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ベンチャー総務の業務内容と活かせる資格

2023/12/11 更新

はじめに

ベンチャー企業の経営管理部門において、初期段階から設置される役職が2つあります。
それが経理と総務です。
場合によっては経理が総務を兼ねることもあるのですが、原則は社内の総務業務を担当する専任の人が採用されます。

しかし、同じ総務という役職でも大手とベンチャーでは若干の差異があります。
大手企業からベンチャーに転職をした場合は、その差異に戸惑うことも多いかもしれません。
そこで今回は、ベンチャー総務に特化して、その業務内容、求められる適性、活かせる資格などについて解説していこうと思います。

1. ベンチャー総務の業務内容

まず理解しておかないといけないことは、ベンチャー総務は大手の総務と異なり超少数精鋭部隊であるという点です。
スタートアップ期は原則として1名体制で、規模が大きくなってきてもしばらくは1名体制で行くことが多いかと思います。
2名以上の体制になるときは大抵、既存の総務が業務量的に限界を迎えたときです。
そこで初めて2名体制になる……こともあるかもしれません、という感じです。

業務量が増えたから総務を増やすという発想よりは、他の部署のメンバーでフォローしあって現状の人数でなんとか回すという発想をすることが多いと思います。
したがって、これからお話する業務を、原則として1名、良くて2名で処理するというイメージを持っていただくと、実態に沿うでしょう。
もちろん、ベンチャーは組織が小さいので、他部署からの協力は得られやすい環境だと思います。

さて、そんなベンチャー総務の業務範囲ですが、ベンチャーという特性上、会社全体に及びます。
「総務」という名称通り、業務範囲に制限はありませんので、極めて広い業務を担当すると思ってください。
それらをあえて類型化するなら、以下のような業務があります。

(1)什器・備品の管理
(2)電話・受付対応
(3)オフィス管理
(4)社内行事の運営
(5)経営管理部門全体のサポート

他にもたくさんあると思いますが、どこの会社でも共通している業務と考えると、上記5つの業務かなと思われます。
以下、一つずつ簡単にご説明させていただきます。

(1) 什器・備品の管理

ベンチャー総務において、比較的業務量が多いのは什器・備品等の管理です。
日々消費される封筒・切手・収入印紙・筆記用具・各種文房具・トイレットペーパーなどの備品を買い揃え、補充していかないといけません。
新しいメンバーが入ったときには、貸与PCやデスク・椅子なども用意しないといけないので、人事や労務と連携して準備をしていきます。

一つ一つは小さな業務なのですが、それが毎月数百数千と積み重なっていくので、なかなか大変な業務量になっていきます。
AmazonやアスクルなどのビジネスECをフル活用して乗り切っていきましょう!

(2) 電話・受付対応

続いて、地味に時間を取られる業務として電話・受付業務があります。
この業務の大変なところは、時間が読めない点にあります。
当たり前のことですが、突然やって来ます。
これが地味に効いてきます。

何かに集中して作業をしているときでも急に中断しないといけなくなるので、総務は常にマルチタスクです。
他に何人も仲間がいれば、手が空いている人にお願いすればいいのですが、ベンチャー総務は原則1名又は2名なので、基本的に自分で対応しないといけません。
そのため、マルチタスクが苦手な人にとっては、非常に難しい業務になり得ます。

(3) オフィス管理

こちらの業務は日々発生するわけではありませんが、年に数回は発生します。
例えば、オフィスビルの管理会社による大規模な清掃作業、エレベーターの点検、各種防災点検や防災訓練などです。
これらの作業に立ち会わないといけないことも多いため、そういう場面では原則として総務が立ち会うことになります。

また、関東のオフィスビルでは、賃貸借契約が「定期建物賃貸借契約」になっていることがよくあります。
これは、更新を前提としない契約で、期間の満了と共に終了するという種類の賃貸借契約です。
もし引き続き当該オフィスを使用したい場合は、別途申し込みをして、再度契約を締結しないといけません。
その辺りの手続も総務が行うことが多いので、適宜法務と連携を取りつつ、カレンダーなどに予め入れておいて忘れないようにしましょう。

(4) 社内行事の運営

その他にも、社内行事の企画・運営なども総務が行う業務に含まれることがあります。
創業期のスタートアップでは、人数も少ないので社内行事もそこまで頻繁には発生しませんが、人数が30名越えた辺りから増加し始めます。
単に外部の居酒屋等を利用するのであれば予約するだけで良いのですが、仮にその行事をオフィス内で行うのであれば、オフィスビルの管理会社に許可を取ったり、ケータリング業者に依頼したりという業務が発生します。
場合によっては人前に出て話すこともあるのでトークの訓練もしておきましょう。

(5) 経営管理部門全体のサポート

これまでは若干細かいところの業務を述べてきましたが、総務の業務は基本的に限定がありません。
そのため、経営管理部門全体のサポート役を担っていると考えていただいた方が良いと思います。
ある日は経理、あるときは法務、またあるときは労務という感じで、様々な部署の様々な業務を裏方として支える役割が総務です。

