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2024/10/22 更新

FASS検定(経理・財務スキル検定)とは?メリットや転職活動で活かす方法も紹介!

経理や財務業務を行う際に、日商簿記などの有名な資格が注目されています。しかし、FASS検定も新しく登場した資格でありながら、企業から高い評価を受けている資格試験です。

この記事では、FASS検定を取得することのメリット、勉強方法、そして転職時にどのように活かせるかについて紹介します。この情報を参考にして、キャリアのアップや転職の際に有効活用しましょう。

FASS検定とは?

FASS検定は、経済産業省が推奨する「経理・財務サービス・スキルスタンダード普及促進モデル事業」の一部として実施されています。経済産業省が企業の現場で必要とされる実務スキルを持つ人材の需要に応えるために創設されました。また、FASS検定は、国内で唯一、会計基準、財務諸表解析、財務管理などの知識と実務能力を総合的に評価する試験です。

この資格は、アメリカのテスト理論を取り入れており、経理・財務の実務知識とスキルを合格か不合格だけでなく、A〜Eの5段階で評価します。

参考:FASS 経済産業省 経理・財務人材育成事業 公式サイト「FASS検定」

FASS検定と日商簿記の違い

FASS検定と日商簿記は、どちらも経理・財務の分野において重要な資格ですが、それぞれ異なる特徴があります。

FASS検定は、経理・財務職に特化した実務ベースのスキルを測る資格です。一方、日商簿記は、財務・経理職以外の人も多く受験する傾向があります。内容の面でもFASS検定の出題範囲では税務なども含まれている一方、日商簿記には含まれていないといった違いがあります。

そのため、個々のキャリア目標や就業環境に合わせて、適切な資格を選択することが重要です。

FASS検定の受験対象者

FASS検定は、経理・財務の分野でキャリアを築きたいと考えている人を対象としています。大学生や社会人で、経理・財務に関する専門知識やスキルを磨き、将来的に経理・財務職を目指す人、すでに経理・財務の業務経験を持つ人も受験対象です。

さらに、国内外の企業での就職や転職を検討している人にとって、FASS検定は有用な資格とされています。FASS検定の取得は、経済産業省が推奨する経理・財務人材育成事業においても役立つでしょう。

FASS検定のメリット

FASS検定を受験することには、メリットがあります。以下にメリットについて紹介していきます。

就職・転職に有利になる

FASS検定の取得は、就職や転職の際に有利になることがあります。経済産業省が推奨する資格であるため、企業側もFASS検定を持つ候補者を高く評価することが一般的です。

この検定は、先進企業50社が共同で作成した「スキルスタンダード」にもとづいているため、企業からの認知度・評価が高いです。そのため、A判定など高スコアを獲得した場合、大手企業への転職にも有利となります。

総合的な経理・財務知識の習得

FASS検定を受験することで、経理・財務の知識を総合的に学ぶことができます。会計基準、財務諸表解析、財務管理など、さまざまな分野の知識を習得することで、経済活動における会計・財務の重要性と複雑性を理解できるようになります。

FASS検定は、日商簿記と違い、体系的かつ網羅的に学べる資格であり、企業からは即戦力としてのポテンシャルが期待されています。経理や財務の流れや問題に対処するスキルも身につくでしょう。

経理スキルのブラッシュアップが可能

FASS検定の受験を通じて、経理スキルをブラッシュアップすることができます。試験の準備や対策を通じて、実務における問題解決能力や分析力を高めることが可能です。また、FASS検定のカリキュラムや学習教材を活用することで、最新の経理・財務トピックや業界の動向についても学ぶことができます。

FASS検定の魅力の1つは、迅速に変化する会計基準や規制など、最新の実務スキルを習得できることです。経理スキルの向上は、現在の職場での業務の効率化やキャリアアップにつながるでしょう。

FASS検定の資格詳細

FASS検定の具体的な試験内容や評価基準を知ることは、これから受験する人にとって重要です。以下では、この資格試験の詳細について紹介します。

試験方法

FASS検定の試験は、全国各地にある試験センターで行われ、CBT方式(コンピューター)で実施されます。試験は複数の科目から成り立ち、試験時間は90分、各科目ごとに四肢択一で出題されます。

FASS本体の試験は100問、「オプション科目」FP&A(経営企画スキル)から20問が追加された構成(※1)となっています。

(※1)参考:JQOS.jp 日本資格取得支援 「FASS検定」

試験範囲

FASS検定の試験範囲は、経理・財務の幅広い領域をカバーしています。基本的には「経理・財務サービス・スキルスタンダード」のガイドラインにもとづいており、以下の4つのカテゴリーから出題されます。

  • 資産
  • 決算
  • 税務
  • 資金

4つのカテゴリーから、以下の表の内容が試験の対象範囲となります。

資産

決算

税務

資金

売掛債権

月次業績

税効果計算

現金出納

買掛債務

単体決算

消費税申告

手形

在庫

連結決算

グループ通算制度

有価証券

固定資産

外部開示

電子帳簿保存法

債務保証

ソフトウェア (クラウドサービス)

税等申告

消費税インボイス制度

貸付金

税務調査

借入金

社債

デリバティブ取引

外貨建取引

資金管理

評価ランク

FASS検定の評価には、合格・不合格だけでなくグレード別の評価ランクも行われます。試験の結果にもとづいて、A、B、C、D、Eの5つのランクで評価されます。総合スコアは800点満点で、この評価ランクは総合的な評価だけでなく、各科目(資産、決算、税務、資金)ごとにも設定されます。

