記事FV
資格
2024/09/06 更新

情報処理安全確保支援試験とは?資格取得のメリット、合格のためのポイントを紹介

情報処理安全確保支援士試験とは、経済産業省が認定する国家資格を取得するための試験です。IT技術の活用が進み情報セキュリティへの関心が高まっているなか、情報処理安全確保支援試験が注目されています。

しかし「情報処理安全確保支援試験がどのような資格試験なのか分からない」という方もいるのではないでしょうか。本記事では情報処理安全確保支援試験の概要や資格取得のメリット、合格するために押さえるべきポイントについて紹介します。情報処理安全確保支援試験への理解が深まるため、ぜひ参考にしてください。

情報処理安全確保支援士試験とは

情報処理安全確保支援士試験とは、情報セキュリティに関する国家資格「情報処理安全確保支援士」を取得するための試験です。2017年4月から実施されており、サイバー攻撃に備え、セキュリティ対策を担える人材の育成・確保を推進することを目的としています。

IT技術が普及した一方、サイバー攻撃のリスクも高まっており、リスク回避のためのセキュリティ対策が欠かせません。情報処理安全確保支援士試験は情報セキュリティのスペシャリストとして必要な知識やスキルを保有していることを認定するものです。資格を取得していれば、企業のセキュリティ対策のために活躍できる人材であることを証明できます。

情報処理安全確保支援士とは

情報処理安全確保支援士は、サイバーセキュリティに関する知識・スキルを保有していることを示す国家資格のことです。「情報セキュリティスペシャリスト」という資格から移行した経緯から「登録セキスペ」(登録情報セキュリティスペシャリスト)と略称で表記されることもあります。情報処理安全確保支援士になるには、IPA(情報処理推進機構)への申請が必要です。試験合格時だけではなく、登録後も3年ごとに更新が必要なことから、略称にも「登録」とついています。

情報処理安全確保支援士は、情報系の資格では唯一の士業であることも特徴です。主な業務内容としては、以下が挙げられます。

  • 情報セキュリティのマネジメント業務
  • 情報システムに関するセキュリティの確保
  • 情報セキュリティインシデントの対応や管理
  • システムの調達や開発をセキュリティの観点から推進・支援

企業や団体などを標的としたサイバー攻撃の増加に伴い、注目度や関心度が高まっている資格です。取得していればIT関連の企業や情報セキュリティに力を入れている企業などへの就職・転職時にアピール材料のひとつになるでしょう。

情報処理安全確保支援士試験とはどんな試験?

情報処理安全確保支援士試験は難易度が高く、取得が難しい試験といわれています。取得していれば大きな強みになるため、取得を目指す人が多い資格です。スキルアップや転職に向けて取得を目指しているけれど、具体的にどのような試験なのか分からない人もいるでしょう。続いて、情報処理安全確保支援士試験とはどのような試験なのかを解説します。

情報処理安全確保支援士試験の概要

情報処理安全確保支援士の概要は以下のとおりです。

受験資格・年齢制限

なし

受験料

7,500円(情報処理安全確保支援士試験は非課税。)

試験会場

全国56の主要都市
※試験会場は指定できず、受験票で通知される

試験実施時期

春期・秋期

試験時間

午前Ⅰ:9:30~10:20(50 分)
午前Ⅱ:10:50~11:30(40 分)
午後:12:30~15:00(150 分)

出題形式

午前Ⅰ:多肢選択式(四肢択一)共通問題 出題数・回答数 30問
午前Ⅱ:多肢選択式(四肢択一)出題数・回答数 25問
午後:記述式 出題数:4問 回答数:2問

配点・基準点

午前Ⅰ・午前Ⅱ・午後いずれも配点100点・基準点60点

情報処理安全確保支援士試験は年に2回実施されています。試験会場は全国の主要都市にありますが、会場の指定はできず受験票で通知された場所で受験しなければなりません。

試験は1日で行われ、午前中はどちらも多肢選択式、午後は記述式の問題が出題されます。なお、午前Ⅰは一定の条件をクリアすれば免除できる試験です。詳しくは後述しますが、効率的に試験対策をするためにも免除の条件は受験申込前に確認しておきましょう。

