記事FV
資格
2024/06/23 更新

公認会計士試験の中身を理解しよう|合格に必要な3つのポイント解説

公認会計士試験を受ける意欲のある方々は、合格に向けた重要な情報や試験内容を知りたいのではないでしょうか。公認会計士資格は難関とされていますが、対策を知ることで合格への道が開ける可能性が高まります。

この記事では、公認会計士試験の内容と合格に向けた3つのポイントについて詳しく解説していきます。

公認会計士試験の全容

公認会計士試験を受験する方にとって、試験全体の概要が気になるでしょう。問題の出題形式や試験のスケジュールから、試験の総合的な内容をつかむことが重要です。

2つの試験形式が存在する

公認会計士試験は、短答式試験と論文式試験の2段階からなります。各試験の詳細について解説します。

短答式試験

短答式試験は、公認会計士の基礎知識をマークシート形式で問うテストです。会計や企業法に関する内容が4科目出題されますので、それぞれの内容を幅広く勉強し、試験に臨みます。

短答式試験は年2回、5月と12月に行われます。一度不合格でも、半年後に再受験が可能です。1年のうちに2度のチャンスがあるため、転職スケジュールに合わせて受験できます。

論文式試験

短答式試験に合格したら、次は毎年8月に行われる論文式試験に挑みます。

短答式試験とは異なり、文章で各科目の理解度を測るテストです。複数の科目を3日間にわたって受験し、11月に合格発表があります。論文式試験が不合格でも、申請すれば2年間は短答式試験の免除が可能です。

受験資格について

公認会計士の資格は、他の難関試験とは異なり、学歴による制約がなく、誰もがチャレンジできる国家資格です。

医師や弁護士などの難関資格を取得するには専門大学を卒業する必要がありますが、公認会計士の受験には学歴の要件はありません。幅広い層が受験でき、高卒者や在学中の大学生も受験を目指すケースがあると言われています。

会計や経理の経験者が次のキャリアを考える際に、公認会計士の取得を検討することも多いでしょう。

試験の日程について

短答式試験は毎年5月と12月に行われ、論文式試験は8月下旬の3日間にわたって実施されます。

短答式試験は年に2回開催され、どちらかに合格すれば論文式試験を受験できます。論文式試験は短答式試験の合格者のみが受験資格を得られ、毎年8月下旬の土・日・月曜日に試験が行われます。

全国10カ所以上で試験が開催されるため、受験前に日程と会場を把握しておきましょう。

公認会計士試験の勉強時間目安

公認会計士試験に合格するための勉強時間は、大体2,500〜4,000時間ほど必要です。この膨大な学習量を考慮して、何年で合格したいかを決めてから必要な勉強時間を計算しましょう。

1年で公認会計士に合格したい場合、年間で2,500〜3,000時間、1日あたり7時間〜8時間半ほどの勉強が必要です。2年以上かけて合格する場合、年間で最低4000時間、休日を含む毎日5時間半の勉強量が必要でしょう。

公認会計士試験の難易度・合格率

公認会計士は難しい資格とされていますが、その難易度について詳しく知らない方も多いでしょう。試験の仕組みや合格率について以下の解説を参考に、理解してください。

難易度について

公認会計士試験は医師や弁護士の試験と並んで難関であり、出題される内容が非常に難しいです。この難易度は勉強時間だけでなく、テストの合格制度にも関係があります。

公認会計士試験では、短答式試験と論文式試験の両方で全科目に一度に合格が必要です。また、各試験で全体の60〜70%の点数を取れば合格しますが、40%未満の正答率がある科目があると不合格になる可能性があるため、注意してください。

合格率について

公認会計士・監査審査会によると、令和4年の公認会計士試験の論文式試験の合格率は7.7%(※1)です。この論文式試験には4,067人が受験し、そのうち1,456人が合格しています。

通常、合格率は7〜11%程度であり、この試験の合格率の低さからも、難易度が高いとわかります。さらに、試験は相対評価制度を採用しており、合格ラインが明確に定まっているわけではありません。

