経理職の経験がない方には聞きなれないかもしれませんが、経理の分野で今注目されているのが「経理事務パスポート検定(PASS)」です。
この記事では、この検定がどのようなものなのか、そして取得することで得られるメリットについて詳しく解説します。
経理事務パスポート検定(PASS/Passport for Accounting Skill Standard)は、日本CFO協会と株式会社パソナが共同で開発した、経理事務スタッフ向けの学習教材および検定試験プログラムです。このプログラムは、経理の基本から実践までをカバーし、経理の専門知識を体系的に学べるよう設計されています。
経理事務パスポート検定(PASS)は、「経理事務のエキスパート」を証明するための資格です。資格は1級から3級まであり、それぞれの級で求められる知識とスキルが異なります。実務に役立つ内容が多いため、経理職だけでなく、経理経験の浅い方や派遣社員の方にも広く利用されています。
経理の検定として広く知られているものに、経理・財務スキル検定(FASS/Finance Accounting Skill Standard)があります。FASSは経理・財務の実務スキルを評価するもので、日本CFO協会が運営しています。FASSは経営幹部を目指す方に向けた検定であり、評価はAからEの5段階です。
一方、PASSは経理事務に特化した実践的なスキルを評価する資格です。具体的な実務に直結する知識を学ぶことができ、合格すると資格として認定されます。
PASSが注目される理由は、FASSが経理・財務全般のスキルを評価するのに対し、PASSは実務に特化した経理知識を評価するからです。この資格を持っていることで、事務職としての評価が高まり、活躍の場が広がります。
経理事務パスポート検定(PASS)の取得は経理職の方、また経理への転職を考えている方に向いています。ここでその理由を解説していきます。
経理事務パスポート検定(PASS)は、経理の業務標準として定着した経済産業省の「経理・財務サービススキルスタンダード」を基準に作られています。
実務で役に立つスキルが習得できるとともに、PASSを取得することで、経理のスキルと知識があることを証明できます。また、転職の際には面接官にも実力が判りやすくなりますので、評価も高くなり、合格の可能性が高まります。
次に、経理事務パスポート検定(PASS)が転職に役に立つ具体的な例を紹介していきます。
経理職は専門性が高いため、経験者が優遇されることが一般的です。しかし、経理事務パスポート検定(PASS)を取得することで、実務経験がなくても経理の知識やスキルがあることを証明でき、転職活動において大きなアドバンテージとなります。
経理事務パスポート検定(PASS)は、派遣社員として働く方にも有用なプログラムです。この検定を取得することで、実務スキルが向上し、経理の知識が客観的に証明されます。有資格者として評価が高まり、派遣社員から正社員へ昇格する事例も多く見られます。
では、経理事務パスポート検定(PASS)を取得するとどのようなメリットがあるのでしょうか。
どの業界にいっても「経理」という職種はありますから、転職するしないにかかわらず、経理の知識があるというのは強みになります。
土台となる基礎知識が身についていれば、その上により高度な知識やスキルを構築することが容易になります。
経理事務パスポート検定(PASS)を取得していることで、面接の際に「経理の知識やスキルがある」と認識してもらえます。経理未経験者が経理職に転職したい場合、資格を持っていることで客観的な評価を得られるため、大変有利です。
経理事務パスポート検定(PASS)は1級から3級まであり、各級で出題内容と難易度が異なります。ここでは各級の学習内容と特徴を説明します。
3級では、事務スタッフの心構えや役割、日常的な経理業務などについて学習をします。
e-ラーニングの研修では、経理の役割、コミュニケーション能力、帳簿書類と領収証の保管、インターネットバンキングなどをテーマにした学習が多いです。
3級は経理事務パスポート検定の入門コースとして位置づけられており、基本的な業務や心構えを習得できるので、勉強がスムーズに進められます。
2級では、請求書や支払い、経費など、実務で頻繁に使用される取引に関する経理・会計事務について学びます。
e-ラーニングの研修では、簿記上の現金と小口現金の管理、ペイオフ制度、通帳と銀行取引の管理、支払い業務の流れ、仮払い経費の流れなどを学ぶことができます。
3級に比べてより実践的な知識を習得でき、経験の浅い方や経理職への転職を考えている方に適しています。
1級では、日常的な売買取引における経理手続きや月次決算全般、連結決算の概要について学習することができ、実践的なスキルを学ぶことができます。
e-ラーニングの研修では、日常の取引全般と経理・会計事務のポイント、月次管理業務のポイントが主になります。そのために、売上計上のタイミングや売掛金の管理、売掛金回収が滞った場合の対応、仕入業務の流れ、在庫の実地棚卸、固定資産の管理、受取手形の管理、小切手の仕組みなど幅広い業務について学習します。
