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2024/05/08 更新

【心理学】人材採用で本当に気をつけたい「ハロー効果」について解説します

認知バイアスの一つである「ハロー効果」(Halo Effect)をご存知でしょうか。

人や物に対する評価が歪んでしまうこの効果は、採用ミスに繋がりやすい人材採用の場面でとても重要な心理学用語です。

そこで今回は、このハロー効果について事例を交えて解説していきます。

はじめに

本連載では、ビジネスで活用できそうな心理学理論や重要なキーワードをご紹介しております。

今回取り上げるのは社会心理学の分野から、認知バイアスの一つである「ハロー効果」(Halo Effect)について解説していきます。

1.ハロー効果とは

ハロー効果とは、評価対象が有する強い特徴によって、その対象に対する評価が歪められる現象のことをいいます。
ハロー(Halo)は、日本語でいうと後光のことで、神様の後ろに描かれることが多いあの光のことを意味します。
そのため、別名「後光効果」とも呼ばれています。

なお、ハロー効果には以下の2つの種類があります。

  1. 評価対象の特徴が良い特徴だった場合に発生するポジティブな意味でのハロー効果
  2. 評価対象の特徴が悪い特徴だった場合に発生するネガティブな意味でのハロー効果

いずれも身近でよく発生することですので、いくつか事例を紹介しながら解説させていただこうと思います。

2.ハロー効果の事例

以下では、身近でよく発生するハロー効果の事例について解説していきます。

(1)学歴によるハロー効果

日本ではかなりの頻度で発生すると思われる事例として、学歴によるハロー効果があります。

例えば以下のような事例です。

  • あの人は東京大学の出身だから、仕事もできるはずだ
  • あの人は高卒だから仕事もできない
  • あの人は慶應の出身だから遊び人だと思う
  • あの人は体育大学出身だから部下にもパワハラしそう

などです

こういうバイアス(偏見)は日常的に発生していますし、よく見かけます。
採用する側としても、採用される側としてもあまりメリットがないハロー効果なので、できれば回避したいところです。

(2)資格によるハロー効果

学歴と同様に、資格によるハロー効果も多く発生します。

例えば

  • あの人は弁護士資格を持っているから法律全般に詳しいはず
  • あの人は日商簿記1級を持っているから経理なんてすぐにできるはず
  • あの人は証券アナリストを持っているから投資で荒稼ぎしているはず
  • あの人は公認会計士だから性格が神経質なはずだ

などです。

日本の難関国家資格や有名資格の場合、その資格の知名度が高いがゆえに余計な認知バイアスまでかかってしまいがちです。
公認会計士が数字に細かくて神経質なんてあるわけな……
(いや待てよ……たしかに多いかもしれない……)

いずれにしても、資格を持っていることによって認知が歪められることが多いので、資格保有者としても、採用する側としても注意しておかないといけません。

(3)見た目によるハロー効果

ほかにも、見た目によるハロー効果もかなりよく発生してしまいます。

例えば

  • この人は顔が可愛いからチヤホヤされて育ってきたのだろう
  • この人は背も高くてイケメンだから仕事もできるはずだ
  • この人は高くて良いスーツを着ているから稼いでいるのだろう
  • この人はブサイクだからお金も持って無さそう
  • この人は顔がキツイから性格も悪そう

などなど

よくありますよね。
私も体が大きいので、大体「ラグビーとかやってた?」と聞かれますが、ルールすら知りませんし、バリバリのインドア派です。

残念ながら、人は見た目が9割なんて言われる時代ですから、ほとんど見た目だけで判断されてしまうような場面も多いです。
こと人材採用においては、第一印象で大抵の合否が決まってしまうことも多いので、人生に対して極めて重大な影響を及ぼすハロー効果の事例です。
本来、見た目と内面なんて相関性はないはずなのですが、どうしても見た目によって推測されてしまうことが多いので、一人ひとりが自己のバイアスに注意を払う必要があります。