配点はいずれも100点で、合格の基準点は60点です。合格するには、すべての試験で60点を超える必要があります。記述式では問題数が少ない分1問あたりの配点が高いため、確実に回答できるように対策することが重要です。

情報処理安全確保支援士試験の難易度

情報処理安全確保支援士試験は難易度が非常に高い試験です。先述したIPAが実施している試験のなかで、情報処理安全確保支援士はレベル4に該当します。レベル4の定義は以下の通りです。

高度な知識・スキルを有し、プロフェッショナルとして業務を遂行でき、経験や実績に基づいて作業指示ができる。また、プロフェッショナルとして求められる経験を形式知化し、後進育成に応用できる。

引用:IPA「情報処理技術者試験 情報処理安全確保支援士試験 試験要項」

レベル4の試験に合格するには、ITに関する高度な知識・スキルを有していなければなりません。情報処理安全確保支援士も例外ではなく、例年の合格率は20%前後を推移しています。なお、直近の2022年秋期の合格率は21.1%(受験者数:13,161名、合格者数:2,782名)です。

試験では情報セキュリティに関する最新の知識やスキルが問われるため、受験準備では過去問のほかに新しい情報も収集して備える必要があります。難易度が高い試験であることを念頭に、しっかりと準備しましょう。

情報処理安全確保支援士試験の資格を取るメリット

情報処理安全確保支援士の資格を取得すると、就職・転職やキャリアアップなどさまざまな場面で役立ちます。自身のスキルアップにもつながり、活躍の場を広げられるでしょう。とはいえ、具体的にはどのようなメリットがあるのかイメージできない人もいるのではないでしょうか。続いて、情報処理安全確保支援士試験の資格を取るメリットを解説します。

知識・技能を保有している証明になる

情報処理安全確保支援士試験の資格を取ると、情報セキュリティに関する高度な知識・技能を保有している証明になります。情報処理安全確保支援士試験は情報セキュリティの一般的な共通的知識のほかに、サイバー攻撃やセキュリティ対策に関する深い知識が必要な問題も出題される試験です。

合格すれば、情報セキュリティの専門家としてコンサルタント業務などでの活躍もできます。自身の市場価値を高められるため、独立や企業の重要なポジションへの就任など、キャリアアップが目指せるでしょう。

また、情報処理安全確保支援士は試験合格後IPAへ登録すると、士業として経済産業省のデータベースに名前が記載されます。社会的問題がない人物しか登録ができない資格のため、企業からの信用を得やすいでしょう。

セキュリティに関する最新知識を手に入れられる

情報処理安全確保支援士試験に合格し、支援士として登録・更新すればセキュリティに関する最新知識を手に入れられる点もメリットです。情報処理安全確保支援士は情報セキュリティに関する最新の知識・スキルを保持しているか確認するために、3年ごとに更新を行います。

更新のためには、毎年行われるオンライン講習への参加と、3年に1度の実践講習の受講が必要です。こうした講習を定期的に受けることにより、最新の知識を習得でき、インシデントが発生した際にも適切に対応できるでしょう。

また、講習では他の資格取得者との交流が可能です。同業者との交流によって自分が知らなかった情報や知識を得る機会にもなるでしょう。

資格手当・報奨金がもらえる

情報処理安全確保支援士試験に合格することで、資格手当や報奨金がもらえる可能性がある点もメリットのひとつです。企業によっては、特定の資格取得者に対して手当や報奨金を支給しているケースがあります。

資格手当は、毎月の給与と一緒に支給されるのが一般的です。報奨金の場合は資格取得時に一時金として支給されます。企業によっては両方を支給することもあり、収入面でのプラスになるでしょう。

