本連載では、ビジネスで活用できそうな経営学理論や重要なキーワードをご紹介しております。
今回は、経営戦略及びマーケティング分野において有名なフレームワークである「3C分析」について解説いたします。
3C分析とは、自社の経営戦略を策定するために、Customer(顧客・市場)、Company(自社)、Competitor(競合)という3つの視点から分析を行うというフレームワークです。
このフレームワークは、今でも現役で活躍されている元マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社長の大前研一さんが考案したフレームワークです。
初めて提唱されてからすでに40年以上が経過していますが、今でもよく活用されているフレームワークなので、それだけ素晴らしいものであるといって良いと思います。
ただし、完全に使いこなすにはかなりの知識量と慣れが必要なので、3Cそれぞれの要素について解説していこうと思います。
なお、Customer(顧客・市場)については「顧客」と「市場」を別々の概念だと考えて、分けて解説いたします。
「顧客」という概念をどう定義するかは各社によって異なります。
どのような人をターゲットにして製品・サービスを提供しているのかについて、各社が言語化しないといけません。
しかし、顧客という存在があまりに身近に溢れ過ぎていて、意外と言語化ができません。
自社から製品・サービスを買ってくれるすべての人を顧客と捉える方法もあるのですが、そうすると顧客の定義が抽象的で曖昧なものとなってしまうので、分析の結果もボヤッとしていてあまり意味をなさないものとなってしまいます。
そのため、顧客という存在をより具体的にイメージできるように言語化していく必要があります。
3C分析の最終ゴールは、事業計画や経営戦略、マーケティング戦略等の策定及び実行にありますから、誰を顧客として狙っていくのかを具体的に定義したいところです。
それによって「市場」の広さや定義が変わってきます。
なお、顧客を定義する切り口としては、国籍、年齢、性別、年収、居住地、学歴、リテラシー、家族構成など様々な要素を検討して、顧客を特定していくと良いです。
顧客の定義が具体的に確定すれば、自ずと市場の大きさも明らかになっていきます。
その市場をどのように分析するのかについては、他のフレームワークを活用した方が良いでしょう。
市場分析における有名フレームワークはPEST分析です。
PEST分析については以前解説させていただきましたので、詳しくはそちらをご覧ください。
簡単なおさらいとして、PEST分析の主な考慮要素を以下に挙げておきます。
自社の顧客が存在する市場について、政治的・経済的・社会的・技術的な視点からマクロ的な分析を行っていくのがPEST分析です。
PEST分析の過程で入手した様々な情報を自社にとって有利または不利な情報に分類し、今この市場を狙っていくのが適正なのかどうかを判断してください。
王道のやり方としては、今後の市場拡大が十分に見込めて、規制も緩く、競合が少なく、自社の技術やノウハウが活かせるような市場を攻めていくことです。
新規参入者に対する参入障壁が築きやすい市場なども狙い目です。
顧客の定義ができて、市場分析もできたら、次は自社がその市場を攻略できるほどの能力を持っているのかについて検討していきましょう。
その分析で活用できるフレームワークは、SWOT分析及びクロスSWOT分析です。
このSWOT分析・クロスSWOT分析を用いて、自社の強みと弱み、市場のチャンスや脅威などをよく分析し、実際のその市場を攻略できそうかどうか、今の時点ではできないとしても、自社の弱みを克服する手段があるかを検討していきます。
その手段自体が短期的な戦略にもなり得ます。
最後に競合調査を行います。
競合調査を行う際に活用しやすいフレームワークは、ファイブフォース分析(5F分析)です。
ファイブフォース分析では、以下の5つの競争環境を分析していきます。
これらの分析を通じて、自社が今置かれている競争環境をよく理解し、自社が十分に勝ち得る状況だと思うのであれば、突き進んでいくべきです。
もっとも、ファイブフォース分析の5要素すべてで問題がないというケースはほとんどありません。
通常は2~4つ程度は問題を抱えていて、それらの問題を解決することこそが戦略の一つとなります。
ということで今回は3C分析について解説させていただきました。
上記のとおり、3C分析は様々な知識やフレームワークを総合的に活用する難易度の高いフレームワークです。
そのため、3C分析を十分に理解して活用できている人はとても少ないといえます。
だからこそ、使いこなせるようになると戦略の幅も質も飛躍的に向上します。
3Cそれぞれの分析をする際に、本記事で紹介したものとは異なるフレームワークを用いても全く問題ないので、自分なりの分析手法を検討してみてください。
それでは今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
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