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2024/09/11 更新

システム監査技術者試験とは?試験内容や取得のメリット、業務を解説

システムに関連するリスクを把握し、分析・評価する人をシステム監査技術者といいます。システム監査業務を行えるようになるには、経済産業省が認定する国家資格である「システム監査技術者試験」の取得が有効です。

この記事ではシステム監査技術者試験の内容や取得後のメリット、システム監査技術者の仕事内容、資格が役立つシーンなどを解説します。難易度の高い試験ですので、システム監査技術者試験を受験しようと考えている人は、試験の基本内容やメリットを理解したうえでチャレンジしましょう。

システム監査技術者試験とは?

システム監査技術者試験は、IPA(独立行政法人「情報処理推進機構」)が主催する情報処理技術者試験の一つです。

システム監査技術者は独立した第三者の立場から、システムに関連するリスクや、正しく機能しているかを評価・報告する業務を担う存在です。そのため、IT関連の幅広い知識やシステム監査、マネジメント等の深い知識が必要とされます。

システム監査技術者試験を取得することにより、システム監査業務を行うための高度なIT知識や技術を身につけていることの証明になります。

参考:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構「システム監査技術者試験」

システム監査技術者はITを監査するご意見番

システム監査技術者試験は、情報システムを監査するための知識を問う試験です。試験勉強を通してシステム監査やITガバナンスの知識を身につけられます。

システム監査技術者は企業の情報システムや組込みシステムの点検・評価だけでなく、ITガバナンスを意識したリスク分散などのコントロールを行うなど多岐に渡る業務を行わねばなりません。

合格者はITガバナンスの向上やコンプライアンス確保に貢献できる監査人・情報システム責任者であることが証明されるため、社会的に高く評価されるようになるでしょう。

システム監査技術者の業務内容

システム監査技術者は、監査機関に所属して、クライアントのシステムを評価・報告し、監査結果をもとにシステムを改善、リスク回避やより有効活用できるよう指導するコンサルタント業務を行います

具体的には第三者視点でクライアントの情報処理システムの安全性・信頼性・効率性・機密性・保全性などを客観的に点検・評価し、報告、改善策の指示までが業務です。

システム監査技術者として企業に勤務する場合は、社内の情報システムや組込みシステムの稼働状況、ネットワークインフラなどを検証、点検したり、評価までを行います。

企業の抱える目標達成や、IT業界全体の発展に寄与する役割を担う重要な職種であり、大きなやりがいが得られる仕事です。

システム監査技術者試験の概要

システム監査技術者試験はIPA(独立行政法人「情報処理推進機構」)が主催して、年に一度秋期(10月)に行われます。試験会場は全国の56都市で開催され、受験料は7,500円(税込み)です。

試験は午前Ⅰ試験、午前Ⅱ試験、午後Ⅰ試験、午後Ⅱ試験の4つに分かれており、休憩をはさんで1日で行われます。受験資格は特に定めておらず誰でも受験が可能です。ただし、出題レベルがかなり高い試験になりますので、メリットや試験内容を理解し、目標を決めて試験に臨みましょう。

試験時間・出題形式・出題数

システム監査技術者試験の試験時間や出題形式、出題数・解答数は以下の通りになっています。

時間/区分

午前Ⅰ

午前Ⅱ

午後Ⅰ

午後Ⅱ

注意事項の説明開始時間

9:15

10:35

12:15

14:15

試験時間

9:30~10:20

(50分)

10:50~11:30

(40分)

12:30~14:00

(90分)

14:30~16:20

(120分)

出題形式

多肢選択式

(四肢択一)

多肢選択式

(四肢択一)

