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コラム
2024/07/26 更新

【フレームワーク】SWOT分析及びクロスSWOT分析について解説

はじめに

本連載では、ビジネスで活用できそうな経営学理論や重要なキーワードをご紹介しております。

今回は、誰もが知っているフレームワークであるSWOT分析及びクロスSWOT分析について解説していきます。

1.SWOT分析とは

SWOT分析とは、企業の現状について、企業内部の「強み(Strength)・弱み(Weakness)」と企業の事業分野における「機会(Opportunity)・脅威(Threat)」の4つの要素で分析を行っていくフレームワークです。

それぞれの頭文字を取ってSWOT分析と呼ばれています。

そして、強みと弱みが「内部環境」の要素で、機会と脅威が「外部環境」の要素です。

SWOT分析の使い所は様々あると思いますが、主に自社の現状を分析したい場合に活用します。

自社の現状を正確に分析するために、まずは自社の内部リソースを調査して、強みと弱みを洗い出します。
次に、自社が身を置いている事業分野(市場)について、新しいビジネスチャンス(機会)があるのか、もしくは脅威が潜んでいるのかなどを調査します。
これらの調査から得られた情報をまとめて、分析していくのがSWOT分析です。

2.クロスSWOT分析とは

クロスSWOT分析とは、SWOT分析でまとめた情報を基礎として、戦略の方向性を検討してくために活用するフレームワークです。

SWOT分析では、内部環境と外部環境について、以下の4つの情報をまとめました。

【内部環境の要素】

  • 強み(Strength)
  • 弱み(Weakness)

【外部環境の要素】

  • 機会(Opportunity)
  • 脅威(Threat)

上記の4つの情報を内部要素✕外部要素で組み合わせて、自社が採りうる妥当な戦略を検討するのがクロスSWOT分析です。

その組み合わせは、以下の4通りになります。

  • 強み×機会(S✕O)
  • 強み×脅威(S✕T)
  • 弱み×機会(W✕O)
  • 弱み×脅威(W✕T)

上記の4つの組み合わせは、それぞれが戦略を決めるときの思考法のようなものです。

以下、それぞれ解説いたします。

(1)強み×機会(S✕O)

この組み合わせは、自社の強みを活かして機会(チャンス)を獲得する方法はないかという思考です。

例えば、SWOT分析によってまとめた情報を基に考えると、市場が順調に拡大していて、十分な利益獲得機会があるとわかった場合に、その機会を獲得するために、自社の強み(開発力や特許など)を活かした戦略を検討していきます。

自社の強みをどのように活用したらチャンスを獲得できるのかを検討するだけなので、比較的簡単な思考です。
営業に強いなら営業強化戦略を検討すれば良いですし、技術力に自信があるなら開発コストを増額しても良いでしょう。

自社の内部にある何らかの強みを活かして、チャンスを獲得する方向で思考していきます。

(2)強み×脅威(S✕T)

この組み合わせは、自社の強みを活かして脅威に備えるという防御戦略を検討するための思考です。

市場の縮小や一時的な停滞、もしくは強力な競合他社の発生などの脅威が迫っているときに、自社の強みを活かして何とかしてその脅威に対処する方法は無いかと検討するのがこの組み合わせです。

具体的な戦略としては、M&A、資本提携、業務提携、新商品開発、新規市場創出、新用途考案などがあります。

強固な資金力があるなら、M&Aや資本提携等で競合他社を自社に取り込むことによって脅威に備えることができます。
また、開発力に強みがある会社なら、別の商品を開発することで新規市場を創出することもできます。

もし仮に、自社の強みを活かしたとしてもどうすることもできないという状況であるならば、潔く撤退するという戦略を採ります。

(3)弱み×機会(W✕O)

この組み合わせは、自己の弱みを克服することで、機会(チャンス)を獲得する方法を模索する思考です。

例えば、今後特定の市場が急成長することがわかっている場合に、当該市場において機会を獲得するために必要なリソースや能力が自社に備わっていない(つまりは弱みがある)というケースで有益な考え方です。

この場合は、自社の弱点を克服する方法を検討しなければなりません。
もし社内のリソースとして、当該市場で必須となる能力を持った人間がいないなら、新規で採用する又は社内教育を実施するという方法で克服することができます。
その他にも、組織そのものが脆弱ならM&Aによって他社を買収することができますし、資金が足りないなら資金調達によって必要な資金を確保することができます。

機会が存在することが明確で、かつ、自社の弱点がわかっているのであれば、対処法は複数存在するはずなので、それを実行することが戦略となっていきます。

(4)弱み×脅威(W✕T)

この組み合わせは、自社にとって脅威となる事象が発生していて、しかもその脅威が自社の弱点を突くような脅威だった場合に、その弱点を克服し、脅威を排除できないかという思考です。

この思考法は難易度が高いです。
なぜなら、すでに脅威が存在している又は直近の未来で発生しうることがわかっている状態なので、手を打つ時間が限られているからです。

この場合、採り得る戦略としては、脅威による損害を最小限に抑える戦略が主たる選択肢になります。
例えば、別の事業を伸ばす努力をして、そこから得られる利益で相殺したり、事業規模を縮小してコストカットしたり、在庫整理を行うことで不良在庫のリスクを低減させたりすることが考えられます。


以上、4つの組み合わせによる思考を駆使して、自社が今現在採り得る最善策を模索していくのがクロスSWOT分析です。

戦略策定に慣れている方は、わざわざSWOT分析をしなくても脳内で勝手に思考が構築されていくと思います。
そのため現在では、SWOT分析及びクロスSWOT分析は、新卒のための思考訓練などで使用されることが多いようです。

頭の体操としては非常に有益だと思いますので、新人研修や社員研修などでぜひご活用ください。

おわりに

ということで今回は、有名なフレームワークであるSWOT分析及びクロスSWOT分析について解説させていただきました。

最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。

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