2024/10/22 更新簿記3級合格率と難易度の変動｜取得メリットを紹介
多くの人が経理の仕事に役立つ資格として簿記検定を思い浮かべるでしょう。経理や会計の初学者は、簿記3級の取得がおすすめです。
この記事では、簿記検定3級の内容やその取得のメリットを説明します。キャリアを向上させたいビジネスパーソンや会計の仕事を希望している方は、簿記検定3級の合格の確率やその難しさを理解し、勉強をより効果的に行うヒントとして利用してください。
簿記3級とはどんな資格？
経理や会計に関連する資格といえば、最初に思い浮かぶのはおそらく簿記検定でしょう。簿記検定は主催元によって、以下の4種類に分かれています。そのなかでも日本商工会議所が主催する日商簿記は、大規模で知名度の高い資格です。一般的に簿記というと、多くは日商簿記のことを指します。
簿記検定の種類 | 日商簿記 | 全商簿記 | 全経簿記 | 日ビ簿記 |
|---|---|---|---|---|
検定名 | 簿記検定試験 | 簿記実務検定試験 | 簿記能力検定試験 | 簿記能力検定試験 |
主催者 | 日本商工会議所 | 全国商業高等学校協会 | 全国経理教育 | 日本ビジネス技能検定協会 |
対象 | 一般社会人 | 商業科・商業高校の高校生 | 経理・会計専門学校の学生 | 一般社会人 |
級 | 1級・2級・3級・算初級 | 1級・2級・3級 | 上級・1級・2級・3級・基礎 | 簿記初級・原価計3級・基礎 |
転職活動や就職活動でアピール材料にするなら、日商簿記はおすすめです。 また、簿記検定は受験資格に制限がないため、誰でもチャレンジすることができます。
簿記3級は経理関連の入門資格
日商簿記検定は、以下の表で紹介するとおり、5つのレベルにわかれています。
簿記3級は入門的なレベルで、経理や会計に関する基本的な知識があることを証明できる資格です。そのため、経理・会計職に限らず、あらゆるビジネスパーソンにおすすめできます。
一方、簿記2級はより専門的な知識を持っていることを証明できるため、経理・会計職を目指す場合、2級以上の取得をおすすめします。
簿記のレベル | 科目 | 対象者 | 難易度 |
|---|---|---|---|
1級 | 商業簿記、会計学、工業簿記、原価計算 | 大企業経営者、会計指導者 | 合格率7〜10％ |
2級 | 商業簿記、工業簿記 | 中小企業経営者、会計主任 | 合格率20〜30％ |
3級 | 商業簿記 | 中小企業経理部、一般記帳者、営業・管理部門 | 合格率30〜50％ |
初級 | 商業簿記（入門）、工業簿記（入門） | 商業簿記入門者、工業簿記入門者 | 合格率50〜60％ |
原価計算書初級 | 原価計算、工業簿記（入門） | 工業簿記入門者 | 合格率80〜90％ |
簿記3級の概要
日商簿記3級および2級の試験は、年に3回行われます。試験時間は60分で、記述式の統一試験と呼ばれています。2021年からはインターネットによるネット試験も導入され、試験をネット上で受けることが可能です。簿記3級では、基本的な商業簿記の理解が求められ、小規模企業の経営活動や会計処理、経理関連書類を行えるレベルが必要となります。
簿記3級の合格率の変動
日商簿記3級は入門レベルの試験であり、そのため難易度はそれほど高くありません。過去10回の試験に関する合格率の推移を以下の表にまとめました。合格率は試験ごとに異なり、合格率が高いからといって試験が簡単というわけではないことは理解しておきましょう。
回 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
164回（2023/6/11） | 26,757名 | 9,107名 | 34.0％ |
163回（2023/2/26） | 31,556名 | 11,516名 | 36.5％ |
162回（2022/11/20） | 32,422名 | 9,786名 | 30.2％ |
161回（2022/6/12） | 36,654名 | 16,770名 | 45.8％ |
160回（2022/2/27） | 44,218名 | 22,512名 | 50.9％ |
159回（2021/11/21） | 49,095名 | 13,296名 | 27.1％ |
158回（2021/6/13） | 49,313名 | 14,252名 | 28.9％ |