高度な実践業務についての学習が多いため、経理でスキルアップしたい人におすすめです。
では経理事務パスポート検定(PASS)を取るためにはどうしたらよいのでしょうか。資格取得までの方法を順を追って説明します。
はじめに主催である日本CFO協会のe-ラーニングサイトからマイアカウントの新規登録をし、経理事務パスポート検定講座に申し込みます。この講座を受けることで、学習から資格取得までを行えるプログラムになっています。
受講はすべてWebサイトでのe-ラーニング学習となっており、パソコンがなくてもスマホから見ることができます。
e-ラーニング受講の順番としては、
認定試験の合格ラインは、80%といわれています。
e-ラーニング動画は何度でも視聴可能なので、理解するまで繰り返し見ることができるので便利です。
研修動画のサンプルはこちらのサイトから見られます。
各級の受講料と受験料は下記のようになります。受講しなくても認定試験のみの受験も可能です。
認定級 | e-ラーニング受講料(受験料含む) | 受験料(認定試験のみ) |
---|---|---|
PASS 1級 | 8,800円 | 4,950円 |
PASS 2級 | 6,600円 | 3,300円 |
PASS 3級 | 1,650円 | 1,100円 |
経理事務パスポート検定を取得することには以下のようなメリットがあります。これらは、経理業務において必要な基本的な知識を効率的に身につけるためにも役立ちます。
経理事務パスポート検定(PASS)は、経理業務における基本的な知識を効果的に学ぶためのプログラムです。たとえば、3級では経理業務の基礎を習得し、具体的には帳簿の管理や基本的な経理処理について学びます。この基礎を築いた後に2級、1級へと進むことで、より深い理解と実務で必要なスキルを身につけることができます。
経理事務パスポート検定では、実務での活用を重視した内容が特徴であり、実際の業務で即戦力として活躍できるような能力を養うことが目指されています。このため、経理職でのキャリアを築きたい方にとって、着実にスキルアップを図るための有力な手段となります。
経理事務パスポート検定の資格を持っていることで、面接官から「経理のスキルや知識がある」と認められやすくなり、未経験者でも経理職に転身する可能性が高まります。
また先ほどご紹介したように、経理事務パスポート検定を取得したことで、派遣社員から正社員に昇格した成功事例が多数存在します。この資格を持つことで、経理業務における実践的な知識とスキルを証明し、雇用主からの評価も高まります。
経理事務パスポート検定の学習方法は、e-ラーニングで行います。e-ラーニングとは、インターネットを通じて学習を行う方法で、通学する必要がなく、自宅など好きな場所で学習が可能です。
経理事務パスポート検定のe-ラーニングでは、テーマごとに用意された研修動画を10分から20分程度で視聴し、空いた時間を活用して効率的に学習することができます。また、動画は何度でも再生可能なので、自分の学習ペースに合わせて理解を深めることができます。
経理事務パスポート検定の他にも、経理職におすすめの資格があります。これらの資格も取得することで、経理職への転職がさらに有利になる可能性がありますので、検討してみてください。
日商簿記検定は、日本商工会議所と各地の商工会議所が実施する、簿記スキルを評価する検定試験です。
日商簿記では、入出金伝票の作成、決算処理、税務処理などが試験範囲のため、経理業務でも活かせる知識を学ぶことができます。日商簿記検定には初級・3級・2級・1級の4段階があり、自分のスキルに合わせて学習を進めてみましょう。
一般的に、現場で実用的なスキルと知識は2級とされています。経理事務を目指す場合、最初に3級を取得し、簿記の基礎を固めた後に2級にチャレンジしてみてください。
経理・財務スキル検定(FASS検定)は、経済産業省を中心に、経理・財務業務のプロセスを標準化するために2005年に導入された資格試験です。
FASS検定では、単に経理業務だけでなく、簿記や財務など事務職全般に関する実務スキルを習得できます。また、経理事務パスポート検定と異なり、AからEまでの段階で実力を評価し、経理業務のプロフェッショナルとしてのキャリアを築くための資格です。
給与計算実務能力検定は、給与計算の基本から高度な実務スキルを評価する資格です。
試験は、給与計算業務に必要な知識と実務遂行力を身につけることができ、経理職を目指す方に重要な資格となります。
近年では、給与計算はシステムを利用して行われていますが、実務スキルを習得することは、ミスを減らし、経理職への転職を考えている人におすすめな資格です。
1級と2級の2つのレベルがありますが、最初の一歩として2級の取得を目指してみるといいでしょう。
経理事務パスポート検定(PASS)を取得することは、自身の経理スキルや知識を客観的に証明する重要な手段です。この資格は、経理のプロフェッショナルとしての第一歩となります。現在の職場でスキルを高めたい方や、経理職に転職を目指す方にとって、取得する価値のある資格です。
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