例えば、法務がチェックし終わった契約書を相手方企業に郵送したり、返送されてきた契約書に番号を振って保管したりするのも総務業務の一種といえますし、労務が毎月行う入社手続の補助なども行います。
決算期で忙しい時期は、証憑等(請求書や領収書)を整理して帳簿と突合する業務を行うことだってあります。

このように総務は、経営管理部門の中でも最も守備範囲が広い職種なので、様々な分野の知識を蓄えておかないといけません。

2.ベンチャー総務に向いている人

では、上記のようなベンチャー総務に向いている人はどのような人でしょうか。
この点について私見を述べさせていただきます。

まず重要な点は「ホスピタリティの高さ」です。
ここでいうホスピタリティとは、奉仕精神を意味します。

「これは自分の仕事じゃない」という感じに業務分担をしっかり分けてしまいたい人は、どちらかというと大手向きです。
ベンチャー総務は、自ら積極的に他部署の仕事を手伝い、なんなら巻き取るくらいの勢いの人じゃないと務まらないです。
そういうホスピタリティの塊のような人だと重宝されると思います。

次に「博学であること」が必要です。
ベンチャーの総務は、大手の総務と違って何でもできないといけませんし、何でもやろうと思える人じゃないといけません。

ちなみに、大手の総務部長クラスになってくると、ジョブローテーションという制度のおかげでほぼすべての経営管理業務をこなすことができます。
ベンチャー総務の場合、少人数で業務をこなさないといけないので、比較的若手の段階からそのレベルにいた方が良いです。
そのため、博学な人(実務経験が豊富な人と言い換えても良い)の方が向いています。
法務も労務も経理も大体知っているという状態が理想です。

そして最後に「野心的でない人」の方が向いていると思います。
そもそも、総務という職種は、どちらかというと縁の下の力持ちのポジションで、表に出て目立つという職種ではありません。
そのため、自分が目立ちたい人とか、所得的に大成功を収めたいと思っている人にとってはなかなか面白みを感じづらい職種です。
したがって、自己の性格と職種の特殊性をよく理解した上で、誰かに陰ながら貢献することが幸せだと感じられる人の方が適合しやすいといえるでしょう。

3. ベンチャー総務で活かせる資格

ベンチャー総務はオールラウンダーなので、これといって必須の資格がありません。
ただ、持っておいたほうが良い資格は沢山あります。

例えば、経理・財務のお手伝いをできるようにするために、日商簿記2級全経簿記1級を取得しておくべきだと思います。
会計の基礎がわかった上で手伝うのと、全くわかっていない状態で手伝うのとでは全く仕事の質が変わります。
また、先々総務から経理へのジョブチェンジも容易になりやすいので、簿記の資格を持っておいて損はないです。

そして、ビジネス実務法務検定2級以上宅地建物取引士行政書士なども法務業務との関係で非常に有益です。
ビジネス実務法務検定については簡単に取得できるものなので取っておいても損はないと思います。
最低限の法律知識があれば、契約書の送付等の業務でミスをする可能性を減らせますので、自己を守るという意味でも有益です。

その他にも、衛生管理者社会保険労務士なども有効です。
社労士はかなり難易度が高いので、労務の専門家を目指す場合以外は取らないかもしれませんが、衛生管理者であれば比較的簡単に取得できるので、有益かと思います。
場合によっては会社が費用負担をしてくれることもあるので、取れるときに取っておきましょう。

そして、衛生管理者を取るときに、ついでに防火管理者も取っておくと良いと思います。
この資格は一応国家資格で、従業員が50名以上になると必要になってくる資格です。
何日か講習を受ければほぼ100%取得できる資格で、会社の費用負担で受けさせてもらうことも可能だと思うので、勤めている会社にお願いしてみるのもありかもしれません。

おわりに

ということで、今日はベンチャー総務について解説させていただきました。
大手の総務と異なり、業務範囲に限定がなく、かつ、何でもできた方が良い職種なので、難易度は若干高いかもしれません。
ただ、これも企業によって大きな差があります。
簡単な事務だけをやってほしいという会社もあれば、高度な専門知識が必要な業務まで担当してほしいという会社もあって、同じ「総務」という職種でも、レベル感は全く異なります。
それによって年収帯も変わってくるので、自分が目指すレベルにマッチした求人を探しましょう!

では次回は「内部監査」について解説させていただく予定です。
お楽しみに

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株式会社WARC

瀧田桜司

役職:株式会社WARC 法務兼メディア編集長 学歴:一橋大学大学院法学研究科修士課程修了(経営法学)及び京都大学私学経営Certificate 資格:司法試験予備試験・行政書士など 執筆分野:経営学・心理学・資格・キャリア分野のコラム記事を担当させていただく予定です