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2024/09/11 更新

特許技術者について解説!仕事内容や必要なスキル、弁理士との違いとは?

特許技術者について

特許技術者は、発明を特許出願するために必要な書類を作成する仕事をする人を指します。この人たちは弁理士資格を持っていないが、特許とは新しい発明や技術的なアイデアを法的に保護する権利です。

通常、特許技術者は特許事務所や一般の企業で働いています。特許手続きには弁理士が必要ですが、特許技術者は書類の作成などの補助業務を担当し、「明細書」「特許請求の範囲」「要約書」など、特許出願に必要な文書を作成します。

特許実務では、技術系の知識(理系の知識)が重要であり、自然科学系の学位を持つ人が多いです。多くの特許技術者は弁理士資格を目指しており、資格取得により年収が向上する可能性があります。ただし、弁理士資格は特に難関であり、特許実務の経験がある技術者でも数十年かかることも多いです。

特許実務は、技術に関する深い理解と特許法・特許審査基準に通じていることが求められ、専門知識を駆使して発明者や企業をサポートします。

特許技術者の役割

特許技術者は、特許関連の専門知識を持ち、クライアントが特許を取得し、特許制度を最大限に利用できるよう支援します。そこで、特許技術者の主な業務について説明するので、参考にしてください。

特許出願書類を作成

特許技術者の仕事には、特許出願書類の作成が含まれます。これは主に「特許請求の範囲」「明細書」などを指し、これらの文書は新しい発明を特許庁に提出するためのものであり、発明の詳細な説明、図面、請求項、発明の背景、技術的な解説などが該当するものです。

これらの書類は一般の文章とは異なり、機械や科学、IT、電子技術などさまざまな分野にわたるため、各分野に精通した専門的な知識が求められます。

また、特許出願書類は非常に重要であり、その表現の一つでも特許権の範囲が大きく変わり、最悪の場合は訴訟に発展する可能性があるため、慎重に取り組む必要です。

特許出願書類は特許を取得するための第一歩であり、高度な技術的専門知識と法的理解が求められます。

クライアントへヒアリング

特許技術者の業務において、クライアントへのヒアリングが不可欠です。特許出願書類の作成に際して、ますますクライアントの意向を正確に把握するために初めにヒアリングが行われます。特許技術者はクライアントとの対話を通じて、クライアントの技術や発明の詳細を理解が大切です。

クライアントのニーズや目標を理解することで、特許出願の戦略や計画を策定する上での重要な情報を収集できます。ヒアリングを通じて、発明の特長や優位性を明確にし、特許出願書類の作成や特許の適切な範囲を確保する基盤が築かれます。

特許技術者には、技術的な専門知識に加えて優れたコミュニケーション能力が重要です。

特許庁などとのやり取りに必要な書類作成

特許技術者の業務として、特許庁などとのやり取りに必要な書類作成も非常に重要です。特許出願を行った後、特許庁の審査官による審査が開始されます。審査結果が「特許査定」となった場合は、ここで手続きが完了です。ただし、特許出願が直ちに特許査定に進むことはまれであり、通常は「拒絶理由通知書」が特許庁から送られてくることが一般的でしょう。

その後、必要に応じて「補正書」や「反論書」を提出することが求められます。補正書は、出願書類に何らかの不備がある場合に修正する文書であり、反論書は、拒絶理由に対するクライアントの見解を示すためです。

特許技術者と弁理士の違いについて

弁理士は、知的財産全般にわたる専門家で、特許や商標などを取り扱います。特許技術者は、弁理士の指導のもとで特許実務を遂行します。特許技術者と弁理士との間には3つの主な違いがあります。

業務の違いは?

特許技術者と弁理士が行う業務には一部が共通していますが、大きな違いがあります。

それは、特許庁への手続き、特に出願手続きを行う専権業務は弁理士のみが行えるという点です。

弁理士法第四条では、「弁理士は、他人の求めに応じ、特許、実用新案、意匠若しくは商標……に関する特許庁における手続……を業とすることができる。」(※1)と定められています。

弁理士法第75条では、「弁理士又は特許業務法人でない者は、他人の求めに応じ報酬を得て、特許……に関する特許庁における手続……を業とすることができない。」とされ、違反すると懲役または罰金の対象です。

特許技術者は調査や書類作成までが範囲であり、出願書類の【代理人】欄には、弁理士(または弁護士)の名前しか記載できません。そのため、特許技術者が作成した書類は、弁理士がチェックしてから代理人として出願されます。

(※1)参考:弁理士法┃e-Gov法令検索

報酬の違いは?

