記事FV
コラム
2024/06/26 更新

【ビジネス用語】ステークホルダーの意味や種類について解説

はじめに

本連載では、ビジネスで活用できそうな経営学理論や重要なキーワードをご紹介しております。

今回解説するキーワードは「ステークホルダー」です。

1.ステークホルダーとは

ステークホルダー(Stakeholder)とは、利害関係者という意味で使用されている用語です。

元々Stakeには「賭け金」という意味があり、それをHold(保有)する人という意味で賭け主や賭け金の保管人という意味で使われていた単語です。

その後、エドワード・フリーマン教授(Robert Edward Freeman,バージニア大学経営学教授)が“Strategic Management: A Stakeholder Approach.”という著書(1984年)を出版し、当該書籍内において「利害関係者」という意味で使用したことで、ビジネス界でも広く使われるようになりました。
現在では、フリーマン教授の理論は「ステークホルダー理論」として広く知られています。

ステークホルダーという言葉は今ではもう一般用語となっており、経営学分野だけではなく、会計学、法学、社会学などでも普通に使用されています。

2.ステークホルダーの種類

ステークホルダーという用語が普及してきた結果、今では様々な関係者をステークホルダーと認識する動きがでてきており、ステークホルダーがどんどん広義になっていっております。

最近よく語られているステークホルダーの範囲を挙げるだけでも以下のような状態です。

  • 既存株主
  • 潜在的な投資家
  • 債権者
  • 銀行
  • 顧客
  • 仕入先企業
  • 従業員
  • 従業員の扶養家族
  • 地域社会
  • 地域住民
  • 社会全体

    etc...

ここまで意義が広がってくると、単に「ステークホルダー」という単語だけでは混乱を招くおそれがあります。
そのため、ステークホルダーという単語を用いる際は、必ず定義を明らかにした上で使用することをおすすめいたします。

また、ステークホルダー間の利害関係は必ずしも一致していない点にも注意が必要です。
例えば、株主と債権者は双方ステークホルダーですが、両者の利益関係は全く異なります。

したがって、ステークホルダーという単語を用いる場合は、具体的に誰の利益の話をしているのかを明確にしないといけません。

3.言い換え

上述の通り、現代のステークホルダーは多義的で、様々なパターンがあります。
そのため、個別具体的な関係者を指して言いたい場合は、言い換えフレーズを覚えておくと便利です。

以下、例示として、法学や経営学分野でよく使われる言い換えフレーズを共有いたします。

  • 債権者:クレディター(Creditor)
  • 投資家:インベスター(Investor)
  • 顧客:カスタマー、クライアント(Customer, Client)
  • 消費者:コンシューマー(Consumer)
  • 仕入先企業:サプライヤー(Supplier)
  • 従業員:エンプロイイー(Employee)
  • 地域社会:コミュニティ、ローカルコミュニティ(Community, Local Community)
  • 地域住民:ローカルレジデント(Local Resident)
  • 社会全体:ソサイエティ、ソーシャル(Society, Social)

一応英語でも記載しておきましたが、私は日本語を使うことを推奨いたします。
なぜなら、英語を用いると、複数の意味で理解することが可能となってしまうからです。

特に日本人が使う英語は曖昧な意味で使っていることが多く、明快ではありません。

例えば、イケてる風なサラリーマンが、お客様のことを「クライアント」ということがありますが、このクライアントという表現には、日本語でいうところの、依頼をいただいている顧客(業務委託者)という意味と、単なる消費者という意味と、サービス提供する可能性がある未来の顧客という意味、さらには贔屓にしているお得意様という様々な意味があって、日本語ではそれぞれニュアンス(微妙な意味合い)が異なります。
そのため、複数の意味で解釈できる場合が多々あるのです。

このような無用な混乱を避けるためにも、極力日本語で表現したほうが良いと個人的には考えています。

4.定義の重要性

同じ分野の専門家同士の会話では、ほとんどストレスなく専門用語を多用して会話をすることができます。

しかし、ほんの少しでも領域が変わると、同じ単語でも少しだけニュアンスが異なる意味で使われていたり、全く意味が異なったりします。

ビジネスの世界で小さな誤解をそのまま放置しておくと、次第に大きなすれ違いが生まれ、それが最終的に大きな損失に繋がるおそれがあるので、会話の中で専門用語を使用する際は、必ず定義を明らかにしておくべきだと思います。
私自身もよく忘れることなので、これは自戒のためにも書き記しておきたいことです。

