「情報セキュリティの資格って、結局どれを選べばいいの?」そんな疑問を抱える方は少なくありません。IT業界ではセキュリティスキルの需要が高まり、資格取得によって転職やキャリアアップのチャンスも広がっています。ただ、種類が多すぎて迷うのが実情です。
この記事では、代表的な情報セキュリティ資格を17種ピックアップし、難易度・取得メリット・勉強法までわかりやすく整理しました。初めて学ぶ方にも理解しやすく構成していますので、自分に合った資格を選びたい方はぜひチェックしてみてください。
情報セキュリティの仕事とは、企業や組織の情報資産をサイバー攻撃や内部不正から守るための対策を企画・実施する業務です。具体的には以下のような業務があります。
こうした対策を通じて、組織の守りの基盤を日々支えています。
情報セキュリティの資格は数多く存在します。選び方についてそれぞれ以下で詳しくみていきましょう。
資格には、国家資格・公的資格・民間資格・国際資格などの種類があり、種類ごとに信頼度や用途が異なります。
国家資格や公的資格は、国や政府機関が認める信頼の高い資格です。一方で、民間資格や国際資格は、実践重視あるいはグローバルに通用する特色があります。
「どのようなキャリアを目指すか」や「資格を取得する目的」によって適した資格は変わってきます。
たとえば「ITエンジニアとしてスキルを身につけたい」人はCompTIAやCCNAなど技術系民間資格もおすすめです。一方、「セキュリティ管理者として部署や企業を統括したい」人にはCISSPや情報処理安全確保支援士などもよいでしょう。目的に応じた選択をすれば、最短でキャリアアップが狙えます。
ここからは、17の情報セキュリティ資格について紹介します。今回紹介する資格の一覧表は以下のとおりです。
資格名 | 種別 | 特徴 |
---|---|---|
情報処理安全確保支援士(RISS/SC) | 国家資格 | 高度な情報セキュリティ対策能力を証明する国家資格 |
情報セキュリティマネジメント試験(SG) | 国家資格 | セキュリティの基本と管理能力を問う |
基本情報技術者試験(FE) | 国家資格 | セキュリティを含むIT全般の基礎知識 |
応用情報技術者試験(AP) | 国家資格 | システム設計や運用に必要な応用力と専門知識を問う |
ITパスポート試験(IP) | 国家資格 | 全業種のビジネスパーソン向け |
SPREAD情報セキュリティサポーター | 公的資格 | 普及啓発を目的とした初級者向け資格 |
SPREAD情報セキュリティマイスター | 公的資格 | より高度な指導・実務対応が可能な上位資格 |
情報セキュリティ管理士認定試験 | 公的資格 | 管理者としてのマネジメント力を評価 |
個人情報保護士認定試験 | 公的資格 | プライバシー保護と法令理解に特化 |
公認情報セキュリティマネージャー(CISM) | 公的資格/国際資格 | 管理者・経営層向けの実務に即した資格 |
CISSP | 国際資格 | 情報セキュリティ分野で最も有名な上級資格 |
CompTIA Security+/PenTest+ | 国際資格 | 実務向けで世界的にも普及している民間資格 |
CCNA | 民間資格 | ネットワークエンジニアの定番資格 |
AWS認定セキュリティ | 民間資格 | クラウド環境のセキュリティに特化 |
Microsoft Azure Security Engineer Associate | 民間資格 | Azureを扱う管理者向けのセキュリティ資格 |
Cisco Certified CyberOps Associate | 民間資格 | セキュリティ運用センター(SOC)向けの専門資格 |
CEH(Certified Ethical Hacker) | 国際資格 | 倫理的ハッカーとしての技術を学ぶ専門資格 |
それぞれの資格について詳しく確認していきましょう。
まずは国家資格である5つの資格から紹介します。知識や技術を公的に認められキャリアに活かせる資格です。
情報処理安全確保支援士は企業のサイバーセキュリティ対策を推進する専門家向けの資格です。国家試験として法的根拠に基づく信頼性が高く、インシデント対応やリスク管理といった実践スキルが問われます。
合格後は所定の手続きを経て情報処理安全確保支援士として登録されます。対策立案や予算管理まで幅広く責任を担う立場を目指す人に適しているでしょう。
情報セキュリティマネジメント試験は情報セキュリティの基礎と管理能力を学ぶ初心者向けの国家資格です。