特許技術者と弁理士は、知的財産権に関わる仕事を担当しますが、報酬や年収は違います。通常、弁理士の年収は特許技術者よりも高めです。

特許技術者の年収は経験や業界、地域などによって大きく変動しますが、一般的に初年度から100万円ほどの収入差があります。これは、弁理士が法的知識と専門的なスキルを持ち、法的プロセスに携わることが影響しているからです。

弁理士は法律家としての役割を果たすため、高度な専門性が求められ、それに伴って給与水準も比較的高くなっています。

一方、特許技術者は主に技術的な専門知識を駆使して発明や技術を理解し、特許出願書類の作成や技術の評価などの役目があり、法的なスキルの要求度が低いため、特許技術者の年収は一般的には弁理士よりも低いです。

キャリアパスの違いは?

特許技術者と弁理士のキャリアパスにも違いがあります。特許技術者は技術的な知識を生かし、特許出願の準備や技術的な側面に焦点を当てます。経験を積むか、弁理士資格を取得すれば、他の特許事務所や企業への転職も視野に入るでしょう。

一方で、弁理士は法的な専門家であり、特許法や知的財産法を専門的に取り扱います。弁理士は特許出願や侵害訴訟の法的な側面を担当し、クライアントを支援することが可能です。弁理士はリーダー職やマネージャー職に進むことができ、その場合には年収も相応に高まります。

どちらのキャリアも個人の興味とスキルに依存しますが、いずれも重要な役割を果たしているでしょう。

特許技術者の職場選択

特許技術者が働く場所は、主に「特許事務所」または「一般企業の知財部」になります。業界未経験の場合、特許事務所で働きながら弁理士資格を取得し、弁理士としてのキャリアを特許事務所で積み重ね、その後には独立や一般企業の知財部などへのキャリアチェンジが考えられます。

①特許事務所

特許技術者の働き方として特許事務所があります。これは、特許出願や知的財産権に関連するサービスを提供する専門的な組織です。

特許事務所は、弁理士、特許技術者、図面担当、翻訳・外国担当、商標担当、事務員などで構成されています。

クライアントが新しい発明を特許出願する際には、出願書類の準備と提出をサポートし、知的財産権の戦略を策定し、具体的なアドバイスを行う役目です。

特許事務所では「未経験者歓迎」の求人も多く見られ、特許技術者が弁理士資格を目指しながら特許事務所で働くのが一般的でしょう。

また、一部の事務所では、特許技術者が弁理士資格取得をサポートするために、試験前の仕事調整などを行うなど、協力的な環境が整っている場合もあります。

②一般企業の知財部門

次に、特許技術者の働き方として、一般企業の知財部門が挙げられます。一般企業の知財部門は、知的財産権の管理業務を担当する組織です。

知財部門では、主に自社の製品やサービス、技術などに関する知的財産に焦点を当てた業務が行われます。また、一般企業が知財部門を有する場合、特許関連の業務を迅速に遂行できる「即戦力のある経験者」を積極的に求めていることが多いです。

特許事務所での実務経験がある弁理士や特許技術者が、時間や安定した待遇を求めて一般企業の知財部門での職を目指しています。

特許事務所での経験は弁理士資格の評価が特許事務所ほど高くないかもしれませんが、キャリアアップを目指して長期間働き、役職を目指す人にとっては有益でしょう。

特許技術者の平均年収について

特許技術者の平均年収は、地域や経験年数によって異なりますが、一般的に高いです。特許技術者の給与体系は歩合制が一般的で、新卒または第二新卒の初年度は300万円台(※2)から始まり、将来的には600万円から700万円程度になることが期待されます。ただし、企業や業界により差があるので注意しましょう。

特許技術者は知的財産権に関する専門知識を有し、特許出願や侵害訴訟に携わるため、需要が高まり、高い年収が期待されています。ただし、経験と専門知識の獲得には一定の時間が必要であることも考慮すべきです。

