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2024/09/06 更新

個人情報保護士とは|試験概要やメリット、増える需要について解説

個人情報保護士認定試験には関心があるけれども、資格について詳しく知らない方は多いでしょう。個人情報保護士の受験手続きや、需要が高まる理由について理解することで、資格取得を目指すきっかけとなるでしょう。

この記事では、個人情報保護士認定試験の概要や合格後のメリットについて説明します。

個人情報保護士について

個人情報保護士は、個人情報の管理や運用において専門的な知識を持つエキスパートであることを示す民間資格です。この資格は、2005年に施行された個人情報保護法に合わせて導入され、それ以来認定試験が行われています。

参考:全日本情報学習振興協会「個人情報保護士認定試験」

なぜ個人情報保護士の需要が高まるのか

情報技術の進化により、人々の行動がデータとして蓄積されるようになり、個人情報保護の専門家の需要が増しています。情報のデータ化によって生まれる利便性の向上と同時に、セキュリティにも注力する必要です。企業の顧客としても、自身のデータを提供する際には安全性の高い企業を選びたいという一般的な考え方が広がっています。個人データに関する意識の向上が進む中、個人情報保護士の需要は増加しているのです。

個人情報保護士を取得しているのはどんな人なのか

個人情報保護士は、ビジネスパーソンだけでなく就活中の学生などもチャレンジできる資格です。また、個人情報保護士の公式ホームページ(※1)によると、以下のように組織単位で資格取得を勧める企業も増えています。

  • シャープ(株)
  • 中部電力(株)
  • AIG損害保険(株)
  • 日本証券代行(株)

上記のほかにも約800社以上の企業が個人情報保護士の受験を勧めていることからも、資格の有用性がわかるでしょう。

(※1)参考:全日本情報学習振興協会「個人情報保護士認定試験」

個人情報保護士認定試験の概要について

個人情報保護士の勉強をスタートする前に、試験の概要をチェックしておきたいものです。具体的な試験の受け方を知り、学習を始めるイメージを掴みましょう。

開催地域について

個人情報保護士認定試験は、全国11カ所の会場またはオンラインで受験できます。以下の受験地をチェックし、自分が試験を受けられる会場があるか確認しましょう。

  • 北海道・東北地方:札幌・仙台
  • 関東地方:東京・横浜・埼玉・千葉
  • 中部地方:名古屋
  • 関西地方:大阪・神戸・京都
  • 九州地方:福岡

万が一、上記の受験会場が住まいから遠くても、自宅でのオンライン受験が可能です。オンライン受験は各自のパソコンと主催団体支給の360度カメラを利用すれば、誰でもテストを受けられます。

年間実施回数について

個人情報保護士認定試験は、例年3月・6月・9月・12月と年に4回実施されています。例年複数回の試験が予定されているので、自身の好きなタイミングで受験できるでしょう。

申し込み方法について

個人情報保護士認定試験の申し込みは、主催団体の公式ホームページまたは郵送で行えます。ネットからであれば、全日本情報学習振興協会のホームページより申し込みが可能です。また、郵送であれば、公式ホームページの「試験申込書ダウンロード」より書類をダウンロードし主催団体へ送付しましょう。

試験時間について

試験時間は2つの分野を合わせて合計150分ですが、途中退出はできないのであらかじめ注意が必要です。2時間以上に渡るテストですので、集中力が途中で途切れないような工夫が求められるでしょう。

受験料について

受験料は個人で11,000円です。学生なら学生証の提示で学割価格の8,800円となります(2023年9月時点)。セミナーとのセットや団体申し込みの場合は割引が効くため、あらかじめ確認しましょう。

問題数・出題形式について

問題数は全100問で、課題ⅠとⅡをそれぞれ50問ずつマークシート形式で回答します。オンライン試験の場合も問題数は同じですが、パソコン入力によるマークシート式です。 

