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2024/06/23 更新

戦略コンサルタントとは?年収や仕事内容から必要なスキルまで解説

コンサルタント業界に就職や転職を考えている人の中には、企業戦略に関わる戦略コンサルタントを目指す人もいるのではないでしょうか。しかし、戦略コンサルタントがどのような仕事をしているのかわからない、やりがいや年収を知りたい、という人もいるでしょう。

この記事では、戦略コンサルタントの仕事について具体的な内容を知りたいという人に向けて、戦略コンサルタントの概要を紹介しています。戦略コンサルタントの年収や必要なスキルなども解説していますので、仕事への理解を深め、転職に役立ててください。

戦略コンサルタントとは?

戦略コンサルタントとは、企業の経営戦略に関わる課題に対し、解決するための支援を行う専門家です。クライアント企業の競争力を高めるために、全社戦略立案やマーケティング戦略、事業戦略、M&Aなどについて支援していくことが主な業務になります。

戦略コンサルタントになるためには、経営戦略を立案するための幅広い専門知識や戦略思考、経営者や経営陣に寄り添うためのコミュニケーション能力が必要です。最近では財務や人事など分野を広げてコンサルティングを行ったり、実行支援までを行うことも増えています。

この章では、戦略コンサルタントの年収ややりがい、経営コンサルタントとの違いなどについて紹介します。

戦略コンサルタントの年収相場

戦略コンサルタントの年収相場は、企業や経験によっても異なりますが、おおよそ695万円程度となっています。これは日本の平均年収433万円よりも高くなっており、コンサルティング業界の中でも高水準です。

コンサルタントは経験などにより、アナリストからコンサルタント、マネージャー、パートナーと昇級していきます。役職が上がるごとに仕事の難易度が高くなり、責任が増すことから、年収も上がるのが一般的です。

役職ごとの年収の目安は以下のようになっています。

  • アナリスト:400~900万円
  • コンサルタント:900~1,300万円
  • マネージャー:1,300~2,000万円
  • パートナー:3,000万円以上

新卒や第二新卒が初めに就く職位がアナリストであり、3〜5年の経験を積むと大半がコンサルタントに昇進します。マネージャーはコンサルタントの仕事以外にプロジェクトの責任者としての業務が増え、パートナーはコンサルタントとしてトップの役職です。

戦略コンサルタントのやりがい

戦略コンサルタントは会社の経営層がクライアントであり、企業の将来を見据えた大きなプロジェクトに参加して働きます。若いうちから企業の上流領域で経験を積めることや、経営に関する意思決定に携われるのは大きな魅力といえるでしょう。

プロジェクトチームで一緒に働くメンバーにはハイレベルな専門家が多く、共に働くことでビジネススキルを学ぶこともできます。プロジェクトごとにさまざまなスペシャリストと協働することで大きな刺激をうけ、成長していけることにやりがいを感じる人もいるでしょう。

クライアント企業の経営を左右する問題に対処し、解決していくことは、大きな達成感をもたらしてくれます。自身の短期間での成長と、仕事を通して得られる達成感は、一般企業にはないやりがいをもたらしてくれるはずです。

戦略コンサルと経営コンサルの違い

戦略コンサルは企業がどのような道を進むべきかを模索し、ベストな結論を出すことが目的です。そのため、戦略コンサルは常にクライアントの期待を上回る戦略やビジョンを提案していくことが求められます。

対して、経営コンサルの場合は、進むべき道は決められており、目標に向かう最善策を導き出すことが目的となります。

また、戦略コンサルが中長期な視点から企業のあるべき姿を見据え、将来につながる対策を取るのに対し、経営コンサルは短中期に成果を出すことが重点です。戦略コンサルと経営コンサルは目的と時間軸の違いがあり、行う業務や提案内容などはそれに合わせて変わってきます。

戦略コンサルタントの仕事内容とは?

戦略コンサルタントは、企業の業績を向上させるための戦略立案のほか、さまざまな業務を行います。どの業務においても専門的な知識と思考が要求されるでしょう。

戦略立案

戦略コンサルタントの中心となる仕事は、企業の将来を見通した経営戦略を立てることです。中長期経営戦略や事業戦略などクライアントに合わせた提案を模索します。戦略を策定することによって、クライアント企業は経営理念やビジョンの実現に向けて進められるのです。

具体的な業務では、クライアントの課題を分析し、長期的にどのような成長をするのか方針を見定めます。戦略を立案するためには競合分析や市場調査などを行い、組織の強みや弱みなどを把握しなくてはなりません。