5段階の点数とランクについては、以下の表のとおりです。

ランク

点数(800点満点)

A

689点~

B

641点~688点

C

561点~640点

D

441点~560点

E

~440点

「オプション科目」FP&A(経営企画スキル)の評価は以下の表のとおりです。

ランク

スコア

Green

80%

Yellow

60%~79%

Red

~59%

申込期間・試験期間

FASS検定の申込期間や試験期間は、毎年公式ウェブサイトなどで発表されます。申込期間と試験期間は、年間を上期と下期に分けて設定されています。具体的な日程は以下のとおりで、希望の日程を選択して受けることが可能です。

申込期間

  • 上期2月1日~7月28日
  • 下期8月1日~1月28日

試験実施日

  • 上期5月1日~7月31日
  • 下期11月1日~1月31日

受験資格・受験料

FASS検定の受験条件については、特別な要件は必要ありません。一般の受験者には11,000円(※2)の受験費用がかかりますが、日本CFO協会法人会員の場合は8,800円で受験が可能です。

さらに、日本CFO協会法人会員が50人以上で受験する場合、1人あたりの受験費用は7,920円になります。また、障害をお持ちの方も、事前に申し出をすれば7,920円で受験が可能です。

(※2)参考:経済産業省 経理・財務人材育成事業 公式サイト「FASS検定 検定の概要」

FASS検定の難易度

FASS検定は合格・不合格だけでなく、評価基準が変動するため、何を基準にするかで難易度が変わるといえます。

経理・財務分野において、「日常業務に必要な基本的なスキルが備わっている」と評価されるCランクを基準に考えると、2023年3月末現在での合格率は60.9%(※3)です。これは約3人に2人がCランク以上のスコアを獲得していることを示しており、難易度が比較的低いといえます。ただし、試験範囲が幅広く、実務に適した知識とスキルが求められるため、充分な準備と学習が必要です。

(※3)参考:JQOS.jp 日本資格取得支援 「FASS検定」

FASS検定の勉強方法

FASS検定の勉強方法は、個々の学習スタイルや目標に応じて異なります。一般的な勉強方法としては、以下のポイントに注意することが大切です。

1. 公式学習ガイド

FASS検定の勉強には、公式の学習ガイドが役立ちます。FASS検定を主催する日本CFO協会が発行する「経理・財務スキル検定公式学習ガイド」がその1つです。検定の問題の約半分はこの学習ガイドにもとづいて出題されることが多いです。また、学習ガイドは毎年最新版がリリースされており、常に最新情報にブラッシュアップしながら学習を進めることができます。

「経理・財務スキル検定公式学習ガイド」を繰り返し使用することで、理解をより深めることが可能です。

2. 問題集

公式学習ガイドに加えて、市販の問題集を利用することで、より幅広い知識を得ることができます。FASS検定の勉強において、公式学習ガイドは重要な資料ですが、ハイスコアを目指すために市販の問題集を解くことも1つの方法です。

市販の問題集は公式学習ガイドの内容に則っているだけでなく、応用問題なども掲載されており、公式学習ガイドを補完するテキストとして効果的です。

3. eラーニング

FASS検定を主催する日本CFO協会から「CFOスクール」というeラーニングがあります。内容は、資産、決算、税務、資金の4つから成り立っており、各コースには研修ビデオ、演習問題、確認問題、修了試験が含まれています。1コースの受講料は1,650円(※4)で、自分の目標に合わせて選択し学習することが可能です。

各テーマは10〜15分ほどの短時間で終わるため、通勤時間や就寝前の空き時間に活用するとよいでしょう。理解が浅い分野に集中して勉強するとより効果的です。

(※4)参考:JACFO「CFO School」

FASS検定を転職活動で活かす方法

FASS検定を転職活動に活かすためには、いくつかのポイントに注目することがカギです。以下では、ポイントについて紹介していきます。

日商簿記とのダブルライセンス

FASS検定の資格を取得すると同時に、日商簿記の資格(2級以上がおすすめ)を取得することは、転職において有利となります。日商簿記は実務能力を評価するものではないものの、国内で知名度が高く、経理や財務の分野では必要な資格です。

ただし、簿記は経理や財務業務の最低限必要な資格であり、簿記だけで企業の内定を得るのは難しいでしょう。そこで、FASS検定の取得により実務能力が証明され、企業からの評価を上げることができます。

ハイスコアを獲得する

FASS検定の試験でハイスコアを獲得することは、転職活動において大きな優位性を持つことになります。FASS検定では、ランクB(641点以上〜688点まで)以上だと、「経理・財務のほとんどの業務を理解し、業務を遂行できる」と評価されます。

FASS検定はまだ知名度が低く、資格を持つ人も多くありません。FASS検定の資格B以上のスキルを保持している時点で、ほかの応募者との差別化が可能となります。

これにより、企業側の注目度も高まり、年収を上げて転職の機会が広がるでしょう。

FASS検定のハイスコアが転職に有利となる

FASS検定は、これから注目を浴びる資格です。経理や財務職への転職を考えている方にとっては、保有者が少ない今が資格取得の絶好のチャンスといえるでしょう。

FASS検定の資格取得に向けて、まずは「経理・財務スキル検定公式学習ガイド」を入手し、ハイスコアを目指して勉強をしましょう。

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WARCエージェントマガジン編集部

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