試験内容について

試験内容は課題Ⅰ「個人情報保護の総論」から50問、課題Ⅱの「個人情報保護の対策と情報セキュリティ」から50問出題されます。2つの分野から、個人情報に関する基礎レベルの知識や実務で用いられる内容が出題されるため広範囲の対策が必要です。また、マイナンバー実務検定1級または2級にすでに合格している人は、課題Ⅰのうち「マイナンバー法の理解」が免除されます。資格保有者は免除を利用し、ほかの分野の学習に時間を割いて合格を目指しましょう。

合格基準・合格発表について

検定の主催団体は、課題ⅠとⅡそれぞれ70%以上の正答を合格基準としています。過去の平均合格率は37.3%、受かった人の平均年齢は37歳とのデータも公表済みです。また、合格発表は試験から約1ヶ月後に公式ホームページで公表されます。

有効期限について

個人情報保護士認定試験は取得したら永久に有効となるわけではなく、合格から2年間の期限があります。いくら真剣に学んで得た知識でも時間が過ぎると忘れたり、法律が変わったりして内容の覚え直しが必要になるからです。試験に合格すると個人情報保護士認定カードを交付されるので、2年間の期限が過ぎる前に更新セミナーやテストを受講します。セミナーやテストの更新には受講料が必要ですので、あらかじめ留意しましょう。

個人情報保護士試験の難易度は?

個人情報保護士の平均合格率は37.3%(※2)であり、10人に3〜4人が合格している割合となります。初見では低い合格率のように見受けられますが、試験内容は継続的な学習で十分に点数を取得できるものです。初学者でも着実に学習を進めれば、一発合格の可能性があります。また、社会での実務経験がある場合は、仕事で得た知識が出題される可能性が高まります。社会人経験や個人情報管理に関わる経験がある方なら、さらに合格への道が開けやすいでしょう。

(※2)参考:全日本情報学習振興協会「試験内容・試験日程」

個人情報保護士資格の取得メリット

個人情報保護士の試験を受験する理由は、取得によって得られるメリットに注目することがあります。単なる社会人としての基礎力を身につけるだけでなく、企業からの評価にも寄与する可能性があることを理解しておきましょう。

①個人情報保護に関して専門知識を有している証明

個人情報保護士に合格すると、データの有効活用や管理ができる人という証明になります。企業で起こる個人情報関連のトラブルは、危機管理への理解が不十分で対策ができていなかったというケースが多いです。検定では個人情報保護に関する法律の内容が盛り込まれており、法令ができた背景についても学びます。危機管理を行う理由をルールと結びつけて覚えると、行うべき対策がわかりトラブルを未然に防げる人材となれるでしょう。

②幅広い業界での需要

個人情報保護に関する知識やスキルを持つ人材は、幅広いフィールドで高い需要があります。個人情報保護法が制定されて以来、世の中のデータ取り扱いに関する意識は急速に高まりました。多くの個人データを扱う企業は、法令に対応するための部署を作ったり専門人材を呼び寄せたりして時代に適応しているところです。どの企業でも個人情報を扱う部署は必ずあるので、検定を取得すると幅広いフィールドでの活躍が期待できるでしょう。

③就職・転職活動で有利

個人情報保護士を持っていると、就職や転職活動で有利になる可能性があります。既述の通り、個人情報保護士は多くの企業で取得を勧められている名前の知れた資格です。大手企業でも積極的に取得を勧めるほど、今の世の中に必要とされている資格と言えます。また、求人情報の「あると望ましい資格」の中に検定の名前を挙げる企業も多いようです。あまり知名度のない民間資格もある中、個人情報保護士は有名で実用性の高い検定と言えるでしょう。

個人情報保護士認定試験の対策方法

個人情報保護士認定試験の概要がわかったところで、合格するための対策方法が気になる人も多いのではないでしょうか。自己学習にセミナー受講を組み合わせると、さらに効果的に知識を身につけられます。

