「セキュリティエンジニアって、AIに仕事を奪われるんじゃないの?」そんな不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。たしかに、AIや自動化の進展によって一部の業務は変わりつつあります。しかし、セキュリティエンジニアが「なくなる職業」だと断言するには、まだ早いかもしれません。
この記事では、セキュリティエンジニアの将来性とAI時代におけるキャリアの描き方を詳しく解説します。「将来なくなる」と言われる背景から、今後ますます必要とされる理由まで、リアルな情報をお届けするので、参考にしてみてください。
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一部では「セキュリティエンジニアは将来なくなる職業だ」と語られることもありますが、その背景には誤解や変化への不安も潜んでいます。
ここでは、セキュリティエンジニアはなくなると言われる理由について詳しくみていきましょう。
セキュリティ業務の一部はすでにAIや自動化技術の進化によって効率化が進んでいます。そのため、AIに置き換わることでセキュリティエンジニアの仕事がなくなると考える人もいるようです。
たとえば、マルウェアの検知やログ監視といった定型業務は、機械学習を活用することで人間よりも早く、正確に対応できるようになっています。SIEM(セキュリティ情報イベント管理)ツールなどもその一例です。
ただし、これはあくまで「ルール化」や「パターン認識」が可能な領域に限られます。新しい手口や複雑な攻撃に対しては、人間の洞察力や状況判断が依然として重要です。
つまり、AIはセキュリティエンジニアを「代替する存在」ではなく「補助する存在」であるといえるでしょう。
最新のセキュリティ製品やAIツールの性能向上により、手作業で行っていた対策の一部が不要になりつつあります。そのため、仕事がなくなるのでは、と感じる人もいるようです。
たとえば、ウイルス対策ソフトやEDR(Endpoint Detection and Response)は、従来人間が判断していた異常挙動を自動で識別・対応できるレベルに進化しています。これにより「人がいなくても守れるのでは?」という誤解が生まれやすいのですが、実際には、導入・運用・調整を担う人材が不可欠です。
むしろ、ツールを正しく使いこなせる人材の重要性が増しているともいえるでしょう。
業務の難しさや高い専門性が、セキュリティエンジニアに対する「ネガティブな印象」の一因となっている可能性があります。SNSや口コミサイトでは、「やめとけ」「ブラックだ」といった意見が見られることも。理由の一つは、夜間対応やインシデント対応など、緊張感の高い業務があるためです。
また、セキュリティの世界は変化が激しく、常に最新情報を追い続けなければならないため、学習負荷も大きいといえます。しかし、その反面、スキルを磨けば市場価値も収入も大きく向上する分野です。「なくなる」と言われるよりも、「厳しいが挑戦しがいがある仕事」という見方が現実に近いでしょう。
AIや自動化が進んでも、セキュリティエンジニアは必要とされる職業です。以下ではその代表的な理由を解説します。
サイバー攻撃の手口は高度化・多様化しています。AIや自動化技術は過去のデータやパターンに基づいて動作するため、未知の攻撃や新手法には十分に対応できない場合があるでしょう。
たとえば、従来とは異なるパターンで送られるフィッシングメールや、意図的にノイズを混ぜた攻撃などは、人間の直感や経験がないと見抜けません。このように、「新しい脅威に即応する柔軟な思考力」が求められる場面では、エンジニアが必要です。
セキュリティ体制を構築・運用するうえでは、技術的スキルだけでなく戦略的思考が欠かせません。どこに予算を割くべきか、どのデータをどう守るか、どの法規制に準拠すべきかを判断するのは、AIではなく人間の仕事です。
さらに、インシデント発生時の対応も、状況に応じた判断や関係部門との調整など、現場での人間力が問われます。
企業のリスクマネジメントや法令遵守の観点からも、人間がハブとなって考え、動くセキュリティエンジニアの存在は不可欠なのです。
セキュリティエンジニアのニーズは年々高まり、将来性はむしろ広がっています。社会全体のデジタル化が進むなか、セキュリティ人材は各業界で不可欠な存在です。
ここからは、セキュリティエンジニアの将来性と市場価値を紹介します。
セキュリティエンジニアは慢性的な人手不足に陥っており、需要が伸び続けています。
背景には、サイバー攻撃の高度化や企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進などがあるでしょう。セキュリティリスクは企業の存続に直結する問題のため、対応するには、技術力と判断力を持つ専門人材が不可欠です。
つまり、今セキュリティ分野でスキルを磨けば、将来的にも安定したキャリアを築ける可能性が高いといえるでしょう。
AIや自動化技術の進化により、「ツールを使いこなすセキュリティエンジニア」へのニーズが急速に高まっています。これからのセキュリティエンジニアは、AI・自動化を使いこなす側として進化が期待されているでしょう。
セキュリティは導入するだけでは機能せず、適切な設定・分析・改善を行える専門人材が必要です。つまり、AIの進化はエンジニアの仕事を奪うのではなく、「ツールを操るスキルを持つエンジニア」への需要を強めています。人間の直感と判断力を融合させることで、セキュリティの実効性は一段と高まるでしょう。
セキュリティエンジニアは収入面でも非常に魅力的な職種です。専門スキルを身につければ、年収800万円〜1,000万円超も珍しくありません。とくに、クラウドセキュリティやゼロトラスト、マネジメント領域に対応できる人材は、高い評価を得ています。
また、キャリアパスも多岐にわたります。以下のような道があります。
一つの職種にとどまらず、スキルや志向に応じて柔軟にキャリアを設計できるのも、セキュリティエンジニアの大きな魅力といえるでしょう。
これからの時代、セキュリティエンジニアに求められる資質やスキルも進化しています。AI時代を迎える今、求められる人材像を詳しくみていきましょう。
AI時代に活躍できるセキュリティエンジニアには、従来以上に「幅広いスキル」と「高度な判断力」が求められます。とくに重視されるのは、以下の3つの力です。
これにより、単なる技術者としてではなく、「セキュリティを組織レベルで設計・運用できる人材」として価値を発揮できます。変化の早い分野だからこそ、情報収集力や柔軟な思考力が将来的な差を生み出すでしょう。
セキュリティ分野における「学び続ける力」は最重要スキルの一つです。サイバー攻撃の手法や使用されるツールは日々進化しています。昨日までの知識では今日のリスクに対応できない場面も多く、学習を止めた瞬間にスキルが追いつかなくなる恐れもあります。
そのため、定期的な資格取得やセミナー参加、技術コミュニティへの参加など、日常的なインプットが不可欠です。また、深い専門性を磨きながらも、クラウドやネットワーク、法務など関連領域の知見を広げておくと、キャリアの選択肢も広がります。
セキュリティエンジニアは「なくなる職種」ではありません。AIや自動化の進展によって業務内容は変化していますが、それは人間の価値が薄れるということではなく、より高度で判断力が求められる領域にシフトしているということです。
セキュリティ人材には今後も高いニーズが見込まれ、ツールやAIを使いこなし、マネジメントや設計にも関われる人材が重宝されていきます。求職者にとっては、継続的にスキルを伸ばし、柔軟に進化していくことで、市場価値の高いキャリアを築くチャンスが広がっているといえるでしょう。
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