簿記は、企業の経営を管理するために必要なスキルです。簿記2級の取得は、転職や就職に有利とされていますが、その結果どれくらいの年収が期待できるのでしょうか。
この記事では、簿記2級の基本情報や難易度、そして取得によって得られる年収の見通しについて説明します。キャリアを築くために簿記2級を取得しようと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
「簿記2級」という場合、一般的に「日商簿記検定」の2級を意味することが多いです。
簿記検定には、主催者によって以下の3種類があります。
特に、日本商工会議所が主催する日商簿記検定は大規模で、毎年50万人以上の受験者がいます。
日商簿記の資格を取得することで、企業の財務状況を数字から読み取るスキルを持っていることを証明できます。特に2級は、経理や経営の実務を行えるレベルであり、企業から高く評価される資格の1つです。
日商簿記検定では、難易度の高い順に以下のようにレベルが分かれています。
2級からは、商業簿記における仕入れと販売に関する内容に加えて、製品を作る原価計算が必要な製造業で使用される工業簿記の内容も出題されます。
日商簿記は、それぞれのレベルに応じて受験科目や難易度が異なります。以下の表に、各級の科目と難易度をまとめました。
簿記のレベル | 科目 | 対象者 | 難易度 |
---|---|---|---|
1級 | 商業簿記、会計学、工業簿記、原価計算 | 大企業経営者、会計指導者 | 合格率7〜10% |
2級 | 商業簿記、工業簿記 | 中小企業経営者、会計主任 | 合格率20〜30% |
3級 | 商業簿記 | 中小企業経理部、一般記帳者、営業・管理部門 | 合格率30〜50% |
初級 | 商業簿記(入門)、工業簿記(入門) | 商業簿記入門者、工業簿記入門者 | 合格率50〜60% |
原価計算書初級 | 原価計算、工業簿記(入門) | 工業簿記入門者 | 合格率80〜90% |
初級と原価計算書初級は、入門者向けの、基礎知識を測る試験です。簿記の知識を実務に活かすには3級以上を取得することが望ましいでしょう。2級以上は合格が難
しいですが、その分高いスキルがあることが認められます。
簿記2級を取得することで、基本的な経理業務はもちろん、中小企業の経理主任や会計主任としての実務もできます。このため、簿記2級の保持者は即戦力として評価され、転職市場での需要が高いです。
具体的に、どのような職業で簿記2級が有利になるかについて、以下で詳しく見ていきましょう。
【簿記2級が活かせる職業と年収目安】
ここでご紹介したのはあくまで平均的な年収に過ぎず、企業の規模によっては大きな差が生じることがあります。たとえば、銀行業界では、メガバンクに就職すれば年収が1000万円を超えることも珍しくありません。
簿記2級を取得していると、平均年収を知りたいと思うことでしょう。簿記2級の取得者の平均年収は、年代別に以下のようになっています。
年代 | 20代 | 30代 | 40代 |
---|---|---|---|
平均年収 | 〜500万円 | 350〜600万円 | 600万円〜 |
年齢が上がるにつれて、年収も上がっていきます。国税庁のデータによれば、全国の平均年収は20代で317万円、30代で428万円、40代で488万円です。簿記2級を取得した人は、将来的には全国平均の年収を上回る可能性が高いことがわかります。
簿記2級を取得した場合、資格を最大限に活かし、年収をアップさせることが望ましいでしょう。簿記2級は実務で必要なスキルを証明する資格であり、取得していると転職にも有利となります。現在の職場で年収が期待通りアップしそうにない場合、転職を視野に入れてみましょう。
転職を考える際、以下のポイントを意識することが大切です。
【年収アップのための転職のポイント】
上記のポイントについて、詳しく紹介していきます。
年収を確実にアップさせたい場合、簿記2級以上のスキルを習得し、キャリアアップを目指しましょう。
たとえば、簿記1級の取得と、その後税理士になるというキャリアパスもあります。厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によれば、税理士の平均年収は958万円です。これは全体の平均年収だけでなく、簿記2級取得者の平均年収を大きく上回っています。
会計知識をさらに深めたいのであれば、難関国家資格の1つである公認会計士を目指すのもよいでしょう。同じく厚生労働省の統計によれば、公認会計士の平均年収は992万円です。税理士と並んで高収入の職種であり、一部の人は1000万円〜3000万円の年収を稼いでいます。
現在のスキルを活かして年収アップさせたい場合、高収入の業界への転職を検討することがおすすめです。
簿記2級は経理の人材として需要のある資格です。しかし、同じ経理でも、企業の規模や業界によって給与が異なります。
たとえば、国税庁の調査によれば、最も高い給与を受け取っている業界はインフラ業界です。金融業、保険業、情報通信業なども平均年収が高い業界です。これらの業界に転職することで、今よりも年収アップが期待できます。
業界の選択だけでなく、転職先の企業の性格を見極めることも非常に重要なポイントです。
企業は大きく分けて2つのタイプがあります。1つは年功序列型であり、もう1つは実力評価型です。年功序列型の企業では、勤続年数や年齢を重視して役職や報酬が決められます。このタイプの企業に就職すると、どれだけ成果を上げても、先輩よりも早く出世したり高給取りになったりすることはありません。
一方、実力評価型の企業は従業員の働きを評価する基準がしっかり定められており、高い評価を受けた場合は出世や報酬アップが期待できます。年収を速やかに増やしたい場合、このタイプの企業に転職しましょう。
転職する際に、新しい職場の福利厚生と手当について、必ず確認しましょう。
健康保険や厚生年金などの福利厚生は、法律で義務付けられているのでどこの企業にもあります。注意が必要なのは、法定外の福利厚生や資格保有者への手当がどれだけあるかです。
たとえば、以下のような手当が、企業によってある場合とない場合があります。
資格手当は、月に5000円ほど支給されることが多いです。
給与は、基本給だけでなく手当の種類と金額も含めて確認するようにしましょう。たとえば、交通費などの手当がない場合、自己負担が増え、給与が高くなっても生活が困難になる可能性があります。
さらに、福利厚生は企業が従業員をどれだけサポートしようとするかの姿勢が表れる部分です。働きやすさという点でも、福利厚生や手当が充実している企業を選びましょう。
日商簿記2級を取得すると、実際の仕事に必要な簿記スキルを持っていることを証明できます。経理や会計関連の部署に転職する際に有利な資格です。さらに、スキルを磨き税理士や公認会計士になることで、大幅に年収をアップさせることが可能になります。
転職の際、経理の年収は業界によって異なります。年収アップさせたい場合、高収入業界への転職が大切です。また、実力評価型で福利厚生が充実している企業を選ぶことも大切なポイントです。