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コラム
2024/05/08 更新

ビジネスで役立つ意思決定モデル4類型ついて解説します。

我々ビジネスマンは、業務の中で日々決断に迫られます。

これは人生においても同様です。

ということで今回は、意思決定の場面で役に立つ、意思決定モデルという心理学理論をご紹介しましょう。

はじめに

本連載では、ビジネスで活用できそうな心理学理論や重要なキーワードをご紹介しております。

今回は「意思決定モデル」について解説していこうと思います。
この分野はMBAにおいても重要分野の一つなので、既に知っている方も多いと思いますが、改めて基礎的なところを押さえておきましょう。

1.意思決定に関する旧理論

今は使われていない理論ですが、昔は「完全合理性モデル」という仮定が存在しました。

完全合理性モデルとは、事実は一つだけで、全員が同じ情報を持っていて、他の選択肢を網羅的に分析でき、かつ、人間は最も合理的な選択をすると考える意思決定モデルです。

昔の経済学では、人間という動物を合理的な動物だと仮定して様々な理論を構築していっていたので、どうしても無理がありました。
人間には感情という自分でもどうにもならない要素があって、それによって意思決定が歪められてしまうからです。

また、皆が同じレベルの情報を持っているということもほとんどあり得ず、仮定として見たとしてもあまり妥当ではない考え方だったと言わざるを得ません。
そこで現在では、完全合理性モデルは採用されておりません。

2.限定合理性モデル

完全合理性モデルが微妙だなということがわかった後、1940年代に入って、新しいモデルとして、限定合理性モデルが登場しました。
限定合理性モデルとは、経営学界でも最高レベルの権威であるハーバート・A・サイモン教授(Herbert A .Simon, カーネギーメロン大学教授)が提唱者したモデルで、この理論でノーベル経済学賞も受賞しています。
なお、サイモン教授は経済学者だと思われていますが、実は博士号は政治学で取得しています。
その上で心理学、組織論、経営学、コンピューターサイエンス、人工知能などの研究でも有名で、極めて幅広い専門分野を有する、いわゆる天才です。

サイモン教授の限定合理性モデルでは、以下のことを前提としています。

  1. すべての選択肢を理解しているわけではない
  2. 選択肢の中でわかっているのはそのうちの数個(2~3個)だけである
  3. それぞれの選択肢を選んだ場合の結果に対する情報は断片的で不完全である
  4. それぞれの選択肢の結果に対する価値判断や順位づけも不完全である

ちょっと難しい日本語になってしまったので、簡単な言葉で言い直すと以下のようになります。

  1. 選択肢をどれだけ持っているかもわからない
  2. 目の前にある2~3個の選択肢しか検討できない
  3. それぞれの選択肢を選んだ場合にどうなるかもわからない
  4. 選択肢を選んだ後にどういう結果になったらいいのかという基準も決まっていない

これが一般的な人間の意思決定の状況だと仮定したのです。
こちらのほうがより実態に近いモデルだろうと思います。

3.意思決定モデル

上記の限定合理性モデルのような状況の中で、我々はどのようにして意思決定を下すべきでしょうか。
この論点については、主に以下の4つの意思決定モデルが提唱されています。

  1. マクシミンモデル
  2. マクシマクスモデル
  3. ミニマックスリグレットモデル
  4. サティスファクションモデル

それぞれ簡単に解説いたします。

(1)マクシミンモデル

マクシミンモデル(Maximin model)とは、起こりうる最悪のケースでも得られる利益を最大化する方向で意思決定をするモデルです。
最悪のケースが発生しても自己の利益を守り、損害を最小限にしようという思考で物事を考えるので、かなり堅実かつ慎重な戦略家の意思決定です。

過去、私が出会った経営者の中でこの思考にまで至っている人は少なかったですが、経験が豊富な経営者ほどこの思考に近づいていく傾向があると思っています。
若い頃にたくさん失敗をして、経験豊富になった経営者ほど、最悪を想定して、それに備えているものです。
その上で投資資本と同等以上の利益をきちんと確保するので、やはりプロの経営者は違うなと思い知らされます。

(2)マクシマクスモデル

マクシマクスモデル(Maximax model)は、起こりうる最高のケースで最大利益を取りに行こうとする意思決定モデルです。
このモデルは、ポジティブ思考の最果てのような意思決定モデルで、すべてが上手く行った場合にすべての利益を獲りに行くことを考えて意思決定をするモデルです。

ベンチャー企業の経営者やイケイケな性格の人に多い意思決定モデルで、そういう人の多くがギャンブル好きです。
大きく張って大きく儲けるという思考をしやすいタイプです。
私はかなり慎重な性格なので、こういう思考をほとんどしたことがないですが、ポジティブな思考ができるかできないかで人生の楽しさは大きく変わるのではないかとは思っています。
常に最高の状態をイメージしているということは、いつもワクワクできるはずなので、きっと楽しい人生を送れると思います。
もちろんリスクは大きいですが。

(3)ミニマックスリグレットモデル

ミニマックスリグレットモデル(Minimizing maximum regret model)とは、起こりうるケースの中で最も後悔が小さいものを選ぶ意思決定モデルです。

これまで紹介してきた意思決定モデルは、経済的利益や損失などの客観的要素に着目しているモデルでしたが、このモデルでは主観的要素を重要視します。
自分がその意思決定の結果、後悔するかどうかが最重要判断基準です。

この意思決定モデルは、日本人に適していると思われる意思決定モデルです。
後悔こそが人生における最大のリスクであると考え、後悔しないように様々な選択をするという意思決定方法です。

(4)サティスファクションモデル

サティスファクションモデル(Satisfaction model)とは、自分の中で「これで満足」「これで十分」というある程度の妥協が入った判断基準で意思決定をするモデルです。

最大利益も追わず、損害を最小にしようとも思わず、中庸・折衷的な結果を望むモデルで、ある程度損失が出ても仕方ないし、利益も最大でなくていいと考えます。
自分が満足できる範囲内で収まってくれればそれで良いと考えるわけです。

この意思決定モデルは、今の若い人にピッタリなモデルだと思います。
無謀な野心を持たずに、自己の内面と向き合って自分が満足できるかどうかを判断の基準にするので、個性が出やすいモデルです。
自分をよく知っている人にこそ向いているモデルだと思います。

以上の4つの意思決定モデルを知っておけば、自分がどの傾向が強いのかもわかりますし、状況に応じて意思決定の方法を変えることも可能です。
皆様の意思決定の役に立てば幸いです。

おわりに

ということで、今回は意思決定モデルについて簡単にではございますがご説明させていただきました。
日々発生する決断の場面でご活用ください。

では、また次回。

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株式会社WARC

瀧田桜司

役職:株式会社WARC 法務兼メディア編集長/ 学歴:一橋大学大学院法学研究科修士課程修了(経営法学)及び京都大学私学経営Certificate/ 資格:司法試験予備試験・行政書士など/ 執筆分野:経営学・心理学・資格・キャリア分野のコラム記事を担当させていただく予定です