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コラム
2024/11/13 更新

ベンチャー転職を成功させる秘訣を年代ごとに解説

はじめに

今日は、ベンチャー転職における成功の秘訣について考えてみたいと思います。

長いビジネスマン人材の中で、どの年代でベンチャーに行くと成功しやすいのか。
これについては個人差が激しいと思いますので、唯一の正解というものはないと思いますが、あえて検討していきたいと思います。

1.年齢層の区分

今回はベンチャーに転職し得る年齢を以下の3段階に分けて検討したいと思います。

(1)ジュニア層

ジュニア層は、新卒から25歳くらいまでの若手で、原則として入社後の「教育」を必要とする人材のことをいいます。
年収帯でいうと300~500万円前後となります。
主に大学を卒業したばかりの新卒や大学院卒者などが該当します。

小型のスタートアップやベンチャーでは、ジュニア層を積極的に採用しようとしている企業は少数派です。
なぜなら、まだ社内に教育システムが整っていないからです。

(2)ミドル層

ミドル層は、社会人経験を積んだ20代後半から30代前半の中堅で、あまり教育を必要としないプロフェッショナル人材のことをいいます。
年収帯は、500~800万円前後です。

ベンチャー企業の多くでは、教える余裕はないけどやらないといけない作業は膨大という状態であることが多いので、原則としてミドル層の採用に積極的です。

(3)シニア層

シニア層は、何らかの専門分野を持っているか、又はマネジメント経験が豊富な30代半ば以上のプロフェッショナル人材のことをいいます。
年収帯は700~1500万円前後です。
別の名称では「ハイクラス人材」と呼ばれたりもします。

なお、一般的な大手企業であれば30代はミドル層という認識だと思います。
しかし、ベンチャーの場合は基本的に平均年齢が若いので、30代後半あたりからはもうシニア層に入るという認識です。
40代~50代はほとんどいないことが多いです。
ベンチャーとはそういう場所だと思ってください。

この3段階に分けて考えていきます。

2.ジュニア層の就職・転職

ジュニア層の場合、ベンチャーへの入り方は大きく分けて2通りあります。

一つは新卒採用で、もう一つが中途採用です。

新卒採用の場合、そもそも行きたいベンチャーが「新卒採用」を実施しているかどうかにかかってきます。
新卒採用を実施しているベンチャーは、比較的規模が大きい会社か、又は新卒でもできる業務が存在する会社です。
メガベンチャーの多くは新卒採用を実施していますので、狙ってみるのもありだと思います。
伝統的な大手企業と同等の福利厚生と、ベンチャーらしい裁量・自由度を両方経験できるので、メガベンチャーは新卒にオススメしたいところです。

中途採用で入社する場合は、多くの場合初めての転職で入社することになると思います。

私としては、最初に入った会社(大手が良い)で3年以上の経験を積んで、ミドル層の年齢になってから転職を検討することを強くおすすめします。
その方が転職後も成功しやすいと思います。
年齢でいうと、大卒で25~28歳前後、大学院卒で27~30歳前後です。
この年齢層が最も採用されやすく、募集人数も多いです。

大手企業では教育システムが充実していて、最初の数年間をかけてじっくり育ててくれますので、3年くらい在籍していれば一通りのビジネススキルが身につきます。
ベンチャーからすると「大手での教育課程をすべて履修し終わっている」ということが価値になります。
基礎的なことはもう教える必要がないという安心感が採用につながるので、3年が一つの目安ではないかと思います。

ただ、一部の方については22歳で大手企業に入って、すぐに辞めて、ジュニア層のままベンチャーに飛び込む人もいます。
そのようなパターンで転職をするなら、職種を限定して転職活動をした方が良いかと思います。

総合職という考え方はベンチャーにはあまりありませんので、営業か、開発(エンジニア系)か、経営管理部門かです。
営業職であれば比較的どこのベンチャーでも採用してくれますので、ジュニア層でも狙いやすい職種です。

あとは経営管理部門の経験者も比較的転職しやすいです。
特に、経理・財務・労務・法務などの経験者は強いです。
大手で若いうちから経営管理部門の専門職として働けるような人は、大抵優秀なので、ベンチャーでも採用される可能性があります。

WARCでも経営管理部門特化型の転職サイトであるSYNCAを運営していますので、ベンチャーを狙っている皆さんはどうぞご登録ください。

なお、ジュニア層でベンチャーへの転職を試みるなら、自分がやりたいことを明確に述べられるようにしておきましょう。
将来の志向が明確な若手ならば、ベンチャーにいる30代の皆さんが「俺(私)が育ててやるか!」という気持ちで採用してくれる可能性があります。

ジュニア層の若手が大手からの転職で失敗している事例を見てみると、何がやりたいかよくわからないケースが目立ちます。
採用担当者側から見ると『この子はただ今の職場から逃げたいだけなんだろうなぁ』という印象を抱くケースです。
このような転職動機だと、大手よりも変化の激しいベンチャーでは生き残れないと思うので、お見送りになりやすいです。

あと多いケースとしては、大手の批判ばかりを並べて転職しようとしているケースです。
正直申し上げて、環境でいえば大手の方が圧倒的に上です。
大手でダメだったからベンチャーに行くというのはなかなか難しいかと思います。
むしろベンチャーでは、大手以上に様々な能力が必要とされます。

