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公認会計士試験合格のためのコツを解説|合格のために必要な時間は?科目別に詳細を紹介

2023/12/31 更新

公認会計士試験の対策を始める方にとって、合格に必要な勉強時間が焦点となります。科目の内容や勉強時間を把握することで、公認会計士合格への道筋が見えてきます。

この記事では、公認会計士試験の概要や合格に至るための勉強時間について解説します。

公認会計士を目指す段階

公認会計士を志す方にとって、合格後のキャリアパスが気になるものです。公認会計士を目指すすべての方々は、次の3つの段階を経る必要があります。

  1. 公認会計士試験に合格
  2. 実務を経験
  3. 公認会計士名簿へ登録

このセクションでは、公認会計士への道のりを詳しく解説するので、試験合格後の流れを把握しましょう。

公認会計士試験に合格

公認会計士を目指す最初の段階として、毎年実施される試験に合格が必要です。この試験は短答式と論文式の2つのステージで構成され、両方をクリアすれば公認会計士として認定されます。

短答式試験は年に2回行われ、いずれか一方に合格すれば論文式試験を受ける資格が得られます。もし論文式試験で不合格でも、2年間の免除申請が可能です。最初に短答式試験の合格を目指して学習に取り組むことが、後に効率的でしょう。

実務を経験

公認会計士の登録には実務経験が必要なため、監査法人への就職が必須です。監査法人は企業の監査を専門とする組織であり、公認会計士による専門業務を経験します。監査法人での経験を積みながら、公認会計士登録を目指しましょう。

公認会計士合格者は、一般的にBIG4として知られる主要な監査法人に就職するケースがほとんどです。これらの法人は国内監査業界の8割を占め、多数の公認会計士を抱えているとされています。

公認会計士名簿へ登録

公認会計士として活動するためには、日本公認会計士協会への登録が必要です。登録には以下の3つの条件をすべて満たす必要があり、通常は3年かけて条件をクリアします。

  1. 監査法人で2年間の実務経験
  2. 3年間の補習所通い
  3. 修了試験の合格

監査法人で働きながら補習所に通い、3年目に修了試験に挑戦することが可能です。修了試験は公認会計士試験よりも合格率が高く、再受験もできます。

公認会計士試験に関する情報

公認会計士の勉強を始める前に、多くの人が試験の概要に興味があるのではないでしょうか。試験の概要を理解し、学習の準備を進めていきましょう。

受験資格について

公認会計士は他の難関試験と異なり、学歴に関わらず誰もがチャレンジできる国家資格です。

医師や弁護士など他の難関資格を取得するには専門大学を卒業する必要がありますが、公認会計士の受験には学歴の制約はありません。高卒者や大学在学中の人も含め、多様な層が受験できる資格です。会計や経理の経験を持つ人が次のキャリアに進むために、公認会計士の取得を検討するケースも少なくありません。

公認会計士試験の内容と形式

先述のように、公認会計士試験は短答式試験と論文式試験の2つの段階で構成されます。それぞれの試験内容について解説します。

短答式試験について

短答式試験は、公認会計士の基礎知識をマークシート形式で問うテストです。会計や企業法に関する内容が4科目出題されるため、それぞれの内容を幅広く勉強して試験に臨みます。

短答式試験は年に2回、5月と12月に実施されます。不合格でも半年後に再受験が可能なので、自分のスケジュールに合わせて受験できます。

論文式試験について

短答式試験に合格したら、次は毎年8月に実施される論文式試験に挑みます。論文式試験はマークシート形式ではなく、文章で各科目の理解度を問うテストです。3日間に渡って複数の科目を受験し、11月の合格発表で公認会計士への一歩を踏み出せます。

論文式試験の不合格でも、申請すれば2年間は短答式試験が免除される仕組みです。

試験のスケジュール

短答式試験は毎年5月と12月に実施され、論文式試験は8月下旬の3日間に予定されています。短答式試験は年に2回行われ、どちらかに合格すれば論文式試験の受験が可能です。

論文式試験は短答式試験に合格した人のみが受験資格を持ち、毎年8月下旬の土曜日から月曜日にかけて開催されます。試験は全国10カ所以上で行われるため、試験日程と会場を把握して受験に臨むことが大切です。

受験料について

公認会計士試験の受験料は、短答式試験と論文式試験の両方を合わせて19,500円です。受験願書を提出する際に支払いが必要なので、用意をしておきましょう。

受験料を支払ったにもかかわらず試験を受けなかった場合、返金はされませんので注意してください。また、論文式試験に不合格だった場合、翌年に再受験する際も同額の受験料が必要です。

