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コラム
2024/10/23 更新

【年齢別】20代で学んでおきたい資格を将来像ごとに解説

はじめに

前回、30代になった今だからこそ思う「10代のうちに学んでおきたいこと」をまとめていきましたが、今回は「20代で学んでおきたいこと」をまとめていきたいと思います。

個人的なコラムとしてお読みいただければ幸いです。

1.大学生後半

前回、大学の最初の2年間(10代の最後)は、自分の進むべき道をある程度確定するべき時期で、その道を決める際の参考として、以下の7つの職業類型があるということをお話しました。

  • 従業員:会社に雇われることで所得を得る職業です。
  • 士師業:医師、弁護士、公認会計士、不動産鑑定士などの職業です。
  • 個人事業主:独立したエンジニア、デザイナー、営業マンなどです。
  • 中小企業経営者:自分で小規模な会社を興して経営する職業です。
  • 大企業経営者:上場企業や資本金が5億円を超えるような大規模な会社を経営する職業です。
  • 株主:上場している会社の株を売買又は保有することで利益を得る職業です。
  • その他投資家:不動産又は何らかの事業等に出資をして利益を得る職業です。

大学の後半では、この7つのうち、自分が将来どうなりたいのかをある程度イメージできている必要があります。
そういうイメージがないと、自分の進路に迷うことになるからです。

大多数の学生はあまり将来のイメージを持てないまま、大きな川の流れに流されるように従業員として生きていく道を選びます。
一方で将来像をしっかり持っている残りの学生の多くは、士師業、個人事業主、中小企業経営者になるために歩み始めることになります。
どの道を選択しても良いですし、選択をあえてしないという選択もあります。
この国ではすべて自由なので、どのような将来像を描いても結構ですが、最終的な理想像はイメージしておくべきです。

しかし、これがとても難しいです。

30代になった今だから「そうあるべきだ」ということがわかるだけで、大人になりたての頃に将来の理想像まで決めて、そこから逆算して今の選択をするというのはかなり難易度が高いです。
それに大学の後半は2年間しかない上に、3回生からは就活も始まるので、ゆっくり考える時間がほとんどありません。
その結果、多くの学生が「その他大勢」に紛れて、流されて、とりあえず就職活動をして、とりあえず大手を受けて、とりあえず内定の数を稼ごうという思考で2年間を慌ただしく過ごすことになります。

多くの人にとって、落ち着いて自分の人生を考えられるようになるのは20代後半からでしょう。
でもその時にはもう手遅れになっていることがあって、一度人生の大きなレールに乗ってしまうと、そこからの進路変更は非常に難しくなります。
人によっては結婚もして、子供もいて、忙しすぎて今更何かを変えられる状況ではないと感じる人も多いです。
いろいろなことが落ち着いて、自分のために時間を使えるようになるのは、もしかしたら30代後半から40代以降かもしれません。

そうなってしまわないように、大学の後半2年間は、頭が煮えるほど考えないといけない時期だと私は思っています。
悔いのない選択をするために、これ以上ないほど頭を使ってください。

大学の後半で大事なことは「24時間365日思考を止めないこと」です。
周りが一斉に就職活動を開始する時期ですから、ある意味思考停止して皆と同じように就職活動をすれば、それだけで人生の流れに乗っている感じがします。

でも、そのレールが本当に正しいのかは怪しいです。
自分らしく生きられるレールが別にあったかもしれないのに、いつの間にかもう乗り換えできないところまで行ってしまう人の方が多いのです。
そうならないように、思考し続けてください。

この世にはどんな職業があって、どのような努力をすればたどり着けるのか。
そういう人生にとって有益な情報を調べて、学習しましょう。

理想に近い人生を送っている先輩たちに話を聞かせてもらうというのも効果的な学習法だと思います。
大学のOBなどをあたってみても良いでしょう。
自分の理想に近い人を見つけて、話を聞かせてもらってください。

どこの誰からどんなことが学べるかわからないので、真っ当なやり方(法に触れない生き方)で成功している人を見つけたら、すぐ話を聞かせてもらうと良いです。
学生から「お話を聞かせてください」と言われて嫌な気持ちになる人は少ないでしょうから、勇気を持って話しかけてみるべきです。
ただし、礼儀は重んじてください。

そして、本もたくさん読みましょう。
自分の思考を刺激してくれるような本に出会うために、週2~3冊の本を読むべきです。
目次を読んで、自分の思考を刺激してくれそうなら読む、思考が合わないなら読まないという感じで、粗い読み方で構いませんから冊数をこなしてください。

2年間で100人以上の成功者と対話して、本も200冊くらい読んで、その中の数冊を熟読し、思考を深めていきましょう。
そういう活動をしていると、早い人は数ヶ月で自分の将来を見据えはじめて、道が見え始めると思います。
誰しも情報が揃えば選択もできるようになるので、まずは脳内に有益な情報を貯め込んでください。

2.新卒~25歳くらいまで

就職するか院進するかで変わってくる部分はありますが、やることはあまり変わらないので、いずれにしても勉強をしましょう。

就職組ならば、まずは自分が就職した会社の市場・商品・競合等を徹底的に研究してください。
深く知れば知るほど良いです。
同期の中で一番その業界・商品に詳しくなってください。

院進組は、修士論文のテーマを早く絞って、論文のアウトラインを決めてしまいましょう。
リサーチクエスチョンをできる限り絞って、どういう結論を導くのかを早い段階でイメージできた方が良い論文が書けます。

ここまでが一般的なお話です。
就職組又は院進組のいずれであっても、まずは目の前の勉強に集中しないといけません。

その上で、以下の資格を取っておくことをお勧めいたします。

  • 簿記3級、2級
  • 全経簿記1級(商業・工業)
  • FP3級、2級
  • ビジネス実務法務検定3級、2級
  • 証券外務員一種
  • ビジネス会計検定3級・2級