大手で大活躍できていた人ならベンチャーでもなんとかなるかもしれませんが、大手でくすぶっていた状態だとかなり厳しいと言わざるを得ないです。
そのため、大手の批判ばかりを述べられると、採用する側はなかなか採用決定しづらいところがあります。

仮に大手に批判的な見解を持っていたとしても、それはあえて出さず、未来のことを語りましょう。
ベンチャーにいるマネージャー層は若者の未来の話を聞くのが好きな人が多いので、自分の夢や目標を語った方が採用されやすいです。
未経験者であっても、熱意が人一倍ある人であれば採用されることがあるのがベンチャーの良いところです。
そういう意味では、ジュニア層の転職成功の秘訣は職種の限定と熱意にあるのかもしれません。

3.ミドル層の転職

ミドル層(20代後半から30代前半)の転職は、ベンチャーで最も旺盛な需要がある年齢層なのであまり心配いらないかなと思います。
何らかの専門性を持っている人であれば、良い転職機会を得られるはずです。

しかし、注意しないといけないところもあります。

まず1つ目は、ジョブ・ローテーション人材です。

ミドル層の場合、大手等での実務経験が5~10年ほどあるのが普通なのですが、その中にジョブ・ローテーションで数年ごとにいろんな部署に飛ばされた人材が一定数いるのです。
このような人については、ベンチャーだと採用されづらいということがあります。
なぜなら、ベンチャーで募集がかかる職種の多くが「即戦力の専門職」だからです。
したがって、ミドル層の転職では、特定の職種の経験をしっかり積んだ人の方が有利です。

2つ目は、大手企業での当たり前をベンチャーに持ち込まないことです。

ミドル層の皆さんは、大手企業での実務経験が10年近くあることが多いので、大手での当たり前がベンチャーにも妥当すると思っていることが多いです。
この考えは早めに捨て去ってしまった方が良いです。
教育制度、研修制度、福利厚生、人事考課、各種規程などすべて整っていないのがベンチャーの普通です。
様々なことをこれから創っていかないといけないのです。
その中核を担う年齢層がミドル層なので、自分で一から創ってみたいという人の方がベンチャーには向いています。

最後3つ目は、転職サイトで待ちの姿勢でいると損をすることがあるという点です。

ミドル層の場合、企業側のニーズが旺盛なので、各種転職サイトに登録しているだけで大量にスカウトメッセージが来ます。
有力な資格を持っている人や専門職としての実務経験が豊富な人の場合は、数日で数百件来るのが普通だと思います。
しかし、それらのスカウトメッセージの大半は、自動送信又はアルバイトさんが送っている中身スカスカのスカウトメッセージです。
何通か読んでみるとわかりますが、全然プロフィールを読んでないなと思われるものが9割以上だと思います。
そういうスカウトメッセージにはあまり価値がないと思うので、本気で良い転職にしたいなら、リファーラル(紹介)か、もしくはトップクラスのエージェント経由での応募を行うべきだと思います。

リファーラルについては、専門職同士の繋がりを利用すると良いかと思います。
大学時代の同期などをつたっていけば、数人はベンチャーに在籍している専門家がいると思うので、そこから紹介をしてもらうと採用されやすいです。
CEO、CFO、COOなどと繋がれたらとても強いと思います。

エージェントについては、ビズリーチなどで探すと良いと思います。
プロのエージェントはスカウトメッセージも丁寧に一人ひとり書くことが多いので、自分のプロフィールをしっかり読んでくれているエージェントを選べば良いです。
親身に相談に乗ってくれる良いエージェントと出会えたら、候補先のベンチャーのことを何でも聞ける状態になるので、転職に半分成功したようなものだと思います。

4.シニア層の転職

シニア層(30代半ば以上のプロフェッショナル人材)の転職の多くは、リファーラル(紹介)で行われるので、あまり転職市場に出回ることはないかもしれません。
ベンチャーでは、シニア層自体がとても少ない貴重な人材なので当然といえば当然です。
特に公認会計士・税理士、及びCxO経験者の需要は旺盛で、基本的には複数の企業からオファーが出ると思います。
最近は大手で様々な業績を収めたシニア層がベンチャーにも入ってきてくれるようになったので、嬉しい限りです。
ベンチャー企業が本気で上場を目指すようになったとき、大手で内部統制システム等を構築した経験があるシニア層がいてくれると本当に助かります。

なお、シニア層の転職は、前述のとおり社内の知り合い(主にCxO)からの紹介で決まることが多いのですが、企業内の人間たちの知り合いだけでは人材が見つからないということもよくあります。
その場合は、ベンチャーにおけるハイクラス層特化型の人材紹介会社を活用して採用活動が進められます。

もしシニア層の皆さんが、より多くの転職先候補を見てみたいという場合は、ベンチャーに特化したエージェントを活用すると良いかと思います。
そうすることによって、まだ公開されていない非公開求人にも出会えます。
CxOクラスの採用は秘密裏に進めることも多いので、エージェントを使った方が良い場合も多いのです。

弊社WARCもベンチャーのCxO人材に特化しているので、必要であればいつでもご連絡ください。

おわりに

今日はベンチャー転職における成功の秘訣について考えてみました。
皆様の参考になれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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内容に応じて担当者がお返事させていただきます。

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