得られたデータを分類・分析し、課題を解決するための仮説を立てて検証します。戦略思考を駆使して最適解を見つけ出し、立てた戦略案をクライアントにプレゼンテーションします。

プロジェクトマネジメント

立案した戦略を実現するためのプロジェクトマネジメントも戦略コンサルタントの仕事です。プロジェクトのスタート段階では、目的を明確にし、達成するための計画やタスクを策定します。

プロジェクトに必要なメンバーを集め、情報共有のための資料なども手掛けます。プロジェクト進行中は、スケジュール通りに進んでいるか進捗状況を管理します。プロジェクト途中で内容が変更になった場合には、速やかにスケジュールを立て直さなくてはなりません。

予算内に収めるための管理も重要な業務であり、進捗状況や変更に伴って経費がかさんだ場合にはどこを圧縮すべきか検討も必要になります。予算がどうしてもオーバーしてしまうと判断した時には、クライアントと交渉することも重要な役割です。

ビジネスプロセスの改善

策定した目標を達成するためには、組織内の業務プロセスや運用を評価し、最適化を計ることも重要です。既存のビジネスプロセスを特定、分析し、よりよく変える方法を検討しなければなりません。

業務プロセスを改善するためにはまず業務フローを可視化し、最適化の機会を見つけます。

業務に関わる「ムリ」「ムラ」「ムダ」を省くことで、効率性と生産性の向上をはかっていきます。その際にはクライアントの業界に詳しいスペシャリストをメンバーに登用することも必要です。

ビジネスプロセスを改善することは、根幹からコスト削減を実現することが目的です。

M&Aアドバイザリー

企業の合併や買収に関わる戦略的なアドバイスを行うことを、M&Aアドバイザリーといいます。M&Aでは相手企業の選定や、法律的な手続き、税務処理を行うため、幅広い知識や経験が必要です。

M&Aに関わる業務では、条件の取り決めや企業価値の算定、相手企業探しや交渉などを行います。基本合意後のデューデリジェンス(買収監査)プロセスをスムーズに行うための支援も重要な役割です。

専門的な業務であるため、M&Aに特化したスペシャリストとして活躍するコンサルタントも多数います。

ビジネスモデルの設計

企業が成功するためには、既存のビジネスモデルに代わる新たなビジネスモデルを開発する必要があります。「誰に」「何を」「どのように」提供するのかを深く掘り下げ、組織が利益を上げられるような設計図を作り上げます。

クライアント企業のそれまでのビジネス構造を変革する思考が重要であり、有効性や実現可能性、持続可能性を満たしたモデルを提供しなくてはなりません。そのため戦略コンサルタントは発想力も重要になります。

戦略コンサルタントに必要なスキル

戦略コンサルタントにはさまざまなビジネススキルが必要になります。業務で求められるスキルには以下の5つがあげられます。

戦略思考

戦略コンサルタントはクライアント企業の抱える複雑な課題に対し、戦略的なアプローチを立て実行していく能力が求められます。戦略を立案するプロセスでは、事実から本質を捉えて推論する、論理的な戦略思考が必要です。

目的に対する的確な設問を設け、答えとなるデータを揃え、最適な仮説が見つかるまでコツコツと細かな検証を行っていきます。戦略思考に基づき論理的に組み立てていくことは、クライアントへ提案する際にもはっきりとした根拠を示すうえで有効です。

長期的な目標やビジョンを考慮しながら問題解決や意思決定を行うには、戦略思考がたいへん重要になってきます。戦略思考を行うための方法論を学び、実際の業務などで実践しながら習得していきましょう。

分析能力

戦略コンサルタントの業務では、データ分析、競合分析、市場調査など多くのデータを解析・理解し、優れた分析を行う必要があります。問題点の抽出し、原因を特定して把握することと、それらを構成する要素を明らかにしていきます。

選別した膨大なデータから洞察を得て、意思決定に活かしていくことが重要です。論理的思考をベースに、ビジネスで用いられる問題解決や分析の手法なども活用し、分析能力を身につけていきましょう。

コミュニケーションスキル

戦略コンサルタントにはコミュニケーションスキルも重要です。クライアントやプロジェクトチームのメンバーと密接に連携しながら、アイデアや提案を効果的に伝えるために、スムーズなコミュニケーションは欠かせません。

相手の話をよく聞き、論点を整理し、どのようにこちらの提案を伝えると良いのか考えていきます。その際には、口頭および書面でのコミュニケーションスキルが重要になります。クライアントに提案する際には上手く伝えるためのプレゼンテーション能力も必要です。