(4)肩書によるハロー効果

上記の見た目に関連してですが、日本では名刺に載っている肩書でもハロー効果が発生します。

  • あの人は社長だからだからきっとお金持ちだろう
  • あの人の名刺には経営企画部長って書いてあるから偉い人なのだろう
  • ハイパーメディアクリエイターって書いてあるからたぶん有名な映像作品を作ってる人なんだろう

などなど

肩書一つでいろいろと想像してしまって、認知が大きく歪められます。
私も20代の若い頃に自分の会社を所有していたのですが、名刺に「CEO」という三文字を載せただけで、年上のおじさんたちがなぜか丁寧かつ礼儀正しく接してくれるようになりました。
従業員なんていない会社だったのに。
株式会社の代表取締役なんて、簡単な書類で登記してしまえば大抵の人はなることができます。
それにもかかわらず、人は肩書に引っ張られて他人を評価してしまうのです。

(5)知名度等によるハロー効果

こちらもかなり多く発生している事例です。

例えば、大して美味しくもないお菓子とか、大して効果もない商品であっても、ここ最近で一番美しいタレントがCMに起用されただけで美味しく見えたり、美容の効果があるように見えたりするというあの現象です。
お菓子のCMや化粧品のCMなどでよく発生するハロー効果です。
その商品と関係がないはずのタレントの知名度や好感度によって本来の評価が歪められてしまうのです。

よくあることですが、これはある意味恐ろしいことです。
そのタレントの知名度や好感度が一気に下がる事件などがあったりすると、ネガティブなハロー効果が発生するわけですから、かなりのリスクを孕んでいます。
だからこそ、CMや広告を担当する人たちは、自社が起用している女優・俳優の好感度を異常なほど気にするのです。

(6)受賞歴によるハロー効果

最後に、あまり話して良いことではない気がしますが、受賞歴によるハロー効果の事例もご紹介しておきます。
これは、よくわからない受賞歴でも、なんか凄く感じてしまうという現象です。

例えば

  • モンド・セレクションで金賞を受賞しているなら美味しいお菓子なのだろう
  • B級グルメランキング1位なら美味しいはず
  • どっかの大会で優勝した人が作った商品だからすごい商品のはず

などです

こちらもよくあることですが、おそらくほとんどの人はその大会の価値や受賞した賞の価値を全く調べていないと思います。
そうだとすると、その大会での優勝経験や金賞受賞などが、味に反映されているかわからないはずです。
それにもかかわらず、高い評価をしてしまうものなのです。

例えばどこぞの金賞とかどこぞのランキングなどもお金で買えてしまうものかもしれないのに、なぜか価値があるように見えてしまって、認知を歪めてしまいます。
ただ、この現象をあえて利用していると考えると、なかなか凄腕のマーケターであるともいえます。

3.人材採用での注意点

これまで見てきた事例でわかるとおり、ハロー効果は主にマーケティング分野(広告等)で応用されていて、その分野での研究が盛んに行われています。
しかし、私個人としては、採用現場での応用こそが重要な意義を有すると考えています。
この点について、少しお話させていただきたいと思います。

(1)学歴よりも重要な学習歴

今の所、先進国のほとんどは学歴社会だと思います。

たしかに、ビジネスの世界で生きていく以上、学歴はあった方が良いですし、高い学力の証明方法の一つとして学位は有効な手段だと思います。
しかし、それは所詮、特定の大学や大学院を無事に修了しましたと言うだけの話です。
そもそも、今の時代は推薦入試(総合型入試)などの学力試験の無い入試も増えていますから、特定の大学・大学院を出ていることが、必ずしも高い学力を有するということにはなりません。

たしかに、新卒の場合は他に基準となるものが乏しいので、学歴に偏重した評価を下してしまうことも多いですが、これを30代や40代にも適用してしまうのは判断を誤る原因になり得ます。
そのため、中途採用の評価では、学歴によるハロー効果をきちんと自覚した上で、学習歴も重視すべきだと思います。
それがネガティブな意味でのハロー効果を抑制することに繋がるでしょう。

ベネッセホールディングスの安達社長も次のように述べています。

「単に学校を出たというだけではなく、それから何を学んできたか。学歴ではなく学習歴が重要視される社会にしていきたいと考えています。学び続けることがかっこいい、と皆が思えるような社会になったらと思っています」

