情報セキュリティに関する資格には複数ありますが、「情報セキュリティ管理士」と「情報セキュリティマネジメント試験」は、よく比較される2大資格です。どちらも情報セキュリティの知識を証明できますが、主催団体や出題内容、活用場面には明確な違いがあります。
この記事では、それぞれの資格の特徴や活かせる場面、難易度までを丁寧に解説。目的やキャリアプランに合った最適な選択ができるよう、比較ポイントを整理してご紹介します。資格選びに悩んでいる方は、ぜひ最後までご覧ください。
情報セキュリティのスキルを証明する手段として注目される「情報セキュリティ管理士」と「情報セキュリティマネジメント試験」。どちらもセキュリティ分野での基礎知識を問う資格ですが、運営団体や目的、対象者に違いがあります。ここでは、それぞれの特長や試験概要を簡潔に紹介します。
情報セキュリティ管理士は、民間団体が実施する実務寄りのセキュリティ資格です。
この資格は、全日本情報学習振興協会が主催しており、情報セキュリティに関する幅広い知識を問います。初心者から実務経験者までを対象とし、受験資格に年齢や職歴の制限がなく、誰でもチャレンジできるのが特徴です。
試験内容は、情報セキュリティの基本に加え、リスク対策や管理運用のスキルなど、現場で役立つ実践的な内容が含まれます。年に複数回開催されており、地方でも受験が可能です。実務経験がない人でも、基礎から体系的に学ぶことで合格を目指せます。
参考:一般財団法人 全日本情報学習振興協会 情報セキュリティ管理士認定試験
情報セキュリティマネジメント試験は、国家資格として認定される信頼性の高い試験です。
この試験はIPA(情報処理推進機構)が実施しており、情報処理技術者試験の一部に位置づけられています。セキュリティの計画・運用・評価・改善を通じて、組織の情報セキュリティ確保に貢献できる基礎スキルを認定する資格です。
特徴的なのは、「管理職」「非IT職」など、技術職以外の人にも対応した設計になっている点です。たとえば、部門リーダーが情報漏えいのリスク管理を行うための知識や、社内のセキュリティ体制の構築など、マネジメント視点が求められます。
出題形式はCBT方式で、年間を通じて随時受験できます。ITパスポートより難しく、基本情報技術者よりは易しいレベルです。
履歴書に書ける国家資格であることから、転職や社内昇進にも有利に働く場面が多いでしょう。スキルの証明に加え、次のステップである応用情報技術者試験などへの足がかりにもなります。
▼情報セキュリティマネジメント試験について詳しくはこちら
情報セキュリティマネジメント試験の難易度と合格のコツ|勉強時間・おすすめ参考書も紹介
両資格はどちらも情報セキュリティの知識を問いますが、その出題範囲には明確な違いがあります。以下では、それぞれの試験がどのようなテーマを扱っているのかを詳しくみていきましょう。
情報セキュリティ管理士は「広く実務的な知識」を問う試験です。
出題範囲は、セキュリティの基本用語から、リスクマネジメント、情報関連法規、マネジメントシステム(ISMS)などに加え、脅威とその対策まで多岐にわたります。たとえば、ファイアウォールの仕組みや、標的型攻撃への対応など、現場で使える知識が中心です。
特徴的なのは、座学で得られる知識だけでなく、システム管理やトラブル対応といった実務的な視点からの出題が多い点です。実際の業務に近いケースを想定した問題も含まれるため、IT部門での業務経験がある方にはとくに有効な資格といえます。
情報セキュリティマネジメント試験は、セキュリティの基本知識だけでなく、リスクアセスメントやISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の運用、法令、マネジメント、経営管理といったテーマが多く扱われます。
さらに、ケーススタディや実務対応力を問われる設問もあり「社員がUSBメモリを無断使用した場合のリスクと対策」といった、実際に起こり得る場面を想定した問題が出題されます。技術職でなくとも理解しやすい構成であり、文系出身やマネジメント職志望の人にとっても非常に学びやすいでしょう。
