記事FV
コラム
2024/10/28 更新

ベンチャー就職で役立つ資格ランキングTOP10を紹介

はじめに

本記事では、ベンチャーへの転職の際に役に立ちそうな資格をランキング形式でご紹介していきます。

なお、今回は以下の4つの要素を5点満点(合計20点)で評価してランキングをつけていきたいと思います。

  • 取得難易度(簡単であればあるほど点数が高くなる)
  • 知名度(知名度が高ければ点数が高くなる)
  • 活用度(活用場面が多ければ点数が高くなる)
  • 学習費用(費用が安いほど点数が高くなる)

それでは始めます。


第1位 日商簿記

  • 取得難易度 ★★★★★ 5点
  • 知名度   ★★★★★ 5点
  • 活用度   ★★★★★ 5点
  • 学習費用  ★★★★★ 5点
  • 合計         20点

【コメント・解説】

第1位は簿記です。

簿記の取得難易度は級によって大きく変わりますが、一般的なビジネスマンにとって必要とされるレベルは日商簿記2級までです。
このレベルであれば社会人であっても十分に取得可能であるため、5点満点です。
しかも現在では、2級まではCBT(試験会場でPCで受験する方式)による受験が可能なので、より受験しやすい環境が整っております。

そして、日商簿記の知名度は全資格の中でもトップクラスで、知識的にもすべてのビジネスマンにとって必要不可欠な知識なので、知名度及び活用度双方で5点満点となります。
また、日商簿記は試験料及びテキストが安く、誰でも手軽に学習を始められる資格であるため、学習費用の項目でも5点満点です。

以上より、全資格の中で日商簿記(2級)が最も役に立ちそうな資格であると考えます。

なお、日商簿記1級になると難易度がかなり高くなりますので、取得難易度を4点に引き下げる必要があると思っています。
その場合でも第2位の宅建士と並ぶ大変役に立つ資格です。

第2位 宅建士

  • 取得難易度 ★★★★  4点
  • 知名度   ★★★★★ 5点
  • 活用度   ★★★★★ 5点
  • 学習費用  ★★★★★ 5点
  • 合計         19点

【コメント・解説】

第2位は宅建です。

宅建は、知名度的には日商簿記と並ぶほど有名な資格で、活用場面も多いことから、知名度・活用度共に5点満点としています。

また、宅建は毎年20万人以上が受験する人気国家資格であるため、学習テキスト、問題集、スマホアプリなどがたくさんあります。
その点で学習費用も押さえられるため、この項目でも5点満点としています。

一方で、宅建士の合格率は毎年17%前後となっていて、試験も年に1回しか実施されないことから、若干取得難易度が高い資格試験となっています。
そのため取得難易度の項目で4点を付けさせていただきました。

それでも合計19点で第2位でございます。

第3位 TOEIC 900点以上

  • 取得難易度 ★★★   3点
  • 知名度   ★★★★★ 5点
  • 活用度   ★★★★★ 5点
  • 学習費用  ★★★★  4点
  • 合計         17点

【コメント・解説】

TOEICは、今や社会人であれば誰もが知っている英語試験であり、英語の活用場面を疑う余地もないので、知名度・活用度を5点満点としています。

一方で、TOEICで900点以上を狙おうとすると、一般的な高校レベルの英語力がある人でも、2年以上の英語学習が必要となると考えられるため、学習費用が嵩みがちです。
効率よく低価格で学習する方法もあるにはあるのですが、万人がそれを実現できるわけではないと思われるので、学習費用については4点としています。

また、900点以上の点数を取得できている人は、4%前後であることを考慮すると、取得難易度はかなり高いといえますので、3点としています。
もしこれが800点以上であれば身近でもよく見かけますので4点又は5点となります。

いずれにしても、900点以上の点数は大きな差別化を図れる点数なので、第3位としました。

第4位 社会保険労務士

  • 取得難易度 ★★★   3点
  • 知名度   ★★★★★ 5点
  • 活用度   ★★★★  4点
  • 学習費用  ★★★★  4点
  • 合計         16点