金額は企業によって異なり、資格の種類によっても異なります。一般的に資格手当や報奨金は就業規則に規定されているため、一度確認してみましょう。

国家資格の試験を一部免除にできる

国家資格の試験を一部免除にできることも、情報処理安全確保支援士試験に合格するメリットです。例えば、以下の資格試験の免除が受けられます。

中小企業診断士試験

第1次試験科目の一部免除

弁理士試験

論文式筆記試験選択科目(理工Ⅴ(情報))の免除

技術士試験

第1次試験の専門科目(情報工学部門)の免除

ITコーディネータ(ITC)試験

ITコーディネータ試験の一部が免除される「専門スキル特別認定試験」の受験が可能

試験科目の一部が免除されるため、その分他の科目の勉強に注力できます。これにより合格に向けて効率よく勉強できたり、受験時の心理的・身体的な負担を軽減できたりするでしょう。

また「専門スキル特別認定試験」はITコーディネーター資格の前提となる知識・スキルを有している人を対象とした試験です。情報処理安全確保支援士を取得していれば、この試験を受験できるようになります。

情報処理安全確保支援士試験に合格するためのポイント

情報処理安全確保支援士試験は難易度が非常に高い試験のため、合格に向けてしっかりと準備する必要があります。合格するためには、具体的にどのようなポイントを押さえて対策すべきなのでしょうか。続いて、情報処理安全確保支援士試験に合格するためのポイントを解説します。

過去問で傾向をつかむ

試験に合格するためには、まずは過去問で試験の傾向をつかみましょう。情報処理安全確保支援士試験は情報セキュリティに関する深い知識・スキルが必要とされます。しかし、前提としてITに関する幅広い知識を有している必要があるため、出題範囲も非常に幅広いのが特徴です。

幅広い出題範囲に対応するためには、効率的に勉強する必要があります。特に効率良く行うべきなのは、午前の試験への対策です。午前の試験は過去問から出題されるケースが多いため、過去問を多く解いて対策しましょう。

過去問を解く際には、一問一答形式のアプリや問題集の活用がおすすめです。効率的に勉強できる方法を探し、実践しましょう。

午後試験の対策をしっかりする

午後の試験への対策をしっかりと行うことも、合格のために欠かせません。午後の試験は長文の記述式の問題です。問題を解くには、情報セキュリティに関する深い知識のほかに、長文読解力やアウトプットする能力も求められます。

特に必要とされるのが「出題者の要求へ的確に答える」能力です。出題内容を正確に理解し、求められている内容に回答する必要があります。そのためには、セキュリティインシデントの対応事例やセキュリティ管理に関する知識などを身につけることが重要です。また、過去問からよく出題されるセキュリティ技術の傾向をつかむと、より効率良く勉強しやすくなるでしょう。

さらに、対策時にはインプットだけではなくアウトプットする能力を鍛えることも大切です。頭のなかで考えるだけではなく、実際に問題で求められている形にあわせて回答する練習も行いましょう。

対策講座を受講する

情報処理安全確保支援士試験の対策講座や受験指導校の活用もおすすめです。参考書や過去問集が出版されているため、独学での試験対策もできます。ただし、独学では分からない問題があっても詳しい人に相談できなかったり、モチベーションが保てなかったりしてしまいがちです。

対策講座や受験指導校であれば、試験合格のためのノウハウをもとにした指導が受けられます。分からないことがあった際には講師に相談できるため、モチベーションを保ったままで効率的に勉強できるでしょう。

独学で勉強するよりも費用がかかってしまいますが、合格の可能性を高められる方法でもあります。なお、対策講座はオンラインセミナーや動画講座などさまざまな種類があるため、自分に合った形式のものを受講しましょう。

世間で話題になっている情報をチェックする

世間で話題になっている情報をチェックすることも、合格するためのポイントのひとつです。情報処理安全確保支援士試験は過去問が出題されるものもありますが、近年話題になったトピックスから出題されることもあります。

そのため、世間で話題になっている情報をチェックしましょう。IT技術は進歩や変化が激しいため、最新情報やトレンドの把握は資格取得後も必要です。話題の情報をチェックすることは、試験だけではなくさまざまな場面で役立つでしょう。