おわりに

ということで、今回はステークホルダーについて解説させていただきました。

最近は様々な文献で、いろいろな意味で「ステークホルダー」という用語が使われているので、読み手としてこの用語と向き合うときは、先に定義を確認しておきましょう。
仮に定義が明らかにされていないのであれば、その文献の質はあまり高くないということがわかります。
そういう意味では、ステークホルダーという用語は、良い文献を見分けるツールとしても使えそうですね。

それでは今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
また次回の記事でお会いしましょう。

【お問い合わせ】

WARCで働きたい!WARCで転職支援してほしい!という方がもしいらっしゃれば、以下よりご連絡ください。
内容に応じて担当者がお返事させていただきます。

転職相談はこちら

コラムの関連記事

プラットフォーム型ビジネスモデルとは

エージェンシー問題とは

効率的市場仮説とは

経営戦略理論・RBVとは

三新活動とは

ビジネスモデルとは

集団浅慮とリスキー・シフトとは

プロダクトポートフォリオマネジメント(PPM)とは

プロダクトライフサイクルの意味

ステークホルダーの意味や種類

沈黙の螺旋とは

PEST分析について

株式の制度やメリット

完全競争と不完全競争

M&Aの基礎知識

サーバントリーダーシップ理論とは

モラルハザードとは

経済学理論「逆選択」とは

情報の非対称性とは

組織心理学「PM理論」とは

パスゴール理論とは

心理学理論に基づくマネジメント

経営学の全体像

経営戦略の4つのレベル

経営戦略の4段階

高い業績を出す組織を作る方法

変革型リーダーシップ理論

カリスマ的リーダーの特徴

意思決定モデル4類型

組織内の「いじめ」対処法

科学的管理法と人間関係論

組織を崩壊させる「ゆでガエル理論」とは

ゲシュタルト心理学分野とは

権力の腐敗とは

組織内で起こる「同調現象」とは

マネジメントにおける「観客効果」とは

「自己検閲」と「マインドガード」

「集団極性化」とは

「傍観者効果」の危険性

「組織コミットメント」とは

モチベーションに影響を与える「心理的契約」

早期離職の心理学

早期離職を防ぐ可能性のあるRJP理論

サボる人間の心理学

職務特性理論とは

心理学に基づくストレス対処法

人事評価で気をつけたい認知バイアス

マネジメント理論「XY理論」とは

人材採用で気をつけたい「ハロー効果」

組織開発でも使える単純接触効果

ビジネスでも重要な恋愛心理学

ビジネスでも使える認知的不協和理論

ダニングクルーガー効果とは

極限の集中状態に入る条件

内発的動機づけの意味

「マジカルナンバー」とは

人事や採用担当が学ぶべき心理学

ベンチャー監査役の業務内容

ベンチャー内部監査で活かせる資格

ベンチャー総務の業務内容

ベンチャー人事の業務内容

ベンチャー労務に活かせる資格

ベンチャー法務に求められる能力

ベンチャーPR/IRの業務内容

ベンチャーの経営企画で活かせる資格

ベンチャー財務部の業務内容

ベンチャー経理経験の価値が高い理由

経営管理部門の採用の難しさ

応募が集まる求人票とは

職務経歴書の書き方とは

人材紹介という仕事に対する向き合い方

情シスのリモートについて

情シスで求められる志向性

年収から見た情シス市場の変化

ベンチャーにおけるCxOの役割

ベンチャー企業の基本類型

求人数から見た情シス市場の変化

著者画像

株式会社WARC

瀧田桜司

役職:株式会社WARC 法務兼メディア編集長/ 学歴:一橋大学大学院法学研究科修士課程修了(経営法学)及び京都大学私学経営Certificate/ 資格:司法試験予備試験・行政書士など/ 執筆分野:経営学・心理学・資格・キャリア分野のコラム記事を担当させていただく予定です