【コメント・解説】

第4位は、社会保険労務士です。

この資格は労働法系の国家資格の中では最難関に位置する資格です。
内容自体はそこまで難しいものではないのですが、試験の仕組み上、運要素が必要になる試験なので、合格率が異常に低くなっています。
合格水準に十分に達していると思われる人であっても、ほんの些細な知識漏れや誤答によって不合格となります。
そういう試験方式に意味なんかあるのか?と個人的に思いますが、社会保険労務士の需要と供給を考えてのことだろうと思います。
その点で取得難易度が高いため、3点としています。

しかし、知名度は抜群に高いため、5点満点です。

また、人事及び労務という専門職において極めて強い資格であり、かつ、一定の規模を超える会社であれば確実に必要となる労務業務の担い手として活用の幅がとても広いので、活用度も4点としています。

学習費用については、市販の参考書と問題集だけで短期間で受かる人は受かりますので、5点満点にしても良かったのですが、合格者の皆様から聞く限りでは、多くの人が2年以上の学習に加えて、何らかの予備校講座を活用しているようなので、4点とさせていただきました。

第5位 米国公認会計士

  • 取得難易度 ★★★   3点
  • 知名度   ★★★★  4点
  • 活用度   ★★★★★ 5点
  • 学習費用  ★★★   3点
  • 合計         15点

【コメント・解説】

第5位は米国公認会計士です。

米国公認会計士は、アメリカの公認会計士資格で、日本でも取得することができます。
会計の知識を英語で学べるという資格なので、会計と英語というビジネス界の二大必須知識を同時に得ることができます。

また、世界的に有名な国際資格であるため、日本企業のみでなく世界各国で仕事を得られるかなり強い資格です。
そのため、活用度は5点満点で、知名度も4点としました。

一方で、取得難易度は比較的高く、会計にある程度詳しい人であっても1~2年の学習が必要になります。

そして、受験費用や学習費用(予備校費用)が極めて高い試験であるため、取得難易度と学習費用という項目は双方3点とさせていただきました。

第6位 MBA

  • 取得難易度 ★★★★  4点
  • 知名度   ★★★★★ 5点
  • 活用度   ★★★   3点
  • 学習費用  ★★    2点
  • 合計         14点

【コメント・解説】

第6位はMBA(Master of Business Administration 経営管理修士号)です。

こちらは資格ではなく学位ですが、転職市場では資格とほぼ同等に扱われておりますので、今回は資格に含めております。

MBAの強いところはまず知名度です。
実務の世界で活躍している人でMBAを知らないという人はほとんどいないと思いますので知名度は文句なしの5点満点です。

そして、MBAは今や全国各地の大学院で取得可能であり、入試難易度もけして高くないため、取得難易度も4点としています。

他方で、MBAは経営に関する様々な科目を広く学ぶという特性上、具体的に活用できる場面が限定的です。
そのため、活用度は3点としています。

また、大学院に2年間通うことになるため、学費がかかります。
国公立であれば比較的安いのですが、私立だと200~400万円の学費が必要になることが多いため、学習費用は2点としました。

第7位 公認会計士

  • 取得難易度 ★     1点
  • 知名度   ★★★★★ 5点
  • 活用度   ★★★★★ 5点
  • 学習費用  ★★    2点
  • 合計         13点

【コメント・解説】

第7位は、公認会計士です。

こちらは日本の公認会計士で、三大国家資格の一つです。
そのため、知名度及び活用度では文句なしの5点満点となります。
この資格をもし獲得できるのであれば、生活には困らない程度の報酬は得続けられると思います。

しかし、取得難易度という意味では1点です。
極めて難易度の高い試験で、かつ合格後も実務経験を経て修了考査を受けないと登録できないので、非常に長い期間の学習を余儀なくされます。
かなり賢い人で5年程度、普通は7年ほど会計と向き合い続けないといけませんので、万人にオススメできるような資格ではありません。

また、なかなか合格できない試験であるため、学習費用が嵩みやすいという特徴を持っています。
多い人では1,000万円以上の学費をかけても受からないこともあるので、学習費用という項目では2点としています。

第8位 税理士

  • 取得難易度 ★     1点
  • 知名度   ★★★★★ 5点
  • 活用度   ★★★★  4点
  • 学習費用  ★★    2点
  • 合計         12点