プロジェクトマネジメントスキル

戦略コンサルタントは策定した戦略の実現に向け、プロジェクトを立ち上げます。プロジェクトにおいては計画から実行、監視、および管理する能力が求められます。プロジェクトに必要な専門知識を持つメンバーの選別も重要です。

プロジェクトをスケジュール通りに進行させる進捗状況の管理や、予算内で成果を達成するための予算管理などのマネジメントスキルが不可欠です。

プレッシャーに対する耐性

コンサルティングファームに持ち込まれる依頼の中には、しばしば短期間で課題に対処することが要求される場合があります。経営を左右する重い業務を短期間で成し遂げるのは強いプレッシャーになるでしょう。

そのため、戦略コンサルタントはプレッシャーに耐える能力も求められます。時間の制約を受けながら、精神的にも体力的にもハードな仕事を成し遂げるための、プロフェッショナルマインドも重要なスキルです。

戦略コンサルタントに向いている人の特徴は?

戦略コンサルタントは、企業の経営状態を左右する課題に取り組むため、強い責任感や職業倫理感が必要とされます。また、業務では高い論理的思考力・戦略思考が必須であり、常にクライアントの期待に応えるプロフェッショナルマインドを持てる人が向いています。

プロジェクトをスムーズに進めるためにはコミュニケーション能力や時間管理能力も重要です。困難な仕事に向き合うには、精神的にも肉体的にもタフであることも大切です。冷静な思考力やプロ意識、自身に関する管理能力を持つ人が、戦略コンサルタントには向いているでしょう。

戦略コンサルタントが取得するべき資格

戦略コンサルタントに必須の資格はありませんが、以下のような資格を保有していると専門知識があることの証明になり、業務にも役立ちます。また、クライアント企業に安心感を与える材料にもなります。

MBA

MBAは経営学や経済学の大学院を修了した者に与えられる学位です。MBAでは経営学の知識を体系的に学べ、リーダーシップスキルを高められます。また、MBAで共に学んだ仲間は、将来仕事においても役立つ人脈になることが期待できるでしょう。

ビジネス分野での専門知識を習得できるため、多くの戦略コンサルタント会社ではMBAが重要視されています。昇進などのキャリアアップに役立つことも期待できる、有用な資格の一つといえるでしょう。

MBA取得は決して簡単ではなく、資格取得に対する熱意や、そこで得た専門知識が評価の対象にもなっています。

中小企業診断士

中小企業診断士は経営コンサルティングにおける唯一の国家資格です。資格を取得していると、経営分析や財務分析、経営計画の策定などに関するスキルがあることの証明になります。

中小企業診断士資格があると、中小企業向けに経営診断やアドバイスが行えます。知名度も高いためクライアントから信用を得る材料にもなるでしょう。日本の企業の99%は中小企業ですので、身につけた知識は幅広いプロジェクトで活用が可能です。

中小企業診断士も難易度の高い資格ですので、取得していることは転職の際にも大きなアピールになります。

TOEIC

戦略コンサルタントに依頼するクライアントには外資系や海外進出を考える企業もあります。国際的なプロジェクトやクライアントとコミュニケーションを取るには英語のスキルが必要です。

業務で役立つためには専門用語も習得しなければなりませんし、英語の文献や資料を読みこなす語学力が求められます。TOEICで一定のスコアを保有していると英語のスキルがある証明になり、業務でも役立ちます。

激務であるコンサルティング業務に就いてから習得するのは難しいため、就職や転職の前に取得するとよいでしょう。

戦略コンサルタントはやりがいのある職業

戦略コンサルタントは、コンサルティング業界の中でも年収が高く、やりがいのある職業です。仕事では、クライアント企業の経営を左右する高度な支援を行うため、経営に関する幅広い知識とスキルが要求されます。

業務に必要とされる高度な知識や優れた論理的思考を身につけるためにも、実践的な資格に挑戦し取得することがオススメです。

ただし、戦略コンサルタントへの転職は、競争も激しく難易度は他の業種よりも高くなります。転職を成功させるためには、自分一人で活動するよりも、戦略コンサルタントに特化した転職エージェントに相談してみましょう。転職エージェントを上手に活用して、採用を勝ち取りましょう。

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株式会社WARC

WARCエージェントマガジン編集部

「人材紹介の『負』の解消を目指す、新しい転職エージェント」をビジョンに、ハイクラス人材紹介事業を展開しているWARC AGENT。WARCエージェントマガジン編集部は、このビジョンを支えるために、転職者に役立つ情報を執筆し、個々のキャリア形成をサポートしていきます。

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