引用元:https://www.sustainablebrands.jp/news/jp/detail/1196001_1501.html


私も安達社長と同意見です。
学歴ももちろん一つの指標として重要だと思うのですが、社会人経験が長くなればなるほど、その人の学習歴が重要になってくると考えています。

そもそも学習歴とは、その人が社会人になってから学んだ知識・技能の記録のことをいいます。
社会人になって、何を学んできたのか、何を身に着けたのか。
その記録を重要視して人材を選定していけるようになれば、より会社にマッチした人材を獲得できるはずです。
組織開発に携わるビジネスマンの皆様(採用や人事、マネージャー等)は、学歴によるハロー効果に惑わされることなく、学習歴という事実に基づいて評価できるようになっておきましょう。

(2)資格は取得した後が大事

専門職の人材獲得においては、資格の有無が合否を分けることもあります。
しかし、資格は持っているだけではほとんど意味がありません。

専門職として働く皆さんはよくご存知だと思いますが、専門職としての能力は、資格の有無よりもその人の実務経験の密度(濃度といってもいい)で大きく変わってきます。
法学でも会計学でも、試験的な知識と実務で実際に活用できる知識には大きめの乖離が存在しています。

また、資格を持ってしまったがゆえに、傲慢になったり、努力を怠ったりする人も多く存在します。
そのため、資格を過大に評価してしまわないように注意を払う必要があります。

資格取得後にその人が何をやってきたのか、どんな壁にぶつかって、どう乗り越えたのか、その経験から何を学んだのかが重要です。
難易度の高い資格を取得している人物を見ると、どうしても評価が甘くなりがちですが、そこは一度落ち着いて、冷静に実務経験を分析して、判断していきましょう。

(3)過去の実績は参考程度に

先程、実務経験の重要性を説きましたが、この実務経験も当てにならないことが多いです。
どこの会社でCxOを務めていたとか、起業経験があるとか、大手企業で部長以上の役職者だったなどの過去の実績によって、その人の価値を見誤ることが多くあります。

これは逆の評価も同様に発生します。
他社でろくな活躍をしていないように見える人でも、自社では想定以上の活躍を見せてくれるというケースも多く発生します。
そのため、過去の実績というのはただの参考程度にしかなりません。

私の実感ベースでいうと、過去の良い業績・実績・実務経験は、7~8割くらいが盛られていて、かつ、運(縁故など)でたまたま出ただけの業績です。
その人単体での能力で生み出せている事例はほとんど見たことがありません。
肩書なんて特にそうで、人事権を持っている人とたまたま仲が良かったからとか、たまたま上司が退職して他に代わりがいなかったから任命されたなどのケースが多いです。
業績・肩書が実力に見合っている人というのは、意外にも少ないものです。

だからこそ、よくよくその人(又は別の誰か)から過去の話を聞かないといけません。
どういう方法によってその業績を出したのか、どういう経緯でその地位に就いたのか、そこが明らかにならないと正確な判断ができません。

特に過去の業績を盛り盛りで話す人には注意を払う必要があります。
自己の利益のために事実を歪めて伝える傾向があるということですから、その時点で少し警戒しなければなりません。

ハロー効果は、評価対象の顕著な特徴に引っ張られて、他の評価についても短絡的な評価をしてしまうことによって発生します。
だからこそ、一旦冷静になって、客観的な事実を積み重ねて評価を下しましょう。

おわりに

ということで、今回はハロー効果について解説させていただきました。
日頃からよく発生している現象なので、比較的身近な出来事に関する心理学用語だと思います。
採用にも活かせる重要な知識だと思うので、ぜひご活用ください。

では、また次回。

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株式会社WARC

瀧田桜司

役職:株式会社WARC 法務兼メディア編集長/ 学歴:一橋大学大学院法学研究科修士課程修了(経営法学)及び京都大学私学経営Certificate/ 資格:司法試験予備試験・行政書士など/ 執筆分野:経営学・心理学・資格・キャリア分野のコラム記事を担当させていただく予定です