【コメント・解説】

第8位は税理士です。

公認会計士と並ぶ会計最難関資格の一つです。
それゆえに知名度は抜群に高く、日本で最も有名な士業資格の一つであると思います。
そのため、知名度は文句なしの5点満点です。

また、税務の専門資格なので、日本に存在するほとんどの法人及び個人事業主にとって必要な専門家という意味で活用場面は極めて広いです。
そういう意味で活用度は4点としています。

しかし、公認会計士試験と同様に難易度が極めて高い試験であり、短期間での合格は現実的ではありません。
そのため、取得難易度は1点としています。

税理士試験は5科目合格制で、科目合格制を採用しています。
そのため、多くの受験生は数年間かけて少しずつ科目合格をしていき、最終的に5科目の合格を勝ち取ります。
ただすべての科目を正規の試験で突破するのは至難の業ですし、時間もかかりすぎます。
そこで、税理士試験の科目免除制度を利用する人も多くなります。

この場合、一般的な学習費用に加えて、大学院で修士号を取らないといけないので、さらに学習費用が加算されます。
長期間に及ぶ学習と大学院での学費という2つの要素で学習費用が嵩みやすい資格であるため、学習費用という項目は2点としました。

第9位 司法書士

  • 取得難易度 ★★    2点
  • 知名度   ★★★   3点
  • 活用度   ★★★★  4点
  • 学習費用  ★★    2点
  • 合計         11点

【コメント・解説】

第9位は、司法書士です。

この資格は、司法試験と行政書士の間にある法律総合資格です。

専門分野としては「登記」という分野になります。
登記には大きく分けて商業登記と不動産登記がありますが、ビジネスで特に役に立つのが商業登記です。
どのような会社であっても、少なくとも数年に1回は登記作業が発生しますので、活用場面は多くあると思います。
そういう意味で活用度は4点です。

しかし、取得難易度がとても高い資格です。
毎年2~4%しか合格しません。
試験科目も以下のとおり無駄に多いという特徴を持っています。

【司法書士の試験科目】

  • 憲法
  • 民法
  • 刑法
  • 商法(会社法)
  • 民事訴訟法
  • 民事執行法
  • 民事保全法
  • 司法書士法
  • 供託法
  • 不動産登記法
  • 商業登記法

それぞれの問題自体は大した難易度ではないのですが、正答率が80%を超えないと合格しづらいという点が難易度を上げています。
毎年、上から順番に800人程度が合格するという感じです。
科目数が多いので、書籍代が嵩み、そこに加えて予備校等の費用も加算されていきます。
したがって、取得難易度及び学習費用共に2点にしています。

そして、これだけ苦労して取得したとしても、残念ながら知名度はそこまで高くありません。
名前自体は聞いたことがあるという人が多いのですが、何をする専門家なのかわかりづらく、かつ弁護士の下位互換として認識されているケースが多いため、難易度の割には知名度が低いかなと思います。
そのため、知名度は3点としました。

第10位 弁護士

  • 取得難易度 ★     1点
  • 知名度   ★★★★★ 5点
  • 活用度   ★★★   3点
  • 学習費用  ★     1点
  • 合計         10点

【コメント・解説】

第10位は、弁護士です。

この資格の知名度については誰も文句はないと思うので5点満点です。

しかし、取得難易度及び学習費用は1点です。
この資格は、ロースクールを卒業しない限り原則として受験資格が得られないので、受験資格を得るまでにかかる学習費用がまず高額です。
そして専門書を大量に読まないといけないので、多額の書籍代も別途かかります。
さらに、通常は働きながら合格できるタイプの試験ではないので、生活費もかかります。
それだけのコストをかけてやっと受験資格を得たとしても、半数以上は試験に落ちてしまいます。
なかなか厳しい試験です。

また、これだけ苦労して合格できたとしても、そこからさらに司法修習で1年間拘束され、二回試験という第二の司法試験に合格しない限り弁護士登録ができません。
そして、弁護士登録後も就職先が比較的限定されているので、知名度や難易度の割に活用場面が限られている資格だと思います。
そういう意味で活用度は3点としました。

工夫次第ではいくらでも活用できる資格ではありますが、維持費(弁護士会費)だけでも年間60~100万円近くかかる謎の資格なので、総合的に見ると高得点ではないという結論になりました。

