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コラム
2024/09/06 更新

経営学の全体像をざっくりと解説いたします。

はじめに

本連載では、ビジネスで活用できそうな経営学理論や重要なキーワードをご紹介しております。

今回は、経営学シリーズの1記事目なので、まずは経営学全体の体系化を行いたいと思います。

私見に基づく体系なので、正式な学術とは異なる分け方をするかもしれませんが、ご了承ください。

実務で使える経営学分野

経営学は極めて幅の広い学問領域なので、細分化すると100以上の類型化が可能です。

しかし、実務でかかわる学問分野は、以下の5つの学問分野に集約されると考えています。

  • (1)経済学
  • (2)法学
  • (3)会計学
  • (4)心理学
  • (5)組織論

この5分野の重要論点を押さえておけば、実務家としては十分ではないかと思います。

以下では、各分野の科目について見ていきましょう。

(1)経済学分野

経済学分野は、長い歴史を持つ学問なので、それだけ科目数も多いです。

ただ、実務家が触れておくべき科目はそこまで多くはありません。

例えば、以下のような科目がコア科目となります。

  • マクロ経済学
  • ミクロ経済学
  • 経営戦略論
  • ゲーム理論
  • マーケティング
  • 統計学
  • 行動経済学
  • 計量経済学

経済学は、社会科学の中でも、最も自然科学(理系)に近い分野なので、あらゆる科目で数学が出てきます。
そのため、文系出身の人にとっては、最も難易度の高い領域といえます。
したがって、実務で実際に活用できる人は極めて少数です。

多くの人にとって、経済学は活用しづらい科目なので、本連載でもそこまで多くの理論は扱わない予定です。

(2)法学分野

法学は、ビジネスを行う以上常に関係する学問なので、極めて重要な分野ではありますが、範囲が広すぎるため、独学には向かない分野です。

また、実務上弁護士に任せる領域でもあるため、基礎さえわかっていればそれでいいと考えられています。
私自身もそう思います。

主要な科目としては、以下のものがあります。

  • 民法
  • 商法・会社法
  • 知的財産法
  • 独占禁止法
  • 資金決済法
  • 個人情報保護法
  • 労働法
  • 倒産法
  • 租税法
  • 紛争処理
  • 国際法

これでほんの一部です。

法学分野はビジネスの発展に伴って範囲が広がり続けていく学問なので、すべてを学ぶのは不可能だと思います。
そのため、まずは自社の事業に関係する法令を学ぶことを優先しましょう。

(3)会計学分野

会計学分野は、ビジネスにおける最重要分野ですが、こちらも範囲が広すぎるため、重要なところをまず学ぶという姿勢でいた方が良いと思います。

科目としては以下のようなものがあります。

  • 簿記論
  • 財務諸表論
  • 管理会計論
  • 税務会計
  • ファイナンス
  • ファンド管理
  • キャッシュフロー管理
  • 財務分析
  • バリエーション
  • インベストメント(投資)
  • アセット・マネジメント(資産管理)
  • リスク・マネジメント
  • ポートフォリオ・マネジメント

いずれも難易度の高い科目ばかりなので、深く学ぶ場合は数年間かける覚悟が必要です。

また、実務上は公認会計士・税理士にお任せすることが多いので、一般的なビジネスマンが深く学ぶ必要性は低い分野です。
そのため、ある程度の基礎を学んでいれば、実務家としては十分だと思います。

(4)心理学分野

ビジネスで活用できる心理学分野はそこまで多くありません。

科目としては以下のようなものがあります。

  • 産業・組織心理学
  • 組織行動論
  • 認知心理学
  • パーソナリティ心理学
  • 行動心理学

これらの重要論点については、すでに心理学解説シリーズ(紫色のサムネ記事)で連載済みです。

(5)組織論分野

組織論はとても重要な分野の一つなのですが、抽象的な内容が多いため、実務で使えるかは怪しいところがあります。

ただ、知識として持っておいても損はないので、ある程度は学んでおくべきだと思います。

科目としては以下のようなものがあります。

【マクロ組織論】(組織全体を研究対象とする分野)

  • 組織論
  • 人的資源論
  • 経営管理論
  • プロジェクトマネジメント
  • キャリアマネジメント
  • 人材育成
  • 制度設計
  • 組織学習
  • イノベーション
  • ビジネスモデル論

【ミクロ組織論】(主に個人を研究対象とする分野)

  • リーダーシップ論
  • アントレプレナーシップ論
  • モチベーション(動機づけ)
  • 経営哲学
  • ロジカルシンキング
  • クリティカルシンキング

経営者の皆さんはマクロ組織論を中心に学ぶほうが良いと思います。

他方で、個人の方の場合はミクロ組織論の方が役に立つと思われます。

おわりに

経営学分野の大まかな体系化を試みましたが、参考になりましたでしょうか。

5分野それぞれがとても広い学問分野なので、どれか一つを修めるだけでも数年かかります。
最初は広く浅く学んで、自分の専門分野を選ぶと良いかも知れません。

そのヒントになるかはわかりませんが、次回以降の記事において、経営学の重要理論やキーワードについて解説していきます。
お楽しみに。

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瀧田桜司

役職:株式会社WARC 法務兼メディア編集長/ 学歴:一橋大学大学院法学研究科修士課程修了(経営法学)及び京都大学私学経営Certificate/ 資格:司法試験予備試験・行政書士など/ 執筆分野:経営学・心理学・資格・キャリア分野のコラム記事を担当させていただく予定です

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