公認会計士試験の難易度と合格率について

公認会計士・監査審査会(※1)によると、令和4年の公認会計士試験の論文式試験の合格率は7.7%でした。この試験には4,067人が受験し、そのうち1,456人が合格しました。

公認会計士は医師や弁護士と同様に難関試験とみなされ、出題される内容が非常に難しい資格です。試験は相対評価で行われるため、合格ラインの明確な点数基準は存在しません。毎年、受験者全体の7〜11%が公認会計士試験に合格しています。

(※1)参考:公認会計士・監査審査会「令和4年公認会計士試験の合格発表の概要について」

公認会計士試験の勉強時間について

公認会計士試験は難関資格であり、合格するためにどれくらいの勉強時間が必要か気になるのではないでしょうか。公認会計士に一回で合格するために必要な勉強時間を把握することが重要です。

1年で合格した人のケース

公認会計士試験を1年で合格する場合、年間で約2,500〜3,000時間の勉強が必要とされています。単純に1日の勉強時間で計算すると、毎日休みなく7時間から8時間半の学習が必要です。

2年以上かけて合格した人のケース

公認会計士試験を2年以上かけて合格する場合、2年間で約4,000時間の学習が必要とされています。日単位で計算すると、休日を含めても毎日5時間半の勉強が必要です。

異なる状況下での必要な学習時間

公認会計士試験にどれほどの学習時間を費やすべきか、具体的なイメージを持ちにくい人もいるかもしれません。ここでは学生と会社員のそれぞれの場合に必要な学習量を紹介し、自身の状況に合わせて考えてみましょう。

学生

学生生活と並行しての試験勉強を考えると、合格までには1年半〜2年程度の時間が必要です。1年半での合格を目指す場合、約3,500時間の学習が必要で、これに対して1日6時間半程度の学習時間が必要でしょう。

2年で4,000時間の勉強をし合格を目指す場合は、1日5時間半ほどの学習が必要です。

会社員

フルタイムで働く会社員は、学習時間が制限されるため、2年以上かけて試験に合格することが一般的です。

平日の勤務時間が9時から18時で、就寝時間が24時とすると、学習に割けるフリータイムは平日で最大でも3時間程度でしょう。平日に加えて週末に約10時間の学習時間を確保すると、4,000時間を確保でき、2年での合格が理想的です。

公認会計士試験の合格までの時間

公認会計士試験の合格には、概ね2〜4年の期間がかかると一般的に言われています。公認会計士試験に初めて受かるには、かなりの時間を学習に費やす必要があります。

ほとんどの受験者が最低でも2年以上を要し合格に至るので、一度の失敗で落ち込む必要はありません。毎日の着実な学習と、欠けている知識を積み重ねる姿勢が鍵となります。

各科目の学習時間と学習方法

公認会計士試験の勉強を始める際に、科目ごとの必要な学習時間や勉強方法も気になるところです。以下では、短答式試験と論文式試験の各科目について、学習に必要な時間や方法について説明します。

短答式試験の科目別学習時間と学習方法について

短答式試験は、公認会計士としての基礎知識をマークシート方式で問う試験です。以下では、短答式試験で出題される各科目の学習時間や学習方法について説明します。

①財務会計論について

短答式試験の財務会計論における推奨される学習時間や出題内容は次のようになります。

学習時間の目安

600時間〜750時間

出題範囲

簿記・財務諸表論・会計に関する理論

財務会計論は出題範囲が広いため、合格に必要な学習時間は多めに設定されています。中でも、簿記2級レベルの出題は全体の30%以上を占めるため、財務会計論全体の重要な得点源です。簿記2級の内容を優先して進めながら、ほかの科目を反復学習する方法が効果的でしょう。

② 管理会計論について

短答式試験の管理会計論における学習時間の目安や、出題内容は以下の通りです。

学習時間の目安

300時間

出題範囲

原価計算・管理会計

管理会計論は財務会計論同様、原価計算や管理会計など簿記2級の範囲が出題されます。財務会計論の学習が進むにつれ、管理会計論の理解も捗るでしょう。中でも、原価管理基準は出題数が多く、得点に繋がりやすいため重点的な勉強がオススメです。

