最近人気が出てきている国内MBAですが、果たしてベンチャーで役に立つのかという点について考えてみたいと思います。
これからMBA取得を目指してみようかなと思っている皆様の参考になれば幸いです。
少子化が急速に進んでいる日本では大学及び大学院における定員割れという深刻な問題が発生していて、多くの大学等の存続が危うくなってきています。
すでに倒産しかけている大学が発生していますし、今後もその数は増加していくものと考えられています。
このような状況を打破するためには、一般的に大学・大学院に入学する年齢層(19~24歳)以外までターゲットを広げて、より広い年齢層(主に社会人)に入学してもらう必要が出てきます。
その受け皿となっているのが大学院であり、代表的なコースがMBAです。
すでに全国に50以上のMBAが存在しています。
そして、MBAに関連する各専攻やプログラムも次々と開講されていますので、選択肢でいうと全国に100コース以上あります。
本記事では、これらの派生的なコース及び専攻も国内MBAに含めて考えたいと思います。
したがって本記事でいう「国内MBA」とは、社会人が通うことが想定された大学院であって、かつ、経営実務に関する様々な学問分野を専攻して学べる研究科の総称を意味します。
研究科の呼び方は各大学院によって異なりますが、たとえば「経営学専攻」「商学専攻」「経済学専攻」「経営法専攻」「企業法専攻」「ビジネスデザイン専攻」「イノベーション専攻」「経営戦略専攻」「ファイナンス専攻」「人的資源管理論専攻」「マネジメント専修」「経営管理専攻」「産業マネジメント専攻」「グローバルビジネス専攻」などのすべての専攻は、全部「国内MBA」に含むこととします。
学位については原則として「経営管理修士号」がもらえるはずですが、大学院によっては経済学、法学、経営法学、ファイナンスなどの学位になることもあります。
いずれにしても社会人が経営分野に関する実務的な学問を学べる研究科、コース、専攻は、すべて本記事でいう「国内MBA」の範囲内です。
これからもいろんなコース・プログラムが出てくると思うので、大学院進学を検討なさっている方は、適宜大学院ホームページをご参照ください。
皆さまが一番気になるのがここだと思うのですが、この点については大学院によってバラバラです。
もっといえば、同じ大学院の同じコースに通う院生でも、履修した科目がバラバラなので、何を学んだかは人によって大きく変わります。
さらに、同じ大学院の同じコースで同じ科目を履修しても、元々有していた知識や専門分野が人それぞれなので、その学習効果もバラバラです。
大きな括りで共通している点としては、大学院はあくまでも「研究機関」なので、基本的には抽象的な学問(理論面)を中心に学びます。
担当教授が研究者であればその傾向はより強くなります。
実務家教員といって、実務でも活動している特任教授等が担当する場合は、少しだけ実務に寄った内容になりますが、それでもやはり大学院は学問を修める場所なので、理論面が重視されやすいです。
そして、国立の方がより理論色が強い傾向があります。
関東の国立大学院でMBA系のコースを開講しているのは、一橋・筑波・横国・東工大の4校だけだと思いますが、いずれも理論面をしっかり学べる大学院として知られています。
それゆえに難易度も高く、高めの学力が要求されます。
たしか4校とも、原則として修士論文が必須のはずなので、学位論文を書かないと卒業できません。
この修士論文がかなり大変な作業で、国立の場合は審査基準も厳しい傾向があるので、作業工数を多く取られることになると思います。
一方、私立の場合は実務色が強く、より実践的なケーススタディを中心にカリキュラムが構成されていることが多く、国立ほど厳格な修士論文なども課されません。
代わりに、プロジェクト研究論文などを提出する方式が採用されています。
ただし、論文が比較的楽な分、日々の講義で出される課題は多くなりやすい傾向があります。
特に慶應と早稲田のMBAは課題が多いことで有名な大学院です(今も多いかはわかりません)。
以上を前提にするならば、学術的なことを学びたいなら国立を選び、より実務で使えそうな知識を学びたいなら私立を選ぶと良いかもしれません。
それでは本題に入ります。
国内MBAはベンチャーで役に立つのでしょうか。
まず根本的なところですが、現在の国内MBAの多くは、大手企業で働く人達向けのカリキュラムを提供しています。
一部の大学院では、ベンチャーに特化した法制度の講義やベンチャー経営に関連する講義を開講しているのですが、あくまでも一部だけです。
それ以外の講義の多くでは、原則として上場企業や大手企業のケーススタディを行いますので、学ぶ内容も大手企業向きの内容となっています。
その他の主要科目(必修科目)も主に財務会計の基礎や一般的な経営学の基礎、経済学の基礎などとなっていて、これらの講義を受けただけで役に立つ人材になるかというと、答えはNOです。
基礎的な学問上の知識を講義で学んだからといって、それをベンチャーですぐに活用できる場面はほとんどないと思って良いと思います。
また、大学院の講義では1科目を20時間程度でこなしていきます。
しかし、各科目は、そんな短い時間でマスターできるほど浅くないです。
1科目の知識を実務で活かせるレベルまで学ぶと考えたら、1科目あたり200時間くらい学ばないといけません。
それでやっと実務で使えるかなという程度です。
以上より、単に「大学院でMBAを取っただけ」なら役に立たないという結論になるかと思います。
でも、全く役に立たないかというとそうでもないです。
大学院で何を専攻して、どんな研究を行ったのかよって変わってくる部分はありますが、知識が増えて損することはまずありません。
それに、大学院での研究を真面目に行っていた人については、最低限の調査能力や分析能力が身についているはずなので、そのような汎用性の高い能力については、ベンチャーでもすぐに活用できると思います。
そして、大学院で学んだ基礎を深めて、各分野の専門家と同等のレベルにまで昇華させることができれば、ベンチャーでも大いに役に立つ人材になれると思います。
そういう人についてはMBAを活用して、転職に活かせるはずです。
今回は国内MBAがベンチャーで役に立つかについて検討してみました。
結論としては、単にMBAを取得するだけではそこまで役に立たないと思います。
MBAは原則として基礎的な内容を学ぶだけなので、その後の実務で活かせるようにするためには、各自が深く学んで専門家と呼べるレベルまで学習を続けないといけません。
そこまでできて初めてMBAが活きて来ると思うので、卒業後からが本番であるといえると思います。
これからMBAに行こうかと思っている方がもしいれば、卒業後も学び続ける覚悟で進学することをオススメいたします。
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内容に応じて担当者がお返事させていただきます。