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2024/09/11 更新

MBA(経営学修士)とは?取得する方法やメリット、転職市場での価値を解説

経営やグローバルビジネスに関心のある人の中には「MBA(経営学修士)」が気になるという人も多いのではないでしょうか。MBAは転職やキャリアアップに有利と言われていますが、詳細がよくわからない人もいるでしょう。

この記事ではMBAの基本情報や取得する方法、メリット、注意点などを解説しています。取得後のキャリアパスについても紹介していますので、経営に関する資格やスキルを身につけたい人はぜひ参考にしてください。

MBA(経営学修士)とは

MBAは「Master of Business Administration」の略で、経営学修士号、または経営管理修士号と呼ばれる学位のことです。経営学の大学院修士課程を修了し、経営知識を身につけたスペシャリストに与えられる称号になります。

MBAプログラムを提供する大学院は通称ビジネススクールと呼ばれ、主に社会人を対象としています。MBAの目的は、経営者や経営をサポートするビジネスのプロを短期間に育成することで、欧米では経営幹部の登竜門となっています。

MBA(経営学修士)は資格ではない

MBAは資格ではなく学位です。資格はある行為を行うために必要とされるもので、学位はある専門分野の学問を修めた人に与えられる称号です。MBA取得者は経営に関する幅広い知識を持つ者として社会的に認められ、信用を得られます。

他の学部の修士号との大きな違いは、学術的な側面よりも、実務で役立つカリキュラムがメインであることです。純粋な研究よりも企業の最前線で活躍できる実務を重視した教育が受けられるため、MBAを取得したMBAホルダーは大きな即戦力として期待されます。

MBA(経営学修士)と中小企業診断士との違い

MBAは資格ではなく学位であるのに対し、中小企業診断士は国家資格です。どちらも経営やビジネスについて学び、コンサルタント的な側面を持っています。

業務内容やポジションには違いがあり、中小企業診断士は外部から中小企業の経営診断や、経営上の問題について助言を行うのが役割です。それに対し、MBAは自らが経営者として意思決定、未来の戦略の立案、実行する能力を鍛えるところまでを目的としています。

中小企業診断士は商工会議所や公的機関、会計事務所などを今後のキャリアとして考えている場合に有効です。MBAは実務で成果を出すために、問題解決能力から意思決定力、コミュニケーション能力、人的ネットワークを身につけたい人に向いています。

MBA(経営学修士)で学べること

MBAでは経営資源であるヒト・モノ・カネ・情報の知識を習得するカリキュラムが構築されています。さらに、マクロ・ミクロ経済学や企業法務・知的財産権などの法律学、統計学、マーケティングの分野まで、ビジネスリーダーに必要とされる実践的な幅広い知識が学べます。

学修を通して理論的に考える力や課題解決するスキルが身につくので、実際の業務の際にも大いに役立つことでしょう。国内のビジネススクールでも論文には英語を使用したり、海外出身の仲間と英語でディスカッションするなど、グローバルビジネスの場で役立つ英語力も身につきます。

MBA(経営学修士)の出願方法

MBAを取得するためには大学院やビジネススクールに通い、所定の単位を取得する必要があります。入学を希望する大学院・ビジネススクールを選び、出願し、入学試験を受けることになりますが、スクールごとに出願資格が定められていますので確認しておきましょう。

原則として大卒が前提

国内MBAの出願資格には、大学卒業あるいは大学卒業と同等の学力があり、企業で一定の実務経験がある22歳以上の者が前提です。企業や団体から派遣されて入学する場合には推薦書が必要になります。

海外のビジネススクールの場合は授業についていける英語力が必須になります。語彙力や作文力、数学能力を測る「GMAT」や、英語力を測る「TOEFL」「IELTS」などで、ある程度のスコアを出すことが必要です。

入試の時期は学校によって異なり、年に1〜2回入試を設けている大学院が多いようです。試験内容も学校によって違いがありますが、一般的には書類審査、小論文、面接が実施されます。

大卒未満の場合

高卒や短期大学卒、専門学校卒業の場合でもMBAを取得することはできます。その際には、日本の法律で22歳以上であることが前提条件となっています。その上で受験の前に入学資格検査を受け、大学卒と同等以上の学力があると認められなくてはなりません。

入学資格検査はA4サイズ1〜2枚で職務経歴や志望動機を書くケースが多く、難しいものではありません。ただし、論文的な文章や長文を書きなれていない人は早めに準備をしておきましょう。

また、大卒未満の場合でも一定の実務経験が問われることが多いようです。

MBA(経営学修士)の取得方法

MBAの取得方法には以下の3つがあげられます。それぞれのメリット・デメリットを理解して自分にマッチする方法を選びましょう。

国内のビジネススクールに通う

国内でMBAコースのある大学院には、国立では京都大学、大阪大学、神戸大学、兵庫県立大学などがあります。私立では青山学院大学、慶応義塾大学、明治大学、中央大学、立教大学、早稲田大学などで実施しており、各大学院のMBAコースを受講して修了するとMBAが取得できます。