③監査論についいて

短答式試験の監査論における学習時間の目安や、出題内容は以下の通りです。

学習時間の目安

170〜200時間

出題範囲

財務諸表監査・中間監査・四半期レビューや内部統制監査の理論、制度及び実務

監査論は理論問題のみの出題であるため、公認会計士試験の中でもボリュームが少ない科目と言われています。問題集や模試を繰り返し解き、よく出る出題形式は確実に点数に繋げられるようにしましょう。効率的に学習していると得点しやすく、空いた時間をほかの科目の勉強にも当てられます。

④企業法について

短答式試験の企業法における学習時間の目安や、出題内容は以下の通りです。

学習時間の目安

300〜400時間

出題範囲

会社法・商法・金融商品取引法・監査を受けるべきこととされている組合その他の組織に関する法

企業法は公認会計士の中でも範囲が広い上、短答式試験ではボリュームが最も多いと言われています。全体像の把握までが大変であるものの、知識問題がメインなので慣れると点数が安定する科目です。模試や問題集を繰り返し解き、苦手な部分が見えてきたら集中的に反復練習しましょう。

各科目別の学習時間と勉強方法

論文式試験は、公認会計士として必要な知識を文章で評価するテストです。各科目で求められる勉強時間や学習方法について解説します。

① 財務会計論の勉強法

財務会計論の学習時間の目安や出題内容は以下の通りです。

  • 学習時間の目安:200〜250時間
  • 出題範囲:簿記・財務諸表論・会計に関する理論

財務会計論では、計算問題と理論問題が出題されます。計算問題は記述式ですが、短答式試験の対策として積極的に取り組むとよいでしょう。理論問題は内容が異なるため、テキストの熟読や問題集での繰り返し学習が重要です。

② 管理会計論の勉強法

管理会計論の学習時間の目安や出題内容は以下の通りです。

  • 学習時間の目安:200時間
  • 出題範囲:原価計算・管理会計

管理会計論の出題内容は短答式試験と大きく変わりません。短答式試験を振り返り、記述形式の回答方法を把握しておくことが重要です。短答式試験に合格した方なら、論文式試験もクリアできる可能性が高いでしょう。

③ 監査論の勉強法

監査論の学習時間の目安や出題内容は以下の通りです。

  • 学習時間の目安:150〜200時間
  • 出題範囲:財務諸表監査・中間監査・四半期レビューや内部統制監査の理論、制度及び実務

監査論は、論文式試験の中でも比較的ボリュームが少ない科目とされています。短答式試験での基礎を抑えている人は、論文式試験でもさほど苦労せず合格できるかもしれません。対策では知識の復習と共に、文章表現にも慣れることが大切です。

④企業法の勉強法

論文式試験における学習時間の見積もりや出題内容が次のようになっています。

  • 学習時間の見積もり:200〜300時間
  • 出題範囲:会社法・商法・金融商品取引法・監査対象となる組合やその他組織に関する法律

企業法は論文式試験の中でも最も勉強が必要な科目とされています。また、短答式試験とは出題内容が異なるため、試験前に特に集中して準備すべき科目です。新しい知識を吸収するため、短答式試験とは別の視点で問題集の反復学習に取り組むことが重要でしょう。

⑤租税法の勉強法

論文式試験における学習時間の見積もりや出題内容は次のとおりです。

  • 学習時間の見積もり:330〜400時間
  • 出題範囲:租税法の概要、法人税法、所得税法などの租税法

租税法は論文式試験に新たに加わった科目であり、計算問題と理論問題の両方が出題されます。論文式試験の中で最もボリュームが多く、しっかりとした学習時間が必要です。法人税法や所得税法、消費税法などについて、問題集の繰り返し学習で自信をつけていくことが肝要でしょう。

⑥選択科目の勉強法

論文式試験で選択する科目に必要な学習時間は以下のとおりです。

  • 民法または経済学:400時間ほど
  • 経営学または統計学:200時間ほど

選択科目では、民法や経済学を選ぶと多めに勉強時間が必要でしょう。受験者の大多数が、学習量が少ない経営学を選択します。統計学を選ぶ場合は数字が多く出てくるため、数値に苦手意識がある人は配慮が必要です。

公認会計士試験はこれほど勉強時間が必要なのか

なぜ公認会計士試験の勉強にこれほど時間を費やさなければならないのかについて、以下の3つの理由があります。

  • 広範な試験範囲があるため
  • 高度な専門知識が求められるため
  • 競争的な性質を持つ試験のため

短答式試験では4つの科目、論文式試験では6つの科目を満たさなければなりません。それに伴い、勉強量も必然的に増えます。ただの概念だけでなく、計算問題も求められる科目もあり、専門性の高さも勉強時間を増やす理由の一つです。公認会計士試験は競争的な試験であり、合格の基準が明確ではなく、毎年合格点が変動するため、競争相手との差をつけるために学習することが不可欠でしょう。