(※2)参考:Indeed「日本での特許技術者の平均給与」

特許技術者としての転職を成功させるコツ

特許技術者としての転職には、主に2つの方法があります。求人情報を検索する際には、興味を持った仕事に応募する前に、要件や応募手順を確認し、適切な書類を準備してください。履歴書や職務経歴書をアップデートし、面接時に自分のスキルや経験を魅力的にアピールすることが重要です。

1. 直接応募する

特許技術者の求人情報は、特許技術者や一般企業のウェブサイトから見つけることが可能です。まずは、特許関連の職務情報をオンラインの求人サイトや企業のウェブサイトで検索し、適切なポジションを見つけます。次に、履歴書と職務経歴書を準備し、自分の専門的なスキルや経験をアピールポイントとして強調して応募。特許技術者の職種によっては、特許関連の資格や専門知識を持っていることも重要です。企業からは面接や試験が行われることがあります。

2. 転職エージェントを利用する

特許技術者としての転職には、転職エージェントを利用する方法もあります。特許事務所や一般企業などの知財職種に特化したエージェントが望ましいです。転職エージェントは求職者と企業を結びつける支援サービスを提供し、求人情報の提供やアドバイスを通じて転職活動をサポートします。信頼性のあるエージェントを選び、自身のキャリア目標に合ったサポートを得るためには注意深く選択することが大切です。

特許技術者にふさわしい人物像は?

特許技術者を目指す際、特許事務所への入社を志す人や企業で勤務しながら特許技術者になりたいと考え、転職を希望する人などがいます。ここでは、特許技術者にふさわしい人物像について解説します。

理系の出身

特許技術者に適している人物として、理系出身者が挙げられます。これは、特許技術者の職務や役割の性格に関連するのです。特許技術者は主に自然科学系の専門知識を要し、実際に特許技術者の約9割が理系出身者であるとされています。

特許法第2条では、「発明」とは「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度なものをいう」と規定されているので、発明を理解し、効果的に権利化に導くためには、理系の知識が不可欠です。

理系出身者は科学的な原理や技術に対して深い知識を有し、特許申請に必要な技術的な詳細を理解しやすい傾向があります。

この分野でのキャリアにおいて、理系の背景を有することは、科学的な専門知識を活用できる点で有利です。

勉強熱心な

特許技術者に向いている人物として、勉強熱心な人が挙げられます。なぜなら、特許技術者として活躍するには、常に新しい知識を吸収し続けることが必要だからです。特許業界では、絶え間ない技術の進歩が続いています。

発明者からは新しい商品や発明品の出願が次々と寄せられるため、特許要件を確認するためにも絶えず学び続ける必要です。勉強熱心な人は、常に新しい情報を取り入れ、持続的な学習の姿勢を備えており、専門知識を深めることに適しています。

特許技術者としてのキャリアを築くには、継続的な学びと問題解決への姿勢が不可欠です。

細かい作業に長けている

特許技術者には、細かい作業に長けた方が向いています。特許技術者の主な業務は、特許出願書類の作成であり、これにはミスが容認されません。出願書類は時に数百ページに及ぶことがあり、これを細心かつ正確に仕上げる必要です。微細な違いが権利範囲に与える影響は大きく、一度提出した書類を修正することは簡単ではありません。

また、特許申請の法的手続きは厳格で、詳細なルールに従う必要があり、特許出願や訴訟には多くの文書が関与するため、緻密なスケジュールとデータ管理能力が求められます。

細かい作業に長けた方は、これらの業務を効率的に遂行し、正確性を維持するのに貢献するでしょう。

知的好奇心旺盛

特許技術者にふさわしい人物は、知的好奇心が旺盛な方です。これは、特許技術者が常に新しい発明や技術に興味を持ち、それらを理解する必要があります。特許の領域では、基本的にまだ広く知られていないものに取り組むため、新しいアイデアに対してワクワク感を抱く方が向いているでしょう。知的好奇心旺盛な方は、技術や科学への疑問を追求し、問題解決能力を向上させることができます。

また、特許技術者は様々な分野の発明に対応する必要があるため、多岐にわたる知識に興味を抱くことが有益です。さらに、新しいアイデアを見つけ出し、クリエイティブな手法で特許を保護するスキルも求められます。