国内のビジネススクールでは日本語で授業が受けられるため、専門用語や知識が理解しやすいメリットがあります。海外スクールでは英語の語学力がないと授業についていけませんし、誰かに尋ねることもできません。日本語で学べることはそれだけで履修の負担を軽くしてくれるでしょう。

また、一般に国内のビジネススクールは海外のビジネススクールよりも授業料は低めに設定されています。会社を退職・休職せずに学習できるため、給与収入を確保しながら安価にMBAが取得できるのもメリットです。

オンラインで受講する

国内の大学院でオンデマンド動画やチャット機能で、受講できるMBAコースを実施している学校がいくつかあります。海外MBAではマサチューセッツ州立大学や英国国立ウェールズ大学、ボンド大学などが、日本でMBAコースを実施しており、修了するとMBAが取得できます。

海外MBAの授業は基本的に英語で行われますが、ウェールズ大学では日本人の教授による日本語の授業が受けられ、通学も可能です。

オンラインでの授業のスタイルには動画を見て学ぶものから、ライブディスカッション形式など、ビジネススクールによって違いがあります。また、キャンパスでの受講とオンラインでの受講を科目ごとに選べる学校もあります。

オンライン講座は、働きながら学べることや、地方在住でも履修できること、費用が安価であることなどがメリットです。

海外のビジネススクールに留学する

海外のビジネススクールに留学する候補には、以下のような学校があげられます。

米国ではハーバード・ビジネススクール、ペンシルベニア大学ウォートンスクール、ダートマス大学タックビジネススクールなどがあります。英国ではロンドン・ビジネススクールなどがあり、その他アジアのビジネススクールでも留学して取得が可能です。

海外のビジネススクールには世界中から優秀な学生が集まっており、ハイレベルなディスカッションができるなど、高水準な学習環境に身を置けます。将来、世界的な活躍をするような人材とのネットワークが築けるのも大きなメリットです。

ただし、海外のビジネススクールに通うには仕事を退職・休職せねばならず、収入が途絶えることや、海外での生活費もかかるなど経済的な負担が大きいデメリットがあります。高度な語学力が必要とされるため、語学学習の分も時間がかかることも考慮が必要です。

MBA(経営学修士)取得にかかる時間

国内のビジネススクールでは2年間の履修期間を設けています。この場合、働きながら夜間や休日に受講したり、オンラインで講義を受けたりします。仕事はせずに、フルタイムで受講する場合は1年のところも多いようです。単位履修のペースが遅い場合は1〜2年延長になることもあります。

海外のビジネススクールも履修期間は国内と同じ1〜2年になっていますが、授業に難なくついていける語学力習得のために追加で1年ほどは見た方が良いでしょう。

MBA(経営学修士)取得にかかる費用目安

国内のビジネススクールでMBAを取得するまでにかかる費用の目安は、300〜500万円程度になっています。通学ではなくオンラインの場合は、100〜300万円が相場です。オンラインで受講すると通学の費用や時間もかからず、低い負担で続けられるでしょう。

海外のビジネススクールの場合は授業料に加え渡航費や現地での生活費も必要になるため、おおむね1,000万円を超えます。志願先が欧米かアジアかによっても大きな差がありますので、プログラム内容だけでなく費用も考慮したスクール選びが重要です。

仕事をせずに通う場合は収入も途絶えますし、多額の預金を準備するなど、計画を立てて資金繰りを考えておくことが大切です。奨学金や教育ローンを使う手段もありますので、検討してみてください。奨学金は「学校独自の奨学金」や「日本学生支援機構の奨学金」「民間団体の奨学金」などがあり、海外留学も対象になります。

MBA(経営学修士)の難易度

MBAを取得するまでには入学試験と単位取得の両方をクリアする必要があります。それぞれの難易度についてもチェックしておきましょう。

入試の難易度

入試の内容は大学院によって違いがありますが、一般的には書類審査、小論文、面接が行われます。

国内MBAの場合は入試前に特別なスキルや知識を持っていなくてもあまり問題はありません。ただし、志望理由書や研究計画書などの書類を提出しなくてはならず、合否を分ける際の重要なポイントになるので入念な準備が必要です。

面接時には提出した研究計画書から質問されることも多く、専門知識の有無や論理的に説明できるかが評価されます。小論文では経営学の基礎知識を踏まえて自分の考えを述べるような問題が多いようです。

海外MBAの場合は一次選考で英語能力が必要とされます。授業は英語で行われ、専門用語を使ったディスカッションや論文の作成もするため、高い英語力は必須です。トップスクールになるとTOEFL120点中100点以上、GMATは800満点中640点以上など高スコアが必要になり、難易度は高いといえるでしょう。

単位取得の難易度

単位の取得については、課題の量や難易度は大学院によって違いますが、基本的にはほぼ100%に近い確率で卒業できます。

ただし、経営学の基礎知識が少ない場合は予習の時間を多く取り、ディスカッションやレポート執筆の前提となる知識を学ぶところから始めなくてはなりません。課題の多さやレベルの高さについていくためには十分な学習時間と応用力が必要になるでしょう。