上記の資格で学ぶ内容は、社会人として常識的な知識が多く、どこの会社に行っても必要となる知識ばかりです。
そして一度学んでおけば一生使える基礎知識だと思うので、是非若い頃に学んでおきたい内容です。
大学生の間に全部取ってしまう人もたまに見かけますが、普通は無理だと思うので、23~24歳くらいまでに取得しておけば十分です。

勉強が得意で余裕がある人は、以下のような中級~上級レベルの資格も取っておくと将来役に立つ瞬間が出てくると思います。
転職においてもポジティブな評価を受けますので、持っていて損はありません。

※私が個人的に思う難易度順

  • 賃貸不動産経営管理士
  • TOEIC800点以上
  • 宅地建物取引士
  • FP1級 / CFP
  • 不動産コンサルティングマスター
  • 証券アナリスト
  • 行政書士
  • MBA(経営管理修士号)
  • 全経簿記上級
  • 日商簿記1級
  • 米国公認会計士
  • TOEIC900点以上
  • TOEFL iBT80点以上
  • 英検1級
  • 中小企業診断士
  • 司法書士
  • 税理士
  • 公認会計士

上記のうち、自分の興味のある分野の資格を1~2個取っておけば、比較的有利に転職活動を行えると思います。

3.25歳~30歳

25歳以降は、その後の人生を左右する仕上げ期間です。
この頃までに自分の将来像(進むべき方向)が見えていない場合は、その後の人生でも成功しづらい年齢になってきます。
もちろん基礎学力が極めて高い人なら25歳超えてからでも挽回できますが、大半の人にとっては巻き返すのは難しい年齢になります。
いずれにしても、今後の人生を確定させるほど重要な数年間です。

何らかの分野で専門家になろうとする場合は士師業資格を取ることになると思いますが、その場合は30歳までを一つの期限として考えた方が良いと思います。
30歳前後までに合格する可能性が低いのであれば、潔く撤退し、別の道での成功を模索するべきです。
記憶力、体力、残された時間との兼ね合いなどを総合的に考えると、その頃までに合格できないなら厳しいです。

なお、戦略的撤退を行う際、自分の中のサンクコスト(埋没費用)を度外視する覚悟が必要です。
感情的にはかなり苦しい決断だと思いますが、最終的に成功を収めればそれで良いはずなので、潔く撤退しましょう。

ちなみにサンクコストとは、今諦めたとしても返ってこないコスト(費用・労力等)のことをいいます。
長く頑張れば頑張るほど、それだけの時間と労力と費用をかけているためサンクコストは増大していきます。
そして、サンクコストが大きいほど、心理的に諦めづらくなっていきます。
難関国家資格業界で何十年も受験生を続けている人が多いのはそのためです。
今更辞めてもどうしようもない状態になるので辞められないのです。

しかし、撤退の時期を見誤ると、人生そのものが終わります。
長過ぎる戦いは、挽回できないほどの損失を生みますから、撤退の判断は早ければ早いほど良いです。

そう考えると、20代で学ばなければならないことの中で最も重要なことは「撤退」かもしれません。
戦略的撤退を適切に行うためには、何度も窮地を経験しなければならないので、結局は真剣に挑戦した数に比例して上手になります。
20代を本気で生きた程度が反映されるわけです。

私の知る経営者たちの中で撤退が上手な人たちは、皆本質的なことを理解している気がします。
その本質とは「最終的に成功すればそれで良い」ということです。
撤退が下手な人は「その道でしか成功できない」という妄想に取り憑かれて、無駄な執着が出てしまっていることが多いです。

  • この試験に合格しないと自分の人生は終わりだ
  • この資格を取得できないならもう成功できない
  • このビジネスで成功できないなら何もかも終わりだ

などの妄想に取り憑かれてしまいやすいのです。
これらはすべて勘違いです。
数学と同じで、正解に至るまでの別解は必ずあるので、視野を意図的に広げてください。

十分に検討して、努力も重ねて、それでも無理だなと思ったら潔く撤退しましょう。
そして別の道を模索することに全力を出してください。
それを成功するまで繰り返すことが大切です。

そもそも、10代や20代の前半でやりたいことがすんなり見つかる人は多くありません。
ほとんどの人は、30歳になっても40歳になっても、自分のやりたいことなんて見つかりませんし、皆とりあえず目の前のタスクをこなしているだけです。
そしていつの間にか取り返しがつかない年齢になってしまいます。
だからこそ、今この瞬間を100の力で挑戦して、見込みがないものは潔く撤退して、次の挑戦に活かすということを繰り返さないといけないと思います。

限られた時間の中で、成功する確率を少しでも上げるために、挑戦と撤退と反省を繰り返しましょう。
そうしないと、すぐ40代50代になってしまって体が動かなくなります。

何でもすぐに諦めるのはダメですが、しっかり100%の力で挑戦した上でダメだったなら、必ず次に活かせます。
どんどん学んで、何度も失敗して、そこから多くの経験を得て次の挑戦に活かしてください。

おわりに

今回は20代で学んでおきたいことを考えてみました。

20代に入るともう大人なので、基本的には誰も何も教えてくれませんから、自分で自分を教育して成長するしかありません。
20代の10年間をどう過ごすかで人生が決まっていくと思うので、危機感を持って学んでいきましょう。

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株式会社WARC

瀧田桜司

役職:株式会社WARC 法務兼メディア編集長/ 学歴:一橋大学大学院法学研究科修士課程修了(経営法学)及び京都大学私学経営Certificate/ 執筆分野:経営学・心理学・資格・キャリア分野のコラム記事を担当させていただく予定です

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