リモートワークやDXの加速に伴いクラウドシフトが進む昨今で、クラウド利用を考えている方は多いのではないでしょうか。
多くの企業でクラウド導入が進む中、ITエンジニアが注目している資格にAWSという資格があります。AWSは世界最大のシェアを誇るといわれていますが、その難易度や資格取得メリットを理解できていない人はまだまだ多いはず。
そこで今回は「AWSについて知りたい」「AWSを取得するメリットは?」と、AWSに関して多くの方が感じている疑問を解説します。
AWS認定試験とは、AmazonWebService(AWS)の専門知識とスキルを証明する資格です (※1)。Amazonが提供しているクラウドコンピューティング、いわゆるインターネット上でのアプリケーション動作やデータ保存の仕組みのことをいいます。
AWSには、コンピューティングのほか、ストレージやデータベース、機械学習や人工知能など、200以上のサービス提供がされています。
近年、AWSを導入する企業が増えたことで注目度が高まっているため、 日経 xTECH(日経BP)が実施した「 IT 資格実態調査 / 取得したい資格ランキング」で 2018 年、2019 年の 2年連続で1位 (※2)に選ばれる非常に人気な資格です。
(※1)参考:Amazon Web Services「AWS 認定」
(※2)参考:日経 xTECH「「取得したいIT資格」で2年連続マイナス、人気にかげりのDX関連資格とは」
以下では、AWS認定試験の概要について解説します。AWSには4つのレベルがあります。これからAWS認定試験の受験を考えている方は、レベル別の内容を理解した上で、試験合格を目指してみましょう。
基礎レベルでは、AWS認定試験の中で最も簡単な基礎コースです。そのため、初心者でも受験しやすいでしょう。
基礎では、アーキテクトや開発、運用を幅広く網羅した「CloudPractitioner」が用意されています。AWSはどのようなものか、基本的なアーキテクチャや価値提案、一般的な導入事例についての知識が必要のため、しっかり勉強してください。
企業によっては、営業職や管理部門など、エンジニアではない職種でも、基礎の資格取得を水準しているところもあります。気になる方はAWSの勉強を始めるきっかけとして、受験してみましょう。
▼基礎レベル試験概要
基礎 | Cloud Practitioner |
問題数 | 65問 |
テスト時間 | 90分 |
受験料 | 100USD |
実施試験 | テストセンター |
アソシエイトレベルでは、1年以上の具体的な実務経験者を想定した試験内容になっています。そのため、基礎に比べると難易度が上がります。
アソシエイトレベルの資格は、以下の3つです。
試験内容は、AWSの具体的な技術要素やベストプラクティスについての知識が問われる内容です。実際にAWSを触ってみないとわからない問題も多いので注意してください。
基礎レベルに比べると、アソシエイトはエンジニア向けの資格です。エンジニアとして転職を有利に進めたければ、アソシエイトレベル以上の取得を目指しましょう。
また、営業としてキャリアアップしたい方にとっても、難しい内容ではありますが、おすすめの資格です。
▼アソシエイト試験概要
アソシエイト | Solutions Architest | Developer | SysOps Administrator |
問題数 | 65問 | 65問 | 65問 |
テスト時間 | 130分 | 130分 | 130分 |
受験料 | 150USD | 150USD | 150USD |
実施試験 | Pearson VUE テストセンター |
プロフェッショナルレベルは、2年以上の実務経験者を対象にした内容になっています。
プロフェッショナルレベルの資格では、以下の2種類があります。
アソシエイトでは、運用分野と開発分野が分かれていましたが、プロフェッショナルでは統合されているのが特徴です。
プロフェッショナルレベルの試験になると、「何が最も最適か?」という部分を問われるため、長文問題を解答する力は必須になります。アソシエイトレベルの「できる」「できない」で問われる問題より難易度が高くなるため、しっかりとAWSについて理解しておきましょう。