試験免除を有効活用する

試験免除を有効活用することも、情報処理安全確保支援士試験の合格のために押さえておきたいポイントです。以下の条件をクリアすれば、午前Ⅰの試験を免除できます。

  • 応用情報技術者試験に合格する。
  • いずれかの高度試験、情報処理安全確保支援士試験のいずれかに合格する。
  • いずれかの高度試験、情報処理安全確保支援士試験の午前I試験で基準点以上の成績を得る。

高度試験とは、ITに関する高度な知識・スキルを必要とするIT ストラテジスト試験やシステムアーキテクト試験などのことです。IPAが実施している国家試験はレベル1〜4まで分かれており、高度試験はレベル4に該当します。午前Ⅰの試験ではITの共通的知識に関する問題が中心のため、高度試験に合格していれば必要な知識を有していると判断されるのです。

情報処理安全確保支援士試験は午前Ⅰから受けると1日でトータル4時間という長丁場の試験になります。事前に別の高度試験に合格していると、試験時の体力的な負担を軽減できるでしょう。

情報処理安全確保支援士試験の合格を目指そう

情報処理安全確保支援士試験は国家資格であり、情報セキュリティの高度な知識やスキルを保有していることを証明できます。取得すれば情報セキュリティのスペシャリストとして活躍の場を広げられるでしょう。独立して情報セキュリティに関するコンサルティングを行ったり企業の重要なポジションへ昇格したりなど、キャリアアップにも役立ちます。

試験は難易度が非常に高いため、合格するには事前の対策が欠かせません。過去問を解いて傾向をつかんだり、記述式の問題にも的確に回答できる能力を身につけたりする必要があります。効率的に勉強するためには、対策講座の活用などがおすすめです。キャリアアップや自身の市場価値を高めるなどメリットが大きい資格のため、ぜひ情報処理安全確保支援士試験に挑戦してみてください。

資格の関連記事

公認不正検査士(CFE)資格について

特許技術者と弁理士との違い

簿記1級のメリット

税理士試験の財務諸表論とは

公認会計士試験の合格率

税理士試験の簿記論とは

簿記1級と公認会計士の違い

工業簿記と商業簿記の違い

ビジネス文書検定とは

衛生管理者の試験科目

基本情報技術者試験と応用情報技術者試験の違い

AWS認定の難易度

ITILファンデーションの受験方法

金融内部監査士資格の概要

司法試験の合格率

システム監査技術者試験とは

ITパスポート試験の難易度

不動産鑑定士の仕事内容

個人情報保護士の試験概要

情報セキュリティマネジメント(SG)とは

中小企業診断士とは

消費税法能力検定試験の取得メリット

社労士試験の難易度

法試験の難易度

司法書士試験合格のポイント

社労士の年収アップのコツ

社労士転職を成功させるポイント

給与計算実務能力検定とは

弁理士の仕事内容

未経験で経営コンサルタントへ転職

情報処理安全確保支援試験とは

司法試験の合格率

戦略コンサルタントとは

簿記1級取得者の平均年収

上級エンジニアの業務内容

MBA(経営学修士)取得方法

公認会計士試験の受験資格

公認会計士試験の3つのポイント

税理士と公認会計士の違い

公認会計士試験合格のために必要な時間

USCPA(米国公認会計士)の難易度

証券アナリストのやりがい

ビジネス実務法務検定を取得するメリット

ビジネスコンプライアンス検定の難易度

衛生管理者試験の特徴

税理士試験の合格ポイント

税理士の年収

税理士事務所の業務内容

予備試験の活用方法

電子会計実務検定のメリット

弁理士の仕事内容

人事総務検定試験とは

知的財産管理技能検定の難易度

税理士試験とは

簿記3級の転職への活かし方

日本公認会計士協会のCPEとは

著者画像

株式会社WARC

WARCエージェントマガジン編集部

「人材紹介の『負』の解消を目指す、新しい転職エージェント」をビジョンに、ハイクラス人材紹介事業を展開しているWARC AGENT。WARCエージェントマガジン編集部は、このビジョンを支えるために、転職者に役立つ情報を執筆し、個々のキャリア形成をサポートしていきます。

満足度98%のキャリアコンサル

無料カウンセリングはこちら