公認会計士試験は高度な問題に挑戦し、他者との差をつけるために多大な勉強時間が要求されます。

それでも公認会計士資格を取得するメリット

公認会計士は相当な努力を要する資格ですが、それでも取得を目指す人が絶えない理由が気になるところです。取得すると将来的な安定感があり、苦労した分の見返りが大きいことを理解しましょう。

高い報酬が期待できる

公認会計士の資格を取得すると、就職後に高額な収入が見込めます。国税庁によると、令和3年の1年間に働いた人の平均給与は443万円(※2)でしたが、求人ボックスによると、2023年8月23日時点での公認会計士の平均年収は648万円(※3)です。このことから、公認会計士は日本全体の平均給与よりも1.5倍以上の収入を得られることがわかります。

また、年収が1,155万円以上の人もおり、公認会計士は国内全体において高収入を得られる仕事と言えます。

(※2)参考:国税庁 民間給与実態統計調査 17ページ 「2 平均給与」 
(※3)参考:求人ボックス 給与ナビ 「公認会計士の仕事の年収・時給・給料」

信頼度が高い

公認会計士は高度な専門性を持つ国家資格であり、取得すると社会的な信用を得やすい傾向にあります。

個人の価値は単に肩書きだけでは測れませんが、社会的な立場や地位は年齢と共に評価されることが少なくありません。公認会計士の資格は広く認知された難関資格であるため、実社会において信頼される傾向があります。

また、信頼度が高いと、住宅ローンの取得やクレジットカードの審査などにおいても有利に働くことが期待できます。

多様なキャリア選択肢が存在する

公認会計士の資格取得は、将来のキャリアプランに多くの選択肢をもたらします。

高い収入や社会的な地位を持つことは大切ですが、不安定な仕事であれば持続することは難しいものです。公認会計士が行う法定監査は大企業に必要な業務であり、仕事が枯渇することはほぼありません。

また、公認会計士の資格を持っていると転職や独立が比較的容易であり、将来的な仕事に不安を抱えることは少ないでしょう。

公認会計士試験合格のポイント

今から公認会計士を目指すなら、合格に向けた重要なポイントを押さえておくことが大切です。公認会計士試験には攻略法があり、これらを押さえることで合格までの道のりを短縮することができるでしょう。

公認会計士の受験学校を活用する

公認会計士の受験学校を利用することで、重要なポイントを効率的に学習する方法です。

公認会計士試験を一人で勉強しようとする場合もあるかもしれませんが、合格者の自己学習は10%程度にとどまります。公認会計士試験の範囲が広いため、最短で合格するためには試験の傾向をつかんだ学習が必要です。受験学校を利用することで、専門家からの効果的な指導を受けながらスムーズに合格に近づけるでしょう。

論文式試験の選択科目では『経営学』を選ぶ

論文式試験の選択科目では経営学を選ぶことで、効率よく高得点を狙う方法がオススメです。

論文式試験では経営学・経済学・民法・統計学の中から科目を選択できます。選択科目で迷っているなら、学習量が最も少ない経営学を選択することをオススメします。

出題範囲が限られており、対策が一通りできれば他の科目への学習に時間を割けます。

計算問題の対策を重視する

公認会計士試験では、計算問題の対策を重点的におくことで効率的に学習できます。

短答式試験・論文式試験の両方で計算問題の割合が大きいです。幅広い範囲の計算問題を解けないと、公認会計士試験に合格することは難しいです。また、計算問題から入っていくと、後で理論問題の理解が進むことが期待できます。最初は計算問題をたくさん解いて、少しずつ理論問題につなげていく勉強法がオススメです。

公認会計士合格に向けて効率化と学習時間の確保を意識しよう

公認会計士は多くの人が目指す資格ですが、合格には長期間の集中勉強が不可欠な難関試験です。

日々の時間は限られているため、効率的な勉強方法を考えることが重要でしょう。時間をしっかり確保し、効率的なアプローチで公認会計士試験に挑戦してみてください。

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株式会社WARC

WARCエージェントマガジン編集部

「人材紹介の『負』の解消を目指す、新しい転職エージェント」をビジョンに、ハイクラス人材紹介事業を展開しているWARC AGENT。WARCエージェントマガジン編集部は、このビジョンを支えるために、転職者に役立つ情報を執筆し、個々のキャリア形成をサポートしていきます。