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2024/09/11 更新

税理士試験とは?|2023年以降の受験資格と登録までの流れを紹介!

多くの国家資格が存在する中で、税理士試験は特に難しい試験です。そんな税理士を志す者は、その難しさや必要な学習期間を知りたいでしょう。この記事では、税理士としての資格取得にかかる時間や、登録までの手順を説明します。また、税理士試験の科目選びのアドバイスも紹介するので、学習の計画を立てる際の参考にしてください。

税理士になるためには資格取得が必須

税理士になるには、まず国家試験である税理士試験に合格し、税理士の資格を取得する必要があります。ただし、試験に合格しただけではまだ税理士として活動できません。実務経験を積むなどの段階を経て、最終的に税理士として登録が可能となります。税理士になる一般的な流れは以下のとおりです。

【税理士になるまでの基本的な流れ】

  • 受験資格を得る
  • 税理士試験に合格する
  • 日本税理士連合会へ登録する

上記のように税理士試験に合格して資格を取得する流れが一般的です。ただし、以下の条件を満たしている場合、税理士試験を受けずに税理士資格を取得できます。

  • 弁護士資格取得者
  • 公認会計士資格取得者

参考:日本税理士会連合会「税理士とは」

税理士試験の受験資格

税理士試験の受験資格は2023年4月から条件が緩和されます。

税理士試験は、会計科目と税法科目の2科目から成り立っていますが、2023年4月からは会計科目が誰でも受験できるようになります。一方、税法科目については、以下で紹介する学識・資格・職歴のいずれか1つを満たしていれば受験資格を取得できます。

もちろん試験勉強は必須ですが、受験資格が緩和されたことにより、税理士を目指しやすくなるでしょう。

学識による受験資格(税法科目)

税法科目の学識による受験資格は以下のとおりです。

【学識による受験科目資格】

  • 大学・短大または高等専門学校を卒業し、社会科学の科目を少なくとも1科目履修した人
  • 大学3年次以上の学生で、社会科学の科目を1科目以上含む62単位以上を取得した人
  • 特定の専修学校の専門課程を修了し、社会科学の科目を1科目以上履修した人
  • 公認会計士試験の短答式試験に合格した人

資格による受験資格(税法科目)

資格による税法科目の受験資格は以下のとおりです。

【資格による受験資格】

  • 日商簿記検定1級以上の合格者
  • 全経簿記検定上級の合格者

日商簿記検定1級の合格率は約10%前後で、勉強にかかる時間の目安は約600〜800時間とされています。一方、全経簿記検定上級の合格率は約20%前後で、勉強にかかる時間の目安は約400〜700時間程度です。

職歴による受験資格(税法科目)

職歴による税法科目の受験資格は以下のとおりです。

【職歴による受験資格】

  • 銀行・信託会社・保険会社などで資金の貸付けや運用業務を2年以上経験した人
  • 法人または個人事業主の会計業務を2年以上経験した人
  • 税理士、弁護士、公認会計士などの専門家の業務支援を2年以上経験した人

参照:税理士の資格取得「日本税理士会連合会」

税理士試験の概要

税理士になるためには、税理士試験に合格することが必須条件です。税理士資格を取得することで、税務署などへの申告・申請を行う税務代理、税務書類の作成、税務相談など、税務に関する独占業務を行うことができるようになります。

上記でも紹介したとおり、弁護士または公認会計士の資格を持つ人は、税理士試験がすべて免除されます。しかし、以下の要件を満たす人は、税理士試験の一部が免除されることがあります。

【税理士試験の一部免除の要件】

  • 修士又は博士の学位を授与された者は、試験の一部が免除
  • 10年または15年以上税務署に勤務した国税従事者は、税法に属する科目が免除
  • 23年または28年以上税務署に勤務し、指定研修を修了した国税従事者は、会計学に属する科目が免除

税理士試験の日程

税理士試験は、年に1回、毎年8月に実施されています。各国税局・国税事務所の所在地等(全国12〜16か所)が実施します。受験案内や受験願書は、各国税局から請求し、指定された期間内に提出することで試験を受けることができます。願書を国税局に直接持ち込むことはできないため、注意が必要です。

税理士試験の試験科目

税理士試験の科目は、以下の11科目から5科目を選択し合格する必要があります。5科目すべてを1度に受験する必要はありません。受験者は1年ごとに1科目ずつ試験を受け、数年かけて合格を目指すことができます。合計で5科目合格した時点で税理士試験に通ったことになります。合格ラインは60%です。