知的好奇心旺盛な方は、特許技術者として成功するために必要な素質です。

特許技術者に必要なスキルについて

特許技術者になるためには特有の資格はありませんが、一般的には実務経験や専門的な知識が重視されます。そこで、特許技術者に必要なスキルについて詳しく説明します。

理系の専門的知識

特許技術者には理系の専門的な知識が欠かせません。これは、特許技術者が発明の本質を理解し、専門的かつ詳細な特許出願書を作成する役割を果たすからです。理系の知識は、発明を科学的に根拠づけ、特許事務所や特許審査官にわかりやすく説明するために不可欠でしょう。特許技術者は、特許出願の技術分野において、物理系や電気・電子・IT関連の知識を有することが求められます。

さらに、特許技術者は技術分野の最新動向を把握し、特許審査の際に先行技術との差別化が大切です。最近では、バイオ関連の専門知識も求められています。

したがって、理系の専門的な知識は特許技術者がクライアントの発明を効果的に保護し、特許出願の成功を確保するために不可欠なスキルです。

知的財産権・特許法などの知識

特許技術者には、知的財産権と特許法に関する基礎知識が不可欠です。まず、知的財産権に関する理解は、新しい発明や技術を保護し、他者からの模倣や侵害から企業を守るために重要になります。次に、特許法の知識は、特許出願のプロセスや特許侵害訴訟などで必要です。

さらに、特許技術者は技術的な専門知識を持つ必要があります。発明の本質を理解し、特許出願書類を適切に作成するためには、関連する技術領域の知識が欠かせません。

知的財産権と特許法の基礎知識を持つ特許技術者は、企業の競争力を維持し、価値ある発明を保護する重要な役割を果たします。

外国語スキル

特許技術者にとって、英語力が求められます。なぜなら、特許に関連する文書や国際特許出願では、英語が一般的に使用されているからです。近年、知的財産の分野でもグローバル化が進展し、国際的な視点を持つ発明者が増加しています。そのため、英語を理解し、流暢に読み書きできるスキルは、国際的な特許出願や審査において不可欠です。

英語のスキルは、主にメールを中心とするコレスポンデンス業務や英語の特許出願書の読解、英文契約書の作成などに活かせます。具体的なレベルとしては、一般的なTOEICスコアである700〜800点相当の英語力があるといいでしょう。TOEICは一般的なビジネス英語を評価するものであり、業務において用いられる専門用語や独自の表現はTOEICには含まれないため、専門用語の英語力も必要です。

国際的なクライアントと円滑にコミュニケーションをとるためにも、英語力は不可欠な存在でしょう。英語の習得は、特許技術者の商業的な成長と成功に寄与します。

今後の特許業界は?

特許技術者の将来性は非常に明るいです。というのも、知的財産の分野は急速に衰退することのない分野であり、今後も発展が期待されると予測されています。特許出願は、日本国内でも世界でも、大きな変動は見られず安定しているでしょう。

今後も技術の進化が続き、企業が競争力を維持するためには知的財産の保護が不可欠です。特許技術者は新しい発明を特許にし、企業の競争力を高める役割を果たします。新しいアイデアや開発が続く限り、特許は欠かせない存在です。

さらに、AIやバイオテクノロジーなどの新興分野での需要も増加しており、専門知識を有する特許技術者の重要性が一層高まっています。

将来的に、特許技術者は高収益な職業として注目を浴び、安定したキャリアパスが期待されるでしょう。

自分の専門知識を生かして、特許の専門家へ

特許技術者は、新しい発明や技術に関する特許を取得する専門家です。主な業務は、新しい発明に関する専門的な知識を駆使して特許出願書類を作成し、その後特許庁での審査プロセスを管理します。

必要なスキルには、理系の専門知識、知的財産権や特許法に対する理解、英語力などが対象です。対照的に、弁理士は法律のプロであり、特許法の専門家であり、法的なアドバイスを提供し、特許侵害訴訟などの法的な問題に対処します。

特許技術者は、科学や技術の知識を活用し、特許を取得して保護する役割を果たす専門家であり、弁理士と協力して法的な保護をサポートする重要な職業です。

特許技術者は、特許出願の中心的な存在であり、専門知識を活かせば未経験からでも十分に活躍ができます。転職を検討する際には、具体的にどの方向に進みたいかをイメージし、転職活動に向けて一歩踏み出していきましょう。

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