年間は会計ソフトの入力、請求書・領収書の管理、銀行振り込みなどの基本的な業務を担当することが一般的です。
とくに会計ソフトの習熟は重要で、年次決算業務では会社の財務状況を評価し、損益計算書や貸借対照表を作成します。これらの数値は税金や金融機関からの評価に影響し、会社の資金繰りにも直結します。経理は誤差が許されない職種であり、経験がない場合でも、適性と興味を持ってから転職活動を進めることが重要です。
先ほどご紹介したように、経理職は「お金の流れを数値化して管理する」のが仕事です。
しかし、「企業規模」によって、個人が担当する範囲と業務内容が大きく異なります。以下で、それぞれの企業規模別に特徴を解説します。
大企業・上場企業 | 売上の規模が大きいため、基本的にチーム内で分業をして決算業務などを行うことが多い。 |
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ベンチャー企業 | ベンチャー企業では経理業務を飛び越えて幅広い仕事を任されるケースが多い。 |
中小企業 | 従業員数や取引の規模が小さくなるため、1~数人で経理を担当することが多い。日々の記帳から決算まで、1人で行うこともある。 |
未経験でも経理職に挑戦できる理由は、経理の基本的なスキルが比較的短期間で習得可能だからです。
たとえば、簿記の基礎知識や会計ソフトの使用方法は、専門学校やオンライン講座で学ぶことができます。また、多くの企業が新人研修やOJTを実施しており、実務を通じてスキルを磨く機会が提供されます。さらに、経理業務は正確性と勤勉さが求められるため、未経験でもコツコツと努力できる人が重宝される職種です。
経理職において、身に付けておきたいスキルがいくつかあります。
以下は、必要なスキルとその習得方法をまとめた表です。
スキル | 説明 | 習得方法 |
---|---|---|
簿記の知識 | 経理業務の基本となる知識。 | 専門学校やオンライン講座、独学で学習 |
会計ソフト | 経理業務で使用されるソフトウェアの操作方法。 | ソフトを使用しながら学習 オンラインチュートリアルや実践的な練習を通じて習得。 |
Excelスキル | データ管理や集計に欠かせないスキル。関数やピボットテーブルの使用が含まれる。 | オンラインチュートリアルや実践的な練習、Excelの専門書を使用して学習。 |
財務諸表の理解 | 企業の財務状況を把握するための知識。 | 専門書やオンライン講座で学習。実際の財務諸表を分析しながら理解を深める。 |
スキル習得に時間をかけることで、経理職としての信頼性や業務効率を向上させることが可能です。
次に、20代未経験でも経理職への転職を成功させるポイントを4つご紹介します。
経理職を目指すための第一歩は、簿記資格の取得と基礎知識の学習です。日商簿記検定は最も一般的な資格であり、3級から始めることで基礎をしっかりと固められます。専門学校やオンライン講座を利用して学習し、試験対策を行うことが効果的です。また、会計ソフトやExcelの基本操作も重要です。これらのスキルを身につけることで、経理業務の基盤を築くことができます。
未経験から経理職に就くためには、実務経験を積むことが重要です。アルバイトやインターンシップを活用することで、実際の業務に触れる機会を得られます。たとえば、経理アシスタントとして働くことで、伝票処理や仕訳入力などの基本業務を経験できます。さらに、派遣社員として経理部門で働くことも有効です。
これにより、実務に必要なスキルを身につけると同時に、職場での信頼関係を築くことができます。
企業で求められているのは、スキルや資格だけではありません。とくに多くの企業で共通して求められているのが「コミュニケーション能力」です。よって、前職でのアピールをする場合は、コミュニケーション能力に絡んだ内容にしましょう。
【一般事務の場合】
1.パソコンスキル:基本的な操作が可能。
2.コミュニケーション能力
(具体的な内容)
・他部署とのやりとり:円滑なコミュニケーションが得意であることを強調。
・業務効率化:部内の業務を効率化するための工夫や経験を具体的にアピール。
【営業の場合】
1.コミュニケーション能力
(具体的な内容)
・顧客対応経験:多様な顧客とのコミュニケーションを通じて培った能力を示す。
・営業成績:自己管理や成果を示すことで、数字に対する意識が高いことをアピール。
2.交渉力:多様な顧客との交渉を通じて培った能力を示し、経理業務においても必要な調整や折衝能力をアピール。
転職エージェントを活用することで、20代の未経験者でも経理職に就くチャンスが広がります。
エージェントは、企業の求人情報を提供し、応募書類の作成や面接対策などのサポートを行います。また、エージェントが持つネットワークを活用することで、自分では見つけられない求人に出会える可能性が高まります。
未経験者向けの求人情報も多く、初めての経理職への転職をスムーズに進めるための有力な手段です。
次に、経理未経験者が経理への転職に成功した事例をご紹介します。
Aさんは不動産業界で現場の事務処理や原価管理を担当していましたが、経理業務に興味を持ち異動を希望していました。現職での異動が困難であることから転職活動を開始し、結果として東証プライム上場の建築不動産企業で同業界の経理部門に転職しました。彼は自身の業界知識を活かし、新たな経理職で活躍しています。
Bさんはサービス業界で営業職として活動していましたが、数値資料作成を通じて会計と経営に興味を持ち、簿記2級を取得しました。専門知識を積み重ねながらキャリアを築きたいという思いから転職活動を始め、東証スタンダードの商社で総務と経理を兼務するポジションに就き、経理のキャリアをスタートさせました。
Cさんは新卒で損害保険会社に入社し、金融商品の代理店営業を経験しましたが、学生時代の簿記の勉強やUSCPA資格取得のための努力を通じて会計分野に強い関心を持ちました。20代後半で未経験業界の経理職に転職し、自身の会計知識を活かしたキャリアを構築しました。
参考:https://www.jmsc.co.jp/knowhow/topics/12084.html
未経験から経理職で成功を目指す20代の方には、転職エージェントの活用がおすすめです。エージェントは求人情報の提供だけでなく、面接対策やキャリアカウンセリングも行ってくれます。また、自分の強みや適性を客観的に評価してもらうことで、自信を持って転職活動に臨むことができます。エージェントのサポートを受けながら、着実に経理職への道を歩みましょう。
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