過去の合格基準をクリアしても、今年は不合格になる可能性があるため、最後まで油断せずに勉強する必要があります。

(※1)参考:公認会計士・監査審査会「令和4年公認会計士試験の合格発表の概要について」

公認会計士試験の主要科目5種

公認会計士試験には、全ての受験者が必ず履修する5つの主要科目があります。それぞれの科目の出題内容と、それに必要な学習時間について把握しましょう。

主要科目①:財務会計論(短答式・論文式)

財務会計論の出題内容と、合格に向けて必要な学習時間は次のとおりです。

学習時間の目安>

  • 短答式試験 600時間
  • 論文式試験 250時間

出題範囲

  • 簿記・財務諸表論・会計に関する理論

財務会計論は広範であり、合格に必要な学習時間が最も多く必要です。この科目は、公認会計士になる上で不可欠な簿記や財務諸表論を含んでいます。

計算問題と理論問題の両方が試験範囲であり、特に簿記2級の内容が全体の30%以上を占めます。簿記2級の理解を優先し、他の科目を繰り返し学習することが有効です。

主要科目②:管理会計論(短答式・論文式)

管理会計論の出題内容と、合格に必要な学習時間は以下の通りです。

学習時間の目安

  • 短答式試験 300時間
  • 論文式試験 200時間

出題範囲

  • 原価計算・管理会計

管理会計論は財務会計論と同様、原価計算や管理会計に関する簿記2級の内容が出題されます。財務会計論の学習が進むにつれ、管理会計論の問題解決も進展するでしょう。

特に、原価管理基準の理解が重要で、多くの出題数があり、得点に繋がりやすいため、重点的な学習が推奨されます。論文式試験の出題は短答式試験と同様であり、文章での解答方法を習得することが重要です。短答式試験に合格した人であれば、論文式試験もうまく対処できるでしょう。

主要科目③:監査論(短答式・論文式)

監査論の出題内容と、合格に要する学習時間は次の通りです。

学習時間の目安

  • 短答式 200時間
  • 論文式 200時間

出題範囲

  • 財務諸表監査・中間監査・四半期レビューや内部統制監査の理論、制度及び実務

監査論は理論問題のみで構成され、公認会計士試験の中では内容が比較的少ないとされています。問題集や模擬試験を積極的に活用し、頻出する出題パターンをしっかり習得して点数に結びつけましょう。

監査論の基礎を短答式試験で獲得した人は、論文式試験でも苦労なく解きやすいです。試験準備では、知識の復習だけでなく、文章の書き方にも慣れておきましょう。

主要科目④:企業法(短答式・論文式)

企業法の出題内容と、合格に必要な学習時間は次の通りです。

学習時間の目安

  • 短答式 400時間
  • 論文式 300時間

出題範囲

  • 会社法・商法・金融商品取引法・監査を受けるべきこととされている組合その他の組織に関する法

企業法は公認会計士試験の中でも内容が広く、短答式試験のボリュームが最も多いとされています。全体像を理解するまでが困難な部分もありますが、知識問題が中心なので慣れれば安定した点数が取れる科目です。

模擬試験や問題集を繰り返し解き、苦手分野が見えてきたらそれを集中的に練習しましょう。また、論文式試験の内容は短答式試験とは異なるので、本番前に集中的な対策が必要です。

主要科目⑤:租税法(論文式)

租税法の出題内容と、合格に必要な学習時間は次の通りです。

学習時間の目安

  • 論文式 400時間

出題範囲

  • 租税法総論及び法人税法、所得税法などの租税実体法

租税法は論文式試験のみで出題され、計算問題と理論問題の両方が求められます。論文式試験の中では最もボリュームのある科目であり、充分な学習時間を確保することが重要です。