【税理士試験の必修2科目(会計学科目)】

  • 簿記論:450~500時間
  • 財務諸表論:450~500時間

【税理士試験の選択3科目(税法科目)】

  • 所得税法(選択必須):600~700時間
  • 法人税法(選択必須):600時間
  • 住民税:200時間
  • 国税徴収法:150時間
  • 相続税法:450~500時間
  • 消費税法:450~500時間
  • 酒税法:150~200時間
  • 事業税法:200~250時間
  • 固定資産税:250時間

一般的に、税理士試験に合格するために必要な勉強時間は約3000時間前後とされています。

科目によって必要だといわれる勉強時間に差がありますが、自分の知識や実務経験によって必要な勉強時間は異なります。効率的に合格を目指すために、しっかりとした学習計画を立てましょう。また科目ごとに理論問題と計算問題の比率も異なるため、得意な分野を選ぶのもいいかもしれません。

また、受験料は科目数に応じて異なります。

  • 1科目:4,000円
  • 2科目:5,500円
  • 3科目:7,000円
  • 4科目:8,500円
  • 5科目:10,000円

税理士試験の難易度

税理士試験は、弁護士や公認会計士に続く難関資格の1つです。

税理士試験の難易度を示す数字として、合格率が挙げられます。合格率は毎年変動し、難易度を完全に表すものではありませんが、税理士試験は誰でも受験できるわけではなく、一定以上の受験資格が必要です。そのため、合格率は参考になる指標の1つといえます。

【税理士試験の合格率】

実施年

合格率

2019年

15.5%

2020年

17.3%

2021年

16.5%

弁護士試験では合格率は30〜40%、一方、公認会計士試験の合格率は10%前後です。

税理士試験の合格率は高くはありませんが、1科目ずつ受験できる仕組みがあるため、数年間モチベーションを維持しながら計画的に勉強を続けることが合格のカギといえるでしょう。

科目別の合格率

税理士試験の科目別の合格率は以下のとおりです。

科目

2019年

2020年

2021年

簿記論

17.4%

22.6%

16.5%

財務諸表論

18.9%

19.0%

23.9%

所得税法

12.8%

12.0%

12.6%

法人税法

14.7%

16.1%

12.8%

相続税法

11.7%

10.6%

12.8%

消費税法

11.9%

12.5%

11.9%

酒税法

12.4%

13.9%

12.6%

国税徴収法

12.7%

12.2%

13.7%

住民税

19%

18.1%

12.7%

事業税

14.8%

13.1%

12.6%

固定資産税

13.7%

13.7%

13.8%

科目ごとの合格率を比較してみると、比較的合格しやすい科目が特定できます。科目の選択に迷っている場合、上記で紹介した勉強時間や自分のスキルと比較しながら選択するといいでしょう。

参照:国税庁「令和元年度(第69回)税理士試験結果」

参照:国税庁「令和2年度(第70回)税理士試験結果」

参照:国税庁「令和3年度(第71回)税理士試験結果」

日本税理士会連合会への登録手続き

税理士試験に合格した後、税理士としての資格を行使するためには、日本税理士会連合会に登録する必要があります。ただし、登録には合格だけでなく、通算2年以上の実務経験が必要です。この経験は試験前の実務経験も含まれます。

日本税理士会連合会への登録手続きには、面接、書類の提出、登録料の支払いなどが含まれます。

【日本税理士会連合会への登録に必要な書類】

  • 税理士登録申請書
  • 登録免許税領収証書(6万円)
  • 登録手数料(5万円)
  • 本人写真
  • 本籍の記載のある世帯全員の住民票の写し(マイナンバーの記載がないもの)
  • 登記されていないことの証明書(東京法務局が発行するもの)
  • 身分(身元)証明書(本籍地の市区町村が発行したもの)
  • 資格を証明する書類
  • 履歴書
  • 誓約書
  • 税理士会会長宛の誓約書
  • 直近2年分の確定申告書のコピーまたは住民税の課税証明書
  • 日本税理士会連合会指定のはがき

税理士資格取得で税理士の夢を実現させよう

税理士になるためには、税理士試験に合格し、2年の実務経験を積む必要があります。税理士資格は難易度が高く、科目数も多い資格ですが、成功するためにはしっかりと計画を立て、戦略的に臨むことがポイントです。

税理士試験に合格を目指し、同時に実務経験を積む職場を見つけることで、より効率的にキャリアを築くことができるでしょう。

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