どちらの資格も情報セキュリティ分野の基礎を学ぶ上では有効ですが、試験の難易度や合格率には違いがあります。目指す資格を選ぶ際には、「どれだけの準備が必要か」や「自分のレベルに合っているか」を把握しておくことが大切です。自身のスキルやバックグラウンドと照らし合わせながら、最適な資格選びの判断材料にしてください。
情報セキュリティ管理士の合格率はおおむね40~50%で推移しており、合格者は全体の半数弱にとどまります。範囲が広く、実務的な知識も問われるため、バランスよく学習する必要があるでしょう。
出題形式は選択式で、問題数も多くはありませんが、正確な知識を問う問題が多いため、曖昧な理解では得点しづらい傾向にあります。IT未経験者でも取り組める設計ではあるものの、内容の広さから「効率的な学習計画」が重要です。
市販の公式テキストや問題集、eラーニング教材などを活用することで、基礎を固めた上で実務寄りの演習に移るのが合格への近道です。
情報セキュリティマネジメント試験の合格率はおおむね50〜70%と比較的高めです。難易度はITパスポート試験よりやや上、基本情報技術者試験よりは下といった位置づけになります。情報セキュリティの基礎からマネジメントに関する知識まで幅広く問われますが、設問自体は丁寧に作られており、初心者でも理解しやすいのが特徴です。
「国家試験に挑戦したい」「転職で履歴書に記載したい」と考えている方にとっては、比較的取り組みやすく実用性のある選択肢といえるでしょう。
資格を取得する目的は「合格」そのものではなく、その後のキャリアや実務でどう活かせるかにあります。ここでは、情報セキュリティ管理士と情報セキュリティマネジメント試験がどのような場面で評価され、どのように役立つのかをみていきましょう。
情報セキュリティ管理士は「社内の教育・研修や、実務スキルの証明」として活用しやすい資格です。
この資格は民間資格であるため、国家資格ほどの知名度はないものの、情報セキュリティの幅広い知識を体系的に学べる点が評価されています。企業内での情報セキュリティ啓発研修や、新人教育の一環として推奨されているケースも少なくありません。
情報システム部門での現場業務、あるいは小規模事業所でセキュリティ担当を兼任するような環境では、資格で得た知識を実務に即活かすことが可能です。たとえば、社内ネットワークのセキュリティ点検や、ログ管理の体制整備などに取り組む際の基礎的な指針として役立ちます。
一方で、転職市場における評価はやや限定的なため、「実務力の裏付け」としての活用が中心になります。
一方、情報セキュリティマネジメント試験は「キャリアの広がり」に直結しやすい国家資格です。
IPAが実施する国家試験という信頼性の高さから、多くの企業が情報セキュリティに関する基礎力の証明として認めています。とくに、情報管理やリスク対策の重要性が増している昨今、マネジメント層や管理部門の人材にとっては非常に有効な資格です。
転職市場においても評価されており、IT業界に限らず、金融、医療、製造、教育といった情報資産を扱う幅広い業種で役立ちます。また、応用情報技術者試験やセキュリティスペシャリストといった上位資格にステップアップする足がかりとしても有効です。実務未経験者でも、「情報セキュリティへの理解がある人材」として評価されやすく、キャリアチェンジや昇進を目指す方にとって強力なアピール材料となるでしょう。
▼情報セキュリティマネジメント合格後の職種について詳しくはこちら
情報セキュリティの仕事とは?主な職種・仕事内容・キャリアパスを徹底解説
資格選びは、取得目的やキャリアプラン、そして求めるスキルレベルに応じて検討するのが賢明です。国家資格としての信頼性が高く、転職や昇進に直結しやすいのは「情報セキュリティマネジメント試験」です。情報セキュリティ分野へのキャリアチェンジや、マネジメント層を目指す方に適しています。
一方で、「情報セキュリティ管理士」は実務寄りの出題が多く、現場での実践力を高めたい方に向いています。基礎から幅広く学びたい方や、社内でのスキル証明としても有効です。それぞれの特徴を踏まえ、自身の目標に合った資格を選びましょう。
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