記述式

論述式

出題数

解答数

全30問出題

解答数:30問

全25問出題

解答数:25問

全3問出題

解答数:2問

全2問出題

解答数:1問

各試験の前に注意事項の説明がありますので、遅れずに会場入りしましょう。

午前Ⅰ・午前Ⅱ試験ともに、出題形式は多肢選択式(四肢択一)です。午前Ⅰ試験は幅広い分野からの基本的な問題が多く、午前Ⅱ試験は範囲が狭くなりますが、深い知識を要求される専門性の高い問題になっています。

午後Ⅰ試験は記述式、午後Ⅱ試験は論述式になっており、どちらも出題された大問の中から選択して解答します。長文の読解力と文章力が問われるため、難問といえるでしょう。

合格にはすべての試験で基準点をクリアしなくてはならず、後半は特に集中力を切らさないことが大切です。

システム監査技術者試験の出題内容

4つの試験それぞれの出題範囲、内容について解説します。

【午前Ⅰ】出題内容

午前Ⅰ試験は多肢選択式(四肢択一)でマークシート形式で出題されます。テクノロジ系・マネジメント系・ストラテジ系のそれぞれ以下の分野から広く浅く取り上げられます。

  • テクノロジ系:応用数学や情報理論などの基礎理論、データ構造、プログラミング、アルゴリズム、コンピュータ構成要素、システム構成要素
  • マネジメント系:サービスマネジメント、プロジェクトマネジメント、内部統制などのシステム監査
  • ストラテジ系:経営・技術戦略マネジメントや経営組織論、システム戦略・企画

午前Ⅰ試験ではIT全体の基礎知識が問われる一方、応用技術要素を含む問題が出題されることもあり、全体的なIT関連知識を習得しておく必要があります。応用情報技術者試験の午前問題から抽出されて出題されるので、過去問を繰り返し解いて、理解を深めておきましょう。

【午前Ⅱ】出題内容

午前Ⅱ試験ではシステム監査に関連した技術的な問題が出題されます。

出題範囲は、午前Ⅰ試験の出題範囲の中からネットワーク、セキュリティ、データベース、システム開発技術、サービスマネジメント、システム監査、経営戦略マネジメント、法務、企業活動の9つの分野からとなっています。

試験形式は午前Ⅰ試験と同じ多肢選択式(四肢択一)のマークシート形式です。午前Ⅰ試験と比べ問題の難易度は高くなり、特に「システム監査」はボリュームもある難問になりますので、重点的に学んでおきましょう。

【午後Ⅰ・午後Ⅱ】出題内容

午後Ⅰ・午後Ⅱ試験は、午前の設問より難易度が上がり、システム監査についてより深い知識が問われます。主な試験内容は以下のようになっています。

  • 情報システムや組込みシステム、通信ネットワーク関連
  • システム監査人としての行動
  • システム監査の実践
  • システム監査の関連する法律

午後Ⅰ・Ⅱ試験とも実際の状況を設定したシナリオ問題を読み、設問を選んで解答します。長文の問題文を読み解く読解力を身につけておきましょう。

問題文が長いため状況を理解するのに時間がかかりますので、先に設問を読み、問われている内容を把握するようにすると効率的です。また、回答は午後Ⅰ試験は、短い文章でわかりやすく簡潔に書けるように、午後Ⅱ試験は文字数も意識して文章にまとめましょう。

合格ライン

午前Ⅰ・Ⅱ、午後Ⅰ試験はそれぞれ100点満点中、60点が合格基準です。午後Ⅱ試験はランクA~Dのうち、Aランクのみが合格となりますが、合格するためには高度なIT知識とスキルが必要になります。

合格率はおおむね10〜20%程度になっており、他の資格と比べても難易度の高い試験といえるでしょう。

システム監査技術者試験の免除制度

システム監査技術者試験には免除制度があり、以下の人は2年間午前Ⅰ試験が免除されます。

  • 応用情報技術者試験の合格者
  • 高度情報処理技術者試験、または情報処理安全確保支援士試験の合格者
  • 高度情報処理技術者試験、または情報処理安全確保支援士試験の午前Ⅰ試験で基準点を獲得した人