おわりに

今回はベンチャーで役に立ちそうな資格ランキングを作って見ましたが、改めて考えてみると、会計分野の資格が強いなと思います。
転職市場での需要が安定しているため、自分がかけたコストや労力を回収しやすいという意味でも素晴らしい資格です。
今から資格を取ろうと思っている人は、需要と供給のバランスを考慮に入れて取得を検討してみると良いかもしれません。

それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。

【お問い合わせ】

WARCで働きたい!WARCで転職支援してほしい!という方がもしいらっしゃれば、以下よりご連絡ください。

内容に応じて担当者がお返事させていただきます。

転職相談はこちら

コラムの関連記事

プラットフォーム型ビジネスモデルとは

エージェンシー問題とは

効率的市場仮説とは

経営戦略理論・RBVとは

三新活動とは

ビジネスモデルとは

集団浅慮とリスキー・シフトとは

プロダクトポートフォリオマネジメント(PPM)とは

プロダクトライフサイクルの意味

ステークホルダーの意味や種類

沈黙の螺旋とは

PEST分析について

株式の制度やメリット

完全競争と不完全競争

M&Aの基礎知識

サーバントリーダーシップ理論とは

モラルハザードとは

経済学理論「逆選択」とは

情報の非対称性とは

組織心理学「PM理論」とは

パスゴール理論とは

心理学理論に基づくマネジメント

経営学の全体像

経営戦略の4つのレベル

経営戦略の4段階

高い業績を出す組織を作る方法

変革型リーダーシップ理論

カリスマ的リーダーの特徴

意思決定モデル4類型

組織内の「いじめ」対処法

科学的管理法と人間関係論

組織を崩壊させる「ゆでガエル理論」とは

ゲシュタルト心理学分野とは

権力の腐敗とは

組織内で起こる「同調現象」とは

マネジメントにおける「観客効果」とは

「自己検閲」と「マインドガード」

「集団極性化」とは

「傍観者効果」の危険性

「組織コミットメント」とは

モチベーションに影響を与える「心理的契約」

早期離職の心理学

早期離職を防ぐ可能性のあるRJP理論

サボる人間の心理学

職務特性理論とは

心理学に基づくストレス対処法

人事評価で気をつけたい認知バイアス

マネジメント理論「XY理論」とは

人材採用で気をつけたい「ハロー効果」

組織開発でも使える単純接触効果

ビジネスでも重要な恋愛心理学

ビジネスでも使える認知的不協和理論

ダニングクルーガー効果とは

極限の集中状態に入る条件

内発的動機づけの意味

「マジカルナンバー」とは

人事や採用担当が学ぶべき心理学

ベンチャー監査役の業務内容

ベンチャー内部監査で活かせる資格

ベンチャー総務の業務内容

ベンチャー人事の業務内容

ベンチャー労務に活かせる資格

ベンチャー法務に求められる能力

ベンチャーPR/IRの業務内容

ベンチャーの経営企画で活かせる資格

ベンチャー財務部の業務内容

ベンチャー経理経験の価値が高い理由

経営管理部門の採用の難しさ

応募が集まる求人票とは

職務経歴書の書き方とは

人材紹介という仕事に対する向き合い方

情シスのリモートについて

情シスで求められる志向性

年収から見た情シス市場の変化

ベンチャーにおけるCxOの役割

ベンチャー企業の基本類型

求人数から見た情シス市場の変化

M&A全体の流れ

5F分析とは

スタンドアローン問題

サンクコスト効果(コンコルドの誤謬)

SWOT分析とは

M&A契約の重要条項(前編)

M&A契約の重要条項(後編)

3C分析とは

ストックオプションとは

クラウンジュエル・ホワイトナイトとは

MBOとは

著者画像

株式会社WARC

瀧田桜司

役職:株式会社WARC 法務兼メディア編集長/ 学歴:一橋大学大学院法学研究科修士課程修了(経営法学)及び京都大学私学経営Certificate/ 執筆分野:経営学・心理学・資格・キャリア分野のコラム記事を担当させていただく予定です

満足度98%のキャリアコンサル

無料カウンセリングはこちら