国家試験ですが、実務経験がなくても挑戦できるため、初めて情報セキュリティを学ぶ人にぴったりです。試験では基本用語やリスクの考え方、政策やコンプライアンスまで出題され、管理面を意識した学習にも役立ちます。
基本情報技術者試験はIT全般の基礎知識を測る登竜門的資格です。プログラミングやネットワーク、セキュリティの領域を網羅し、IT初心者が学ぶべき基礎が整理されています。
キャリアの土台作りとして有効で、多くのITエンジニアが最初に取得を目指しています。
応用情報技術者試験は基本情報技術者試験より一歩踏み込んだ専門知識と応用力を問われる中級者向け国家資格です。
IT全領域をカバーしつつ、セキュリティでは暗号やリスク評価の知識が深掘りされます。これに合格すると、設計・導入・管理などの実務で即戦力となる力を証明できるでしょう。
ITパスポートはITやセキュリティの超基本を幅広く学べる入門資格です。試験は選択式で業務知識や用語の理解が中心なので、初心者でも安心して受験できます。
とくに「ITの全体像を初めて学びたい」という人に向いており、まず手を出しやすい資格です。
▼情報セキュリティマネジメント試験について詳しくはこちら
情報セキュリティマネジメント試験の難易度と合格のコツ|勉強時間・おすすめ参考書も紹介
公的資格は、政府関連機関や公益法人によって認定される信頼性の高い資格であり、業務上の専門スキルを客観的に示すのに役立ちます。ここでは、その代表的な資格を5つみていきましょう。
この資格は、一般財団法人草の根サイバーセキュリティ推進協議会(Grafsec)が実施する資格です。情報セキュリティの基礎を一般に伝える人材を育成するもので、初心者でも取得しやすい内容です。
受験料は3,300円で、年2回実施されています。
SPREADサポーターの上位資格で、より高度な内容と実践力が求められます。ネット犯罪やトラブル事例の対応をはじめ、組織内の情報保護や研修指導にも携わる人材のための資格です。
受講後はマイスターとして地域活動や教育現場での実践が可能です。受験料は5,500円で、年2回実施されます。
情報セキュリティ管理士は、現場のセキュリティ運用を支える中堅人材向けの資格です。
試験ではポリシー策定、リスク分析、技術的対策など幅広い領域を網羅し、現場対応力が試されます。組織内でのセキュリティ責任者を目指す人に適しているでしょう。
この資格は、個人情報保護法をはじめとする関連法規の理解と適切な運用能力を問う内容です。企業の個人情報管理担当や、個人データを扱う業務に従事する人に向いています。
法律面と実務面の両方から、信頼される管理者としてのスキルが身につきます。
公認情報セキュリティマネージャーはISACAが認定する国際的な資格で、日本では公的資格にも近い立ち位置で評価されています。情報セキュリティ管理の専門知識と実務経験を有することを証明する資格です。
世界的な評価を受ける資格のため、外資系やグローバル企業でも活用されています。英語での受験になる点に注意が必要です。
情報セキュリティに関する資格は、民間・国際資格も数多くあります。代表的な7つをみていきましょう。
CISSPは、情報セキュリティ分野で最も権威ある国際資格の一つです。試験は8つのセキュリティ領域にわたり、知識の広さと深さが求められます。
セキュリティ戦略の策定や統括に携わるマネージャー層を目指す方に適しています。情報セキュリティ専門家として信頼性が高い資格です。
どちらもCompTIAが提供する資格です。
ecurity+は、実践的なセキュリティ知識を証明するエントリー向けの国際資格です。
PenTest+は、その上位資格でペネトレーションテスト(侵入テスト)のスキルを問います。どちらもベンダー中立型で、業界や製品に関係なく幅広く活用できるのが強みです。
CCNAはネットワークの構築・運用・セキュリティの基本を学べるシスコ認定資格です。
ネットワークエンジニアの登竜門として世界的に人気が高く、企業の導入実績も豊富です。セキュリティ設定やVPN構築など、実践的スキルを習得できます。
AWS環境に特化したセキュリティ知識を評価する専門資格です。IAM(ユーザー管理)や暗号化設定、セキュリティ監査など、クラウドならではの対策を網羅しています。
AWSを導入している企業での評価が高く、クラウド時代に即したスキルが証明できます。
Microsoft Azure環境におけるセキュリティ設計・運用を学ぶ中上級者向けの資格です。認証・アクセス管理やセキュリティポリシーの構成、監視や脅威対策の設計などが対象となります。Azure利用企業ではとくに評価が高く有利な資格です。