午前Ⅰ試験が免除された場合は、試験前の注意事項の説明開始が10:35からですので、比較的余裕を持って会場に向かえます。

システム監査技術者試験の資格取得のメリット

システム監査技術者試験に合格するとさまざまなメリットがあります。特に情報システム責任者などを目指す人は多くの恩恵が受けられるためおすすめです。

キャリアアップやキャリアチェンジ、転職・就職を検討している人はシステム監査技術者試験のメリットをしっかり理解し、モチベーションを上げて受験に挑みましょう。

システム監査の知識や技能を体系的に習得できる

システム監査技術者試験の対策学修は、システム監査に関する知識や技能を体系的に習得するのに最適です。業務の中でその都度習得するのは大変ですし、実際の現場では対応できる状況に限りがあります。IT全般の知識やシステム監査知識の問題を繰り返し解くことで、体系的に効率よく学べるのは、大きなメリットといえるでしょう。

難関の国家資格を取得したことで、企業内の監査部門でシステム監査業務に従事したり、監査法人で企業システムを外部からチェックする立場として働くのに有利になります。

IT企業に就職しやすい

システム監査技術者試験に合格することで、IT企業に転職・就職がしやすいのもメリットです。IT化の進む現代においてシステムやネットワークの有効活用やリスク管理は重要なテーマです。システムの健全な運用のために高度なIT知識や技術を持つ人材の需要は高まっています。

認定されたシステム監査技術者は希少な存在であり、社会的に高い評価を受けられるため、就職活動においても有用性があります。特にIT企業においては、企業のセキュリティ機能を高めるセキュリティ担当として優遇採用が期待でき、就職しやすくなるでしょう。

資格手当や報奨金をもらえる

システム監査技術者試験に合格すると、転職などしなくても年収がアップすることが期待できます。IT系企業によっては、IT関連資格や国家資格などの合格者に資格手当や報奨金を付与する制度を設けているからです。

情報処理技術者の場合の相場は、資格手当が月5,000〜20,000円、報奨金はおおよそ120,000円程度が多いようです。資格取得によりキャリアアップだけでなく収入アップにもつながる点は大きなメリットと言えます。

他の高度試験および支援士試験の一部免除が受けられる

システム監査技術者試験の合格者には、他の高度試験、および支援士試験の一部免除が受けられます。合格へのハードルが下がるため、さらなる資格試験の受験を検討している人にはおすすめです。これらの資格に挑戦し、キャリアアップを目指しましょう。

一部免除が受けられるのは以下の資格です。

  • 中小企業診断士試験:第一次試験科目の一部が免除
  • 弁理士試験:論文式筆記試験選択科目(理工V 情報)が免除
  • 技術士試験:第一次試験の専門科目(情報工学部門)が免除
  • 技術陸曹・海曹・空曹及び予備自衛官補(技術公募)の任用資格
  • 日本システム監査人協会の公認システム監査人補の申請資格

将来性の高いシステム監査技術者試験にチャレンジしよう

今後はさらにIT化が進み、情報システムの高度化やそれに伴うリスク回避が重要視され、システム監査技術者の需要はますます高まっていくと予測されます。システム監査技術者試験は、システム監査を行うに足る高い知識や技術が証明できる有用な資格です。

資格を取得することで仕事の質が上がり処遇が改善されたり、社会的な評価も高められるため、好条件の転職やキャリアアップも期待できます。難関資格ですが、取得すると大きなメリットがありますので、今後ますます必要とされるシステム監査技術者試験にぜひチャレンジしてみてください。

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WARCエージェントマガジン編集部

「人材紹介の『負』の解消を目指す、新しい転職エージェント」をビジョンに、ハイクラス人材紹介事業を展開しているWARC AGENT。WARCエージェントマガジン編集部は、このビジョンを支えるために、転職者に役立つ情報を執筆し、個々のキャリア形成をサポートしていきます。

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