法人税法や所得税法、消費税法などは、問題集を繰り返し解くことでスキルが身につきます。

公認会計士試験の選択科目4種

公認会計士試験には、受験者が1つを自由に選んで回答できる4つの選択科目があります。得意な分野を選択することで、自分に合ったテーマで高得点を目指すことができます。

選択科目①:経営学

経営学の出題内容と、合格に必要な学習時間は次の通りです。

  • 学習時間の目安: 論文式 200時間
  • 出題範囲: 戦略論、組織論、ファイナンス論

経営学の計算問題はやや複雑ですが、過去問題の反復解答により傾向を把握することが得点につながります。また、論述問題は暗記が中心なので、知識の定着度がポイントになります。経営学は他の科目に比べ学習量が少なく、多くの受験者が選択する分野です。

選択科目②:経済学

経済学の出題内容と、合格に必要な学習時間は次の通りです。

  • 学習時間の目安: 論文式 400時間
  • 出題範囲: マクロ・ミクロ経済

ミクロ経済では企業や個人の、マクロ経済では国家単位の経済活動の分析が出題されます。数学的な問題解決が要求されるため、数学に強い人には有利な科目です。学習時間は長いですが、高得点を目指せる場合もあります。

選択科目③:民法

民法の出題内容と、合格に必要な学習時間は次の通りです。

  • 学習時間の目安: 論文式 400時間
  • 出題範囲: 民放総則・物件・債権など

他の科目と異なり、計算や数学的な内容は出題されず、法律知識の記憶が重要です。数字に苦手意識のある人は、暗記に力を注ぎ民法を選択することもできます。ただし、覚える範囲が広く、十分な学習時間が必要です。

選択科目④:統計学

統計学の出題内容と、合格に必要な学習時間は次の通りです。

  • 学習時間の目安: 論文式 200時間
  • 出題範囲: 記述統計、確率、推測統計、相関・回帰分析など

統計学は学習時間が少なく、既に学んだことがある人には得点しやすい科目です。確率や数値解析で計算が必要なので、数字に苦手意識のある人は注意してください。

公認会計士業務にも応用できますが、他の科目との連携性は少ないです。

合格するための公認会計士試験重要ポイント

公認会計士試験をスムーズに学習するヒントを求める人は多いでしょう。試験の制度や攻略法を把握し、合格に向けて効率よく取り組みましょう。

適切な選択科目を選択する

論文式試験の選択科目は、自分に合った分野を選ぶことで効率的に学習できます。

民法や経済学は約400時間、経営学や統計学は約200時間の学習が必要です。好きな科目を選べますが、受験者の8割は学習ボリュームの少ない経営学を選択します。ただし、専門知識がある科目なら学習時間を削減できるかもしれません。

免除制度を利用する

公認会計士試験には科目免除制度があり、これを活用することで他の分野に時間を充てることができます。

免除の条件には大学教授、博士学位取得者、司法修習生、税理士などが含まれますが、免除は審査を経る必要があります。免除の可能性がある場合は事前に必要な書類や申請手続きを準備しておきましょう。

実務で理解を深める

公認会計士に関連した仕事をすることで、試験勉強を実践的に理解できます。

試験対策は書籍を読むことが主流ですが、実際に仕事をしながら知識を身につけることが効果的です。財務や会計に関連する職種に携わることで、テキストの内容を身近に感じられます。キャリアアップを目指すなら、関連性の高い職種への転職も視野に入れると良いでしょう。

公認会計士合格のためには、効率化が大切

公認会計士試験での合格ポイントは効率性にあります。試験のボリュームが大きいため、効率的に知識を吸収することが成功の鍵です。社会人は時間の制約があるため、選択科目の選定や実務経験を通じて、最小限の労力で合格を目指しましょう。

さらに、仕事が忙しく試験勉強に時間を割けない場合、転職サイトを利用がオススメです。会計関連の職種に移ることで、勉強効率が大幅に向上するでしょう。

著者画像

株式会社WARC

WARCエージェントマガジン編集部

「人材紹介の『負』の解消を目指す、新しい転職エージェント」をビジョンに、ハイクラス人材紹介事業を展開しているWARC AGENT。WARCエージェントマガジン編集部は、このビジョンを支えるために、転職者に役立つ情報を執筆し、個々のキャリア形成をサポートしていきます。

満足度98%のキャリアコンサル

無料カウンセリングはこちら