対策①公式テキスト・参考書

検定の主催団体である全日本情報学習振興協会では、個人情報保護士の公式テキストや参考書を発行しています。独学で検定にチャレンジしたい人には、主催団体が出版する公式テキストの利用がおすすめです。公式テキストは問題ごとにわかりやすい解説が載っている上、最新の法改正にも対応した内容になっています。テキストでの自己学習は自分のペースで行えるので、忙しくて勉強時間を確保しにくい社会人におすすめです。

対策②公式オンライン教材

一人で勉強するのが苦手な人は、公式のオンライン教材の利用を視野に入れても良いでしょう。全日本情報学習振興協会では、SMART講座という公式の動画教材サービスを販売しています。本番のテストに出題される問題の重要なポイントを、凝縮して解説している教材です。動画は全8時間分の大ボリュームですが、自分の好きなタイミングで勉強したい分を視聴できます。テキストの内容だけだと理解が追いつかず、わかりやすい解説がほしい人におすすめです。

対策③公式オンライン講習会

学習ポイントをリアルタイムで解説してほしい人には、公式のオンライン講習会の利用もおすすめです。テストを申し込んだものの、なかなか学習時間が取れず焦っている社会人は多いでしょう。全日本情報学習振興協会では、実戦対策講習会という公式のリアルタイム講座を開催しています。1日6時間の集中的な学習で、試験に出やすいポイントを効率よく学べるセミナーです。オンライン講習会を利用すると、要点を絞った効果的な学習を行えます。

情報管理に関するその他の資格を紹介

情報管理に関する資格はほかにもさまざまあり、違いがわからないと感じる人多いです。似ている検定名でも出題内容は異なるため、概要をよく確認してから受験を検討しましょう。

①情報セキュリティ管理士

情報セキュリティ管理士は、個人情報保護士と同じ団体が主催するセキュリティ対策をメインとした試験です。データへのセキュリティ対策を行うには、法律やルールだけでなくハードウェアやソフトウェアなどへの理解も求められます。セキュリティ対策を行うために必要な法令知識や、機械についての知識まで問われる内容です。合格には全分野で70%以上の正答が必要ですが、受験者の平均合格率は5割と比較的易しい試験といえます。

②個人情報保護実務検定

個人情報保護実務検定は個人情報保護士と同じ団体が主催する試験で、組織でのデータ活用を目的とした試験です。個人情報の全体像を歴史や今まで起こった事件などから理解した上で、実際の組織でデータをどう活用するかが問われます。検定の名前や出題内容は個人情報保護士とよく似ていますが、最も異なる部分は試験に1〜3級の等級がある点です。難易度は易しめとされているので、個人情報保護士を受ける前にチャレンジしても良いでしょう。

③上級個人情報保護士

上級個人情報保護士とは、個人情報保護よりさらにレベルの高い知識を問われる資格です。個人データ利用のグローバル化やマイナンバーに関する知識など、個人情報保護士よりも一歩踏み込んだ内容を学びます。上級個人情報保護士の取得には、テストの受験ではなく決められた講座の受講やレポート提出が必要です。講座の受講には個人情報保護士の取得と、マイナンバー対応個人情報保護士の合格が必要なので段取り良くチャレンジしましょう。

④マイナンバー実務検定

マイナンバー実務検定とは、個人情報保護士と同じ団体が主催するマイナンバーの知識証明に役立つ資格です。特定個人情報に関する法律を理解し、データを正しく扱うための知識を問われます。内容は個人情報保護士とリンクする部分が多く、どちらも受験し理解を深める人も多いようです。マイナンバー制度のスタートに合わせて始まった試験であるため比較的新しく、情報の鮮度が高い検定といえるでしょう。

需要が高まる個人情報保護士に挑戦しよう

個人情報保護士は、取得を推奨する企業もあるほど世の中での需要が高まる民間資格です。受験のチャンスが多く、学習の機会が豊富で学習する環境が整った資格ともいえます。コンスタントに取り組めば取得できる内容なので、自身に合った学習方法で個人情報保護士の合格を目指しましょう。

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