▼プロフェッショナル試験概要
プロフェッショナル | Solutions Architect | DevOps Engineer |
問題数 | 75問 | 75問 |
テスト時間 | 180分 | 180分 |
受験料 | 300USD | 300USD |
実施試験 | Pearson VUE テストセンター |
専門知識レベルの試験では、AWSの実務経験が最低2年以上に加え、各専門分野で5年以上の実務経験がある受験者を対象にしています。
専門知識レベルの資格では、以下6種類が用意されています。
難易度は、プロフェッショナルレベルと同等、またはそれ以上の難しい内容です。AWS上のアプリケーション開発やデプロイ、運用などに必要な専門知識を図る試験になっています。合格には、各分野のプロフェッショナルレベルの知識が必要になるでしょう。
▼専門知識試験概要
専門知識 | Advanced Networking | Data Analytics | Database | Machine Learning | Security | SAP on AWS |
問題数 | 65問 | 65問 | 65問 | 65問 | 65問 | 65問 |
テスト時間 | 170分 | 180分 | 180分 | 180分 | 170分 | 170分 |
受験料 | 300USD | 300USD | 300USD | 300USD | 300USD | 300USD |
実施試験 | Pearson VUE テストセンター |
AWS認定試験の受験方法は、2つあります。
1つは、テストセンターでの受験です。AWSアカウントを取得し、受験を予約すれば、候補の試験会場・試験日時が提示されます。その中から希望の会場や日時、支払方法を選択し受験します。
2つ目は、自宅などでのオンライン受験です。オンライン受験は、新型コロナウイルスの拡大を防ぐために設けられました。カンニング防止のために、Webカメラやマイクなどを利用して監視する試験方法になります。
AWS認定試験は、取得後も更新が必要なので注意してください。
認定試験の有効期限は3年間です。3年毎に再認定試験を受験しなければ、認定更新がされません。再認定試験は、通常の受験料に対して50%の割引で受験できます。
有効期限が設けられている理由は、AWSが常にアップデートし続けているからです。そのため、一度資格取得しても、知識やスキルのアップデートが必要だと認識しておきましょう。
IT業界では、変化や技術の入れ替わりが激しく、AWS以外の知識でも常に勉強は必須です。学び続ける意欲を持って、モチベーション高く取り組むようにしてください。
なぜ多くの人が難しいといわれているAWS認定資格を受験するのか、と考えている人もいるのではないでしょうか。
以下ではAWS認定資格を取得するメリットについて解説します。メリットを知れば、勉強に対するモチベーションも上がるはずです。メリットを理解し、AWS認定試験資格取得を目指してみましょう。
AWS認定試験の勉強では、公式のドキュメントやテキストに沿って学習をします。そのため、勉強を通してAWSの正しい知識を身につけることが可能です。
AWS認定試験は、独学でも学習はできます。ただし、テキストに沿って進めた方が、効率的に勉強ができ、必要な要点や知識を着実に身につけられるでしょう。
基礎からしっかりと勉強することで、今後のキャリアアップや技術応用に活かせます。
AWS認定試験に合格しても、有効期限があるため、更新のために定期的に勉強する必要があります。一見大変そうに感じますが、3年毎に更新するための再受験は、勉強の良い機会になるでしょう。
AWSに限らず、IT技術は日々進化を続けています。一度勉強して身につけた知識も、数年経てば新しい技術や知識に変化し、対応できなくなるケースも多いです。
そうならないためにも、自分のスキルを常に伸ばし続けられるよう、勉強は続けるようにしてください。その結果、最新技術のスキルや知識が身につき、IT技術者としての評価アップにつながるでしょう。
AWS認定試験に合格すれば、AWSの技術や知識を保有していることを証明できます。AWSの場合、試験に合格すればデジタルバッジを貰えるので、このバッジが証明として活用可能です。
