弁護士や法務責任者を目指す人の中で、司法試験の受験を考えている人は多いのではないでしょうか。難易度が高いといわれている司法試験に合格するには、ポイントを理解した上で効率的に勉強をする必要があります。
今回は、司法試験合格のための方法や司法試験の難易度について解説します。
予備試験は、法科大学院に在籍していない人が司法試験の受験資格を得るための試験です。
一般的に「予備試験」と呼ばれており、司法試験の受験資格を得るために必要といわれています。通常、法科大学院ルートには4年の大学と2年の法科大学院で合計6年が必要ですが、予備試験を合格することで、3〜5年で司法試験の受験資格を獲得できることもあります。この方法は、働きながら学び、合格を目指すために多くの方に利用されている手段です。
2022年の司法試験結果を見ると、予備試験で受験資格を取得して受験した人の合格率は97.5%と非常に高いです。
司法試験は非常に難しい試験で、合格には多くの時間がかかります。ただし、暗記にだけ時間を費やすのではなく、実際の試験の場で実践的な対策を行うことが合格の鍵です。答え方のスキルを向上させたり、自身の弱点を特定したり、時間内に多くの問題を解く訓練など、実践的な対策が非常に重要でしょう。
予備試験は、受験資格を取得するための試験ですが、実際の試験に対する準備としても非常に有用です。実際の司法試験と試験内容が重なる部分もあるため、予備試験の勉強は本番の司法試験に大いに役立ちます。
予備試験に合格することで、司法試験の合格への道が大きく近づくでしょう。
次に、2023年度の司法試験予備試験に関する要点をまとめます。以下の項目について詳しく説明するので、参考にしてください。
2022年にいくつかの変更があったため、以前の情報が古くなっているかもしれません。最新の情報を確認しましょう。また、詳細な概要を把握することは、スケジュールの計画や効果的な勉強方法を策定する際にも役立ちます。受験の検討材料としても重要です。今後のために、これらのポイントを確認しておきましょう。
予備試験には、短答式、論文式、口述式の3つの試験形式があります。それぞれの試験科目は以下の通りです。
【短答式の試験科目】
公法系、民事系、刑事系の科目を合わせて、「基本7法」と呼ばれています。
【論文式の試験科目】
【口述式の試験科目】
2022年から予備試験の出題科目に変更がありました。上記は変更後の情報です。
論文式の一般教養科目が廃止され、代わりに選択科目が導入されました。短答式の一般教養科目は変更されていない点に留意してください。
各試験の配点と問題数は以下の通りです。
【短答式の試験点数と問題数】
短答式は合計270点で、合格ラインは通常160点前後です。
【論文式の試験点数と問題数】
【口述式の試験点数と問題数】
2科目の合計が119点以上で合格とされます。
短答式と論文式の試験において、最低合格点数の設定はないことに留意してください。
通常、予備試験は、短答式が7月中旬、論文式が9月上旬、口述式が1月下旬で行われます。
2023年の具体的な日程は以下の通りです。
【予備試験日程】
論文式と口述式は2日間にわたって行われますが、どちらの試験も両日とも受験が必要です。
試験地は以下の通りです。ほとんどの試験地には1つの試験会場が設けられていますが、一部の都市では周辺エリアも試験会場として使用されることがあります。
【予備試験の試験地】
願書の提出は、法務省に直接取りに行くか、返信用封筒を同封して郵送で請求します。出願は書留で郵送する方法のみが受け付けられています。
詳細については、「令和5年司法試験予備試験の実施について」(法務省)をご確認ください。
予備試験の受験資格条件は以下の通りです。
【予備試験の受験資格】
短答式試験については、受験資格に特別な要件は設けられていません。つまり、年齢、学歴、国籍などにかかわらず、誰でも受験資格があります。
しかし、その後の論文式試験および口述式試験に関しては、それぞれ前段階の試験で合格しなければ受験することができません。これにより、受験資格が制限され、合格者の数が制約されます。さらに、同じ年度にこれらの試験を連続して合格する必要があります。
試験の受験料は17,500円で、申込書に収入印紙を貼付が必要です。現金やクレジットカードなどの収入印紙以外の支払方法は受け付けられません。
司法試験と予備試験の難易度について、最近の合格率を比較してみましょう。
【予備試験の合格率】
実施年 | 予備試験の合格率 | 司法試験の合格率 |
---|---|---|
2020年 | 4.2% | 39.2% |
2021年 | 4.0% | 41.5% |
2022年 | 3.6% | 45.5% |
予備試験の方が、圧倒的に合格率が低いことが分かります。
予備試験で受験資格を得ることは非常に高い合格率を誇りますが、その難易度は非常に高いです。法科大学院ルートと予備試験ルートの受験者比率を見ると、予備試験ルートの受験者は法科大学院ルートの10分の1にも満たないことがわかります。合格率は予備試験ルートの方が圧倒的に高いですが、受験者数と合格者数は法科大学院ルートの方が多いです。
この高難易度の理由は主に2つです。出題範囲が非常く広範囲という点と試験が3つの段階から成り立っているという点です。
これらの理由について詳しく説明していきましょう。
予備試験は、科目の数と出題範囲が非常に広いため、その難易度が高くなっています。
具体的には、短答式試験において、予備試験は8つの科目で構成されていますが、司法試験はわずか3つの科目で受験します。同様に、論文式試験も予備試験は10の科目を対象としていますが、司法試験は8つの科目に限定されています。科目の数において明らかな違いがあるのです。
さらに、必要な知識の質についても、予備試験がより詳細で深い理解を求められます。予備試験と司法試験で問われる知識を分析すると、両方とも論文式試験においては基本的な知識をもとに論じる能力が問われますが、短答式試験においては知識の正確性が強調されます。
予備試験と司法試験の共通科目として基本7法が含まれています。しかしながら、予備試験では短答式試験も受験科目に含まれており、そのため正確な知識の幅広さと深さが求められることになり、多くの情報を暗記し、理解する必要があるのです。このように、知識の面で予備試験は出題範囲がより広いため、難易度が高くなります。
予備試験は、その難易度を高める要因の一つとして、3つの段階から成る試験構造を持つことが挙げられます。
司法試験は最低合格ラインが存在し、全ての受験者が短答式試験と論文式試験の双方を受験します。さらに、これらの試験は連続して行われます。このような連続した試験を同時に対策する必要がある点は、受験者にとって課題となりますが、これは他の受験者にも当てはまることでしょう。
一方、予備試験は3つの段階で構成されています。しかも、各段階で不合格となった場合、翌年以降は全ての段階を再度受験しなければなりません。さらに、試験日も段階ごとに間隔もあります。この試験構造によって、受験者は各段階に合わせて準備を進めることは利点です。しかし、一方で競争が激しくなり、合格が難しくなる傾向があります。
競争率の高い試験を3回連続で突破しなければならなくなり、特に短答式と論文式の双方を連続して合格するのは非常に難しいと言えます。
予備試験は非常に厳しいですが、合格すれば司法試験の合格に近づきます。莫大な時間が勉強にはかかりますが、合格すれば5つの大手法律事務所など、トップ企業で働ける可能性も出てきます。
自身のキャリアアップのためにも、まずは今回紹介した司法試験合格のためのポイントを理解し、勉強を進めてみましょう。