特に卒業論文や卒業研究は高いクオリティが求められます。仕事をしながら研究や論文に取り組むので、効率よく時間を使い、計画的に進めましょう。

MBA(経営学修士)を取得するメリット

MBAを取得するとさまざまなメリットがあります。主なメリットについて紹介します。

経営知識を身につけることができる

ビジネススクールでは経営におけるヒト・モノ・カネの3要素に関する知識を中心に深い知識を学びます。マーケティングや事業戦略など経営力に関わる幅広い分野を学ぶことで、実践的なスキルや経営ノウハウを得られるでしょう。

単なる学習で終わらず、知見を深めたり、経営側の視点を身につけることもできるようになるのがMBAの大きなメリットです。MBAを取得したことにより、深い経営知識があることの証明になり、社会的な信用を得ることができます。

さまざまな業界の人と人脈を築ける

MBA取得を通してさまざまな業界の人たちとの人脈を築けるのもメリットの一つです。大学院やビジネススクールには精力的に活動する多様な人材が集まっています。共に切磋琢磨し、卒業を目指す仲間として信頼関係ができ、一生続く人脈を形成できるでしょう。

質の高い人脈は人生の財産とも言え、卒業後も交流したり、転職先を紹介してくれるなども考えられます。国内のMBAには日本で働く人が多く集まるので、取得後も日本での活躍を想定している場合は国内MBAを選ぶと仕事に直結した人脈が築けるでしょう。

キャリアアップに繋がる

経営力に直結するMBAを取得することで、業務や業績も向上し、企業側から信頼を得られるようになります。経営にかかわる学位ですので、経営幹部などへのキャリアアップ・収入アップも期待できるでしょう。

また、MBA取得によって自身の「市場価値」が高まり、より良い条件の企業へ転職することも考えられます。MBAの知識を活かして起業する人も多く、自身のビジネスが行えるやりがいと共に、大幅な収入アップも可能です。

転職で有利になる

MBAは転職時にも有利で、大きなアピールポイントになります。特に外資系の企業はMBAの評価が高く、経営幹部には必須の条件としている企業もあり、取得者を優先的に採用する傾向があります。

国内でもコンサルタントや管理職を募集する際に、MBA取得者の需要が増大しており、優遇採用が期待できます。経営や管理職だけでなく、営業や会計業界でもMBAは有効な学位です。

MBA(経営学修士)を取得する際の注意点

MBA取得は大きなメリットをもたらしますが、注意すべき点もあります。ビジネス系の他の資格取得と比べると負担は大きいといえるでしょう。

多額の費用がかかる

MBA取得にかかる費用は国内の大学院で300万円ほど、海外のビジネススクールの場合は生活費なども含めて1,000万円以上かかります。特に海外の場合は仕事を退職・休職して入学することになりますので、その間の収入もなく、費用負担は大きなものになるでしょう。

なかなか単位が取れず、期間が延びたり、取得後すぐにはマッチした仕事が見つからない場合も考慮しなくてはなりません。途中で挫折することがないように、本当に自分にとって必要なのかよく考え、取得の目的を明確にしてモチベーションを保ち続けることが必要です。

取得するまでにかかる負担が大きい

国内、海外を問わず、MBA取得までには経済面以外にも大きな負担がかかります。仕事を続けながら国内のビジネススクールに通う場合は、仕事と学業を両立させる必要があります。

通常の業務に加え授業の予習・復習、プレゼンの準備などの時間がかかり、時間を確保するのが困難になることも考えられます。残業や家族サービスも難しくなりますので、会社や家族の理解・協力が不可欠です。

時間が不足すると睡眠時間を削って学修時間を捻出せねばならず、自身の体調管理も重要になってきます。さまざまな面で取得までには負担が大きいことを覚悟しなくてはなりません。

MBA(経営学修士)取得後のキャリアパス

MBA取得後のキャリアプランは取得時の年齢や経歴を考慮して考えましょう。20代の若いうちは転職によるキャリアアップがメインになります。外資系の企業に転職して海外で活躍することも視野に入ります。

MBAを活用できる場は経営・管理職系の職種から、コンサルティング、金融業界など幅広くなっています。職種としては、エンジニアやプロダクトマネージャー、コンサルタント、財務などが多いようです。

30代以上の場合は、まったく未経験の業界や職種に転職するとこれまでのキャリアや経験が活かせないことがあります。これまでのキャリアが活かせる、より良い企業への転職も視野に入れつつ、自社の経営幹部へのキャリアアップも考慮しましょう。

取得後のキャリアプランを明確にしてMBA(経営学修士)にチャレンジしよう

MBAは経営に関する幅広い知識が身につき、実務に直結したスキルが得られる有用な学位です。今までの経歴では得られなかったグローバルな人脈や社会的な信用を得ることもでき、キャリアアップの大きな転機となるでしょう。

しかし、取得には多額の費用や時間がかかるため、かなりの準備と覚悟が必要です。年齢によりキャリアパスも変わりますので、本当に自分にとって必要なのか、自身の環境を見極めた選択が重要になります。

MBAは難関であり、取得までには大きな負担がかかりますが、それだけ得るものも大きいと言えます。チャンスを逃さず、計画性を持ってMBAにチャレンジしてください。

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