技術やスキルがあることを、公的な方法で証明できれば、転職や就職の際に有利になります。履歴書への記載ができ、面接でもアピールすることで、面接官に好印象にも残せます。
AWS導入が企業で増えている現在では、AWSの知識があることは最大の武器です。アピールできるよう、資格取得を目指しましょう。
AWS認定資格があれば、AWS関連のキャリアアップが有利になるケースもあります。
AWS認定試験は、AWS上での仕事に親和性があることを証明でき、企業に重宝されるスキルです。AWS認定資格を保有していれば、企業からの印象も良く、キャリアアップにつなげやすいでしょう。特に、プロフェッショナルレベルの資格を保有することは、かなり評価が高いです。
また、12冠全て取得したITエンジニアをAWSが表彰する「AWS ALL Certifications Engineers」という制度では、2022年340名ほどが選出されています。こういった賞を獲得すればさらに市場価値を高めることができるでしょう。
最後は、AWS認定試験の勉強方法を解説します。これから受験を考えている方は、自分にあった勉強方法を見つけ、合格に向けた学習を開始してください。
AWSから、公式オンライントレーニングが提供されています。
オンライントレーニングは無料で受講可能です。10分〜40分程度の比較的短い動画が、幅広く用意されているため、学習がしやすいでしょう。
動画学習であれば、場所を気にせず学習ができるので、なかなか勉強時間が取れないという方におすすめです。通勤や通学など、電車を利用している時間の中でも学習を進められるので、気になる方は利用してみてください。
動画学習と一緒に、参考書や問題集を利用した勉強方法もおすすめです。
動画学習で学んだ内容と、書籍で体系的にまとめられているものを比較することで、より理解を深められるでしょう。はじめてAWS認定試験を受験する人の中で多く活用されている勉強方法です。
参考書は「AWS認定資格試験テキスト AWS認定クラウドプラクティショナー」のようにAESから認定されているものも多いです。動画学習と書式を活用し、試験対策をしてみましょう。
参考書や動画学習で、大枠の知識をインプットできたら、模擬試験に挑戦してみましょう。サンプル問題や模擬試験をこなすことは、本番試験に慣れるためにも効果的です。
サンプル問題は、AWSの試験別ページからダウンロードできます。無料でダウンロードできるので、受験する試験のサンプル問題は必ずチェックしておきましょう。また、一部の問題以外、模擬試験を受験できるサイトもあります。これらも試験前にチェックしておくのがいいでしょう。
AWS認定試験では、AWSの実際の動作を質問される問題もあります。そのため、AWSを実際に使用して、実際の動きや動作を確認しておきましょう。
AWSには、無料枠が用意されています。アカウント登録から12カ月間は一部のサービスを除いて無料で利用可能です。この期間を活用して、AWSに慣れておくことで、試験問題を理解しやすく、スムーズに解答できるでしょう。
試験に限らず、AWSの実際操作を理解しておくことは、業務で役立ちます。時間がある方は、必ずAWSの利用をしてみてください。
AWSから発信されている公式情報は、定期的に確認しましょう。
AWS公式情報は、AWS認定試験の対策としても役に立ちます。AWSは、サービスのアップデートが早いです。いくら過去問題をこなしても、最新の問題内容が出れば、勉強した内容を試験で活かせません。AWSの最新情報を入手すれば、試験対策にも繋がるので、意識してチェックしてください。
多くの情報が英語で提供されていますが、中には日本語で読める情報もあります。
AWS認定資格は、クラウド化が進む現在、注目が集まる資格です。AWS認定資格を保有していれば、クラウドに関する知識があるエンジニアだと高い評価を得られるでしょう。
AWS認定資格試験は、4つの専門分野に分かれています。レベルが上がる度に試験内容は難しくなりますが、必ず業務で活かせる知識を身につけられます。
今後ますます需要が高まるIT技術者として、より幅広いフィールドで活躍したい方、クラウドのスペシャリストになりたい方にはおすすめの資格です。