157回（2021/2/28） | 59,747名 | 40,129名 | 67.2％ |
156回（2020/11/15） | 64,665名 | 30,654名 | 47.4％ |
154回（2020/2/23） | 76,896名 | 37,744名 | 49.1％ |
※155回は新型コロナの影響で中止
簿記3級の合格率は試験によって開きがあり、27％〜67％となっており平均的に見ると、2級よりも合格率が高いです。他の試験と合格率を比較すると、介護福祉士70％前後、衛生管理者45％〜50％、税理士15％〜20％、社労士6％〜7％となります。
商工会議所の検定試験3級受験者データ
簿記3級の受験資格
日商簿記検定には3級だけでなく、ほかの級も受験資格に特別な制限はありません。そのため、学生や社会人、経理や会計に初めてチャレンジする人など、誰でも受験が可能です。
今後、経理・会計職を目指す人や、ビジネスパーソンとしてキャリアアップをしたい人にも、チャレンジしやすい資格といえるでしょう。
簿記3級の試験内容
簿記3級の試験時間は60分で、商業簿記が3題程度出題されます。合格ラインは70％です。
2019年度以降、出題内容が個人商店から小規模の株式会社に改定され、より現代のビジネス社会に沿った内容となっています。簿記検定3級の出題範囲には以下のものが含まれます。
簿記検定3級の出題範囲
- 簿記の基本原理
- 諸取引の処理
- 決算
- 株式会社会計
簿記3級の勉強方法
簿記3級の勉強時間は、一般的に80〜100時間だといわれています。
たとえば社会人が働きながら1日2〜3時間程度勉強すれば、おおよそ1ヶ月から2ヶ月で達成できる時間設定です。資格の専門学校に通う方法もありますが、簿記3級であれば独学で合格することも難しくないでしょう。
最初に、簿記の全体像を理解するために参考書を読み、基本知識を身につけます。その後、問題集を解きながら、自分が理解できていない分野を特定します。苦手な分野を重点的に勉強し、弱点を克服しましょう。
簿記3級はこんな人におすすめ！
簿記検定の3級は会計の基礎レベル、2級は専門レベル、1級はスペシャリストレベルです。経理・会計に全く経験がない人など、初心者は簿記3級からスタートすることをおすすめします。
【簿記3級はこんな人におすすめ】
- 就活予定の学生
- これから経理職を目指す人
- キャリアアップを目指すビジネスマン
経理・会計職を本格的に目指す人は、将来的には簿記2級以上の取得を目標にするといいでしょう。
簿記3級の取得メリット
簿記3級は基礎レベルであり、会計や経理職の転職時におけるアピールポイントとしては少し弱いかもしれません。しかし、簿記3級を取得することで以下のメリットが得られるでしょう。
簿記3級の取得メリット
- 企業の財務状況を数字で分析できるようになる
- ビジネストークが幅広くできるようになる
企業の財務状況を数字で分析できるようになる
簿記3級を取得することで、財務諸表を理解し、会社の状況を分析できるようになります。自社の運営方針を把握し、業務を経営的な視点から見ることが可能になり、ただ与えられた仕事をこなすだけでなく、その意味を考えながら仕事をすることができるようになるでしょう。
こうした数字の読解力を身につけることで、自社の経営状況だけでなく、ほかの企業の状況を理解でき、社会の動きを把握しやすくなります。
世の中の動きを理解・把握することは、ビジネスパーソンにとって欠かせないスキルですが、多くの人がそれを理解できていないという現実もあります。簿記3級は基礎レベルではありますが、仕事で活かせる知識を多く習得できるでしょう。
ビジネストークが幅広くできるようになる
社会人として必要な経済に関する一般常識を身につけるだけでなく、取引先の経営状況を把握しながらビジネストークを展開できるため、説得力のある会話が可能になるでしょう。取引先の要望を理解しながら、財務や経済に関する知識を組み入れた提案ができれば、営業トークも飛躍的に向上します。
簿記3級取得で成功への基盤を固めよう
簿記3級は、経理・会計における基礎レベルですが、ビジネスパーソンにとって欠かせない知識を習得できるため、取得しておきたい資格です。また、経理・会計職への転職を考えている場合、簿記2級以上を目指すことをおすすめします。
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