SOC(Security Operation Center)で働く人材を想定したセキュリティ運用特化型資格です。
脅威分析やインシデント対応、ログ解析など、リアルタイムでのセキュリティ監視技術が学べます。初学者からセキュリティ運用を本格的に目指す人に適した構成です。
CEHは「ホワイトハッカー」養成を目的とした国際資格で、攻撃者の視点からセキュリティを理解する内容です。
ツールの使い方や攻撃手法を学びつつ、それを防ぐ技術を身につけます。実践的でインパクトの強い学習ができ、セキュリティ専門職としての説得力が増すでしょう。
情報セキュリティ資格を選ぶ際には、難易度や自分のキャリアにどう活かせるかを把握することが重要です。ここでは、主要資格の難易度や取得によって得られるキャリア的なメリットについて整理します。
資格によって難易度や対象者が大きく異なるため、自分のレベルに合ったものを選ぶことが効率的です。以下に、代表的な資格の難易度や対象者を比較した表を示します。
資格名 | 対象者 | 特徴 |
---|---|---|
ITパスポート | 初級 | ITリテラシー全般の基礎を学べる国家資格 |
CompTIA Security+ | 初級 | グローバルにも通用 |
情報セキュリティマネジメント | 初級 | 管理職にも使える幅広い知識が習得可能 |
基本情報技術者 | 初級 | セキュリティに限らずIT全般を学習可能 |
応用情報技術者 | 中級者 | 実務応用を重視、設計業務にも役立つ |
情報処理安全確保支援士 | 中級者 | 高度試験で専門性・実務力が問われる |
CEH | 中級 | 攻撃視点を学ぶ専門性の高い国際資格 |
CISSP | 上級者 | 国際的に認知されたセキュリティ管理資格 |
CISM | 上級者 | 管理・監査・ガバナンスに特化した実務資格 |
難易度が高い資格ほど取得には時間と知識が求められますが、その分キャリア上のインパクトも大きくなります。
情報セキュリティ資格は単なる「知識の証明」ではなく、キャリア形成や転職活動で強力な武器になります。資格取得の主なメリットは以下のとおりです。
国家資格や国際資格を持つことで、応募時の書類選考や面接での評価が高まります。
勉強を通じて知識が整理され、業務効率や判断力が向上します。
大手企業や外資系企業では、一定の資格取得が管理職登用の前提となることもあります。
継続的な学びを重視する企業文化において、高く評価される傾向があります。
「実務経験が浅い」「異業種からの転職を目指す」といったケースでは、資格が能力を客観的に示す大きな支えとなるでしょう。
情報セキュリティ資格を取得するには、計画的な学習と適切な方法の選択が不可欠です。ここでは、独学・スクール・通信講座などの勉強方法と、試験申し込みから合格までの流れについて紹介します。
学習方法は「自分の現在地」と「目指す資格の難易度」に応じて柔軟に選ぶのが効果的です。一般的には以下の3パターンが主流です。
コストを抑えて学びたい方に向いています。市販のテキストや問題集、過去問を活用し、計画的に進めることが成功のカギです。
時間や場所に縛られず、動画やeラーニングを中心に学習できます。初心者やスキマ時間を使いたい社会人におすすめです。
講師のサポートを受けながら確実に理解を深めたい方に向いています。費用はかかりますが、継続しやすい環境が整っています。
参考書を選ぶ際は、自分の理解度にあったものかどうか確認して選ぶとよいでしょう。たとえば以下のような参考書があります。
また、上位資格(CISSP、CISMなど)では英語での参考書が中心になる場合もあるため、日本語解説本や解説講座の併用が推奨されます。
情報セキュリティ資格の受験は、それぞれの資格によって手続きが大きく異なります。
【情報処理安全確保支援士の場合】
資格によっては、受験時に顔写真付きの身分証明書が必要であったり、受験料が数万円単位になったりすることもあります。そのため、早めにスケジュールと予算を確認し、無理のないプランを立てることが大切です。詳しくは、それぞれの公式ページで確認してみてください。
資格を取得する目的は、「知識の証明」だけでなく、「キャリア形成」や「業務への即戦力化」です。そのためには、取得後の業務イメージや企業からの評価も視野に入れ、実務と連動した資格選びを心がけましょう。
これまでご紹介した情報をもとに、自分の未来に最もフィットする資格をぜひ見つけてください。そして、無理なく計画的にステップアップしながら、信頼されるセキュリティ人材を目指しましょう。
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