公認不正検査士(CFE)は、不正対策のエキスパートであることを示す国際的な資格です。
不正行為には、動機、手段、正当化の3つの要因が存在するとされています。これらの要因を理解し、疑惑が浮上したときに即座に対処できるスキルを身につけることが、公認不正検査士の資格取得の目的です。
公認不正検査士が組織内に存在することで、企業は不正を未然に防ぐことができ、そのために経営者や監査法人から高い注目を浴びることができます。
公認不正検査士の資格は、公認不正検査士協会の会員にのみ与えられる特別な資格です。
公認不正検査士協会は、アメリカを拠点とする不正調査のエキスパートとして世界的に知られています。公認不正検査士は、協会が厳格な認定基準を設け、不正対策の専門性を高めた専門家に与える資格です。
資格取得の目的は、不正の動機や手段、正当化といった3つの要因に対する理解を深め、疑惑が生じた際に迅速に対処できるスキルを身につけることです。
公認不正検査士が組織内に存在すれば、企業は不正を未然に防ぐことができ、そのために経営者や監査法人から高い注目を集めることができます。
公認不正検査士協会は、2005年に日本で設立されました。会員数は約2,400人で、そのうち約1,700人が公認不正検査士の資格をほじしてる。
公認不正検査士の主な業務には、以下のようなものがあります。
不正を防止するために、データや財務諸表の分析、証人面談などを実施します。また、面談や分析を行った結果を報告するための、報告書作成など幅広い業務を担う役割があります。
公認不正検査士に必要な知識は、会計知識、法律知識、犯罪心理学、調査手法の4つが挙げられます。これらの知識を正しく理解することは資格取得の鍵になるでしょう。
公認不正検査士の合格率は非公開になっているため、正確な難易度はわかりません。
ただし、公認不正検査士協会の日本支部である一般社団法人日本公認不正検査士協会の個人会員数は2,419人(※1)であり、そのうち1689人が公認不正検査士の資格を保有しています。法人会員は、2021年時点で68社だと判明しているため、年々合格者が増えていることがわかるのではないでしょうか。
受験者の中には、公認会計士合格者や内部監査の経験がある方が多いです。ただし、公認不正検査士と同様の資格である内部統制評価指導士や内部監査人に比べると比較的難易度が低い資格だと言えるでしょう。理由は、他の資格に比べて受験資格が緩い点や受験しやすい点、さらに受験対策用のテキストなどが明確にされているため、勉強しやすいからです。
こういった状況から、公認不正検査士の資格難易度は、勉強をしっかりすれば取得できるレベルだと推測できます。
(※1)参考:一般社団法人日本公認不正検査士協会
公認不正検査士は、さまざまな職種やフィールドで活躍することができます。例えば、会計不正を見抜く会計士や不正取引を調査する捜査官、懲戒処分や訴訟対応をする弁護士など、様々なキャリアの選択が可能です。
以下では、公認不正検査士の主な職業について紹介します。これを参考にしてください。
BIG4監査法人には、以下の4つが含まれます。
もちろん、これ以外の中小や準大手の監査法人でも、不正・コンプライアンス関連の業務が行われています。ただし、専門の部署がありプロジェクトを安定して受注している法人は多くないため、公認不正検査士が必要とされる機会はBIG4と比べるとあまり多くないと考えておくべきです。
BIG4監査法人系FASには、以下のようなものが存在します。
FASはFinancial Advisory Serviceの略で、これらの監査法人やその系列のFASでは、ガバナンス・リスク・コンプライアンス領域(GRC)やフォレンジック領域(不正調査)の業務が担当されます。
CRGは、「規制や法令への対応」や「不正の予防」など、その名の通り、ガバナンスやコンプライアンス、リスク管理を中心とした業務です。不正調査は、「不正調査」や「不正に関する係争対応」などのアドバイザリーが主な業務になります。
ここまで読んできて、公認不正検査士について理解ができたでしょうか。最後は、公認不正検査士の資格を取得するための流れについて解説をします。
公認不正検査士の資格に興味を持った方は、資格取得の流れを理解し、試験に挑戦してみてください。
公認不正検査士の受験資格は以下の要件になっています。
資格・経験 | 資格点数 | 証明書類 |
---|---|---|
短期大学士、準学士、または、同等の学位 (学士の学位で資格点数を加算する場合は使用不可) 注:日本国内の教育機関に限る。海外の教育機関は個別に確認が必要。 | 20点 | 英文の卒業証明書 (英文の学位授与証明書も可) (いずれも原本に限る) (学位授与証書・卒業証書は不可) |
学士、または、同等の学位 | 40点 | |
修士、または、同等の学位 | +5点 | 英文の修了証明書 (英文の学位授与証明書も可) (いずれも原本に限る) (学位授与証書・修了証書は不可) |
博士、または、同等の学位 | +10点 |
試験内容は4つの分野で構成されています。それぞれの分野で合格点以上をクリアしなくては、公認不正検査士の資格合格はできません。
以下でそれぞれについて、解説するのでしっかり内容を理解し、合格を目指してください。
一つ目は、.財務取引と不正スキームです。
以下の内容で構成されています。
4択もしくは2択問題で構成されています。出題数は2時間の試験時間で125問です。
75%以上の正答率、94問以上の正解で合格となります。
二つ目は、法律についてです。
以下の内容で構成されています。
財務取引と不正スキーム同様で、4択もしくは2択問題で構成されています。出題数は2時間の試験時間で125問です。
75%以上の正答率、94問以上の正解で合格できます。
三つ目は、.不正調査についてです。
以下の内容で構成されています。
こちらも、財務取引と不正スキーム同様で、4択もしくは2択問題で構成されています。出題数は2時間の試験時間で125問です。
75%以上の正答率、94問以上の正解で合格となります。
四つ目は、不正の防止と抑止についてです。
以下の内容で構成されています。
こちらも、財務取引と不正スキーム同様で、4択もしくは2択問題で構成されています。出題数は2時間の試験時間で125問です。
75%以上の正答率、94問以上の正解で合格となります。
公認不正検査士を受験するには、期日内までに願書の申し込みが必須です。
【願書申込期間】
▼会場受検
▼CBT
・随時
【試験日程】
▼会場受検
▼CBT
・随時
初回のみ、4科目分の受験料支払いは一括が条件とされています。
公認不正検査士の認定を受けるには、試験合格以外にも手続きが必要です。
書類郵送後は、日本公認不正検査士協会から本部の認定委員会へ申請され、委員会の審査を経て公認不正検査士の資格が認定されます。資格が認定されるまでには、本部での審査を含めて、書類提出から 2〜3 か月かかる場合があるので、急ぎの方は余裕をもって受験するようにしましょう。
公認不正検査士は、不正や隠ぺいを防止するための知識があることを証明する国際的な資格です。企業経営において、不正や不祥事はあってはならない事態であり、これを未然に防ぐ公認不正検査士の需要はますます高くなっています。試験の合格率は公開されていませんが、年々合格者が増えているのは間違いないでしょう。
試験内容である4つの分野をしっかり勉強すれば、必ず合格できます。今回の記事で、公認不正検査士に興味を持った方は、積極的に試験に挑戦してみましょう。